灰と幻想のグリムガル Extra   作:キリュウ

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今回少し短めです。

どうしようか迷いましたがここで一旦区切ります。

ではどうぞ~


第十話 : 新たな波乱?

 

 

 

ホーネン師というマナトの師匠(せんせい)だった人に俺たちがこれからしなくてはならないことを俺とシホルは教えられた。このままマナトを放置してしまっていては不死の王(ノーライフキング)の呪いというものによって、ゾンビかしてしまうらしい。この辺境で適切に埋葬されぬ死者は、長くても5日、早ければ3日でそうなるらしいのだ。

 

「それは、マナトを火葬しろってことですよね。」

「然様。オルタナの外に焼き場がある。呪いに蝕まれぬよう亡骸を炎で浄化したのち、丘の上の墓場に葬るのだ。」

 

ホーネン師の言葉を受けて、俺はハルヒロたちを一人一人見回す。ユメやシホルは二人で抱き合い涙を流していた。ランタもどこか上の方を見ながら腰を下ろし、モグゾーも神殿の外を眺めている。ハルヒロだけは俺とホーネン師の方をじっと見ていた。俺はハルヒロの目を見て、一度目を閉じ、そしてもう一度目を開けてから口を開いた。

 

「わかりました。そうします。・・・あの、一ついいですか?」

「何だ?」

「その火葬、それも金がかかるんですよね。」

「・・・持ち合わせがなければ、わしが払おう。」

「っつ!いいよ!」

 

そう叫んだのはハルヒロだった。

 

「いや、・・・いいです。金は俺たちがどうにかします。だって、マナトは、おれの、・・・俺たちの、仲間だから」

「----そういうことですから、お気持ちだけ感謝します。・・・じゃあ俺たちも動くか。」

 

俺がマナトを背負おうとしようとしたら、モグゾーが咄嗟に「僕が持つよ」と進んで背負ってくれた。俺の身体中の小さな怪我を心配してくれたのだろう。そしてゆっくりと俺たちは指示された火葬場にまで足を運んだのだ。

 

 

 

丘の上というよりは中腹あたりのあいた場所に穴を掘って、白布にくるんだ骨をハルヒロが埋める。そして埋めた場所に抱える程度の石を、その上に置いた。この石にはマナトの名前が刻んであり、赤い塗料で着色された義勇兵の三日月の紋章が特徴的だった。この周辺のいたるところに同じものが存在する。焼き場で50カパー、墓場で50カパー、よって埋葬にかかった費用はしめて1シルバーだ。この金は一先ず俺が支払った。ショートスタッフや背負い袋などの遺品もどうにかしなければいけなかったが、今それをハルヒロたちと話せるほど、ハルヒロたちに余裕は無かった。そしてハルヒロが埋め終えてから誰もこの場を動こうとしない。いや動けないのかもしれない。この後どこに向かっていけばいいのかわからないのだろう。沈黙を破ったのはランタだった。

 

「行くわ、オレ。」

「・・・どこ行くん?」

 

とユメが尋ねると、ランタはやけくそになったみたいに「ハッ」と短く笑った。

 

「どこだっていいだろ。今更・・・どうにもなんねーんだからよ!」

 

直後に「パンッ!」と乾いた音が響く。

 

「あほうっ!」

 

ランタはユメに叩かれた頬に手を当てながらユメの方を見たが何も言わず口を閉ざした。いつもならすぐに何かしら捲し立てるランタも今のユメの表情を見ては何も言えないようで、ランタは結局、ユメに何も言わずその場を去った。ハルヒロがランタを追いかけていき、モグゾーは俺とユメとシホルの方を見てきた。俺が顔でハルヒロたちを追ってやれと合図すると、モグゾーは小さく頷いて、ハルヒロの後を追った。そして俺は残っている2人に視線を向けた。

 

「・・・どうする。ランタの言うことにも一理ある。一先ず、俺たちもオルタナに戻らないか?」

「うん、そうする。」

 

ユメは涙であふれた目を拭き、立ち上がった。俺とシホルと違って、マナトが死ぬ瞬間を見ている4人はかなりまいっていた。

 

(ランタあたりはもう義勇兵辞めてやるとか言ってそうだな)

 

俺はそんなことを思いながらユメと一緒に泣きながら慰め合っているシホルたちの後ろを歩きながらオルタナの宿屋に帰った。宿屋に戻り、シホルとユメは今日はもう休むということで部屋に戻った。俺も部屋で休みたかったが、やるべきことを先に片付けたほうがいいだろうと思い、あの後、倒したゴブリンから手に入れたものを売りに行った。今回手に入れた金額はかなりのものになった。やはり何と言っても鎧のゴブリンが持っていたものが金になった。合計で18シルバー。見習い義勇兵から義勇兵になるには20シルバー必要だから、俺だけならもう義勇兵団章が買える金額だ。俺はその後、ぶらぶらと歩き、気が付けばオルタナの北門の近くに来ていた。ハルヒロたちを探していたわけじゃなかったが、気が付いたら宿屋ではなくここにいた。

 

「おい」

 

