戦姫絶唱シンフォギア〜とある戦士の物語〜   作:かもめカメ

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アニメ8話部分とラストはオリ展開。


#20 繋ぐ手と手/記憶の欠片

あれから目を覚ました調と一緒に、切歌はなにがあったかを調に悟られないようにした。もちろん陰陽兄弟も切歌に口止めをくらって。

そうしながら4人はマリア達のいるヘリへと戻り、現在いる場所からステルス機能を使って飛行し飛び立った。

 

そして今はマリアがヘリの操縦を行っており、その隣の席では零のパートナー『英雄』であるギンジが座って得物である斧型ドライバ《ヤシャヒメ》を抱えながら瞑想していた。

 

「……」

 

一方、マリアはヘリを操縦しながら昼にナスターシャに言われた言葉を思い出していた。

 

「自分はもうフィーネを演じる必要はない」という言葉、それは一体どういうことなのか……。

 

彼女は少しだけ数か月前の出来事を思い出していた。

 

〜回想〜

 

それはシンフォギアを纏い、訓練をしている時のこと……、マリアはガングニール、切歌はイガリマ、調はシュルシャガナを装着し、陰陽兄弟は其々の基本時の姿(ベーシックフォーム)に変身し、ホログラムで出来た夜の街でウェルの出したノイズと戦っていた。

 

(挿入歌『鏖鋸・シュルシャガナ』南條愛乃)

 

調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する技

"α式 百輪廻" を放ってノイズ達を切り裂き、マリアと切歌もガングニールとイガリマでノイズを切り裂くが……マリアは背後に気配を感じて振り返りざまにアームドギアを振るうとそれがノイズから逃げ惑っている男性に当たってしまい、男性は苦痛の表情を見せた。

 

「っ!?」

 

マリアはその出来事に一瞬戸惑いを見せてしまう。

 

また、陰陽兄弟の方では其々の得物でノイズを一瞬で炭化させつつ、光聖希は更に得物である鞭や鎖で、逃げ惑う人々を確実に救い出していた。

 

その時、ナスターシャからマリアの耳についた発信機から連絡が入り、マリアは先ほど攻撃してしまった男性を庇うために襲いかかってきたノイズをアームドギアで貫く。

 

『マリア、この通信はあなただけに繋いでいます。 調と切歌の2人には声は届いていません』

 

「またあの話? 私にフィーネを演じろと……」

 

どこか呆れたような声を出すマリアだが、ナスターシャ曰く「私たちの計画遂行にはウェルの助力が不可欠、彼をこちらに引き入れるにはマリアの中にフィーネの魂が再誕したことにし、自分達こそが異端技術の先端を所有していることを示さなければならない」のだという。

 

「無理よ! 私達は『セレプターチルドレン』…

フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど、現実は魂を受け止められなかった! 今さら無理よ!!」

 

マリアがそう叫ぶと同時に彼女はアームドギアを振るって襲いかかるノイズを切り裂き、咄嗟にアームドギアの砲身部から高出力のエネルギー砲撃を放つ技

 

"HORIZON † SPEAR"

 

それをノイズに向けて放った。

 

ノイズに放ったつもりだった……、だが、マリアの狙いが外れ、砲撃は一般男性に直撃しその男性が消滅してしまい、それにマリアは見開いた。

 

そこで訓練が終了し、ホログラムも解除されて周りは元の空間に戻る。

すると近くにて瞑想をしていた『英雄』ギンジが、すぐさまマリアの元に駆け寄る。

 

「マリア…」

 

「っ、ごめんなさい……」

 

暗い表情を浮かべるマリア。様子を見ていたギンジはどう声をかけようかと考えている時、そこに拍手をしながらウェルが踏みより、彼が切歌と調の2人が立つ後ろに回り込むと切歌の肩に彼は手を乗せ、切歌と調は不満そうな顔でウェルを見る。

 

「シンフォギアシステム、素晴らしい力だ。 そして適性の薄い君達に力を授ける僕の改良したLINKERも、この力を持ってすれば英雄として世界を……くふふふふ!」

 

切歌の肩と調のツインテールを撫でながら不気味な笑顔を浮かべるウェル……、そんなウェルにマリアも切歌と調同様に怪訝そうな表情を浮かべ、一緒に特訓をしていた兄弟に至っては…

 

