戦姫絶唱シンフォギア〜とある戦士の物語〜   作:かもめカメ

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『独奏』が怒り、『片翼』が涙を流す…


♪32 怒りと涙

「ここが…」

 

「深淵の竜宮?」

 

「だだっぴろいデース」

 

「ああ…」

 

そう言いながら、F.I.S組4人はそう呟く。

 

この場所は『深淵の竜宮』…S.O.N.G.にとっては用がある場所である。

この場の何処かに今回の元凶であるキャロルがいると言うのだ。

しかも護衛として、『コイン』のアルカナの力を持つレイアが付いている。

そう簡単には倒せないのが現状だ。

そんな中で、

 

「ピクニックじゃねーんだ。行くぞ」

 

クリスは後輩達を導きながら、目的地へと移動し始めた。

そんな中で、クリスの義兄であるロックは浮かない顔をしていた。

 

「(何かが引っ掛かる…

まるで、誘き寄せられたかのような…)」

 

「早く来いよ!ロック義兄!」

 

「…ああ。(その前にこいつのタメ口を調教し直さないとな)」

 

…なんとも苦労が絶えない人である。

そんな中、非戦闘であるS.O.N.G.スタッフ達は『深淵の竜宮』内のマップを取得するなり一同に弦十郎の指示を煽り、急いで捜索にあたっていた。

 

「キャロルの目的は世界の破壊。ここに収められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れようとしてるに違いありません」

 

そうエルフナインからの情報を聞いた弦十郎は冷静に事を当たった。

 

そんな中で、この『深淵の竜宮』内では、キャロルでも、S.O.N.G.でも気付かない存在が既にこの中に侵入していた。

だが、全ての防犯機能が完全にOFFられていた。

その事を、キャロルはおろか、S.O.N.G.の面々でも気付いていなかった。

 

 

 

その頃、ファラの攻撃を受けた翼は、夕刻頃に目を覚ました。

 

「そうか…私はファラと戦って…」

 

「(身に余る夢を捨ててなお私では届かないのか…)」と、心の中で呟く翼。此度のファラの攻撃で、かなりの精神ダメージが堪えていたのだろう。

 

「大丈夫?翼」

 

「すまない…不覚を取った」

 

すると襖越しにマリアが話しかけて来て、無事という事を翼はそう伝えるとマリアが、

 

「動けるなら来てほしい。翼のパパさんが呼んでいるわ」

 

そう言われ、翼は衣服を着用して、そして己が父・八紘の元へと移動した。

 

ーーーーーー

移動した先には奏達も既に集まっていた。

翼は奏に向けて「大丈夫?奏」と言った。

実は、先のレグルスの際に骨が1本折れたらしく、その証拠として骨がやられた部位に骨盤矯正用の装置と包帯をぐるぐる巻きにしている奏がいた。

だが、奏は「平気だって!」と大口を叩くが、

セレナが近づき、ちょんと指でその折れた箇所を指で触れると奏が急に痛み悶えたのだ。まだそのような状態では無いと言う事だ。

その証拠に、セレナから「大丈夫じゃないくせに」と小悪魔的な笑顔を見せていたのは此処だけの話で、その笑顔を見た霊風がやけに汗ダラダラと冷や汗が流れ、零は苦笑いをしていた。

 

そして皆は机上に置いてある多数の書類に目を通す。

 

「アルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子をアーネンエルベに調査依頼していました。これはその報告書となります」

 

「アーネンエルベ…か」

 

「確か…シンフォギアの開発に関わりの深い独国政府の研究機関だって言っていたな?」

 

上から緒川,霊風,零がそう言いながら報告書類に目を通していくと、八紘が口を開けた。

 

「報告によると赤い物質はプリマ・マテリア。

万能の溶媒アルカ・ヘステによって分解還元された物質の根源要素らしい」

 

それを聞いたマリアは「物質の根源?分解による?」と言いながら、意味が分からなかったようだ。

すると緒川がその解釈をした。

 

「錬金術とは分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系とありますが…」

 

「キャロルは世界を分解した後何を構築しようとしてるのか…」

 

「いや、そもそも。何故世界を分解しようとしているのかが問題じゃねぇのか?」

 

「それも一理だよね…」

 

そう言いながら一同はキャロルの考えに思考を費やす。

そんな中で、八紘が翼に話しかけた。

 

「翼。傷の具合は?」

 

「…はい。痛みは殺せます」

 

「ならばここを発ち然るべき施設にてこれらの情報の解析を進めるといい。お前の守るべき要石はもうないのだ」

 

そう言いながら、結局は翼の事を突き放す八紘。

それを聞いた翼は「…わかりました」とそう言うしかなかった。

だが、それに「待った」をかける者がいるのが然り。

 

「それを合理的と言うのかもしれないけど傷付いた自分の娘にかける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら?」

 

マリアだった。

シンフォギア勢の中で成人である彼女が、八紘に再び抗議するが、

 

「いいんだマリア…いいんだ…」

 

それを翼に言われ、なくなく食いさがるマリア。

それを見ていた霊風達も浮かない顔しか出来なかった。

 

その後、部屋を後にした一行。

 

「あれは何だ!国家安全保障のスペシャリストかもしれんが家族のつながりをないがしろにして!」

 

勿論、マリアはご立腹である。

そして彼処では言わなかったが、奏と意外にも零が八紘の翼に対する態度に腹が立っていた。

それを見ていたセレナと、この中で冷静にいる霊風はそんな3人のご機嫌ナナメさに溜め息を零していたりしていた。

 

「すまない…だがあれが私達の在り方なんだ」

 

そう翼は言った。

だが、それでも家族をないがしろにするのは良くないのである。

家族と言う『温かさ』を知らぬまま育っていった子供が世の中には大勢とまでは行かないが、それでも少なからずいるのである。

それは勿論、読者諸君達のいる世界も。

そして彼女達が守る日常であるこの世界も同じ事である。

 

…さて、脱線してしまった様なので、話を戻そう。

そうしていると翼が襖の前に止まった。

 

「ここは子供時分の私の部屋だ。話の続きは中でしよう」

 

 

そう言いながら襖を開ける翼。

そしてその途中で、霊風は「(あれ?これ…デジャヴじゃね?)」と思っていたのだが、時既に遅し。

そしてそれを見たF.I.S組は一気に警戒をしだした!

