輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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BS 小さな原っぱは大きかった

 

 

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 彼はいつも私の話しを最後まで聞いてくれた。

 

 彼は他の誰とは違う、不思議なオーラがあった。

 

 彼に会うたびに胸が苦しくなって、彼を見かけるたびに胸が弾む。

 

 この気持ちを言葉であらわすなら、最初はLから始まり最後はEで終わる言葉。

 

 皆がうらやむ彼の隣。

 

 

 

「うーーん!」

 

 腕を高く伸ばす。

「海の匂い!」

 深く深呼吸をすれば、海の塩の香りと暖かな太陽の温かみ。

 なんど来ても変わらない唯一の場所。

 

「わかったから、荷物を持つのを手伝ってくれ」

 

 俺は気持ち良さそうにしてる彼女に言うが、

 

「もー、しっかりしてね。darling」

 

 フラリとかわされた。

 今二人は海に来ていた。

 沼津で出掛けるかと話しがでたら海か山、ちょっと町に行くかの三択だ。

 うん?それは言い過ぎかも?

 そんなことはない。

 沼津で遊ぶなんてさっきの三択しかないんだ。

 他は隣の市に遊びに行くかだな。

 それ以前に!子供が外で今頃遊ぶか?ゲームだろ!テレビゲームか携帯ゲーム!

 俺の時代はカードゲームだったな。よく決闘者と書いてデュエリストとよんでいたな。

 まあ、夏になれば蝉やらカブトムシやらを捕まえに山には行ったが。

 とにかく!今二人は海に来ているのである。

 それは、昨日に戻る。

 

「明日って暇?」

「別にたいした用事はないな」

「なら、海行きましょう!」

「海?」

「そう、海!sea!」

「なんで、いきなり」

「魚釣りをしたい」

「あー、なるほど」

「それで明日釣りはどうかな?」

「いいぞ。釣り」

「やったー!英語でHAPPY!」

「わざわざ英語で言う必要はないだろう」

「あるよ!これは気持ちの問題よ」

「さようですか。それより声が大きい」

 

「はーい、そこうるさい!」

 

「ほら、怒られた」

「もー、二人楽しく話していたのに」

「いやいや。一年の授業に出てるあなたが問題なんだよ」

「えー、なんで?」

 くそっー、これが頭がいい奴が言う言葉か。

 

 俺は無事に大学生になることができた。

 それは彼女のおかげでもある。

 彼女と高校になり付き合い始めてまだ、一年。

 この一年でいろいろ合ったけど……。

 なんだかんだで楽しい生活を二人で送っている。

 これまで彼女ができたことなかった人生だったけど、彼女と会えてこれまでとは違う人生を送ることができた。

 楽しく、飽きない一日。

 一日が24時間と忘れる日々を送っていた。

 俺が同じ大学に行くと行ったら喜んで受験勉強を手伝ってくれた。

 

 確かにこれまでのことを振り返るとよく面倒を見てもらったと思う。しかし、

「はやく、戻ろうよ」

「だってマリー講義ないんだもん」

「だからって、一年の授業に出るか、ふつう?」

「えー、でもこれでいつも一緒だよ」

 そう言って頭を肩に乗せた。

「なっ、なに言ってんだよ!」

「顔が赤いよー」

「うっ。わかった、静かにしていてくれ」

 先生がすごい顔でチョークを投げる準備してるから。

 それに周りの男子もコンパスを人に向けるな!

「OK!誠が言うならそうする」

 そう言って俺の隣を楽しそうに座って授業が終わるのを待っていた。

 

 

 

 

「今日の講義はここまで」

 

「うーんー。終わった!」

 講義が終わり次はお昼。

 その前にやけに静かな隣の人を見てみると、

 

「クゥー、クゥー」

 

「寝てるのかよ!」

 どおりで静かなわけだ。

 どうするか、凄く気持ち良さそうに寝てるよ。

 これで起こすのもなんか悪いな。

 

 それに、もう少し見ていたい。

 

 まったくなんでそんないい顔で寝てるんだよ。

 

「隣の彼女さんを起こさなくっていいの?」

 

 突然声をかけられた。

 首を後ろに向けるとそこには、ニコニコと笑う女性が。

「えーと?どなたで?」

「やだなー、同じ学科だよ。それに同じ講義を何個か受けてるよ」

「え、あ、ごめん」

「ハハハッ、謝らないでよ」

 そう言って女性は隣に来て椅子に座った。

「どうするの?」

「え、なにが」

「お昼」

「あぁー」

 そっか。今お昼か。

 隣でのんきに寝てる誰かさんを見ていて忘れていたよ。

 けどお昼って思い出すとお腹が空いてきた。

 今日はお弁当を作ってくるくるのを忘れた。

 そのため購買に行き、お昼を買ってこないといけない。

 しかし隣の彼女は俺の肩に頭を乗せている。

 これでは動くことができない。

 だからって起こすこともできない。

 これはヤバイ。

 あぁぁ!いろいろ考えて頭がこんがらがってきた!

