キマたんが可愛すぎてprpr   作:ゆいりょく

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唐突なシリアス。いや、理由はあるんですよ!


四話「………俺には、できない」

人間、本当にどうしようもなく混乱しているときは一周回って冷静になるらしい。そう、何かの本で読んだ気がする。

なぜ今こんなことを考えているのかというと目の前の光景が俺には理解しがたかったからだ。

 

森を抜け、最初に目に入ったものは紅だった。

 

そして、強烈な熱を感じた。

 

「…………え?」

 

俺の住んでいた村が燃えていた。

 

「……………え?」

 

なんで?火事?どこから?なんで、こんなに村を覆うような炎が?混乱した頭で考える。どうなってる?どうしたら?

 

……え?

 

 

「…………いかなきゃ」

 

じいちゃんとばあちゃんは?無事なのか?村のみんなは?…………助けに、いかなきゃ。

燃え続ける村に向かって走り出そうとする俺の手を誰かが掴む。

「待て!!」

 

「!?……シル?お前、無事だったのか。…いや、それよりも村が!なんで!なんで燃えてるんだ!?火事なのか!?………誰か逃げ遅れてる人がいるかもしれない。助けにいかなくちゃ!」

 

俺の手を掴んだのはシルだった。後ろの木の後ろにアンがいるのも見える。どうやら二人は無事らしい。

シルは俺の手を掴んだまま森のなかに入っていく。手を引っ張られたまま俺も森の中に入る。

 

「とりあえず落ち着け。………それに、それはこっちの台詞だよ。よく、あの変なやつからから逃げられたな。もう会えないと思ってたよ」

 

「俺が死ぬわけないだろ?………だから!それよりも村だろ!……どうなってるんだ?」

 

手を振りほどいてシルに詰め寄る。後ろのアンが下を向いたまま動かないのも気になる。

 

「………帝国だよ」

 

「………はぁ?帝国?それがどうかしたのか?」

 

スッ

 

俺に詰め寄られたままシルは村の上の方を指差す。指差す方向に視線をずらす.。

 

「……なっ!?」

 

シルの視線の先にはドラゴンがいた。いや、実際に見たことがないからホントにドラゴンなのかは分からないけど、あれは、ドラゴンだ……。

 

「多分、あいつが村を焼いた。そして、あんなドラゴンを操れるのは中央の帝国の皇帝だけだ。……今までここは辺境だからって、手と届かないと油断してた。そのつけだよ」

 

シルは座り込み、疲れたように笑う。

 

「………ふざけんなよ!村のみんなは!!……無事なのか?」

 

俺の問いかけに力なく首を振る。アンは蹲ったまま動かない。

手に力が籠る。俺は二人に背を向け、村へ向かう。

 

「……タロー!何処に、いくつもりだ?」

 

「村へ」

 

「ダメだ。………今いっても何もできない。俺たちがここに来たときにはすでに燃えていた。……今、お前が行っても何にもならない」

 

「……知るか。じいちゃんたちを探す」

 

「やめろ」

 

シルは立ち上がり、俺の肩に手をかける。

 

「落ち着け、まだ、行くべきじゃない。死にたいのか?」

 

………死にたい?誰が?

 

「……今ここにいて、もしまだ、じいちゃんたちが生きていたら俺は自分を許せなくなる。………俺はみんなに救われたんだよ。その俺がなんでみんなを、みんなが生きているかもしれないのに動かないで、助けに走らないで……!?」

 

「だから落ち着けって言ってんだろ!!……きっとみんなは逃げてる!!無事だ!」

 

「そんなのわかんねぇだろ!!ただの願望じゃねぇか!!」

 

「願望で何が悪い!?………お前だけが、お前だけがそんな気持ちだと思うな!!」

 

ガシッ!

