とある世界の蘭の花   作:フタチマル2号

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今更ですが原作読まないとわかりにくくなっています。


二話

「あー、ほんと気分わりぃ」

 

白蘭はコンビニから弁当を買って家に帰ろうとしていた。彼は普段料理はするほうなのだが、今日は気分が優れない。

沢田綱吉に倒される夢、アレをここ最近毎日見続けているのだ。ほとんどトラウマになっている。

 

「…?、」

 

何時も通る道で家に帰ろうとするといつの間にか違う道に来ていた。ぼーっとしていたので間違えたと言うのもあるが、どこか違和感を感じる。

まるでこの道を通って欲しくないような…

 

「ああ、実験か何かしてんのか?それとも非科学か」

 

白蘭はこの世界では学園都市の闇には何もと言っていいほど関わっていない。もちろん魔術にも。

そう、《この世界》では…だ。このような現象はここと似た世界で何度か体験している。

 

「めんどくさいな」

 

白蘭は学園都市があまり好きではない、この世界では体験していないがパラレルワールドの情報を得て裏で何をしているか知っている。

実験の度に犠牲になる子供たち、非人道的な行為の数々…

特に学園都市のトップの アレイスター=クロウリー、 奴の考えは全くわからない。だが学園都市の裏では奴が絡んでいることは間違いない。

最も彼は責めることができる立場にいないのであるが。

 

そして直進する。わざわざコレをしている奴に話に行くわけではない、家に帰るためだ。こちらに攻撃して来るようでは話は別だが…

 

 

 

「ん?」

 

自分が住んでいるマンションの前に着くと妙な女がいた。バランスが悪い変な服と長刀、明らかに学園都市のものではない。

 

「人払いはしておいたはずなのですがね…、貴方は何者ですか?」

「見てわかんないのか?ただの学生だよ。その人払いってのを無視できる」

どうやら魔術師たちが何かしているようだ。それにマンションが燃えている。最低でも二人いる。

 

(つーことは、上条…まあ大丈夫か)

 

異能であれば何でも打ち消してしまう彼は部屋にいることだろう。炎を使う奴がいるようだか、彼は何かと悪運が強い。それに単純な能力者なら能力を消してしまうので余り心配はいらないはずだ。

 

「それをただの学生と呼ばないと思いますが、このままこちらに干渉するようであれば。こちらも対応を取らざるを得ないのですが」

 

「へーそいつは残念。クラスメイトが火事に巻き込まれてるかもしれないんでな、無理にでも通させてもらおう」

 

「残念です…」

 

魔術師は一瞬で白蘭の後ろに回りこみ手を手刀の形にして首を優しく叩く。殺しはせず、気絶を狙ったのだろう。

 

だが白蘭は倒れなかった。

 

「な!?」

「いってぇな。ああ、あんた聖人か」

 

白蘭の言う通り彼女は世界で二十人といない聖人だ。とてつもない身体能力を持った まさに神の子である。

手加減したとはいえ白蘭はその聖人の一撃を耐えたのだ。

 

「貴方…本当に何者なのですか?」

「上瀬白蘭。ああ、何で気絶しないって意味で聞いてんのかな…、いきなり手刀食らわせてくる奴に教えると思うか?」

 

それもそうだ。相手に何者かと聞かれて答えるわけがない。

 

「…では何故私のことを知っているのです?」

 

さっき白蘭は聖人と言うことを自分から言っていた。それも思い出したように、それは聖人がこの世にいることを前から知っていたということだ。もともと科学の者はそのような存在、全く信じないだろう。

 

「…答えると思ってんのか?」

「………そうですね。倒してから聞くとしましょう」

 

白蘭を敵とみなし倒すべきと決めたのか、聖人 神裂火織は腰にかけている刀へ手を伸ばす。

 

「七せ…!?」

 

神裂が行動しようとした瞬間、刀が消えていた。

 

「へー、ワイヤーを使った攻撃ねぇ…折角の身体能力が勿体無い」

 

否、白蘭の手の中にあった。あの一瞬にして神裂の刀を奪ったのだ。

神裂は驚いていた。聖人から物を奪うなどそう簡単にできる者ではない。

 

「なッ…!いつの間に…」

「いつだと思う?」

「……超能力ですか…、」

 

