久しぶりすぎて何書いてたかも忘れたんですけど……(白目)
貫かれた腹からはとめどなく血が流れ、血の池を作り出している。完璧に致命傷だ。
「『贋造魔女』ッ!!」
瞬間、俺は自然と体が動いていた。天使を顕現させ、飛び乗り高速で移動する。
しかし、一誠の腹を貫いた少女───天野夕麻はこちらに気付くことなく、黒い羽根を広げ飛び立ってしまった。
「チッ……まあいい、今は一誠の怪我の治療だ。
えーっとえーっと……」
深追いはせずに今は目の前の問題を解決する。
素人が見ても助からないと思ってしまうほどの深い傷。
この傷を今更血を止めても手遅れなのは明白。
ならば今することは贋造魔女で傷を塞ぐ応急処置をする。だが血は復元できないから───
───どのくらい時間が経っただろうか。何時間……いや、もしかすると十数分かもしれない。
修復は終わったが意識を失っている一誠を見下ろしながら深くため息をつく。
もはや、どうやって一誠の傷を治したのかも頭がボーッとして思い出せない。
「疲れたな。……眠い」
能力の使い過ぎで頭が回らない。
寝てはダメだと、頭で理解していてもそれ以上の眠気が体が襲う。
「少しだけ……少しだけ眠ろう……それから───」
今から死ぬ人が言いそうな事を呟きながら、俺の意識は完全にブラックアウトした。
☆
ジリジリシリジリと頭に響く最悪な音を発する目覚まし時計により俺は起こされる。
「……はぁ眠たい」
いつも通りの時間に起きた俺は布団から這い出てボケーとしながら顔洗いに洗面所に向かう。
顔も洗い寝癖も直したら、クローゼットから服を取り出しソファーに向かってバサッと投げる。
冷蔵庫を開き中に入ってる食材の少なさに絶望しながらフライパンを取り出し火をつける。
いい匂いを漂わせながら鼻歌交じりに調理をし───
「いや、なして?」
なんの違和感もなく、いつも通り過ぎて気付いてはいたが何事も無かったかのようにいつもの行動をしていたが、俺確か小学生ぐらいの子供に踏みつけられ、疲れて公園で寝てたはずなんだが?いや、その後に兵藤一誠が腹を貫かれていたような……?
グルグルと頭の中で古い情報と新しい情報が行き違いショートしそうになるが何とか耐えて答えを導き出そうとする。
「……でもやっぱり、あの公園で寝た後の記憶がさっぱりないんだよなぁ」
単に疲れすぎて記憶が吹っ飛んでいる。なんて可能性が無くもないが……。かと言って知らない間に記憶が消された〜なんてことが………………ありそうで怖いぜ。
「つっても答えなんぞ出るはずがないしな……おっいい感じホイッと」
考え事をしている間にいい感じに焼き上げられた朝食を皿に盛る。まあ、チャーハンなんだけどな。
意外とお手軽に出来るからちょっと時間のある朝にはオススメだよ。
「……いただきます」
そうそう、朝食というのは一日の栄養を取り健康状態を保つだけではなく体の成長にも大きく関わるらしい。つまりだ、夜に沢山ご飯を食べるのもありだが、朝しっかり食べる事が成長の第一歩になるらしいぞ。詳しくは知らんが……朝飯を食べない人、気を付けろよ。
「おっとそろそろ時間だな」
どーでもいい事を考えていたらいつの間にか時間がかなり経っており、そろそろ家を出ないと間に合わないかもしれない。
ソファーに掛けておいた服を肩にかけて欠伸をしながら家の外に出て鍵を閉める。
いつも通りに学校に着く頃には今朝感じた違和感なんて忘れ、仕事の事で頭が一杯になっていた。
「先生おはようございます」
「ん?あぁ、小猫さん。おはようございます。
……そんなにジロジロ見ても何も出ないですし上げませんよ?」
毎日のように話しかけてくれる塔城小猫さんには感心するが、その度に周囲の視線が怖いのでちょっと複雑な気分になってしまう。
「はぁ、まあいいか」
職員室に入ると教員会議が始まる。
最近、不審者が彷徨いていることと、行方不明者が多数出ている。という話があり、帰宅時は教員の見回りをしてくれとの事らしい。
「それでは、今日も一日頑張りましょう」
☆
部活練習が終わるのを待っていると日も落ちかけ、道路は夕日でオレンジ色に染まっていた。
事情は生徒達も知っているため俺が何故待っているのかを知ってはいるだろうがあからさまに嫌な顔をされた。
泣いていいですか?
とは言ったものの暫く話しているうちに段々と打ち解け色々と話すようになっていた。
俺の高校時代の話をしたが普通にバカにされた。
楽しい日は一瞬だって事を理解して貰おうと思っただけなのに。
……心折れます。
「けど先生、ここまで送らなくても大丈夫じゃないですか?」
と、一人の女子生徒が如何にも迷惑そうな顔でそう言う。
「アホか。不審者が出ている上に行方不明者まているんだ。無事に家に送り届けるまで引率しないと後々面倒なんだよ」
「ふーん。あ、私の家ここだから。さよなら〜」
ヒラヒラと手を振るだけで返事をし、生徒が家の中に消えていく。
それを確認し、俺も家に帰ろうと振り返った───瞬間
「……なんだ?」
さっきまで吹いていた風が急に止まり、多少はしていた人の気配が完全に消える。
背筋が凍りつく感覚を覚え、周囲を見渡す。
数メートル離れた薄暗い路地にソレはいた。
「不味い、凄く不味い」
ズル───
「けど、君からはとても美味しそうな匂いがする。美味しそうな気配がする」
ズル───ズル───
突如現れた謎の人物は狂気に満ちた言葉を発しながら、俺を舐め回すこのような……品定めするかのような視線を向ける。
その右手には何か……細長く、赤いものを持っている。
鉄の鼻を突く臭いでソレが何なのかはハッキリと分かった。
「お前は……何だ?」
歪な何か。そう表現してもいい程の不気味さを漂わせている。この前出会った悪魔レビルとはまた違う不気味さを漂わせている。
「あぁ、あぁ、美味そうだ。本当に、近くで見れば見るほどとても美味しそうだ……。体は強く……それでいて心は脆い。少し刺激をすれば崩れ落ちるように繊細だ。
あぁ、実に美味しそう。」
「質問に答えろ」
「……そうだね、教えてあげよう!僕の名はアマイモン!」
「なっ!?」
アマイモンったらあのグリモアールに登場する四大悪魔の一人じゃねぇかよ!
