輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第10話 図書室での水曜日

 

 水曜日。5日間の内の中間の日。

 そんな日はお家に帰ってゆっくりしたいもんだ。

 

「なにしてるの。次はこれよ」

 

 言われるままに物を運ぶ。

 

 

 もう一度言おう。

 水曜日はゆっくりしたいもんです。

 

 

 なぜこんなことになっているのかと聞かれたら数時間前に遡る。

 

 

 ~~数時間前~~

 

 

「え、この後ですか?」

 電話の向こうで『えぇ、いいかしら』っと戻ってくる。

 今日は水曜日。学校終わって予約した本を取りに行く予定なのだが。

 

 

『お礼として食事をご馳走させてもらいますわ』

 

 

「今、ご馳走と言いましたか!」

 

 

『え、えぇ言いましたけど』

「わかりました。今から学校に向かいます」

『ありがとう。校門で待ってるわ』

 

 電話切れ、急いで帰り支度を始める。

「そんなに、急いでどうしたの」

「うん、いや今から行かなきゃならない所があってさ」

「ああ、本を取りに行くなら一緒に」

「ごめん。違う」

「え……あの誠がそれ以外の理由でこんなにワクワクしてるなんて」

「俺はいつもどんな人生を送ってるだよ!」

「毎日がオタク人生」

「弁解ができいない!クソッ!とにかく俺は急いでるから悪い」

 そう言い俺は教室を後にした。

 

 自転車を漕いで急いで電話主がいる学校へ。

 

 

「あら、意外に早いですわね」

「そ、そう、ですか……ハァハァ」

「そんなに急いで来られなくても」

「ダイヤさんが俺を必要としてくたから」

「……全くあなたって人は」

「それでは、早速何をやればいいのですか?」

「そうでしたわ。こっちらへ」

 

 そう言われ、ダイヤさんに案内されたのは学校の図書室だった。

「今日来てもらったのはこの図書室の本を整理してもらうためですわ」

「な、なるほど」

 そうするとこれから俺がやる仕事は……。

 

「この本を運んでもらえるかしら」

 

 ですよねー。

 俺に力仕事は無理なんですけど。

 

「お礼はちゃんとしますから」

 

「わっかりました!頑張ります!」

 

「ええ、その調子でお願いしますわ」

 

 ダイヤさんからのお礼。何か少し気になるがダイヤさんが俺を頼りに呼んでくれたことが嬉しい。

 それだけで頑張れる。

 

 

 ~~時間は戻る~~

 

 

「なにをしているの、次はこれよ」

 

 

 ははは、やばい。

 これは、やばい。

 今日は水曜日。あと二日学校に行かないといけない。だがこれは筋肉痛間違いない。

 ダイヤさんに頼まれた本を指定された場所に置いて、図書室に戻る。

「あの、今日はダイヤさんだけなんですか?」

「ええ、今日は図書委員の方々に頼むのを忘れてしまいましたの」

 ああ、それで俺に電話が来たんだ。

「あれ、俺の電話番号おしえましたっけ?」

 なにか寒気を感じるものになってきたぞ。今二人きり。

 怖!!

「教えてもらいました、高海さんに」

「ああ、なるほど。よかった」

「なにがよかったのですか」

「いえ、こっちらの話しです」

 言い逃れ話しを変える。

「そう言えば、ルビィさんってダイヤさんの妹なんですよね?」

「ええ、そうですわ。全く不肖の妹で仕方ないですわ、はあぁ」

「そう言って、心配はするのですね」

「そんなことはないですわ」

「ふっ、素直じゃないんだから」

「なにか言いましたか?」

「い、いいえ」

 目が怖い。

「おや、国木田さん?」

「あ、本当だ」

 図書室に入るとマルさんが本を読んでいた。

「本に集中していてこちらに気づいていませんね」

「どうしましょ。これから本の移動を行うに」

「ここは、マルさんにも手伝ってもらいましょう」

「ええ!」

「ここに誰よりもマルさん方が図書室を知っているはずです」

「そう言われると、そうですわね」

 二人頷き、マルさんに交渉を。

「え、構わないずら」

 そう言い、マルさんの指示の元図書室の本の整理が始まった。

「あ、ずっと気になっていたんだけどマルさん」

「はい」

 

「マルさんがいつも語尾に『ずら』って言うけど、あれってもう言わないよね」

 

「え……」

「あ……」

 

 何だろうこの空気。

「沢田さんこちらへ」

「え、ちょっと、待って」

 ダイヤさんに腕を引っ張られ、すみっこに連れてかれる。

 

「あなた、言ってはいけないことをおっしゃたわね」

 

「え、なに」

 ダイヤさんからすごい剣幕で言われる。

「国木田さんはすごくそのことを気にしているのよ」

 そうだったのか。

 なのに俺は無神経に……。

「すいませんでした」

「その言葉は言う相手が違うわ」

「そうですね」

 俺は謝らなければ国木田さんに。

 

「マルさん。すみません、俺無神経で」

 

「いいずらよ。オラはもう気にしてないずらから」

「そんな、俺が悪いのに」

 

「こんな古い言い方をするなんてアイドル失格ずら」

 

「そんなことはない!!」

 

「もういいずら」

 

 

「よくない!マルさんのキャラはアイドルになくってはならない個性だから!」

 

 

「そうですわね。そうするとわたくしも個性があると言えるわ」

「そうですね、ダイヤさんもいい個性ですね。だからマルさんもその個性をもういいとか言わないで」

「誠さん……」

 

 

「その個性はアイドルとしては大切なものだから。それに、マルさんに大切なものだから」

 

 

「そんなほめすぎずら」

 

「なんか、お母さんみたいだから俺は好きだよ」

 

 

 

「もうこんな時間ね」

 外の景色は夕焼けになっていた。

「それじゃマルは帰る」

「それじゃ途中まで送って行くよ」

「待ちなさい、二人とも」

 

「「はい??」」

 

「これから少し時間ありますか」

「どういう、ああ」

「え、ええ」

 

「これから手伝ってもらったお礼として」

 

「晩御飯ですね!」

 

「ええ」

 

「なに食べに行く?」

「悩むずらね」

 

 二人で笑いながら夕焼けの坂で何を食べるか盛り上がった。

 

 

 

 

 





お待たせしました。最新話です。
やることが多くなかなか書けませんでした。

今日は母の日。みなさんはどんなことをお母さんにしましたか?
マルさんはなんかお母さんのようで優しい雰囲気があります。これからお母さんの手伝いでもしようかな。

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