ふと、思い出したことがあった。
この世界に来て半年以上たつ。初めはかなり苦痛だった。慣れない食事、生活、すべてが今までと違う環境でかなり頑張ってきた。自分の環境適応能力にはかなり自信がついた。
そんななか、ふと思う。
……………俺、性欲がなくね?
いや、その、ふざけている訳じゃない。村で暮らしていたときは毎日が必死だった。人間、命の危機になると生殖機能が働くと聞くが、全くそんなこともなかった。そんな詳しく思い出せないんだが、前の世界では普通の健全な青少年だったはず、そんな俺がこの半年、一回もオ○ニーすらしていない。なんでだ?マリーと暮らしていたときもあまり記憶にないけどそういったことをしたことはなかったはずだ。
……なぜ急にこんな話をしたかと言うと今朝、目が覚めると俺の布団にテントができていたからだ。
「…………あ……」
ガチャ
バッ!
「おはよ~!!おにーさーん!」
キマが部屋のドアを開けると俺の胸に飛び込んでくる。やわっこい。
「っと、おはよう。……少し離れてくれると嬉しいかな?」
寝そべっている俺の腰辺りで女の子座りでこっちを見ているキマ。その位置は少し不味い。
「あのね!あのね!キマ、ごはんつくったよ!!」
「そっか、ありがとう。……あの二人を起こしてこようか」
キマを両手で抱える。
「……?おにーさん?なんか膨らんでるよ?」
「さぁ、キマ行こうか。二人の様子を見に行こう!」
キマを肩に担いで昨日キマが拾ってきた二人組を見に行く。あのあと目覚めない二人を空いている部屋に寝かせた。
マリーの部屋に寝かせるのは少し、躊躇われた。
ガチャ
「………しーー?」
「そうだな、よく眠ってる」
ベッドに寝ているのは真っ白の髪をした姉妹のような二人組だった。どちらも俺の腰ぐらいまでの身長で、幼さの残る外見をしている。眠っている姿は天使みたいだ。
「二人が起きたらご飯だな」
「キマ、がんばったよ!!しゅぎょーのせいか!」
「わかってる」
くしゃくしゃとキマの頭を撫でる。キマは頭を撫でられるのが好きみたいでこうするといつもより倍のニコニコ顔になる。
「ん……んぅ……?」
部屋を出ようとすると二人のうち片方の女の子が目を開ける。
「………その、眼…」
「んぅ…………っ!!?」
女の子は体を起こすと隣に眠っているもう一人の女の子を見てこっちを見る。トローンとした顔、寝起きだな。うん。
「おはよう、眼が覚めた?」
「おはよー!!」
「…………っ!てめぇら!…何が目的だ!!テレーゼに何をした!」
「……いや、別になにもしてないけど」
こっちを睨み付けたままそういった少女の瞳は片方が紅かった。オッドアイってやつかな?
「うぅん……てお、ちゃん……?」
走行しているうちにもう一人の女の子も眼を覚ました。今、テレーゼって、しかも、テオって。
「くそっ!………てめぇ、皇帝の手先か?こんな所まで来やがって!!」
「いや、なんだ皇帝の手先って、知らないけど」
「嘘つくな!そいつはお前の使い魔だろ!」
勝ち気な眼をした女の子は俺の背中、というか頭にに乗っているキマを指差す。
「キマ?キマはおにーさんのお嫁さんだよ?」
「自称な?」
「じしょー?」
「……テオちゃん?どうかしたの?」
こっちを睨み付けたままの女の子にもう一人の女の子が話しかける。
「…………てめぇらは何で私たちを助けたんだよ」
これまでの会話から先に眼が覚めた勝ち気そうな口が悪い女の子がテオ、あとから目覚めてなんかボーッとしているような女の子がテレーゼか?
