今回は二年生がメイン。そして、PVの撮影!
あのPVの曜ちゃん可愛!
それでは、第4話を楽しんでください。
土曜の練習は遅い始まりになった。
練習は準備体操から始まり、運動場でランニングをして体を温める。その後ダンスの練習をして、少し休憩。
いや、悪いのは俺だよ。一年生たちは悪くない。少々俺がふざけ過ぎた。
久々に会った善子のことをルビィさんと花丸さんに思い出話をしていたから遅れてしまった。それでも楽しい時間だった。
「それで……」
「それで、とは」
「なんか一年生たちと仲が良いというのか……」
なんで千歌さん、怖い顔をしているのですか?
「ムスー」
頬を膨らませている姿がまた可愛い。
俺が千歌と顔を近づけていると、背後に人の気配を感じ振り向くと、
「もー、まだ怒っているの?」
「怒ってないよ、曜ちゃん!」
渡辺さんが立っていた。
「いやいや、その顔は怒っているから」
「怒ってないもん!」
さらに、怒りだす千歌。
俺は渡辺さんに腕を引かれ千歌から離れる。
「ハアー、何したの誠君」
「えー、俺のせいなの」
俺だって千歌が怒っている理由がわからない。
ハアー、どうするか。
てか、なんでこんなにアイツのことで頭を悩ませる。うん?
「あれ、渡辺さん俺のこと」
「うん、誠君でしょ。沢田誠君」
「そうだけど、名前でよんでもらえるとは……」
「誠君って意外にシャイだよね」
「うえぇぇ!」
「顔赤いよ、誠君」
「渡辺さんは意地悪だ」
「曜」
「え、なんだって」
「曜。私の名前は渡辺曜。だから曜って呼んでほしな『さん』無しで」
「君は意外に積極的だね。曜」
「ふふっ」
「ははっ」
二人で笑いあった。
「なんだか、二人とも仲良くなったみたいだね」
「あ、梨子ちゃん」「桜内さん」
「私のことも名前で呼んでほしいな」
「えーと、梨子」
「うん。よろしくね誠君」
「もーう!なんで三人とも楽しそうなの!」
千歌がまた怒ってやって来た。
だからって俺にのりかかるなよ。
「ほら、今日はPV撮影もあるんだから!」
そうだった。今日はAqoursのPV撮影のために俺は呼ばれたんだ。
「そうだな。なら早く撮るぞ、日がくれる前に」
早くやろう。向こうからダイヤさんがすごい目線を向けてきてるから。あの目からレーザーでそうな勢いだぞ。
「どう?いい画、撮れた?」
俺が撮ったビデオカメラを確認して見ていると、顔を隣につけてくる千歌。
どうやら、機嫌は直ったのか少しいい顔をしていた。
「ああ、よく撮れている……」
本当だ。よく撮れてる。よく。
しかし、それだけだ。
「今日はここまでだね。かえ――」
「もう一度だ」
「ろう。え?」
「もう一度撮るぞ」
「え、だって撮れてるって」
「撮れてる。けど、これはそれだけだ」
「どういうこと……」
「お前は誰にこの歌と踊りを見せたいんだ」
「え……」
「本当にお前はこれで満足なのか?」
「…………」
「千歌。お前はアイドルだろ」
黙って俺の話しを聞く千歌。
「俺はお前たちのファン第1号だぞ?」
「……第1号?」
「第1号の俺を満足させるPVを見せてくれよ」
千歌は顔を伏せる。
少し言い過ぎたか、と思ってるとすぐに顔を上げ、走りだす。
「ファン第1号のまー君を満足させる物を見せてあげる!だから……」
遠くで叫ぶ。
「よーく、見ていてねー!」
遠くでもわかる。
「おう!任せておけ!」
アイツは、千歌は笑ってる。
どうでしたか?
自分は前々から思っていました。
「あのPVは誰が撮ってるんだろう?」
「もしかして、十人目がいるのでは?」
そこで、生まれたのが誠でした。
「十人目が男。面白い!」と。
そういうことで、誠をこれからもよろしくお願いいたします。