 

 グゥっー

 

「あっ」

「ぷっ」

 

 お腹が鳴った。

 

「フフフッ!お腹減ってるのね!」

「うっ、はい」

 恥ずかしい。顔が熱い。

 まさかこんなに笑われるなんて、思いもしなかった。

 さてどうする。

 

「はい。あーん」

 

「え?」

 

 突然言われ向くとフォークにから揚げが刺さっていた。

「おなか空いているでしょ?」

「うん」

「動けないから食べさせてあげるよ」

「え、悪いよ。それに……」

「彼女さんに悪い?」

「いや、そうではなく。その……」

「恥ずかしい?」

「う、うん」

「顔が赤いよ」

 そんなこと言われるとさらに赤くなるよ!

 こんなこと彼女ともやったことないのに。今知った女性にやってもらうなんて(女性のほうは前から知っているようだけど)。

「ほら、腕が疲れてきたから」

 そう言って、から揚げを近づけてくる。

 から揚げのいい匂いが空腹のお腹をさらに空腹にする。

 空のものをさらに空にするなんてすごいな俺のお腹。

「それじゃ……」

 

 アムッ

 

「う!」

「どう?」

「うん!すごくおいしい!」

 肉は柔らかく、衣も程よい揚げ加減。

 こんなにおいしいから揚げは食べたことがない。

「それじゃもうひとつ。はい」

「うんっ。おいしい」

「よかった。これ手作りなんだ」

「え、から揚げ手作りなの?」

「うん。お弁当は全部手作り」

「すごいね。全部手作りなんて」

 俺の弁当は全部レトルト品を自然解凍した詰め合わせだよ。

「今度なにか作ってこようか?」

「え、いいの?」

「うん。趣味が料理とお菓子作りしかできないから」

 なんて女子力の塊なんだろう。

 こんな人が彼女なら幸せなんだろうな。

「なに、楽しそうにしているの?」

「あ、起きたか。これ美味しいから食べさせてもらったら?」

「はい、どうぞ」

「う、うん!おいしい」

「だろう!料理がだきるなんてすごいなー」

「そんなことないよ」

「そんなことあるよ。料理ができる女性って素敵だな」

「もー、誉めてもなにもでないよ」

「それは、残念」

「ごめん。マリーちょっと用事思い出した」

「そっか。また」

 そう言って素早く出ていった。

 それほど大事な用事なら俺の隣で寝てるなよ。

 

「……あちゃー、これはやり過ぎたかな」

 

「うん?どうしたの?」

「ううん。私も用事を思い出したから」

「そっか。弁当ありがとう」

「いいよ。それより彼女のこと大切にね」

「え、う、うん?」

 謎の笑みで出ていってしまぅた。さて、一人になった。

 お腹は満腹。

 次の授業まであと一時間はある。

 どこかで昼寝でもしようかな。

「いや、明日の天気とか必要なもの調べておこう」

 さっそく、現代文明の小型パソコン。スマホを使いネットを開き調べものを始めた。

 

 

 そして、今。

 朝早くから待ち合わせした俺が運転する車で海に向かった。

「いやー、今日は晴れて良かったな」

「そうね。これこそシャイニー!」

「久々に聞くなそれ」

 アイドル時代には耳にタコができるほど聞かされた言葉。

 今ではあまり聞かなくなってしまった。

「それにしても釣りの一式、本当に用意しなくって良かったのか?」

「ohyes!釣り道具はパパが持ってるのを貸してもらったから」

「よくお父さん許してくれたな」

 社長の娘さんを朝早くから連れ出して俺大丈夫だよな?後ろの黒い車はボディーガードとかではないよね?