「汚ねえ手で嫌らしく切歌と調に触ってんじゃねえぞ、テメー!」

 

「今度はお前の身体を鎖で縛り付けて、首を刈り取るからな!」

 

激しい憎悪に満ちた目で兄弟はウェルを睨みつけ、ウェルは僅かながらそんな兄弟に対して「おー、恐い恐い」と言いつつも、警戒を上げなかった。所詮はただの餓鬼の言いがかりだと、ウェルはそう思っていない。

だが、これ以上やれば間違いなく自分になにかされる。

そう思ったウェルはさっと切歌と調から手を離し離れた。

 

〜回想END〜

 

そして時は戻り、現在……マリアはあの時ナスターシャはああ言ったのに、なのになぜ今になってフィーネを演じる必要がないと言ったのか疑問で仕方がなかった。

 

「(『シェンショウジン』と『ネフィリムの心臓』、『フロンティア』起動の鍵が揃った今、どうしてマムはこれ以上嘘をつく必要がないと言ったのか……?)」

 

「……マムの言ったことか?」

 

不意にギンジがマリアにそう尋ね、自分の心を読まれたことにマリアは驚きつつもギンジのその言葉に頷いた。

 

「Ms.ナスターシャにもなにか考えがあんだろ。 あんまり深く考えなくてもいいんじゃねぇのか?」

 

「でも……!」

 

「それより…Dr.ウェル(あの野郎)、切歌と調にLINKER使った2人に異常がないか検査してたよな? それに兄弟の方も試薬品を使っていたな。

ウェル(あの野郎)が何かやらかさないようにちょっと見張ってくる」

 

それだけを言い残してギンジは瞑想をやめ、ヤシャヒメをボール型のアイテムに変化させると彼は立ち上がってこの場をマリアに任せ、マリアの呼びとめも聞かず彼はそそくさとその場を立ち去って行った。

 

「もう少し話を聞いてくれてもいいじゃない…」

 

頬を膨らませてほんのちょっとだけぶーたれるマリアだったがすぐに彼女は気持ちを切り替えてヘリを操縦することに専念した。

 

ちなみにウェル達の元に向かっている途中、ギンジは……。

 

「(そういえば…

あの検査って切歌や調の事とか丸分かりなんじゃ…

…一回ぶん殴っとくか。あ、いや…斧で両断した方が早いな。

あの兄弟の為にも…。

それと…零の様子も、見に行くか…)」

 

その頃、丁度検査の終えた切歌は……、あの時自分の発動したバリアについてのことで思い悩んでいた。

 

「(あれは、私のしたことデスか? あんなこと、どうして……!?)」

 

そしてそんな切歌の様子をただ2人は何も言わないまままるで自分達の出来事のように苦悩していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

その頃、二課の治療室では目を覚ました響に、弦十郎は彼女の身体が今どのようになっているのか、これ以上彼女を戦わせないためにもクリスを含めて響の身体の中の現状を教えることにしたのだった。

 

そして今この場には弦十郎を含め、響,クリス,翼,霊風,ロック,奏が集められ、弦十郎から響のガングニールの話を聞くことになった。

 

「これが、響くんの身体のスキャナー画像だ。 

体内にあるガングニールがさらなる侵食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している……」

 

「前に見た画像よりも、酷くなってるな……」

 

ロックがぼそりと呟き、それに対して弦十郎も「その通りだ」と頷いた。

 

「これが響くんの爆発力の源であり、命を蝕んでいる……」

 

「っ……」

 

それを聞いたクリスはどこか悔しそうな表情を見せながら顔を俯かせるが、その時響は少しだけ笑った。

 

「なははは……、つまり、胸のガングニールを活性化させるために融合してしまうから今後はなるべくギアを纏わないようにしろと……あははは……」

 

「立花……!!」

 

無邪気に笑っている響に翼は怒鳴るように彼女の腕を掴むが……翼よりも先に霊風が口を開いた。

 

「立花響!! 自分の命をもっと大切にしろ!! 

ギアをなるべく纏わないようにだと…? 

違う、少なくともこの現状をどうにかしない以上ギアを纏うなと言っているんだ!! 

お前にもしものことがあって悲しむ人のことを考えろ!!」

 

「霊風さんの言うとおりだ!! 

なるべくだと? 寝言を口にするな!! 

