そんな日に投稿します。
やっと書き終えました。
前の話を読んでいない方は前の話を読んでから読んでみてください。
一週間後。
学校から帰る途中、私は公園に一人の女の子を見た。
暁美さんのような黒い髪、だが髪型は三つ編みで、目には赤い眼鏡をかけていた。
制服は私の着ているものと同じ・・・。同じ中学かな。
何か困っているような顔をしていたので声をかけることにした。
「どうしましたか?」
「え?あー、えっと・・・。道に迷ったというか、帰れなくなったというか、とりあえずごめんなさい!」
三つ編みの女の子はなぜか私に頭を深く下げて謝る。よく見ると、顔のパーツや身長は暁美さんに近く、表情が緩んだときの暁美さんに似ていた。
いつも目付きが鋭く、怖い雰囲気があるため、あまり顔を見なかったがこんな表情も・・・。なんてこの人は違う人だ。似てるけど全然違う!
「あの、名前は」
「あ、あけ、暁美 ほ、ほむらっていいまふ!」
自分のことを暁美 ほむらと言った彼女は小さな声で、また噛んじゃったと言う。
そんなことより、今暁美 ほむらって言った。
「私、琴美 玲華。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
この人の名は本当に暁美 ほむらといい、学生証を見せてもらったが、本物だ。
ただ表情が柔らかくなり、少し怖さが抜けたかわいい暁美さんだ。
でも、そんな・・・。
「え、えっと、琴美さんって!ま、魔法少女ですか!?」
「そうだと・・・思う」
そんな感覚はないが、この指輪からして魔法少女なんだろう。あまり確信は持てないが・・・
「わ、私もそうなんです!えっと時を操るというかなんというか・・・とにかく、時間を止めたりできます」
今の話を聞いて、私の予想だとこの暁美さんは時間を止めようとしたものの、間違えて違う時間にタイムスリップしてしまったんじゃないか。
「えっと・・・家とかは」
「あ、そそそういえば・・・この世界の家に行っても、い意味ないですもんね」
「た、確かに。・・・その違う世界に、帰れますか?」
「え、えっと・・・・・・」
暁美さんは魔法少女の姿になると、左腕につけた円盤型の盾を触る。
カチャン、カチャンと音は鳴るが、動く気配はない。
「ダメみたいです・・・あの今夜だけでいいですので、泊めてもらうことは」
「大丈夫だよ。ママもたぶん許してくれると思う」
「あ、ありがとうございます!」
また暁美さんは深く頭を下げた。
その日の夜。私は暁美さんから色々と魔法少女について、話を聞いた。ただ、この暁美さんも最近なったばかりだったため、あまり詳しく聞くことはできなかった。
魔法少女への変身や、魔法の使い方。とりあえず、変身することはできたが、まだ能力はわからない。
服の色はきれいな紙のような白で、暁美さんのものに少し似ていた。
話によると、この服はその人の想像が具現化するようだ。今は想像が固まっていないため、目の前にいる暁美さんのものに近い服になったのだろう。色もまたそれと同じく、何も考えていなかったからかもしれない。
「琴美さんなら必ずできる!こんな私だってできたんだから!」
「暁美さん・・・」
せめて魔法だけでも開花させたい。そう思うと、私は一つのことを思い出した。
それは小さな頃、兄と見たロボットがたくさん出てくるアニメ。広大な大宇宙をたくさんのロボットが戦うアニメだ。
そのなかでもある武器を思い出した。
ある小さな機械からビームが出るというものだ。確か名前をビットとか言ったっけ。
「今なら・・・えいっ!」
次の瞬間、私の頭上から小さな球体が現れ、それに空いた小さな穴から水色の光が飛び出した。
光は壁に飾られたカレンダーの端を焦がした。
「これが私の能力。」
「やりましたね!琴美さん!」
そう言いながら暁美さんは私に抱きつく。暁美さんは私の能力を自分のことのように喜んでいた。
「でも、やっとスタートに立ったんだ。次は魔法少女としての服を」
私たちが喜んでいると、一階からママの声が聞こえてきた。
