完全にオリキャラです。
前回のを読んでいない方は(ry
私の前で二人の少女が戦ってるの?
そんなことを思っていた。
なぜ私は動けないのか。こんな鎖なんて私の武器があれば、壊せるのでは・・・。
それよりもなぜ美樹さんは私の方の鎖を壊さず、今佐倉さんと戦っているのか。
見ててと言ったが、私はこの戦いを見たくはなかった。目の前で仲間同士が戦うなんて・・・。
そういえば昔、マミさんから魔女は絶望を振り撒くと聞いた。今起こっていることはその絶望にすぎないのかもしれない。
そしてソウルジェムが濁りきったとき、魔法少女は魔女になるというのも聞いた。佐倉さんのソウルジェムはさっきから黒い何かを放っている。もしかして魔女になりそうなんじゃないか・・・
私も援護射撃程度に武器を使って、戦った方がいいのかもしれないと思うが、自由に身体が動かないため、武器を出すことすらできない。
これも私の願いのせいなのか。成功、正解の道がここで攻撃しないことなのだろう。
「やぁ、玲華」
考えていると、横にキュゥべぇが歩いてきた。
「この状況、後ろから見てたけど。今は誰も止める人間はいないんだ」
「止めるって?」
「まだマミがいれば何とか止めてくれると思う。だが、マミは違うところで魔女と戦っているみたいだ。さぁどうする?」
「でも、身体が動かないんです」
「いや、動くよ。ただ、君はこの鎖のせいにしてるのか、願いのせいにしているのか動けなくなっていると錯覚しているから動けないんだ」
私は指から徐々に身体を動かせることを知る。確かにキュゥべぇの言うことは本当のようだ。だが、魔法を使うこと、つまりあのビットを出すには少し力がいるようだ。
「そんな鎖程度じゃ君は止められないよ。君はあの二人よりも、マミよりも、暁美 ほむらよりも強い魔法少女になる存在だ」
「え?」
私があの人たちよりも強くなれるの?こんなところで戦わずに、静かに見ていることしかできない私が・・・
「でも、どうしたら」
「最初からできないと思っていたら何もできない。失敗論ばかり考えてたら人間は落ちていく一方だ」
「でも、私は」
「君も一人の魔法少女だろう」
次の瞬間、佐倉さんの槍によって弾き返された美樹さんがこっちに飛んできた。
ボロボロになり、息があがっていた。
「美樹さん!」
「ダメ!」
私が何とかして近づこうとしたとき、美樹さんは私を止めた。
「あたしが止めないとダメだ。杏子のためにも、あたしのためにも」
「も、もうやめて!」
私は心からそう叫んだ。だが、攻撃をやめることはなく、どちらも傷だらけになり、ボロボロになっていった。
「キュゥべぇ・・・私には何もできない。ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
私の口から出たのは謝りだった。
とても小さな声で、金属音に、風音に消されるくらいの。
私の目からは涙が出ていた。悔しさからの涙が、何もできない自分を悔やむ涙が。
いつのまにか、私の服装は魔法少女の制服からパジャマへと変わっていた。
そしてキュゥべぇもいなくなっていた。
「美樹さん・・・」
時が経ち、朝日が顔を出していた。目の前には二人の魔法少女が倒れていた。
泣いたせいで腫れ上がった目を擦ると、ギリギリ美樹さんの顔が見えた。
「・・・助けられなかった。あたしってほんとバカ。」
佐倉さんの服につけられたソウルジェムの変化したものは砕かれていて、周りには赤い宝石の破片が散らばっていた。黒い煙が出ている・・・。どうやら、魔女にはならなかったが・・・これ以上先は私の口からは悲しくて言うことはできなかった。
ただただ泣くことしかできない。
美樹さんも地に倒れながら、拳を地面に打ち付けていた。血まみれになった佐倉さんを抱きかかえたその手を。
「美樹さん・・・」
名前を呼ぶことで精一杯だった。元気付ける言葉をかけることはできなかった。
「玲華。これが魔法少女の末路だ。戦いの末に魔法少女は魔女になる。誰しもがそういう運命を辿るわけじゃないけど、その確率はとても高い・・・なんてね」
