なるべく話数は少なくしたいので次回辺りから文字数がかなり増えると思います。
「うーむ」
と、唸りながら今日スーパーに寄った際に貰ったティッシュを眺める。いや、正確にはティッシュの裏に描かれている魔法陣を見ていると言ったほうがいいのか。
このちっぽけな紙から僅かだが魔力を感じる。
その為、好奇心で試してみたい気持ちが湧いてくるのと同時に胡散臭さが漂っているため、どうしたものかと迷っているのだ。
「まあ、使い方も分からないし、放置でいいかな」
結局、そう結論付けドサッとベットに倒れ込む。
流石にたったの二人で資料整理をするのは堪えたらしく、珍しく全身に疲労が溜まっている。
「……いや、なんかおかしくないか?!」
確かに疲れている。肉体労働のし過ぎで身体中がパンパンではあるが、それとは別に体がだるいと感じている。
その場で軽くピョンと飛び跳ねると着いた足に力が入らずバランスを崩し、倒れてしまう。
「あっ、アカンやつやこれ」
その正体が魔力だと感じ取ると小さく舌打ちをし、瞬時に部屋から飛び出る。
外に出ると夜中ということもあり、周囲には物音一つしていない。
そんな状況で一体どこから?という疑問があるがそれはすぐに分かった。
「ケヒヒこれは意外だな。人間が俺の力に耐えるとは」
人ではないナニカが上空で俺を見て笑っていた。
不愉快なその笑いにイラッとするがここでキレてしまっても何も解決しないので我慢する。
「なんなんだ、お前は」
この世界に来て一度も見たことのないナニカ。情報収集の為、そう質問する。
「おっとこれは失礼したな。俺の名はレビル。主人を殺してはぐれとなった上級の悪魔だ」
うん。意味わからん。
「それで、そのはぐれ悪魔のレビルが俺に何のようですかね?」
「それはお前が知る必要はない。何故なら……」
その瞬間、レビルと名乗る悪魔の姿が消え、そして背後に現れる。
「今からお前は死ぬからだ」
ネットリとした気色の悪い声。堪らず逃げるように飛び退く。
「おいおい、動くなよ。一発で楽に仕留めてやるからよぉ」
そうは言われても背筋がゾッとするような声で後ろから囁かれたら誰でも飛び退くだろう。
「もう一つ、質問いいかな?」
「仕方が無いな……あと一つだけならいいぞ」
やれやれと首を横に振るレビル。だが、次に俺が発した言葉に目を見開いた。
「貴方は俺の敵……という認識で間違いないですね?」
「おいおい、お前正気か?確かに俺の魔力に耐えられたのは大したものだが、高々人間風情が悪魔に勝てると思ってるのか?
それにさっきも俺のスピードについてこれなかっただろ?」
「いやいや、戯言と受け取ってもらっても構わないですよ。ただ、大人しく殺されるやつなんてこの世にはいないってことです」
俺の言葉を挑発と受け取ったのか笑うのを止めたレビルは先程の何十倍もの殺気を放つ。
しかし、それに動じない俺を見てハッタリではないことに気づく。
「……一瞬で楽にしてやる」
その呟きと共に姿を消すレビル。
瞬間、後ろに現れたレビルの顔面を振り向きざまに拳を叩き込む。
「ば、馬鹿なッ!?」
驚きの声を上げるレビルに対し、俺は悠然とした表情で口を開く。
「何を驚く必要があるんですか?テレポートで現れる位置を予測してそこに拳を叩き込んだだけですよ」
「き、貴様俺の移動方法をッ!?」
「あぁ、あのコンパクトにされた魔法陣で転移している事かな?あんなに分かりやすいトリックなら誰でも見破ることが出来ますよ」
当然のように言う俺にレビルは恐怖した。
人間の目では認識出来ないほど小さな魔法陣とその発動速度の速さにより、あたかも超スピードを出しているかのように見せていた自分の最も得意な技を一瞬で見破られたからだ。
「ふむ。珍妙な技を見せてくれた貴方には私も少しお礼をしなくてはいけませんね」
「贋造魔女」と呟いた瞬間、ピシッと空間にヒビがはいる。そのヒビはドンドン広がっていき、俺とレビルの周囲を覆い尽くす。