「もう寝なさい。明日も学校でしょ!」
私は急いで、ドア近くの電気を消すスイッチを押しにいく。そしてスイッチを押すとすぐに布団のなかに入ってしまった。暁美さんは布団に入ると、眼鏡を枕元に置いてこっちを見た。
「いつか琴美さんが、その魔法を使って魔女を倒すところを見てみたいな」
暁美さんはそう言い、すぐに寝てしまった。私も疲れたのか、すぐに睡魔が来てしまった。
「お休みなさい、暁美さん。」
私が目を閉じたとき、宙にはまだビットが浮かんでいた。
「おはよう、暁美さん」
朝になると、暁美さんは部屋からいなくなっていた。代わりに布団の上に書き置きが残されていた。
琴美さんへ。
私は今日で帰ります。もう時間みたいです。
ここにいても、違う時間軸の仲間が困ってしまうことですし。
半日でしたが、とても楽しい時間でした。
こちらの世界の私とも昨日みたいに楽しい時間を過ごしてくださいね。
泊めていただき、ありがとうございました。
「暁美さん・・・」
読み終え、紙を机の上に置くと、窓の方で何か物音が聞こえた。カーテンを開け、外を見てみると、ベランダで丸くなるキュゥべぇがいた。
「おはよう、琴美 玲華。こっちに来て、何か進展はあったかい?」
「魔法が使えるようになったよ。あと変身の仕方もわかった」
「そうか、それなら・・・もう魔女と戦えるね」
「魔女・・・」
「ここ最近、君の家の近くで魔女の気を感じるんだ。黒い何かをね。だから君に倒してほしいんだ。もちろん、無茶はしないでね」
キュゥべぇは窓から中へ入ると、机の上の紙を見る。
「この字・・・暁美 ほむらのものだね。何でこんなところにこの字があるのかな?」
「・・・」
さすがに、ここに違う世界の暁美さんがいたということを言うことはできない。なぜなら、キュゥべぇが昨夜、この世界の暁美さんといたことはキュゥべぇの姿を見て知っているからだ。今知ったといってもいい。
キュゥべぇの尾に絡まった黒い髪の毛。たぶんあれは暁美さんのものだろう。来たときからずっと気になっていた。
「まぁいいや。僕には関係ないことだしね」
キュゥべぇは机の棚に乗ると、そこから私の肩に飛び移る。少し体制を崩したあと、そこから腕のみで耐え、体制を立て直した。
「君が魔法少女としての自覚ができた以上、僕は君が魔女と戦ってくれることを願うよ。その力にも限界があるからね。君たちの疲れを回復してくれるものは魔女が持っているから」
「グリーフシード・・・ですか?」
「誰かから聞いたのかい?まぁ検討はついてるけど」
「そろそろ学校行かなきゃだから・・・その話はまた後でお願いします」
「魔女を倒すのが君の仕事だ」
「学校にいって勉強するのも仕事です」
私は鞄を持つと、キュゥべぇを肩に乗せたまま、部屋から出た。
学校へ行く途中、美樹さんに会った。寝不足なのか、どこか体調が悪そうだった。
「おはよう、どうしたの?」
「あ、玲華か。昨日、夜遅くまで魔女と戦っててね。何か幻覚見てるのか、玲華の肩の上にキュゥべぇが見えるよ」
美樹さんは目を擦りながら、キュゥべぇの頭を上から押す。
「美樹 さやか。僕はここにいるよ」
「あ、本物か?ごめんごめん」
美樹さんはあくびを手で押さえると、キュゥべぇから手を離す。
「そういえば、玲華ってまだ魔女と戦ったことがないって言ってたね。今度、出たら戦ってみる?」
「そうだね。彼女にも経験させた方がいいかもね」
「アンタにはきいてない。で、どうする?」
「確かに、一度見てみたいですね」
昼休み、いつもの屋上で昼食を取っていたとき、美樹さんと話していて色々と質問された。
「玲華ってどんな武器を使うの?」
私は返事をするように、ビットを空中に出す。
「何かかっこいいね!見た感じ、遠距離武器か。マミさんとかぶるな」
「私のとかぶる・・・ね」
私たちの声とは違う声のした方向には、マミさんが立っていた。
「遠距離武器ってだけで、弾の感じは違うでしょう?」
「玲華、その武器の力見せてよ!」
