輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第15話 休息のはずな土曜日

 

 

 今日は土曜日。

 この一週間はいろいろあった。うん、本当にいろいろあって一ヶ月間は過ごしたと思ってしまうほどだ。

 まあ、そんなことないんだけどね。ないんだよね?本当にないよね?俺だけ違う時間軸を過ごしていないよね?

 なんだか不安になってきた。

 これはあれだ、今から迎えに行く人のせいだな。

 えーと、確か10時に駅に待ち合わせだったよな。

 

「あれ、時計動いてない……」

 

 時計が動いてない→今何時かわからない→つまり遅刻

 

「おいおい、待ってくれよ」

 

 それじゃ、今は時間がわからない?

 

「えーとスマホはどこだ。俺のスマホは」

 

 本当に俺のスマホはどこ?どこにやったけ。

 そして、今ふっと気になったことがある。スマホと言うときもあれば、携帯と言うことがある。

 おれはどっちが正しいのどろう。まあ、いっか。

 

「違うだろう。早く支度しないと!」

 

 えーと、昨日は曜を家に送るため千歌に連絡した。その時は確かに持っていた。

 その後曜を家に送り届けたら曜とアドレスの交換をしたんだよな。その時も確かにあった。

 へとへとになりながらも家に帰ってきたら鞄をリビングに放り投げて風呂に入って、夕飯食べてテレビ見てベットに飛び込んだらそのまま寝てしまって。

 あれ、それじゃスマホはリビングに転がってる鞄の中か!

 リビングに向かい転がってる鞄をひっくり返し中身をぶちまける。

 

「ないないないないなーい!」

 

 ない。ないぞ。鞄にないとしたらどこにあるんだ?

 もしかして脱いだ服と一緒に洗濯してしまったのでは?

 

「ないぞないぞないぞないーぞ!」

 

 洗濯した服をすべて外にだしたがどこにも小さな箱は見当たらない。

 本当にどこにやったんだスマホ……。

 うん?なにか忘れてるような。

 

「あ、約束の時間!」

 

 とにかく斜めかけ鞄に財布と本を入れて待ち合わせした場所へ。

 また待ち合わせ場所は沼津駅。家が駅から自転車で30分でよかった。

 

「って、今から迎えに行く人必ずと言ってもいいほど多くの荷物を持ってくる!」

 

 そう必ずだ。土産と言いながら自分の荷物を多く持ってくる奴だった。

 そうだとすると歩いて行くしかないのか。

 そうして荷物を俺が持つことになる。

 

「はあーー、行くのをやめるか」

 

 ~♪~♪~♪~♪~♪

 

 何処からか音楽が流れる。

 この音楽はμ’sの『僕らのLIVE君とのLIFE』だ。

 この曲を聞いているだけでやる気と元気が出てくる。

 

「いやいや、聞いてる場合か!この曲はスマホから流れてる!」

 

 どこだ!どこから流れてる!

 曲は俺の部屋から聞こえる!

 間違いない部屋に入ってさっきより曲がはっきり聞こえる!

 たぶんこれは電話だ!

 相手が電話をかけてきている短い時間で見つけ出さなければ!

 

 聞くんだ。

 相手からの思いを。

 聞くんだ。

 その場所を。

 耳を済まして、目瞑り神経をすべて耳に集中。

 

 ~♪~♪~♪~♪~♪

 

「そこだ!」

 

 俺はベットの下に手を伸ばして掴む。

 手に伝わる振動。

 しっくり来る形。

 見なくてもわかる、これはスマホだ。

 誰かはわからないけど電話を鳴らしたくれた人ありがとう。

 さて電話にでましょうか。

「はい。もしもし」

『あ、やっとでてくれた』

「お、曜か。昨日ぶりだね」

『うん。もしかして今忙しかった?』

「いやスマホどこかやちゃって」

『それじゃ見つかったんだね』

「ああ、曜のおかげでな。ありがとう」

『そんな私はたいしたことはしてないよ』

「曜が電話してくれたから今電話できているからな、今度お礼するよ」

『お礼……私に、なんでもいいの』

「おう、俺にできる限りなら」

『うん。そのお礼期待しているね』

「おう、またな」

 電話を切って時間を確認する。

 

「やっぱり時間過ぎているか……さて、急いで行きますか」

 

 急がなければ、アイツ怒っているな。

 そう言えば、曜はなんで電話してきたのだろう。

 まあ、アイツのおかげでスマホが見つけることができたからお礼しないとな。

 家から駅まで走って行きますか!