「な、なんだこれは!?神器か?!」
一瞬にして風景が変わったことに動揺し、グルグルと視線を張り巡らせるレビル。
「神器だったとしたらテメェを殺せば解決だ!」
凄まじい速度で俺に迫ってくる。真っ直ぐ突っ込んでくるレビルだが俺に攻撃が届くことは無かった。
「なっ、なんだこれ?!」
足元に沼がいきなり発生し、それに足を取られ動けなくなっている。
「さて、これで分かってくれましたか?大人しく殺される人間がいない……という事を」
ダラダラと滝のような冷や汗をながすレビル。
「では、さようなら」
その言葉を最後にレビルの意識は闇に沈んだ。
☆
「ふぅ流石に疲れた」
久しぶりに使った天使の反動により身体が更に重くなった。自宅まで数十メートル。そんな伸ばせば手が届くような距離が地球の裏側のように遠く感じる。
「テレポート欲しいな……。というか、誰か俺を家まで送ってくれねぇかなぁ」
先程の悪魔が使っていた技を羨ましく思いながら地面をズルズルと這いずって進む。
「あー本当もう疲れたぁ」
「……何してるんですか?先生」
そんな声が耳に届き、振り返るとそこには……
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オカルト研究部の部員である塔城小猫は悪魔である。
今日、召喚を受け魔法陣から転移をした。
しかし、依頼された場所はどこかの住宅街の道路。依頼人らしき人はいない。
不思議に思いながら周囲を見渡していると、
「……誰でしょう?」
ズルズルと地面を這い寄っている変な人がいた。
何故地面をナメクジのように這っているのかは分からないがこの人が依頼主なのだろう。
「あー本当もう疲れたぁ」
そんな事を言い出す依頼主。その声には聞き覚えがあった。
「……何してるんですか?先生」
地面を這っていたのは私のクラスの副担任である守人海斗であった。
「おう?えっと塔城小猫さん……だっけ?いや、見ての通り自宅に帰ってるんだよ」
全くそんな風には見えないんですが?それどころか不審者に見えます。
「おっと、そうだ。生徒にこんなことを頼むのはなんだけど俺の身体支えてくれない?」
全く何なんでしょうか?この先生は。
このままにしておいても仕方がないので先生に肩を貸す。支える身体には全く力が入ってなく、全体体重が私に乗ってきた。
もちろん、人間の体重なので大した事はないんですが、どうしたらここまで力が抜けるのでしょうか?
もしかして何かの病気なのでは?
そんな事を考えながら、指示された家に先生を連れていく。本当に、この先生は何なのだろうか?
「いやぁ、すみませんね。少し体も楽になりました。ありがとうございます。お詫びと言っては何ですが、小猫さん夕食でも食べていきますか?」
「食べます」
即答する私は先生は立ち上がり、「リビングにいて下さい」とだけ言い残すと台所に向かって行った。
☆
本当に、小猫さんがたまたまいてくれて助かった。
もしもいなかったら道端で野宿をするハメになっていただろう。
死ぬことはないだろうが、近所からは道端野宿野郎と罵られていたはずだ。小猫さんマジ神ってる!
「……まっ、助けてくれたんだし、それなりの礼はしないとな」
そう呟くと料理に取り掛かる。
数十分後、完成した料理をリビングまで運び、小猫さんの前に置く。
俺は料理を作ることに本当の本当に体力を使い尽くしたのでソファに倒れ込む。
「大丈夫なんですか?先生」
「おー、大丈夫大丈夫。食べ終わったらそのままにして帰ってもいいぞ。後はやっておくから」
それだけを言い残すと俺は夢の世界に入っていった。
これは私事なんですがね、小説家になろうの方にオリジナル小説を投稿しました。お時間があれば是非ご覧ください。
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