美樹さんが一番悲しいんだ。私よりも佐倉さんと過ごした日々は長く、私よりも佐倉さんを友達と思っていた。いや、それ以上だったのかもしれない。
「行こう、玲華。あいつの分まで戦おう、私達で」
今にも大声で泣きそうな。そんな悲しみを多く含んだ一言で、私にはとても重い言葉だったのかもしれない。
私は魔女のものである空間の中へ消えていくのを見ると、静かに帰っていった。
休日を挟んでの三日後。美樹さんは学校に来なかった。
その次の日も、次の日も、次の日も・・・
とうとう一週間経ち、クラスでは美樹さんも暁美さんと同様、殺されたのではという話になった。まさかそんなはずはない。美樹さんは生きてる・・・はずだ。
一言もなく、消えた生徒はこれで二人。そろそろ職員側も怪しみ始める。
マミさんは佐倉さんのことを知っていた。キュゥべぇから聞いたらしい。だが、美樹さんのことは知らないと言った。
私はマミさんと力を合わせて、美樹さんを探すことに決めた。美樹さんの家や、病院や、魔女の反応がある場所。あらゆるところを探した。
家に行ったがここ最近、気づいたらいないというときが多いらしい。病院で上条君に会って美樹さんのことを聞いたが、ここ一週間は会っていないと言う。ただ、たまに病室前を青い髪の少女が通るらしい。もしかしたら美樹さんかもしれない。
上条君はまた腕から指先にかけての様子がおかしいため、またあの病院に入院中らしい。
私達は上条君に許可をとり、病室の前を見張ることに決めた。青い髪の少女の正体を知るために。
だいたい少女が通るのは、五時から六時の間らしく、その時刻は昔、美樹さんが上条君のところへ来るのと同じ時間だった。
「マミさん、美樹さんは本当に来ますかね?」
「ただ青い髪の少女ってだけで美樹さんだかはわからないわ。とりあえず、今はここで彼女が来るということを待つだけね」
待つこと十分。マミさんがお手洗いでその場を離れたとき、少女はやってきた。
美樹さんより小柄で片手に本を持っていて、髪は長く上条君の言う通り、青かった。青といっても水色に近い。
少女は上条君の部屋をチラッと見ると、すぐに通りすぎていった。
『マミさん、青い髪の少女が現れました。』
『え?今?すぐそっちへむかうから、琴美さんは彼女を追いかけて』
『はい!』
私は柱の影から出て、彼女を追うことにした。彼女は私に気づいていないのか普通に歩いている。
「あの、美樹さん?」
この聞き方は悪かったかな。
少女は足を止めると、こちらへ振り返る。
「私?」
少女は辺りを見て、最終的に自分を指差し、顔を傾ける。
「・・・えっと」
本当に一瞬、顔を見ただけで美樹さんと判断し、声をかけたため人違いだということを理解できなかった。
「すみません、人違いでした」
「えっと、その制服、見滝原の生徒さんですよね~?」
「あ、はい。そうですけど」
「じゃああの上条さんって人を知ってますよね?」
「はい」
その見かけとは裏腹にどんどん心の奥底へ入ってくるような話し方は私の知っていることをどんどん引き出していった。
「じゃあ・・・アンタがここ最近現れた魔法少女で?」
「!」
今、この少女は『魔法少女』って言った。しかも私がここ最近、魔法少女へと変身できるようになったのも知っている。というより、私を知っている。
「あまり、怖い顔しないで。私はあなたの味方。ここ最近亡くなった暁美さんとは違うよ」
目の前の彼女は私の両方の肩に手を乗せると、にっこりと笑った。
「私の名は葵 海未。あなたたちの味方で、魔法少女の情報を取り扱っているんだ」
葵 海未。私たちとは違う中学校の制服を着ている。
上条君の部屋を覗いていたのは、彼女も美樹さんが消えたという情報の証明を探していたからだと言う。
彼女もまた魔法少女で、透明化という魔法を使うことができ、武器は暁美さんのような銃器を使うようだ。ただ彼女自身、戦いは苦手でその能力を情報収集のために使い、その情報でグリーフシードを買っているらしい。マミさんによると、ちまたでは有名な魔法少女商売人のようだ。
私達は葵さんのことを知るために、とりあえず病院前の公園のベンチに座ることにした。病院にあまり長居するのも・・・ね?