今後一切の戦闘を禁止すると言っているのだ!!」

 

霊風と翼が響を怒鳴りつけ、翼に至っては尻眼に涙を浮かべて彼女は必死に響に訴えた。

 

「このままでは死ぬんだぞ!? 立花!!」

 

そこでクリスとロックが響と翼達の間に入って仲裁に入った。

 

「そんくらいにしときな!! 2人とも落ち着け!!」

 

「立花、霊風も(防人嬢)もお前を心配して言ってるんだ。 

2人の言ってること、分かるよな?」

 

ロックが心配そうに響に言い、響は眉を寄せて顔を俯かせながらもロックの言葉に無言で頷き、クリスは翼に「このバカだって分かってやってるんだ!」と翼に言い、翼は顔を響とクリスから背けて部屋の外へと出て行った。それを見ていた相方の奏は響を元気付けるとそのまま翼の後を追っていった…。

その後、苦虫を噛んだかのような態度で霊風も部屋から退室した。

 

「医療班だって無能ではない。 

了子くんが残したデータを元に対策を進めている最中だ」

 

「師匠……」

 

弦十郎は響に笑みを向けながら彼女の頭に手を置く。

 

「治療法なんてすぐに見つかる。 

その僅かな時間ゆっくりしてても罰は当たるものか! 

だから、今は休め!」

 

「分かり…ました…」

 

戸惑いつつも響は玄十郎にそう返事を返した。

 

 

 

 

だが、響以外の皆はそれと同じ悲しみをもう1つ既に知ってしまっていた…

 

 

 

 

自分達の仲間…人絆憑友の余命があと1週間しか生きられないと言う事に。

 

その事を、響と未来,逝都と馬燈の4人に知らせる訳には行かなかった…

 

 

彼等にとって、憑友は…掛け替えのない…

 

 

 

 

 

《幼馴染》だから…

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

同じころ、マリア達の乗っているヘリは目的地の座標ポイントに到達し、操縦席には操縦を行っているマリアは勿論、ウェル,ナスターシャ,切歌,調,ギンジ,陰陽兄弟…全員(内1人は『英雄』)が集められていた。

 

そこでナスターシャが「マリア、お願いします」とマリアに伝えるとマリアは頷き、ヘリからプロペラのついた物体「シャトルマーカー」が幾つか射出されてまるでなにかを囲むように並んでいく。

 

「ステルスカット、神獣鏡(シェンショウジン)のエネルギーを収束」

 

ナスターシャがそう言うとヘリはステルス機能を解除する。

 

「長野県『皆神山』より出土した神獣鏡(シェンショウジン)とは鏡の聖遺物、その特性は光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面明細と古来より魔を払う力…

…聖遺物由来のエネルギーを中和する神獣鏡(シェンショウジン)の力を持ってしてフロンティアに施された封印を解除します」

 

とどのつまり、この海の底に沈んでいる「フロンティア」と呼ばれるものを呼び出すために、「神獣鏡(シェンショウジン)」と呼ばれる聖遺物のエネルギーをあのシャトルマーカーに向けて放ち、そのフロンティアを起動させるためのエネルギーを増幅させ、フロンティアを呼び起こそうというのだ。

 

そしてナスターシャがそのエネルギーを発射するためのスイッチに手をかけた時、ウェルがナスターシャの腕を掴んだ。

 

「フロンティアの封印が解けるということはその存在を露わにするということ。 すべての準備が整ってからでも遅くないのでは?」

 

「心配は無用です」

 

そうしているとギンジはウェルの首根っこを掴んで引っ張り、彼をナスターシャから引き離す。

 

「ほら、邪魔だ退け」

 

「あなたはいつも……!!」

 

マリア達と違っていつも自分をぞんざいに扱っていながらも、自分が憧れていた『英雄』の1人・ギンジをウェルは睨みつけるが、ギンジは知らん顔で…と言うより興味のきょの字さえも湧き上がってこないギンジはウェルと顔を合わせようとしなかった。一発くらい殴ってやろうかと思ったがマリア達の力が自分にも必要なことは事実なため、ウェルは我慢して気を静めた。

 

そしてナスターシャはエネルギーを発射し、フロンティアを起動させようとする。

 

「ふふっ、これで……フロンティアに施された封印が解けるぅ……。 と・け・るぅ~♪」

 

しかし、実際はフロンティアはほんの少し動いた程度で後は泡立てただけで止まってしまい、フロンティアの封印が解けることはなかった。

 