「それよりどこで釣りをするの?」

「ああ、それなら少し行ったところにある釣りの名所があるから」

 目的地につくまでの車の中は楽しい話しで盛り上がった。

 車を止め、荷物を下ろす。

「ここが目的地?」

「そう。釣り人の中では穴場らしい」

 木負堤防。陸から海へと伸びた道に赤い灯台が目立つ隠れた釣りスポット。

「さーて、釣りを始めますか!」

「うん。レッツenjoy!」

 うきうきと糸を海に垂らした。

 

 ~~数分後~~

 

「釣れないな」

「釣れないね」

 全く魚が釣れない。

 あれから話しをしながら待っていたら、人が次から次えへとやって来た。

 隣で魚を釣り上げる人を見ては負けてられないとやってみたが。

「時間だけが過ぎていく」

 波の音と鳥の声。

 そして、

「スゥースゥー」

 寝息が聞こえる。

 隣をみると、頭がコクッコクッと動いていた。

 朝早いかから来ていたから眠いんだろうな。

 隣で寝る彼女の横顔はいつ見ても飽きない顔だ。

 俺は静かに糸を海に垂らして魚がかかるのを待った。

 

 

「う、うーん!」

 腕を伸ばしながら起き上がる。

「良く寝ていたな」

「うん。good morning!」

「なにがgood morningだ。もうお昼過ぎだ」

「え、お昼?」

 彼女は首を傾げ太陽を見て顔を戻した。

 

「お昼!」

 

 大声をだして周りの人たちが振り向く。

「それなら……」

 彼女は自分が持ってきた大きなかばんを漁った。

「はい、お弁当」

「え、弁当?」

「そう。お弁当」

 風呂敷を解いてふたを開ける。

「おお、弁当だ」

 一段目にはおにぎり。

 二段目には卵焼きにウインナー、トマトにブロッコリー。そして、から揚げ。

「これ、全部手作り?」

「うん!」

「それじゃ、一口いただきます」

 から揚げを一口、いただく。

 

「お、美味しい!」

「本当!?」

「美味しいよ!」

「昨日のから揚げとどっちが」

「こっちだよ!」

「よかった。昨日帰ってすぐ準備したから」

「昨日……?」

 そっか。そういうことか。

 昨日早くいなくなったのは今日のために弁当を準備したからか。

「昨日寝ている間に仲よさそうにしているから」

 ああ、これは嫉妬ってやつか。

「なに言ってんだよ」

「ごめんね。こんな彼女で」

 下を向く彼女。

 

 俺はなにやってんだよ。

 

 こんなことでいいのか。

 

 違うだろ。

 

「ちょっと付き合ってくれ」

 そう言って。俺は釣り道具をしまい車に積む。

 車を走らせて沼津港にやってきた。

 沼津の海に立つ大きな水門。びゅうお。

 ここは津波から街を守るために作られ、最上階が展望台になている。海と街を見渡せることができ、富士山も見ることができる。

 エレベーターに乗って最上階に行く。

 夕日が海に沈むところだった。

 

「前から思っていたけど自分を下に見すぎだよ」

 

 あの頃もそうだった。自分には無理など言っていた。

 

「俺はその笑顔で助かったことが何度かあるんだ」

 

 いつも隣で支えてくれる笑顔。

 

「今日、釣りの帰りにここにこようとしていたんだ」

 

 俺は沈む太陽を見ながら言う。

 

「そしてここで言おうと思って」

 

 彼女の手を握って、

 

「好きだ」

 

 彼女の顔を見ながら。

 

「こんな俺だけど一緒にいてほしい」

 

 言う。俺の願いを。

 

「しかたないな。いつも一緒だよ。darling!」

 その顔はいちもの元気な小原鞠莉に戻っていた。

 違うのは頬の赤みはいつも以上に赤かった。

 

 




マリー!誕生日おめでとう!

自分は英語が苦手なので英語に自信がありません。そのためマリーが時々言う英語が少ないためマリーに近づいていません。マリー好きの方々すみません。
マリーはなんだか自分の事は話さないタイプだと思います。そして、そんなマリーが少し嫉妬深いといいなと思いました。
マリーの誕生月にユニットCDの発売しましたね。
もちろん買ったよ。マリーの声を聞いているだけで楽しくなってきます。
6月18日は沼津にGuiltyKissの皆さんがきますね。けど、どうやら自分は行けないようだ。代わりにアザラシを……。

そんなことより、この作品のあらすじを少し変えてみました。
この作品を読んでくださってる皆様に沼津のことをもっと知ってもろうとこの作品を書き始めました。
この作品で沼津を気に入ってくださった方は作品に出てくる場所を回ってみてはどうでしょうか?

お気に入りが次から次へと増えて、メールで間違いを指摘してくれる皆様ありがとうございます。どうかこれからもよろしくお願いいたします。

なかなか続きが書けず約1ヶ月はたってるかもしれませんが、次の作品を楽しみにしていてください。

こらからも、あなたのハートにロック・オーン
☆⌒(*^∇゜)v

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