後ろから声が聞こえた。俺に言ったのかわからなかったので、顔だけ俺は後ろに向けてみると、一人の男が立っていた。

 

「・・・何かようか?レンジ」

 

後ろに立っていたのはレンジだった。レンジの背に小さな女の子が一人隠れているだけで、他に連れはいないようだった。

 

「お前らのパーティで起こったことを聞いた。マナトがくたばったらしいな。」

「・・・あぁ、まぁな。話はそのことか?」

「最初にあのオカマの所でお前に言ったことを覚えているか?」

 

忘れてはいなかった。なんせまだ日数にして一ヵ月ぐらししかたっていないのだから。

 

「覚えているさ。だが、返事は変わらない。その理由くらいわかるだろ?」

 

今俺がこのパーティを抜けてしまえばもう文字通り本当に生きてはいけないだろう。だから俺はレンジからの誘いを断った。

 

「そうか。おい、チビ。」

 

レンジの後ろに隠れていた少女がひょこっと顔を出した。そしてレンジに何か言われたのか俺の近くに寄ってくる。

 

「光よ、ルミアリスの加護の元に---癒し手(キュア)

 

だいぶ小さな声ではあったが治癒魔法を使ってくれたのがわかった。俺の腕や足にできていた切り傷がふさがっていく。チビと呼ばれた少女は俺の傷がふさがるのを確認すると、俺の目をちらっとだけ見た。一瞬しか目は合わなかったが、その時ほうとうに小さな声だったが「がんばって」と聞こえた。そして少女はまたレンジの元まで小走りで移動しまた背に隠れるようにレンジの背後にまわる。

 

「---ありがとう。」

 

俺がそう言うとレンジは何も言わずオルタナの町の中へと進んで行った。

 

(まったく、これは一つ貸しを作ってしまったってことなのか?)

 

恐らくレンジは俺を誘っても来ないことはわかっていたのだろう。それをわかっていながらも俺を気づかい声を掛けてきたのだ。そうでなければ都合よく神官の仲間だけを引き連れて歩いているわけがない。俺は心の中でレンジに感謝し、俺も宿屋に向かって脚を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、オルタナ北門前、朝八時にいつも通り集合した俺は一先ず言った。

 

「誰?」

 

それはシホルとユメも同じだったようでハルヒロたちに目線を向け、またハルヒロたちの横にいる女性に視線を移していた。

 

「えーというわけでぇ!みなさんにぃ!新しいお友達を紹介しようと思いまぁーす!神官のーメリィさんでーす!はい、拍手ー!」

 

ランタが朝から元気な声を出して叫ぶので、隣の女性が「うるさい。」と厳しい声で叱責する。それをユメとシホルは呆気にとられて見ていた。二人の気持ちは十分に理解できる。朝いきなりハルヒロたちに叩き起こされ、ここまで連れてこられて開口一番が、彼女が新しい神官です、では流石に驚かないほうがおかしい。

 

「メリィさんね。よろしく」

「ど、どうも」

「は、はじめまして」

 

シホルはおっかなびっくり頭を下げ、ユメも腰が引けたあいさつだったが一先ずコンタクトを取ろうとする。しかし、このメリィという女性、無言のまま目をすぼめて、俺とシホル、ユメと順にじろじろ見つめてくるだけで、会釈すらしなかった。メリィはとても綺麗な女性だった。そのせいもあってか彼女の冷たい視線はなかなか緊張する。メリィは満足したのか髪をかきあげて、ハルヒロを見た。

 

「これで全員?」

「あ、う、うん。これで全員。メリィを入れて7人」

「そう」

 

メリィは軽く頷いた。

 

「で、誰がこのパーティのリーダーなの?」

「え、えっと~」

 

ハルヒロは即答できず、視線を明後日の方向に飛ばす。そしてハルヒロは最終的に俺の方を向いてきた。その視線をたどってメリィは俺の方を向いてくる。

 

「あなたがリーダーでいいの?」

 

俺がリーダーでいいのか?と周りに尋ねようと視線を送ろうとしたら、横にいたシホルが「そうです」と答えてしまった。

 

「まぁ俺が暫定的にそうなってる」

「ならどこに行くのか決めて頂戴。ダムロー?」

「そうだな。まだ俺たちのパーティじゃそこがべストだろう。狙いはゴブリンでいこう」

「あっそう。じゃ、さっさと行けば。私はついていくから」

 

別にパーティ内で必ず仲良くしなくてはならないわけではないが、なぜか意図的に俺たちと仲良くするのを避けるかのように攻撃的にメリィは話をする。

 

「あ、あのな?もうちょっと、なんつーかのそ、言い方っていうか態度っていうか、どうにかなんねーのかなとか・・・」

 

ランタの言葉にメリィは凍てついた瞳で見返すだけだったが、ランタには十分効果的だったようで、

 

「いや、その気に障ったらなら謝るっつうか?なんつーか、ごめん・・・なにもないです。」

 

ランタのほうがなぜか謝る形となった。

 

(とりあえずハルヒロにどういう経緯でメリィを選んだのか行く最中に聞くか)

 

「じゃあ出発しよう。」

 

俺はそう決めて一先ずダムローに出発するように皆に促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










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