 

シルは俺をふりかえせる。泣いていた。

 

「俺だって!俺だって行きてぇよ……!!父さんが!母さんが!いないんだよ…!!どごにも!……アンの家族だって何処にもいない!頼むよタロー!………ここから動かないでくれ……!!きっと、きっとみんなは何処かに逃げてるはずだから…!!」

 

「………シル……」

 

…………嘘だ。他に逃げ延びてる人がいるなら、きっとこいつは出会ってるはずだ。そのために動くはずだ。

……でも、いなかったんだろう。見つからなかった。誰にも、会わなかったんだ。

 

「あの、ドラゴンが帰ったら……探そう。みんなを」

 

「………わかってる」

 

 

 

……雪が降ってきた。

 

 

 

 

 

 

「帰った、な」

 

炎が雪によって徐々に鎮火され始めた村を尻目にドラゴンがどこかへ飛び去っていった。

 

「行こう。なにか、誰かいるかも知れない」

 

俺は立ち上がり、二人を催促する。分かってる。分かってるけど、納得できない。

 

「いや」

 

「………アン」

 

「わたし、ここから…うごかない。いきたくない」

 

シルは立ち上がったが、アンは蹲ったまま動かない。すでに肩と頭には少し雪がつもっている。

 

「………わかった。じゃあ、ちょっと待っててくれ。それと、これを着てな。そのままだと風邪を引く」

 

シルはアンの肩と頭に積っている雪を払い、自分の着ていた服の上着を上から重ねる。アンはその服をギュッと握りしめる。

 

「……いこう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

「……………ここが最後だな」

 

朽ち果てた家を調べる。屋根も燃え、中も焦げたような匂いが充満していた。

村は何もなかった。誰も、いなかった。家という家は燃えて崩れていた。至るところに黒い"炭"がちらばっている。

 

「もうすぐ、冬になる。急いでここから離れないと」

 

「………」

 

「ここから一番近い村でも歩いて一週間はかかる。急いで準備しないと手遅れになる」

 

「…………」

 

「とりあえず、残ってる食料を探そう。どっちにしろ食べ物はいる。タロー魚を頼む。こうなると塩漬けにして持ち運ぶくらいしかできないけど、無いよりはましだろ」

 

バキッ

 

「ぐふっ!」

 

気づけば俺はシルの顔面を殴っていた。

 

「お前!お前、この光景を見て、何も、何も思わないのか!?家が!村が!知り合いが!………親が……!!」

 

バキッ

 

殴り返される。

 

「………じゃあお前は!!ここで悲しんで死ぬか!?ここで嘆いて!!悲しんで!!そして、何もできずに死ぬのか!?俺はごめんだ!!死んでたまるか!!生きてやる!!絶対に死ぬわけにはいかないんだよ!!」

 

「そういう問題じゃねぇよ!!てめぇは!!何も感じてないのかって言ってるんだよ!!」

 

シルは殴られ倒れた俺に馬乗りになり胸ぐらを掴む。

 

「お前には俺が何も感じてないように見えるんだろうな!!……何も感じてないはずがないだろ!?お前みたいに半年しかここで暮らしてない余所者に何がわかる!?今すぐ殺してやりたい!!今すぐにでも……!!殺してやりたい……!!」

 

「……………てめぇ……」

 

「俺にはなぁ!!背負わなきゃいけない人がいるんだよ!!泥すすっても、地べた這いずり回っても守らなきゃいけないん人がいるんだよ!!死人は何も残さない!俺やアンの両親が俺たちがここに残ることを望むとは思えない。俺はアンを守る。そのためには悪魔に魂だって売る!!」

 

「…………」

 

「お前は、どうなんだよ……」

 

「………俺には、できない」

 

「俺はここから出る。別の村へいくつもりだ。アンも連れていく。………お前は、どうする」

 

「なんで、そんな事、聞く」

 

俺の声は震えていた。ちゃんと喋れてるだろうか?