「解け……ない……?」

 

これはナスターシャが今の自分たちにはフロンティアを起動させることができないことをウェルに知らしめるためであり、ナスターシャ曰く「機械的にエネルギーを増幅しただけでは封印は解けない」とのこと。

 

それを聞いたウェルは歯をギリギリで噛みしめてかなりの不機嫌そうな表情を見せていた。

 

「いいいいいい!! ぐいいいいいい~!!?」

 

『(((ぷっ、変な顔)))』

 

そんなウェルの顔を見て密かに心の中で笑う兄弟と調だった。

そしてギンジも冷静でいながら地味に笑いを堪える顔を見せていたのは言うまでもない。

 

一方、二課ではオペレーター達の調べによりウェルの言っていたそう遠くない未来に月が落下してくることがほぼ確実に近いということが判明していた。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

翌日、東京スカイタワーにてマリアとナスターシャは米国政府のエージェント達とある取引をするためにそこへと向かっていた。

尚、今回はボディーガードとして、

狼の姿をした『英雄』…

【鋼の守護獣 ザフィーラ 】も同伴している。

因みにスカイタワーに進入した際は人間体で入り、人目が無いエレベーター内で馴染み深い狼の姿になっていた。

 

マリアはナスターシャの車椅子を押しながらマリアはナスターシャに「フィーネを演じる必要がない」とは一体どういうことなのかを尋ねていた。

 

「言葉通りの意味です。

私達がしてきたことはテロリストの真似ごとにすぎません。

真に成すべきことは月がもたらす最悪の被害をいかに抑えるか。

……違いますか?」

 

「つまり、今の私たちでは世界は救えないと?」

 

そしてナスターシャとマリアが取引先の部屋に入るとそこには黒服でサングラスをかけた数人の男性達が立っており、このことをマリアは知らされていなかったのか少しだけ戸惑ってしまう。

 

ナスターシャは「講話を彼等に持ちかけるために召集した」とマリアに説明した。

 

「Dr.ウェルには既に話しています。 

さあ、これからの大切な話をしましょう」

 

そんな2人の会話をザフィーラはただ付き添いながら黙っていた。

 

ーーーーーー

その頃、同じくスカイツリーを訪れていた響は、未来と一緒に今は水族館を一緒に見て回っていた。

因みに今回はそれに加えて、セイバーとヴィヴィオの2人も同伴していた。

2人の場合は未来の制止を振り切ってまで行こうとする響の更なるブレーキ役としているのだが、セイバー(彼女)魔術師(マスター)である「士郎」と、ヴィヴィオ(彼女)の母親である「なのは」から許可を得ているので、実質お休み同然のような物だった。

因みに何故現界し続けているかと言うと、未来にも『現界ブースター』を所持しているから。

ただ此方のは、霊風

今は未来は飲み物を買いに行き、響は水槽の前で1人考え事をしていた。

 

そんな響の様子をセイバーとヴィヴィオが少し落ち込みながらその様子を見ていた。

そしてそんな3人の様子を影から見つめる2人の人物…ロックとクリスがいた。

 

「おい、ロック義兄!

なんであたし達がこんなコソコソとしなくちゃいけねえんだよ? 

あのバカを見張るんだったらもっと堂々と……!」

 

「いや、俺達も行ったらどちらかと言ったら邪魔になるだけだ。 

立花は小日向と2人っきりにした方がきっと良いと思った事。

それにセイバーとヴィヴィオは立花達にとっては頼れる存在だ。 

そっちの方が立花だって落ち着ける筈さ」

 

今にも響のところへと飛び出して行こうとするクリスをそう言ってロックが抑え、クリスは不満そうにロックを見つめてそんな不機嫌な顔をするクリスにロックはほんのちょっとだけ戸惑った。

 

「…如何したクリス? そんな不機嫌そうな顔して…」

 

「別に、なんでもねーよ! ただ、あいつ等のこと…よく知ってるなと思って……」

 

クリスはそう言いながらそっぽを向き、ロックはそんなクリスに失礼だと思いながらもついつい笑ってしまった。

 

「な、なに笑ってんだよ!?」

 

「いや、クリス…もしかして()()()()…なのか?」

 

「なあ!!?////」

 

ロックに図星を突かれてしまい、顔を真っ赤にしてしまうクリス、当然そんなことを言えばクリスが怒るかもしれないとロックは思うが…

実際はまた違う方向にクリスは顔を真っ赤にしていたのはまた別の話。

 

「あいつ等のことをよく知ってる方には当てはまらないさ。

よく考えてみろ?