容姿の方はテオがつり目で銀髪のロング、テレーゼはたれ目で同じく銀髪のショートだ。
テオとテレーゼ、この二人はこのゲームにおいて選択できる主人公の内の二人だ。確か、二人とも創られた存在?みたいな設定だったはず。ゲームではかなりの人気を誇るキャラクターだ。俺もすきだった。
けど、この二人はかなりロリロリしてる。二人とも身長140くらいだ。かなりロリロリしてる。
「うちのキマが君たち二人を拾ってきたんだよ。……そのまま見捨てるわけにはいかないだろ?」
「っ、てめぇらは……」
グ~~~~
「…………テオちゃん?お腹、減ったの?」
「っば、バカ!そんなわけないだろ!」
ベッドでギャーギャー騒ぐ二人を見る。子供が騒いでるみたいでなごむ。
「………とりあえず、ご飯でも食べるか?色々話すこともあるけど、それからでもいいだろ?」
「あのね!キマが作ったんだよ!」
俺達の提案に顔を真っ赤にしたままこっちを睨むテオ。
「じゃあ、先に降りてるからね?キマ、いくぞ」
頭に張り付いているキマを背負い直して部屋を出る。このままどっかに二人とも逃げてしまわないかが心配だけど、まぁ、大丈夫だろ。
「とりあえず、自己紹介からしようか。俺の名前は山田太郎。この屋敷の仮の主人をしているよ」
「えっと、キマはキマだよー?」
「ッケ!そうやって油断させよーったって騙されねぇからな!」
「……テオちゃん」
四人でテーブルに座る。結局素直に降りてきてくれたところに子供らしさを感じる。
「……まぁ、いいか、その気になったらしてくれたらいいよ。それよりも食わないのか?ポトフ」
二人の前には昨日、俺が作ったポトフがおかれている。
「おいしーね!」
「なぁ、キマ、お前、なに作ったんだ?結局台所にはポトフしかなかったんだが」
「えーとね、あれ、キマなにしたんだっけ?」
ポンコツ具合に拍車が掛かってる!
キマとバカな会話をしている間にもチラチラと二人の様子を見る。
テオの方はおそるおそるだけど食べているテレーゼは、一定のペースでずっと口にスプーンを運んでいる。なんか怖い。
「上手いか?」
「…………」
「ふん!テレーゼに話しかけても無駄だぜ?テレーゼは私にしか口を聞かないんだからな!」
「そうか、テオは、上手いか?」
「まぁまぁだな………って、勝手に私の名前を呼ぶんじゃねぇ!殺すぞ!」
「もしかして、ニンジンが苦手なのか?ニンジンがすごい残ってるけど」
テオのポトフの皿にはニンジンが大量に残っていた。
「てめぇの料理が不味いから残してるだけだよ!」
「できればてめぇ、じゃなくてタロー、って読んでくれると嬉しいけどな」
「………おかわり」
「テレーゼ!?」
「キマもキマも!」
からになったお皿をキマとテレーゼから受けとる。
「テオは?どうする?不味いって言うならニンジンは抜いてつぐけど?」
「ぐっ………卑怯だぞ!」
そういいながら俺に皿を差し出すテオ。料理は人と人をつなぐ手段だな。
「りょーかい」
子供を世話する親ってこんな気持ちなのかな?
「おにーさーん!キマ!おそといってくるね!」
「あんまり遅くなるなよ?」
いつものようにマカラにのってキマは雪のなかに突っ込んでいった。どうやら、雪で遊ぶのは初めてらしく、ここ最近はずっと雪で遊んでいる。
「………ふぅ、雪掻きとかしないといけないかな…?」
やったことないけど、ここ最近の雪の振り方からして、そろそろやっとかないとな。食料は地下に保存食などが大量にあったため、この冬くらいなら余裕で持つ。
「二人とも、ご飯は夕方にまたあるからそのときにリビングに降りてきてくれ。風呂はここから出たところにある。服は………マリー、のがあったかな?とりあえず出しとくから風呂にでも入ってこいよ」
「変態」
「……変、態」
「なにがだよ」
マリーの部屋からワンピースをとってくる。下着とか入ってる棚から二人ぶんの下着を手に取る。
「……………」
これ、マリーが着ていたんだよな……。
「……………いやいやいや、落ち着け、優先順位はそうじゃないだろ。落ち着け」
自分の中のあらぶるなにかを抑えて服をもって二人のもとに向かう。二人とも寝起きに比べたらかなり警戒心が緩んでいる。ご飯を食べている間に色々と会話したのが聞いたかな?
「ほら、これやるから風呂はいってこい」
テオに二人ぶん渡す。
「覗いたら殺す」
「覗かねぇよ。ゆっくりしてこいよ」
二人は風呂場にむかっていった。
「テオにテレーゼ、か……」
俺はゲームのストーリーを全くといっていいほど知らない。というか、世界観すら詳しく知らない。
もしかしたらあの二人はこれから危ないことに巻き込まれるのかもしれない。
「まぁ、でも、放っては置けないよなぁ……」
せっかく会えた原作キャラだし、気安く会話できるくらいには仲良くなっておきたいし。
「まぁ、なるようになるか……」
少なくとも、これからの生活が少しは楽しくなるだろう。ニヤニヤしてる頬を揉んで風呂上がりの二人を待つことにした。
読んでいただきありがとうございます。
テオにテレーゼ、私としては主人公たちの中でもトップくらすに好きです。(自分はイージアなのですが)
二人の掛け合いがたまらないですね。
恐らく、次の更新はまた少し時間をおいてのことになると思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。