輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第25話 離れて近づいて

 

 

駅の改札口から人か出たり入ったりしてる。

 その前で私は千歌ちゃんと手を握っていた。

「しっかりね」

「お互いに」

 私は東京に、千歌ちゃんたちは予選へ。

「梨子ちゃんガンバルビィ!」

「東京に負けてはダメですわよ!」

「そろそろ時間だよ」

「うん」

「チャオー梨子」

「気を付けて」

「ファイトずら」

「それじゃ行ってくるね」

 キャリーケースを片手に改札口を抜ける

「次は、次のステージは皆で歌おうね」

「もちろん!」

 私はホームに向かう。

 見送りに来てくれた皆の中に本当は来て欲しい人は来てくれなかった。

 

 

「さぁ、練習に戻りますわよ」

「よしこれで予備予選負けるわけにはいかなくなったね」

「なんだか気合いが入りまーす!」

「ね、千歌ちゃん……千歌ちゃん?」

 

 

 東京に戻るのは半年振り、いやあのとき皆で行った振りか。

『2番線に三島行きの電車が来ます。黄色い線の内側でお待ちください』

 一人で東京か。少し心配だな。

「お嬢さん、一人ですか?」

 ほら、知らない人に声をかけられるし、どうしよう無視をしてやり過ごしたほうがいいのかな。

「あれ、無視ですかーもしもーし」

「……」

「梨子さーん、こっち向いてもいいのでは?」

「なんで、私の名前を!」

「お、やっとこっち見てくれた」

「誠さん!なんでここに」

「いや、ほら。梨子を一人東京に行くのはさびしいと思って」

「だからってホームまで見送りに来なくっても」

「見送り?言っただろ一人で東京に行くのはさびしいだろって」

「それじゃ、もしかして」

「俺も東京に行く」

「え、ええ!」

「そんなに驚くことか?」

「だって今日は予備予選の日よ」

「そうだけどそれが」

「それがって、私なんかより皆のほうに行ってあげてよ」

「私なんかなんて言うなよ、梨子の事も大切なメンバーなんだから」

「う、うんありがとう」

 頭に手を乗せてくれる誠さんの顔を見ることができない。

 電車に揺られながら沼津の隣の市で降りる。

「あれ、なんで降りる?」

「え、だって乗り換えて新幹線で東京に向かうから」

「新幹線だと」

「ええ、ってあれ」

 なんか物凄い勢いで電車を降りてどっかに行ってしまった。

 どうしようか悩んだけど時間がないから新幹線の乗り場に向かう。

 また一人新幹線が来るのを待つ。

「はぁはぁ、自由席だよな」

「ええ、もしかして走って買ってきたの?!」

「すごい、ものすごい疲れた」

「で、でしょうね」

 まさか走ってチケットを買ってくるとは思わなかった。なんだかそのまっすぐな所と、自分以外に注ぐ頑張りが皆に好かれるところなんだよね。

「そう言えばなんで一緒に来たの?」

「ここまで来て帰れは無しだからな!もう熱海通り過ぎているいるんだぞ!」

「帰れとは言わないよ。ここまで来てくれてありがとう」

「お、おう」

「で、本題のなんで一緒に来0てくれたの」

「なんでって、それは梨子が一人に行くのが心配だと思って」

「それで本心は、誰に言われて」

「だから本心もなにも梨子一人が心配だからで、千歌に言われたこともあるけど」

「そうですか、千歌ちゃんはまだ私を心配しているのね」

「いいじゃないか、心配されるのは嫌いか?」

「嫌いではないけど」

「梨子も今、千歌たちのこと心配しているだろ」

「うん、それはね。本当は私も一緒に出るはずだったから」

「同じなんだよ、千歌も梨子が今言ったことを心配しているんだよ」

「そっか。そうだよね、だからお目付役に誠さんを着けたんだよね」

「そうなのかな」

「うん。きっとそうだよ」

 笑いながら新幹線に揺られながら東京に着く。

「ここが東京……」

「あれ、誠さんは前は東京に居たんですよね」

「うん。少しの間だけど」

「その時にもう見飽きたんじゃ」

「うーん、そうなのかな」

「私は見飽きたからなのかもしれないけど、新鮮に感じる」

 新鮮に感じるのはきっと今住んでる沼津がこことは違って人が少なくなにも無い場所だからなのかもしれない。

 それでもあそこにしかない大切場所、大切な人たちと出会えて私は良かった。

「うん。やぱっり新鮮だよ」

 今あなたが隣にいるかもしれない。

「ねえ、今からどうする?」

「どうするって練習するんだろ」

「うーん、練習はまだ大丈夫かな。今は本番前に遊びたい気分」

「そっか、それじゃどっか行くか」

「うん!」

 誠さんと二人で遊ぶのは初めてかも。

 二人になったのは夏休み前ピアノを聞いてくれた時以来かな。あの時はこんなふうに二人で東京に来て、二人でどこかに行くとは思っていなかった。

 私はもしかして少し前進できたのかな。

「それでどこに連れてってくれるんですか」

「どこに行こう」

 誠さんとの関係はもしかして一歩後退しているのかな。

 