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ、なんとか駅についた」

 家から駅までの全力ダッシュ、すごく疲れる。

 さて、どこにいる。たぶん荷物を多く持っていて周りからものすごく見られてる人だよな。

 

「っと、思ったが意外にもキャリーケース1つかそしてあの服装」

 

 間違いない。あの人が探し人だ。

 

「あ、誠ちゃん!遅いよーまったく」

 

 うわっ、一気にこっちに目線が集まった。

 やめてくれよ俺は人に注目集めるのが苦手なのだから。

 

「ごめん、スマホが見つからなかったんだよ」

「それで遅れたの?」

「そう、時間がわからなかったんだよ」

「まぁ仕方ない。許してあげよう」

「はい、ありがとうございます。はい」

「うん?その手はなに?」

「そのキャリーケース俺が持つ」

「おお、やっさしーありがとう」

「へいへい」

 キャリーケースを受け取りもう一度服装を確認する。

「その白衣はいつも着ているわけ」

「そりゃこの服装があたしですから」

「さようですか。それでお昼ご飯どうする?」

「うーん、そうだねお昼か」

 この辺でお昼を軽くすませることができるのは、赤い看板の格安ハンバーガー店にするかそれとも緑の看板のイタリアンのレストランに行くか。

 ゆっくり話しができ何よりこの人がこの問題人を速やかに移動させないとまわりからの目線を移動させたい。

「しかたない、一番近いお店にするか」

「はーい、誠ちゃんが決めたお店にあたしはついていくよ」

 本人から許可が下りたので行きますか。

 

 

 

 

 

「それで」

「うん?ああ、あたしはBセットだよ」

「俺はAセットだ、じゃあない!なんでこっちに来たんだよ!」

「仕事だよ。今度はこっちで働くことになったんだ」

「今度はって、飛ばされたわけではないよね」

「やだなー首にはなってないよ。その目は信じてないな」

「わかったわかった」

 手を伸ばしてポテトを食べる。やっぱり病みつきなる塩加減だ。

「ところで誠ちゃんはどうなの?」

「どうってなにもないけど」

 

「スクールアイドルのプロデューサーになったんだっけ?」

 

「な、どこでそのことを」

「他にも千歌ちゃんと喧嘩したとか」

「ううっ……」

簡単(・・)な謎で皆を翻弄させたとか」

「あ、あれは訳あって」

「理事長もグルだからでしょ」

「そこまでも」

「どうせ、チームの結束力を高めたいとかなんとかで頼まれてやったんでしょ」

「はぁー、わかってるならもういいだろ」

 本当にどこまで知ってるんだ。いや、本当にどこで入手してるだ。

「フフッ相変わらず誠ちゃんはいじりがいがあるね!」

「こっちはこれからストレスが貯まりそうだよ」

「それで、できたの?」

「なにが」

「好きな、ひ・と」

「……っ」

「その顔を見るなりまだなんだ」

「そうだよ。好きになるってこともあの時に無くしたんだから」

「そっか、急がなくてもいいんじゃない」

 飲みものを飲み干して顔を向ける。

 

「だって誠ちゃんに好きな人ができたら、あたし困るもん」

 

 彼女の笑顔は嘘やこれまでの冗談ではなく、本気のものだった。

 

 




お待たせしました。やっと書き上げることが出来ました。
今回は祝15話(特別なし)&祝20話(特別あり)を祝って同時投稿(裏と表)です。
今回は表。

早くもアニメが終わってしまいましたね。感動と興奮を残して彼女たちの物語は一幕を終えました。しかしこの世界の彼女たちはまだまだ終わりません。
これからこそが始まりです!
そう!今からこそが一悶着あるのです。
誠はわざわざ土曜日に会いに行ったのは……正体はまた次回お話しします。

今回はここまで、まだまだ続く彼女たちの物語をどうかよろしくお願いいたします


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