刀が奪われたからといって聖人の力が削がれたわけではない。神裂は音速で白蘭に迫り蹴りを入れようとする。頭へ向かったハイキックだ。しかも今度は手加減無し。常人ならば間違いなく頭が吹き飛び、かなりエグい状態になってしまうだろう。

 

「おお、速い速い」

 

しかし白蘭はその蹴りを躱し、その後の連続する攻撃も全て交わしてしまう。

 

「なに!?」

 

神裂は自分の攻撃が当たらないことが信じられなかった。聖人である自分の攻撃を見切って交わしてしまうなど同じ聖人、それも上位の者でなければ不可能だ。それをこの男は簡単にやってのける。

そして白蘭は後ろへ跳ぶ。結局一撃も与えられずに逃してしまった。

 

「まさか…、聖人?」

「その答えはあんたがよく知ってると思うがな」

 

ありえない、聖人もともと魔術サイドに来る者だ。それに彼からは全く天使の力が感じられない。間違いなく科学側の人間だ…

 

「ほれ」

 

「なんの…つもりですか?」

 

白蘭は神裂の足下へ刀を投げる。神裂としては意味がわからない、わざわざ奪った武器を敵に渡すなど。

 

「余裕のつもりだよ。 見てわかるだろ」

 

挑発のようだが神裂はいたって冷静だった。直ぐに七天七刀を拾い、白蘭に向かい構える。

 

 

だがそこにはすでに誰もいなかった。

 

「え…」

 

神裂は今自分に起きている状況が理解できなかった。さっきまで戦っていた敵が消えたのだ。頭の中の疑問を声に出さずにはいられなかった。

 

「『空間移動』…ですか。…だとするとあの身体能力は一体…?」

 

 

 

 

 

 

 

「しまった、最初からこうしとけばよかったな」

 

上条が危ないのであればさっさと敵を撒いてこちらから片付ければよかった。ついこの世界で自分の能力を使い戦うことが初めてだったので色々と試してしまった。

 

 

「まあ『この力』…この世界でも上手く使えるらしい」

 

白蘭の能力、もちろんパラレルワールドとの記憶の共有化だが、表向きの能力は違っていた。

それは”死ぬ気の到達点”、死ぬ気の境地に達した者が扱うことができる力だ。力を発現した者は全身の細胞一つ一つから死ぬ気の炎が噴き出し圧倒的な身体能力、炎を得る。彼が扱う炎は 夜の炎 と呼ばれる。夜の炎の特性は詳しくは知らないがテレポートができることだけは分かっている。

これらの情報は違う世界で『復讐者』に聞いたので間違いはない。最もあの復讐者達が素直に真実を話すとは思えないが…

 

どうやら上条はもう一人の魔術師を倒してしまったようだ。炎が消えて、長身の赤い髪の男が伸びている。

 

「女のとこに置いとくか…」

 

ここに置いとくのもマズイのでさっきの魔術師のところへ夜の炎を使い飛ばして置いた。

 

「おい、上条」

「上瀬!小萌先生の家わかるか!?急いでるんだ‼︎」

 

上条を見つけて声をかけるといきなり小萌先生の家の場所を聞かれる。上条の背には白い服を着たシスターが乗っているようだが。

 

「そう慌てんなよ、火事があったんだからまずは警備員でも読んで…「それどころじゃねぇんだよ!コイツがやばいんだ‼︎」

上条はシスターを白蘭に向ける。シスターの背からは血が流れ、白い修道服が真っ赤に染まっている。

 

「事情を説明している暇はねぇ!」

「!そいつ……上条、まずは病院だろ」

「ダメなんだ!コイツはここに無断で入ってきてる。病院じゃ見てもらえねぇんだ!」

 

大体の事情は分かった。恐らく魔術師は二人、あの女と炎を使う奴、そいつらはそこのシスターを狙い。

そしてなぜか今は小萌先生が必要…?ということだろう。

 

「…わかった、そいつを貸せ」

「え、そんなことより…「いいから」…わかった」

「電話するからお前も来い」

「…?どういう…

「説明してる暇はないんだろ」

 

白蘭は夜の炎で小萌先生の家へシスターを抱え移動した。

上条はその場に残され、今だ状況が理解できていない。

 

「…上瀬…?」

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