 

 

 

 

 あれから何だかんだ言って私がひぱっていった。

 始めはお昼と言い何か食べに行った。

「ここに行きましょう」

「ここはカフェか」

「なんかここのサンドイッチが美味しってネットに書いてあって」

「ネットかよ。まあ入ろうお腹減った」

「ええ、お腹減りました」

「おお、かなり人気だね」

「さあ、早く注文しましょう、すいませーん」

「えーと、どうしようか」

「私はサンドイッチと食後にパフェを。誠さんは」

「え、待って。俺はー、このスパゲティで」

「もしかして誠さん優柔不断」

「優柔不断ではない、決められないだけだ」

「そのような人を優柔不断って言うのよ」

「はは、そっか。おお来た」

「これが人気のサンドイッチ」

「おいしそうだねって早速写真を撮るのか」

「だって向こうの人たちって写真撮らずにパクパク食べちゃうんですもの」

「それはもう見飽きたものしかないからな」

「だからって私が撮っていると驚かれるのよ」

「それはなんか目に見えるな」

「でしょ、あ、パフェ来たら写真撮るるので待っていてください」

 ごはんのあとは少し町をぶらぶらしたりして、なんだかカップルのようなことをしていたな。

 カップルはいいすぎか。でも次に向かった場所はカップルが多かった。

「ここは……」

「少し興味あって」

「へー、俺外で待っているから梨子楽しんできて」

「待って。私一人で行かせるの!」

「行かせるもなにも入れないよ」

「大丈夫。二人で行けば怖くない」

「いやいや、行けるかよこんな場所。まだ高校生だぞ」

「高校生も来る場所よ、きっと」

「きっとてなんだよ」

「とにかく来て、一人はいや!」

「あのーどうしましたか」

「あ、いえ、大丈夫です」

「そうですか?そのお連れ様は」

「大丈夫です!行くよ誠さん!」

「だからって入れるのこんな女子女子した場所に」

「何を今さら一歩足を踏み入れたら覚悟を決めて買い物に付き合って」

「付き合うって俺早く出たいんだけど、周りからの目線が痛い」

「それは気のせい。あ、このシュシュ可愛い」

「そうだな」

「それも10色もある」

「それはいいな」

「これ買ってくる」

「おう。シュシュってそんなに必要か?」

 確かにあのお店は女子が多くまわりからの目線はすごかったけど、いいものが買えた。明日皆のところに届くかな。

「ゲーセンは初めて?」

「いえ、善子ちゃんに連れられて。善子ちゃんすごくクレーンゲーム上手くって」

「善子にそんな隠れた力があるとは」

「なんでも堕天使は落ちてるものを拾うのが得意とか」

「おお、なら俺も得意だぞ」

「え、誠さんもゲームが得意で」

「おう。見せてやる」

「見せてやるってこれは、お菓子とかすくうやつでは」

「だから俺もお菓子を救う!あ、今のはお菓子をすくうと救うをかけていて」

「そんな千歌ちゃんみたいなダジャレはいいです」

「はい……、よし見よ俺の力を!」

「おお,おお!」

「ほらこんなに取れた」

「ふふ、私は写真を撮って誠さんはお菓子を取って」

「それはダジャレかな?」

「え、違います」

「本当に」

「本当に」

 ふふ、私の中の緊張は一体どこに行っただか。

「今日はありがとう」

「こちらこそ」

「無事スタジオに着けて練習をするけど聞いてきます?」

「いや、やめてとく。本番楽しみしているよ」

「はい。それじゃ失敗できませんね」

「大丈夫だよ梨子なら。それじゃ」

「はい、また明日」

 夕方になって私をスタジオまで送ってくれて別れた。

「そうだ千歌ちゃんたちに電話しよう」

 無事スタジオに着いたことでけでも伝えないと。

「あ、千歌ちゃん。今平気、うん東京のスタジオに着いたから連絡しておこうと思って」

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 私がいなくっても千歌ちゃんは楽しくやっていいる。

 私がはいなっくても違う人が入っていた。

「やぱっり千歌ちゃんは私より……」

 これはあれなのかな、鞠莉ちゃんが言っていた嫉妬なのかな。

 もしかして私はずっと誰かに嫉妬していたのかな。

 確かに誰にも容量が良いって思われてる。それは千歌ちゃんも思っているんだよね。

 だから私なんかより……。

 