俺とクリスが憑友達と出会ったのはほんの数ヶ月前のあの邂逅からだろ。

…憑友がよく喋ってくれていたんだ。

彼奴の自慢話を聞かされる身にもなって貰いたいぐらいに憑友は立花と小日向の事をよく知っていた。幼馴染と言うレベルを越してるぐらいにな」

 

「…そう…なのか…」

 

そんなやり取りをコウマとクリスがしているとはつゆ知らず、響は翼に言われた「このままでは死んでしまう」という言葉を思い出していた。

 

「(死ぬ、戦えば死ぬ……。考えて見れば、当り前のこと……。

でも、何時か麻痺してしまってそれはとても遠いことだと錯覚していた……。 

戦えない私って誰からも必要とされない私なのかな…)」

 

そんなことを考えていた響の頬に突然ひんやりとした感触が伝わり、「うひゃああああああ!!!?」とついつい大きな声を出してしまい、その影響で周りのお客さん達が響にびっくりした。

尚、その際に2人が危うく尾行がバレそうになったことはまた別の話。

そんな響に未来から注意された。

 

「だだだだ、だってこんなことされたら誰だって声出ちゃうって!?」

 

「響が悪いんだからね」

 

「えっ? 私?」

 

「だって、折角4人で遊びにきたのにつまらなさそうにしてるから」

 

不満な顔をして未来は響にそう言い、そしてその残りの2人であるヴィヴィオとセイバーも不満な顔を見せていた。特にヴィヴィオに至っては頬を膨らませてまるでフグのような顔付きまでしていた。

そのことに響は「ごめん」と申し訳なさそうにして謝る。

 

「心配しないでぇ! 

今日は久しぶりのデートだもの! 

楽しくない筈がないよ!」

 

『((あっ、やっぱりそういう仲なんだなあの2人…))』

 

それを遠くから見ていたロックとクリスは2人同時に同じことを思ったそうだ。

因みにもしこの場に逝都がいたら、「翼さんの時もデートって言っていたな…まぁ結局は合コン紛いな結末になったけど」と言っていたかもしれない…。

 

「デートの続きだよ! 

せっかくのスカイタワー!…丸ごと楽しまなきゃ!」

 

そう言って響は笑顔を未来に向け、彼女の手を取って2人は歩き始めた。その後をセイバーはヴィヴィオと手を繋いで2人の後を追った。

セイバーは一応こう見えて王様である。

そしてヴィヴィオは聖王と呼ばれた少女の複製体(クローン)

一方が幼馴染同士なのに此方は謂わば『王』と『姫』そのものであった。

 

「さて、俺達も立花がギアを纏わないように見張らないとな。

行くぞ。クリス」

 

「あ、あぁ……」

 

クリスはロックに手を差しのべられて彼女は戸惑いつつもその手を取ると、ロックの先導で響と未来の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

一方でとある森の中にヘリを止め、調は出来たカップ麺を味見する。

 

「うん、思った通りの味が出た」

 

カップ麺で思った通りの味ってなんだ……と思うかきっとなにか工夫かなにかしたんだろう。

近くにいた光聖希はそう感じたそうな…。

 

また、ヘリの外では切歌が膝を抱えて座っており、彼女は自分の中にいるかもしれないフィーネの魂について思い悩んでいた。

 

「(もしも私に、フィーネの魂が宿っているのだとしたら……私の魂は、消えてしまうのデスか? 

あっ、ちょっと待つデス! 私がフィーネの魂の器だとするとマリアがフィーネというのは……)」

 

「…切歌、そろそろ飯…あっ…////」

 

そろそろ昼ごはんの時間なのを教えにきた闇呪怨は不意に顔を反らし、いきなり顔を反らしたりして一体どうしたのかと首を傾げる切歌。

 

闇呪(エジュ)? なんで顔を背けるデスか?」

 

「お前…膝を抱えたらスカート…///」

 

「スカート?……っ!!?////」

 

切歌は闇呪怨に言われて慌ててスカートを抑え、彼女は顔を真っ赤にして「み、見たのデスか?////」と問いかけると闇呪怨は全力で首を横に振った。

 

「いやいやいや! 見たと言っても一瞬っていうか…」

 

「結局見たんじゃないデスか!! 