美樹さんはそういい、目を輝かせながら、私の手を両手を握り、上下に振る。それはまるで好奇心旺盛な子供のようだった。
私は何かターゲットのような物はないかと辺りを見る。屋上の隅の方に缶コーヒーの缶が落ちているのがわかった。
「じゃあ、あそこにある缶をこの武器で撃ち抜いて見せます」
「よく見つけたねー。あんな遠くにあるあんな小さいもの」
「視力は良いから」
「じゃあよろしく。」
私はビットに気を集中すると、ビットの銃口から光線が放たれ、缶の角に当たって缶を弾く。
「どうですか?」
「・・・琴美さんは、変身しないでそんなことができるの?」
「驚いた。確か魔法少女は武器を扱うとき、変身しなければならなかったはず・・・アンタ何者?」
この光景を見ていた二人は少し距離をとって私に問いかける。確かに美樹さんの理論上ではそうなのだろう。だが、私はその理論とは違うものなのかもしれない。
「別に彼女だけが使えるものではないよ」
この話の中に誰かに呼ばれたかのようにキュゥべぇが入ってきた。キュゥべぇは缶を耳で掴んで拾うと、私たちの目の前に持ってくる。
「マミだってさやかだってできるさ。ただ頭のなかに『変身しなければ、魔法を使うことはできない』という偽りの理論を植え付けているだけだよ」
それを聞き、マミさんはマスケット銃。美樹さんは剣を出した・・・というより出すことができた。
「じゃあ戦うとき、変身しなければならないのは?」
「それも君たちの間違った理解さ。別に変身しなくてもいい。ただ、変身した方が何倍もの力を出すことができる。試しに今僕が拾ってきた缶を撃ってよ」
マミさんは銃をかまえると、引き金を引く。
銃弾は缶の中心を撃ったが、貫くことなく、缶は明後日の方向に弾かれた。
「変身した状態なら缶を貫いて、床に刺さっていただろうけど、変身しないとこれくらいのことしかできない。面白いね、僕たちが作り出した魔法少女というものは」
次の瞬間、キュゥべぇは何かによって撃ち抜かれ、辺りに肉片を飛び散らしながら消滅した。
「だから私はキュゥべぇを倒すとき、わざわざ変身するの。こっちの方が手っ取り早いから」
聞き覚えのある声が聞こえる。銃弾の方向には銃をかまえた暁美さんが立っていた。
「琴美さんが魔法を使えるようになったのは計算外だわ。あなたが魔法少女だというのは知ってたけど」
暁美さんは屋上の出入口から入ってくると、ただ肉片となったキュゥべぇを金網から下へ落とした。
「暁美さん、あなたのしたいことって」
「あなた達にはわからないでしょうね。こっち側の人間になったことはないのだから、一番近くて・・・琴美さん、あなたかしらね」
暁美さんは銃をしまうと、金網から下に落ちた肉片を集める何匹かのキュゥべぇを見下した。
「鹿目 まどか。彼女を救うのが私の願い。そして今の願いはあなたを・・・琴美 玲華を間接的にこの世界から消滅させること」
暁美さんはそういい、一瞬で私に近づく。そして私の鼻の頭から唇にかけてのラインを人差し指でなぞる。
「あなたの顔立ちが、一番まどかに近い」
そして唇を人差し指でおさえると、また一瞬で屋上の出入口へ移動する。
「理解しなさい。あなたはこの時間で死ぬ運命なんだと」
暁美さんは変身を解くと、振り返ることなく、出入口へ消えてしまった。
「何だよ、あいつ。あんなやつ無視した方がいい。な?」
「そうね・・・あまり触れない方が。って琴美さん!?」
二人の声が届くことなく、私は無意識に足を進めていた。今は暁美さんを追いかけなければならない。そう脳が考えたからだ。
私は出入口から外へ出ると、下の階へと階段を走り下りた。
そして二階へ下りて、曲がり角を曲がった。
そして次の景色に私は思わず、悲鳴をあげてしまった。
目の前には、ほんの数分前まで私たちの前にいて、意味不明の話をしていた暁美さんが大量の血を流して倒れていた。
完全に意識はなく、喉から心臓にかけて大きな矢が刺さっていた。
私はこのとき、犯人らしき人間を見てしまった。
桜色の髪をして、赤いリボンをした少女。
鹿目さんのような格好をしていた。