「で、葵さんは」
「海未でいいよ。みんなそう呼んでるし。それにさん付けとか堅苦しいから」
「じゃあ、海未も美樹さんのことを探してたんですか?」
「いいよ、タメでさ。私のモットーはフレンドリーかつ丁寧な商売人だからね。いざというときは丁寧な取引をして、普段は皆とフレンドリーに。だから今、こうやって魔法少女として生きてられるのよ」
「で、話は」
「あー、ごめんごめん。美樹さんの話ね。確かここ一週間は手がかりなしで、最後に見たのは一週間ちょい前の朝方。公園でアンタといるところを見たってところだね。そこからはほぼ反応なし。県外の私の友達から見たって情報があったけど、それが本当に彼女なのかは謎ね」
「てことは県外に!」
「まぁとても真実味のない情報だけどね。真実味12%くらい?」
「そうですか・・・」
「・・・あまり仲間の暗い顔を見るのはモットーに引っ掛かる。フレンドリーな精神にね。探すのなら付き合うよ。アンタら以外にも美樹のことを気になる魔法少女がいるしね。彼女も有名人なのよ。恋人のために命を払い、魔法少女として生きている、健気な少女ということでね」
美樹さんって案外有名人なんだな、なんて思いながら彼女の話を聞く。
「まぁ私は情報のためならなんでもするよ。それに私とアンタらの考えが一致したみたいだし」
葵さんは席から立ち上がると、遠くをみる。
「噂をしていれば、情報を欲しいという人間がこちらに来てるみたいだ」
葵さんの見る方向には一人の少女が歩いてきていた。顔は良く見えないが、周りの景色から目立つような桜色の髪が良く見えていた。
あの髪・・・確か・・・。
「アンタらは遠くから見てて。話が聞こえない程度の遠さで」
葵さんの言った通り、できるだけ遠くに、会話が聞こえない程度の場所へいく。
だが、話を聞くために盗聴用のマイクをつけたビットをベンチの下に潜らせた。
「どうも、桜髪さん。とりあえずそこにでも座って会話でも」
桜髪と呼ばれた少女は葵さんと共にベンチに座ると、話始める。
会話の内容は確かに美樹さんのことで、私たちにさえ、話していないことをグリーフシード一つを渡しただけで、たくさんの言葉が出てきた。
どうやら、美樹さんを最後に見たのは一昨日らしく、魔女退治をしていたようだ。そして美樹さんはこの町のどこかにいると言っていた。
「こんな感じでどうですか?」
「・・・他に情報はないか?それだけでは足りない」
「でも、見た感じ、このグリーフシードは一回使われてるみたいですよ。新品ならもう少し話したかもしれませんね」
「・・・わかった」
桜髪は着ているパーカーのポケットからもう一つグリーフシードを出すと、葵さんはそれをもらい、「毎度あり」と言うと、また話し始める。
今度は名前を伏せているが、私たちが桜髪同様に美樹さんを探しているということを教えた。逆に言うと、私、マミさん、葵さん、そしてあの桜髪以外に美樹さんを探している魔法少女はいないということだ。
さらに葵さんはその人たちに会うことができる、と言う。ここにいて、彼女が許可すれば私達は出なければならない。
だが、あの桜髪は私たちと話すことを許可しなかった。話の感じ、彼女は一人で美樹さんを探すらしい。
どうやら今、美樹さんには懸賞金がかかっているらしい。どう言った理由でかは聞こえなかったが、葵さんの話す感じ、そのことは知っているらしい。
「本当に彼女に美樹さんを探すことを手伝ってもらって大丈夫なのかしら?」
「どういうことですか?」
マミさんは小さな声でボソッと言う。私はそれが聞こえ、質問してみる。
「葵さんの情報量の感じ、美樹さんが見つかるのは」
「彼女はただ情報屋にすぎないわ。それに話の感じ、彼女も美樹さんを捕まえることを第一目標にしてるみたい」
「懸賞金・・・ってところからですか?」
「まぁそのお金はどこから来るのか、私にはわからないけどね」
確かに美樹さんに懸賞金がかけられている理由だけでなく、その金はどこから来るのか、それもわからない。魔法少女が金を回すほどの力を持っているのか。
情報屋としての仕事を終えた葵さんは桜髪が遠くに消えたことを見ると、こちらに手招きをする。
「どうでしたか?」
「どうでしたか?って言われてもな・・・。私はそれなりの情報を売ったくらいだしな。まぁ大繁盛かな?」
そういい、ポケットからグリーフシードを出し、宙に投げる。
まぁそれなりに儲かったよ。