まあ、でも今回は許してあげるデス……」

 

「…あぁ、すまな…って。切歌?」

 

そんな時、闇呪怨は切歌の様子がなにかおかしいことに気づき、切歌はそれにドキッとして慌てて「な、なんでもないデス!!」と誤魔化すが…正直言って闇呪怨から見てなんでもないようには見えなかった。

と言うよりも、彼自身も今の切歌の心境に心当たりがあった。

 

「(…先日のあのバリアの件を引きずってるのか…)」

 

先日、切歌が調を救おうとした時に発生したピンクで六角形の形が無数に集まって出来たバリア。

切歌はその事できっと悩んでいると闇呪怨は考えた。

すると闇呪怨は切歌の肩にそっと手を置いて、話しかけた。

 

「俺だけじゃない、調やマリア,ギンジさんに聖希,マムだってお前の悩みならきっと真面目に聞いて力になってくれる筈だ」

 

「…ありがとうデス、闇呪(エジュ)。 けどこれは……」

 

顔を俯かせ、口ごもってしまう切歌、そんな切歌を見て闇呪怨はよほど言い辛いことなのだと感じた。

 

「まあ、慌てることじゃないんなら…

お前の決心がつくまで言わなくていいさ。

俺はお前の事を大切にしているから」

 

「心配してくれてありがとうデス、闇呪。 

少し気が楽になったデスよ」

 

「そっか」

 

闇呪怨と切歌はお互いに微笑み合った。

その様子を木の上で昼寝をしていたギンジは微笑んでいた。

尚、やはりまた得物である斧型ドライバ《ヤシャヒメ》を展開してそれを抱き抱えるかのように太い木の枝の上に居座っていた。

 

そこに調が昼ごはんの準備が出来たことを2人に知らせにきた。

 

「ありがとデス! 

なにを作ってくれたデスか?」

 

「298円……!」

 

「御馳走デス!!」

 

それを聞いた瞬間、ギンジは一瞬、姿勢が崩れ、危うく落ちそうになるがなんとか踏み留まり、口元を押さえて尻眼に涙を浮かべた。

 

「(こいつ等にいつかちゃんとしたもの食わせてやりたい…!

と言うよりも、憑友とか言っていた奴の配慮がまだ良かったかもしれない⁉︎)」

 

 

そう心の中で呟いていた事をこの時の皆は知らなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

場所は戻り、スカイタワーのマリア達のいる部屋では……。

 

異端技術の入ったチップをエージェント達にマリアが渡し、ナスターシャが次の話題に移ろうとしたその時、エージェント達は突然拳銃を取り出してマリア達に銃口を向けた。

それに気付いた『英雄』ザフィーラは「グルルルゥゥ!」と唸り声を上げて威嚇し始めた。

 

「マム!!」

 

「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに早く、躊躇なく命を奪う」

 

「初めから、取引に応じるつもりはなかったのですか?」

 

ナスターシャの言うとおり、米国政府のエージェント達は最初から取引に応じるつもりはなかった。

 

「必要なものは手に入った。 

後は不必要なものを片付けるだけ……」

 

そんな時、窓に飛行型のノイズが何体も飛んでいることにエージェント達は気づき、窓をすり抜けて部屋に侵入したノイズがエージェント達へと襲いかかる。

 

「う、うわああああああ!!!?」

 

このノイズ達はスカイタワーから離れた場所でウェルがソロモンを使い、ノイズを呼び出して操っているもの、

マリアはすぐさま聖詠を詠った…!

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

そしてマリアはガングニールを纏うとを口ずさみながら槍型のアームドギアで邪魔なノイズ達を一気に一掃し、ナスターシャを抱えてすぐにここから脱出した。

 

その際、エージェントに渡したチップを破壊して。

そしてマリアの行動を察したザフィーラはマリアの後を狼の姿で後を追いかけた。

 

(挿入歌『烈槍・ガングニール』日笠陽子)

 

またスカイタワーの展望台に来ていた響,未来,ヴィヴィオ,セイバー,クリス,ロックもノイズが目の前で飛行しているところを目撃し、人々は逃げ惑う。

 

未来は走りだそうとする響の腕を掴み、彼女を行かせないように引き止める。

 

「待って!! 行かないで響!!」

 

「未来……だけど行かなきゃ!!」

 

「この手を離さない!! 