「んー、ところで君、僕の餌にならない?」
子供の様な好奇心と探究心の篭った、歪んだ笑みを俺に向け、
キュンッ
そんな、空気を切り裂く音が耳に届いたかと思うと突如住宅街のブロック塀に鋭利な刃物で切り刻まれたかのような傷が無数に生まれ、崩れ落ちる。
当然、俺は上空に飛びその攻撃を回避する。
躱した俺をギロッと今度は射抜くかのような鋭い視線を向ける。その視線は明確な……殺意だった。
「どうして避けるの?避けると無駄に───傷つけちゃうじゃないか!」
「殺されたくないからに決まってんだろ!
悪いがお前がアマイモンと分かった以上手加減はしねぇ!」
と言うより手加減なんぞしたらこちらが死ぬ。
こいつは上級悪魔と名乗っていたレビルとは違い正真正銘本物の大悪魔。正しく最強の一角と言っても過言ではない。
「あぁ、そうやって君はまだ自分を強く魅せようとしている。哀れだね、惨めだね。」
「うるせぇ!」
全力でアマイモンの体を殴り、住宅街から離れさせる。
被害が出たんじゃ元も子もないからな。
「あらまあビックリ。意外と力ありますねー」
平然とした表情で服に付いた砂を払いながら立ち上がるアマイモン。
そして腕を刃物に変化させ、飛んでくるアマイモンをギリギリで躱しながら反撃のスキを伺う。
「無駄だよ。僕にスキはない。君は弱いんだ。表面上だけ取り繕った強さは僕には通用しない」
……どこまで見抜いてんだこいつ。
冷や汗が流れ、拳は震え、正直言って今すぐここから逃げたい。
「悪いが俺にはお前が言ってる意味が分からねぇな。
確かにお前は強い。だが俺にだってまだまだ策はあるんだぜ?」
「じゃあそれを全て見せてください」
衝突する二人。ぶつかり合う度に発生する衝撃はにより周囲の木々は倒され更地になる。
運動不足の体が悲鳴を上げても尚動き続ける。
アマイモンの攻撃を受ける度に体の芯に衝撃が走る。
天使を使おうがアマイモンに瞬時に潰されてしまう。
何十分経っただろうか。突然アマイモンが動きを止め、
「……んー興を削がれました。じゃあまた今度。
食べるのはまた今度にします。ですから次はもう少し僕を楽しませて下さいね」
そういい残すとアマイモンは闇に消えていった。
逃げた……と言うより見逃されたと言った方が正しそうだな。
「だー!クソォ!」
地面を殴りつけ己が力の無さを改めて感じる。
力が多少なくなっても大丈夫だろうと、天使が使えるのであれば問題は無いと、心のどこかで油断していたのかも知れない。
だがこうして強敵と会うと自分の無力さに腹が立つ。
「………………」
力を付けると心に誓った俺はピキピキと悲鳴を上げる足と手の筋肉に鞭を打ち、立ち上がり家に向かって歩いていった。
───────────────────
「ご苦労さん、アマイモン」
白く染まった空間に転移したアマイモンの耳に最初に届いたのは労いの言葉だった。
アマイモンは振り返り相手の姿を確認するとグダッと倒れ込み愚痴を零す。
「ホントですよ。僕ああ言う悪役苦手なんですよ?
あの腕だってシリコン用意して臭い付けとペイント頑張ったんですからね」
「………(貴方、悪魔でしょ?)」
「あ、何ですか?その顔は。悪魔が何言ってんだ?みたいな顔して」
「ごめんごめん。謝るからそんなにボコボコ殴らないで」
「まあ、これで彼も火がつくことでしょう。今のままでは何も守れないとハッキリ分かった筈ですからね」
アマイモンがそう言うと対峙する人物は懐かしむかのように鏡のようなモノを覗き込みひょこひょこと歩く海斗を眺めている。
「そうだね、彼には誰にも負けないぐらい最強でいて欲しいから」
まるで自分の弟を見ているかのように優しい表情になる主の顔を見たアマイモンも何故かフッと笑みを零す。
「あ、そう言えば行方不明者はどうなの?不審者はアマイモンだろうけど」
「あぁ……結局犯人は分かりませんでしたし行方不明者の足取りも残念ながら掴めませんでした」
「そう。まあ、後は海斗がなんとかしてくれるでしょ!」
海斗に対し何故ここまで信頼を置くのかと不思議に思うアマイモンだが表情を見ていれば何となくだが分かってしまった。
「では僕はこの辺で。そろそろ限界ですし」
キラキラと身体中から輝く何かを放出し、消えかけているアマイモンを見て「あー、もうそんな時間か」と残念そうな顔をする。
「じゃあアマイモンお疲れ様。必要になったらまた呼ぶからその時までゆっくり休んでね!」
「では、失礼します」と言い残すとアマイモンは完全に消滅した。
後半……なんか突っ込んだ感溢れるけど……気にするな!
数話開けたらまたこの話の後半書きます!
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