輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第21話 都会へGO!

 

 

 沼津での夏祭りイベントを終えて1週間後のことだった。

 

「大変ですわ!」

 

 部室でそれぞれ夏の暑さに負け、涼しい方法を探りながら過ごしている中、扉を音をたて開けるダイヤさん。

「どうしたのですか?」

「どうしたもこうもありますか!」

「え、えー」

「大変だと言っているのにあなたたちは!」

「あ、あのなのでなにが」

「だから大変のなのです!」

「う、うんー」

 俺は救いを求める目を鞠莉さんに向ける。

「(助けてください)」

「(うん?ああー)」

 わかってくれたようだ。

「もーダイヤたっら。そのことは私が説明するわ」

「そ、そうなのですか」

「さて皆、ダイヤが言いたいことはね……」

 鞠莉さんがタメをつくり誰もが続きの言葉を期待して、楽しみにしている。

 

「このスクールアイドル部に顧問ができました!」

 

「え」

「「「「「「「「えー!!!!!!!!」」」」」」」」

 ダイヤさんが何か言っていたが皆の声にかき消される。

「顧問いなかったんだこの部活」

「え、まー君は驚かないの!」

「顧問だよ顧問!」

「うん落ち着け千歌、曜」

「「えー、だってー」」

「けど私も驚きました」

「梨子が驚くならそれほど大変なことなんだな」

「ねーちょっとなんなのそれ。梨子ちゃんと扱いが違うよね?」

「そうであります!梨子ちゃんと扱いが違いうであります!」

「そんなに大度違うか?」

「うーんそうなのかな?」

「「そうだよ!!」」

「そうかー」「そうなんだー」

 千歌と曜の抗議に俺と梨子は押されて頷くしかなかった。

「それより問題は顧問のことでしょ」

 果南姉が間に入り修正される。

「それで顧問って誰なの?」

「いえ、わたくしが言ってる大変なことはその事ではなく」

「なんなの、鞠利は誰か知ってるの?」

「YES!私たちの顧問になるのは!」

 

「呼んだかなん?」

 

「そう。この人――」

「やっぱり聖来姉か!」

「あれ?誠は知っていたの?」

「知っているもなにも俺の姉さん」

「あっやっぱり。通りで同じ名字だと思った」

「前回のこともあるからもしかしてとは思ったけど」

「ふふっ誠の驚いた顔もなかなかいいねー」

「え、あの鞠利さん?」

「なにダイヤも驚いてるの?あなたも知っていたでしょ」

「ええ、知ってましたわ」

「なのになんでダイヤまで驚いてるの?」

「なぜってわたくしが言いたかったのはこのことではありませんの!」

「うん?」

「わたくしはこのことを言いたかったのです!」

 そう言うダイヤさんの手には手紙が握れていた。

「あー、なるほどお姉さんは帰りますね」

 そう言うとさっさと部室から出ていった聖来姉。いったい何しに来たのやら。

「それで嵐のように来て嵐のように去っていったあの人より大変なこととは?」

 善子が頭を抱えながらも聞いた。

 確かにあの人が顧問なのは驚いたがそれよりもダイヤさんが驚くこととは?

「よろしいですか。落ち着いて聞いてください」

「いいからはやく教えてください!」

「ダイヤは変に間をつくるから」

 千歌と果南姉がダイヤさんを急かす。二人の気持ちはわかる。十分にわかる。はやく話してほしい。

「わかりましたから、顔を近づけないでください!」

 顔を反り逃げる人からそっと手に握ってる紙を奪う金髪理事長。

「えー、なになに。ふむふむ……え、えーー!」

 大声を出して固まる人を取り囲み紙を読んではまた固まる人びと。なんだよこれ。

 そんなアホなメンバーから紙を取り戻しやっと話し始めるダイヤさん。

 

「先日夏祭りでのライブがすごい反響を呼び今回東京でおこなわれる全国スクールアイドルたちによるイベント『東京スクールアイドルワールド』に招待されました」

 

 ダイヤさんの口から話された内容はさっきまでのバカみたいな茶番を忘れさせるほどの内容だった。

 

「東京……私たちが」

 

 千歌の一言で正気にもどるメンバー。

「私たち東京でライブができるの」

「そうだよ曜ちゃん!」

「千歌ちゃん・・・・・・やった!」

「うん。これで東京で優勝したら廃校が阻止できるよ」

「うん。がんばろう」

「目指すは優勝!」

「掴み取れ優勝旗!ヨーソロー!」

「ふふっ二人ともはしゃぐの早いよ」

「だけど東京だよ」

「都会だよ」

「うん。知ってる」

「あ、今のは田舎者を見る目」

「クッ、これが都会育ちの余裕」

「そんなのじゃないよ。誠さんからもなにか言ってください!」

 え、なんでそこで俺が出てくるんだ?

「あ、誠君を頼った」

「それならこちらは果南ちゃんだ」

「えー、なんでわたしなの。梨子ちゃん誠を頼ってもいいことはないよ」

「おお、失礼なことを言うね果南姉」

 

「なにを騒いでますの」

 

「どうしたのダイヤ?」

「どうもこうありますか。東京でライブをするのですならば今から練習をおこないます」

「やる気だお姉ちゃん」

「東京では今練習中の新曲を披露します」

「新曲・・・・・・やろう。優勝を確実にするために」

 千歌の言葉にメンバーは頷き、さっきまで暑さに負けていたのが嘘のように熱気の外で新曲の練習を始めた。

 

「今度こそは優勝をとります」

「お姉ちゃんなにしてるの?」

「ええ、今行きますわ」

 

 

 

 

 

 東京でのライブ優勝を掲げてもう特訓が始まり、気がつけば明日は東京に向かう日。

 夜の部屋、俺は眠れないでいた。明日のライブが気になるのもあるがそれよりも気になることがあった。

「東京か・・・・・・」

 記憶がなくなる前は東京で過ごしていたがそれも覚えてるのは少ない。俺はなにか東京で大事なことを学んだ気がする。だが思い出すことができないでいた。

 もやもやする夜を過ごし、気がつけば朝になっていた。

 

「寝過ごした!」

 

 やっぱり寝過ごした。今から待ち合わせの沼津駅には間に合わない。

 しかたない。皆には先に行ってもらい後から向かうことにした。

 少しお金がかかるが俺は一度三島駅で降り、新幹線に乗り換えた。

 なんで沼津には新幹線がないのかな。新幹線は早いなー。

 なんだかんだ考えていたらもう東京についていた。そこから目的地のライブがおこなわれる会場に向かうため電車を探している時だった。

 

「お久しぶりです。沢田誠」

 

 名前を呼ばれ振り向くとそこには紫色の髪をした二人の少女たちがいた。

 

 




お待たせしました、最新作です。
今回は千歌たちが東京でおこなわれるライブにむかう話しです。今回はいくつか複線を潜ませてあります。まあぶちゃっけ自分は後先考えず書いているのでおかしいところがありますが。なので夏祭り後に東京にいくことになってしまいました。
とにかく自虐はこの辺で。

活動報告で時々ですがミニ物語を載せてます。今回はなんと・・・・・・それは読んでのお楽しみ。

今回はこの辺でではまたお会いしましょう。暑くなってきますので皆さん体には気をつけて

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