響を戦わせたくない! 

遠くに行って欲しくない!!」

 

そう必死に響に訴える未来。

 

「ミク!貴方はヒビキを止めて置いて下さい!」

 

「私達が助けに行くから!」

 

するとそんな2人の所に礼装を纏ったセイバーと既に大人モードになっていたヴィヴィオがやって来た。そこに泣きながら歩く子供の姿が響達の目に入り、響は未来と向き合う。

 

「胸のガングニールさえ使わなければ大丈夫なんだ! このままじゃ!」

 

そう言って響達はあの子供を追いかけて走り出した。

 

「クリス! 俺達も……!」

 

「あぁ!!」

 

だがその時、飛行ノイズ達が一斉にあの子供とその子の元に行こうとする響と未来に向かって真っすぐと襲いかかってきた。

ロックはこのままではまずいと悟ったのか、すかさずカードを二枚と『現界ブースターα』を取り出して連続スキャンした!

 

ーロード・トゥ・シグナム!ー

ーロード・トゥ・フェイト!ー

 

するとロックはすかさずノイズに向けて弾丸を2発放った!

すると弾丸は徐々に姿を変えて、2人の女性へと変わった!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「はぁっ‼︎」

 

2人は其々の得物…前者は斧型の杖で、後者は刀でノイズを斬り伏した!

 

「フェイトママ!シグナムさん!」

 

「此処は任せて!」

 

「自分のやるべき事を全うしてくれ!」

 

「はい!」

 

【迅雷の執務官 フェイト】と【烈火の将 シグナム】

 

2人は共に同じ世界出身で、ヴィヴィオにとっては知り合い(フェイトに至ってはもう1人のママである)。そして共に空戦魔導師…

即ち、空中戦は得意分野であると言う事である。

2人に言われたヴィヴィオはそのまま響達と共に行動を開始した。

 

「空中のノイズをクリスと共に!」

 

「分かりました!」

 

「了解した」

 

そう言うとロックはすかさず響達の後を追い、クリスは既にシンフォギアを纏っていた。

 

「あんまり動くんじゃねぇぞ!」

 

「…ああ言っているが、フェイトは如何したい?」

 

「ふふ。大丈夫だよ、シグナム。

あの子、ちゃんと考えて撃っているから」

 

「そうか。なら、お構い無しに動くとしよう!」

 

そんな2人の会話にクリスがツッコミを入れていたのだが、2人は全く聞く耳すら立てていなかったのはこの際如何でも良い事である。

 

 

そして響と未来は先ほどの子供の少年を連れて少年を励ましながら親を探し回る。

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃ、みっともないよ?」

 

「みんなと一緒に避難すればきっと会えるからきっと大丈夫だよ?」

 

そこに係員と思われる人物が少年を抱きかかえ、響と未来も避難するように言って係員と少年はすぐにその場から離れ、少しだけ遅れて響と未来も避難しようとするがその時ノイズがビルを突き破って天井が崩壊し、未来は慌てて響を突き飛ばした。

 

「響!!」

 

 

その頃、マリアは上の階に逃げている途中、軍隊の人間と思われる者達からの攻撃を受け、マントで銃撃をナスターシャを庇って防いでいたが……それに一般人も巻き込まれ、それにマリアを目を見開きながらマントを伸縮自在に操って軍人を叩き飛ばす。

 

マリアは銃で撃たれて死んだ一般人達を見つめていた。

 

「……私のせいだ、全ては、フィーネを背負い切れなかった……私のせいだああああああああ!!!!」

 

そう叫びながらマリアはマントで軍人を吹き飛ばし、アームドギアで軍人を叩きつけた。

その様子を見ていたザフィーラは人々を守る為に人型の姿になるなり、防御魔法で一般人に被害を及ばさない様に動き始めた。

 

それを見ていた生き残っていた一般人達は……恐怖のあまり「助けてえええええええ!!!!」と叫んでしまう。

 

「うろたえるな!! うろたえるな、行け!!」

 

「は、はいいいいい!!」

 

あの時、ライブ会場でも言ったその言葉は……自分に向かって叫んだ言葉だった。

 

マリアはナスターシャを抱えてアームドギアを天井に向けて掲げる。

 

「もう迷わない!! 一気に行って見せる!!」

 