 

「………」

 

「……言えば良いだろ。着いてこいって、食料を確保しろって、言えば良いだろ。……………言ってくれよ」

 

「今日の内に必要なものを集める。明日の朝、出る。それまでに決めてくれ。………俺はお前に、死んでほしくない」

 

シルな立ち上がり、背を向け歩いていった。

 

「…………しらねぇよ……」

 

わからなかった。何も、何もかもが。

寝転がったままの俺に雪は降り続けた。

 

 

 

 

 

 

「……結論は、出たのか?」

 

翌朝、まだ降りやまない雪の中もをじいちゃんの家のあった場所の前に座り込んでいる俺の前に旅用の荷袋を背負ったシルとアンが現れた。

 

「よく、そんなのあったな」

 

「あぁ、昨日探したら見つけた。燃えていない保存用の食料もいくつか見つけた。少ないが、まぁ、一週間ならギリギリ持つだろ」

 

「……そっか、よかったよ。これでその村までの食料すら見つからなかったら悲惨だったからな」

 

「………お前こそ、ずっとここにいたんだろ。風邪引くぞ?」

 

「馬鹿は風邪を引かないんだよ」

 

「なんだそれ」

 

「俺の故郷の言葉だ」

 

「教えてもらったことないな」

 

「まだ、この村に来て半年だからな」

 

「……嫌みかよ」

 

「嫌みだよ」

 

「…………………」

 

二人で笑う。こんな下らない会話しかできない。結局、俺は何もわからなかった。頭は混乱したまま何も結論を出せていない。何も整理できていない。

 

「いこうタロー、あなたは、あなたが死ぬことは村長だって望んでない」

 

「………」

 

「タロー、お前は俺たちが何も感じてないって言ったよな?………確かにそうだよ。俺たちは、考えないようにしてるだけだ。飲み込んでる。割りきってる。これを受け入れるには、俺たちはまだ………ダメだな、言葉が思い付かないよ」

 

「……」

 

「でも、これだけは言える。………お前も子供みたいに蹲るな!!生きろよ!生きるために足掻けよ!………なぁ、一緒にいこう?まずはそこからでいいじゃないか。今すぐ目の前のことを解決しなくてもいいんじゃないか?」

 

「お前の言ってること、支離滅裂でわかんねぇよ。………でも、伝えたいことはわかったよ」

 

「なら!!」

 

「俺は、ここに残る」

 

俺の言葉にシルは一度、瞬きをする。

 

「……………そうか」

 

「…ごめんな」

 

「次の夏、ここに戻る。みんなの墓を作りにくる」

 

「俺が全部作っているよ」

 

「…………なんで!?なんで残るの!!ここにいても……死ぬだけじゃない!!私は!!お父さんとお母さんのための分も生きるって決めた。あなたはどうするの!?あなたが死んだら!!村長は!あなたが死ぬことを望んでいるの!?」

 

「アン」

 

「聞きたくない!!」

 

「次の夏、また会おう。さっさとシルと子供の一人でも作りなよ?」

 

「バカ!!…………バカぁ……!!」

 

「バカなんだよ……きっと今までも、これからも」

 

「アン………いこう」

 

「………」

 

「最後にいっておくよ。…………俺は帝国を許さない。必ず、復讐する」

 

 

シルはアンの肩を抱いて歩いていった。残されたのは何もできない子供のままの俺。肩に積もった雪を払う。

 

「バカ、なんだよなぁ……」

 

最後にシルがこぼした言葉。「バカ野郎」、その言葉が一番今の俺には響いた。

 

「死ぬ、か…………」

 

元々現代人の俺にこの世界は厳しすぎる。どうせトリップするならもっとキラキラした世界がよかったよ。

 

別に死ぬことは怖くない。ただ、何も考えられない。現実を受け入れることができないだけだ。短い期間とはいえ、家族だった人たち失うのは辛いよ……。

 

雪はまだ、やむ気配はなかった。雪を払い終えた俺はゆっくりと立ち上がる。そのまま歩いて村を出た。

 

何も残って無い村に、思った以上に未練を感じていない自分を何処かに感じながら。

 

 




読んでいただきありがとうございます。更新の遅さは申し訳ございません。色々と事情があったもので。

いや、すごい雪が降りましたね。こんなにすごい雪は久しぶりのことだったので非常に興奮しておりました。
皆様も是非とも事故とう注意してください。
また次もよろしくお願いします。感想などいただけると興奮します。

あと、単純に村人が邪魔だったので退場させました。

※ここ二日、プレイ出来ておりません。アップデートが入りますが、いったいどうなりますかね?とりあえず、紅蓮の降魔と小太郎は下方として、他には何が来るでしょうか。おらワクワクすっぞ。
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