 

「敵襲!?また人形が!」

 

「いや…その…私の不徳だ…」///

 

…如何やら部屋が散らかっていた様だ。翼だからこそである。

それを見た霊風は溜め息をしながら、額に手を当て、

それを見た奏は逆に腹を抱えながら、逆に笑っていた。

それを見た翼は顔を真っ赤にしながらあたふたしていた。

翼と付き合いが長い2人だからこそのリアクションである。

 

 

「だからって10年間そのままにしておくなんて…

幼い頃はこの部屋でお父様に流行歌を聴かせた思い出もあるのに…」

 

そう言いながら、翼は自分の手で部屋を片付け始める。

それを見たセレナは「手伝うわ」と言った。

因みにその時に奏も姉御的存在として、翼の部屋の片付けを手伝う事にした。

その際に、零が手伝うと言いながら服を畳もうとした時に、セレナから何処から取り出したのか、巨大な盾で頭にダイレクトアタックさせて、気絶させたのは此処だけの話である。やはり衣服は抵抗感があるもの。なのに、(この男)は筋金入りの鈍感である。

そんな中でマリアは翼の部屋をよく見渡し、ある事に気が付く。

 

「それにしてもこの部屋は…」

 

ふとマリアは霊風に視線が行ったのだが、霊風もまたこの部屋の事で何かに気付いていたのか、マリアに向けて首を縦に振った。

 

「昔からなの?」

 

「私が片付けられない女ってこと!?」

 

…まぁ…だいたいはそうなんだけど、そうじゃありませんよ。

 

「そうじゃない。パパさんのことだ」

 

マリアが話しかけると、翼は語り始めた。

 

「私がおじい様、現当主風鳴訃堂は老齢の域に差し掛かると跡継ぎを考えるようになった。

候補者は嫡男である父・八紘とその弟の弦十郎叔父様。

だが任命されたのは生まれたばかりの私だ」

 

その内容を聞いた皆は首を傾ける。

それは勿論、奏と霊風も同じであった。

 

「理由は聞いていない。

だが今日まで生きていると窺い知ることもある。

 

 

どうやら私にはお父様の血が流れていないらしい」

 

「何!?」

「マジかよ…」

 

それを聞いたマリアと零が驚愕した。

それは勿論、この場にいる面々もである。

 

「風鳴の血を濃く絶やさぬようおじい様がお母様の腹より産ませたのが私だ」

 

「風鳴訃堂…人の道を外れたか!」

 

それを聞いたマリアは憤慨する。

翼の話を聞いた奏も拳を握り締め、その拳から血が流れ出したのだ。

自分の相棒の経緯を知り、奏の感情は怒りに身を包まれていた。

 

「以来私はお父様に少しでも受け入れてもらいたくてこの身を人ではなく道具として、『剣』として研鑽してきたのだ。

なのにこの体たらくではますます鬼子として疎まれてしまうな…」

 

そう翼が言うと、奏が翼に近づき、そして翼の顔を向けるなり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシィン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

なんと奏のあまりの対応に周りの空気が一変したのだ。

奏が翼に対してした行為、それは…

 

ビンタだった。

 

「しっかりしろよ…翼」

 

すると今まで黙っていた奏がなんと翼に抱き付くなり、口を動かした。

 

「例え、お前がどんな存在だろうと、『翼』は『翼』だろ!

それ以上でもそれ以下でもねぇ!

それに、翼だけじゃない!『私達』だっているんだ!

前に言ったよな?翼。

 

『ポックリ逝ってしまいそうだ』って。

だから…だから…!」

 

そう言いながら涙を流し始める奏。

彼女は今日まで、友は居れど、家族は皆、ノイズにより殺された。

 

故にもう2度と、自分の身近な人が居なくなる事を誰よりも嫌っていた。

 

その中でも特に、翼だけは別格だった。

 

翼は今でこそ、此処まで凛々しい姿を見せる様になったが、

初めて出会った時は弦十郎の後ろに隠れて自分から遠ざかっていた少し臆病な性格の子だった。

故に自分から接して、仲良くなっていき、いつしか義理の姉妹の様な関係になっていた。

 

故に奏は思っていた…

「このままだと翼が先に逝ってしまうんじゃないのか…」と。

 

そうして出した答えが先の言動なのである。

それを聞いた翼は奏に抱き着き、「ありがとう…奏」と言った。

それを聞いた奏は更に泣き出したのは言うまでもない。




次回

『Beyond the BLADE』

翼VSファラ(『剣殺し』)決着…⁉︎

2016/6/30までに出たキャラが一応参戦してますが、7/1以降のキャラが今の所、出ていません。なので、以下の作品から選んで下さい。 1位のタイトルは外伝として投稿しようかと思います。

  • けものフレンズ(2017)
  • バトルガールハイスクール(2017)
  • はたらく細胞(2018)
  • SSSS.GRIDMAN(2018)
  • 盾の勇者の成り上がり(2019)
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