アームドギアを回転させてマリアは跳びあがり、一気に最上階まで彼女は進んでいく。

その後を、ザフィーラは防御魔法を駆使しつつ、2人の跡を追った。

 

また、響と未来はどうにか助かることが出来、響は助けてくれた未来にお礼を言う。

 

「ありがとう、未来、助かったよ」

 

「うん、あのね! 響……」

 

未来がなにかを言おうとしたその時、突然彼女たちの足場が強く揺れてそこでバランスを崩した響が崩壊した壁から落ちてしまう……だが寸前のところで未来が響の腕を掴んだ。

因みにあの騒動の際に、セイバーとヴィヴィオは共にタワーへと侵入してきたノイズ達を相手にしていた為、其方に手が伸ばせずにいた。

 

「未来!! ここはもう持たない!! はやく手を離して!!」

 

「ダメ!! 私が響を守らなきゃ!」

 

「未来……。 

いつか、本当に私が困った時、未来に助けて貰うから…

今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」

 

必死に腕を掴む未来に響は微笑んでそう伝えるが、未来は涙を流しながらも必死に腕に力を入れて響を掴む。

そしてそれと同時にセイバーとヴィヴィオがノイズの掃討を終えるなり、直ぐさま2人の元へと急行した!だが、

 

「私だって……守りたいのに……! 

響いいいいいいい!!!!」

 

そして……響の「左腕」はするりと未来の右手から抜け落ち、響は地面へと落下していく。ノイズに時間を取られ過ぎたのだ。

そして彼女…響は聖詠を口ずさみ、ガングニールを纏って地面に着地した。

 

「未来!! 今行く!!」

 

その時、未来のいた場所が煙をあげて大きな爆発を起こし、それを見た響は眼を見開いて未来の名を叫んだ。

 

「未来うううううううううううう!!!!!!」

 

響の虚しすぎる絶叫がスカイタワー周辺に響き渡っていた。

 

ーーーーーー

スカイタワーが爆発する前。

 

此処は「自然都会」に位置する憑友の実家。

其処ではセレナが部屋の掃除をしていた。

 

そしてリビングでは、セレナの義父であり、憑友の実父…玄也がニュースを見ていた。

 

『速報です‼︎

つい先程、東京スカイタワー周辺に大量のノイズが確認されました!

スカイタワー周辺にお住いの皆さんは速やかにシェルターへと避難して下さい!繰り返します!速やかにシェルターへと避難して下さい!』

 

「…」

 

ニュースの内容を聞いた玄也。その顔からは悔しい思いで一杯だった。

 

そんな中でセレナは、次の掃除場所として、自身の義母にして、憑友の実母…ジャンヌの部屋を掃除していた。

 

意気揚々と楽しく掃除をするセレナ。

すると不意に書棚の隙間から一枚の写真がはみ出ていたので、それを取ったセレナはその写真を見た。

 

其処に写っていたのは、今となんら変わりはしないジャンヌと、紅い瞳と蒼い瞳と言うオッドアイの女性と、紺色で右眼をアイパッチで覆った女性の3人と、ピンクの髪の少女とオレンジ色の髪をした少女2人。計5人が写っている写真であった。

 

それを見たセレナは最初、不思議そうな顔をしたが、突然…

 

ピキンッ!

 

「あぐっ⁈」

 

何かに刺激されたか、突然の頭痛に頭を抑え始めたセレナ。

 

「セレナ〜!ただいま…⁉︎セレナ⁉︎」

 

その直後にジャンヌが帰宅し、部屋に入ると其処にはセレナが頭を抑えながら、悶え苦しんでいる様子を目の当たりにした。

ジャンヌは直ぐに容態を確認した。それと同時にセレナの近くに置いてあった写真を見て、ジャンヌはまさかと言う予感を感じさせた。

 

「この写真を見たからなの…⁉︎」

 

ジャンヌの問いに答える者は居なかった。




次回

セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ

次回…セレナの話。と同時に伏線回収回

2016/6/30までに出たキャラが一応参戦してますが、7/1以降のキャラが今の所、出ていません。なので、以下の作品から選んで下さい。 1位のタイトルは外伝として投稿しようかと思います。

  • けものフレンズ(2017)
  • バトルガールハイスクール(2017)
  • はたらく細胞(2018)
  • SSSS.GRIDMAN(2018)
  • 盾の勇者の成り上がり(2019)
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