「本音って何て言えばいいのかな」

『千歌ちゃん私と梨子ちゃんどっちが好き』

「これは違う」

『千歌ちゃん私のこと好きじゃないよね』

「これもちがーう!」

『私、渡辺曜は千歌ちゃんのことが全速先進ヨーソロ!』

「うわー、なんか訳わかんなくなってきた」

 うん、こんな時に梨子ちゃんから電話だ。

「もしもし、どうしたの?なにかあったの?」

『うん。曜ちゃんが私のポジションで歌うことになったから。ごめんね私のわがままで』

 梨子ちゃん知っているんだ。きっと千歌ちゃんが伝えたんだ。

「ううん、ぜんぜん」

『私のことは気にしないで、二人でやりやすい形にしてね』

「でも、もう……」

『無理に合わせちゃだめ、曜ちゃんには曜ちゃんらしい動きがあるから』

「そんなことないよ、千歌ちゃんには梨子ちゃんがいるから。千歌ちゃんも梨子ちゃんのために頑張るっていっているし」

『そんなこと思っていたんだ。千歌ちゃん前話していたんだよ――』

 千歌ちゃんがそんなことを思っていたなんて。

 千歌ちゃんも思っていたんだ。

 私は千歌ちゃんと何かできたらいいと思っていた。なにかしたいと思っていた。

 

 

「曜ちゃーん」

 

 千歌ちゃんに呼ばれた気がして周りをみると、堤防に千歌ちゃんが立っていた。

「千歌ちゃんどうして」

「練習しようと思って」

「練習……」

「うん。やぱっり曜ちゃんの自分のダンスでしたほうがいい!合わせるんじゃなくって私と曜ちゃんで二人だけの!」

 

 千歌ちゃんも思っていてくれた。私となにかをしたいと、何かを始めたいと。

 

「どうして後ろ向いてくるの?」

「いいの。どうしたの、こんなに汗かいて」

「バス終わっていたし、美渡姉たちも忙しいっていうから」

 それで自転車で、こんな時間に。

「曜ちゃんずっとなんか気にしていたから、居ても立っても居られなくなって」

「私、バカ曜だ」

「バカ曜?うわ!汚れるよ」

「いいの!」

「風邪引くよ」

「いいの!」

「恥ずかしいよ」

「いいの!」

「もうなんで泣いているの」

「いいの!」

「ほら、タクシーの邪魔になっているよ」

「いいの!」

「よくないよ」

「いいの!」

「いや、だめだよ!」

「だってバカ曜だもん」

「いやわからないよ」

「いいの!」

「なんだ解決したのか?」

「あれまー君」

「これはどう言う状態だ?」

「いいの!」

「なにが!」

「さっきから曜ちゃんこれしか言わないの」

「おーい、曜。風邪引くぞ」

「バカ曜だから風邪ひかないもん!」

「すごい解釈だな!バカ千歌どうにかできないわけ」

「うーん、こんな曜ちゃん珍しいからな、わからない」

「そっか。やっと、自分の思いに素直になれたのか」

「うん。そうみたい」

「なんか、さっきから二人だけの空間つくってる」

「そんなことないよ曜ちゃん!」

「やっといつもの調子に戻ったか」

「うん。千歌ちゃん少し恥ずかしいところ見せてごめんね」

「ううん、少しじゃないよ。いっぱい見させてもらった」

「うう、そんなに」

「けど、それで曜ちゃんの新しいことが知れて嬉しい!」

「千歌ちゃん……!」

「そうだぞ、これからは周りに辛くなる前に打ち明けろ」

「誠君……はなんでここに?」

「千歌から電話受けて急いで東京から来たんだよタクシー使って」

「そか、ありがとうね誠君」

「おう」

 

 

 

 

 

「私わかった気がするの。千歌ちゃんがスクールアイドルじゃなければならないのか」

「うん。千歌ちゃんにとって輝くとは誰かと手を取り合って輝くことなんだよね」

「私や曜ちゃん。普通の皆が集まって一人じゃ作れない大きな輝きを作る。それが学校や聞いてる人に広がっていく繋がっていく」

「それが千歌ちゃんがやりたかったこと。スクールアイドルに見つけた輝きなんだ」

 

 

 

 

 今頃千歌たちは予選で力を奮ってるときだろう。

 そして今梨子も一人でピアノを弾いている。

 離れていても思いは同じ。

 きっとそれは俺の右手にも皆の右手につけたシュシュが現している。

 

 




前回曜回って言ってましたがあれは嘘です。
嘘っていっても最後に少ないですが曜の話しがあります。今回の話しは梨子が東京に行くのと、曜が一人いろいろ思う今回の話し。
梨子と一緒に誠も東京に行きます。この後も東京で誠はもう一つの話しがあります。
曜はこの時やっと自分に素直になれた。けど忘れてないだろうか?曜と誠には二人だけの秘密を。
このあとの展開に見逃さないでください。
まあ、今回はこの辺でまた会いましょう。それでは早いけどハッピーハロウィーン!

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