新しく芽生えた受け継がれる輝き   作:レイヴェル

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 どうも、レイヴェルです。


 これからドンドンサ!!キャラを出していこうと思います。


第1話 元気いっぱいの少女

 

 

 バスを降りてからまだ3分も経っていないだろう。

 

 一樹に渡された地図を頼りに進むと、地図に書かれている名前と同じ看板が見えてきた。

 

「あそこか......バス停も近いし、本数に目を瞑ればいい立地なんだな」

 

 降りた時にチラッと見たが、ある程度想像していた通り都会とは比較にならないほどに本数が少なかった。でも自分が乗ってきたバスだって禄にお客は居なかったんだ。本数を減らすのも頷ける。

 

 にしても不思議な気持ちだ。

 

 秋葉原も緑はあるにはあったが街路樹ばかり。でもここはちょっとした丘には林のように木々が生えているし、ちらほらみかん...かはわからないが柑橘系のナニカも所々実っているように見える。

 

 それに空気も違う。

 

 今自分が歩いている所は道路沿いだから仕方がないが、それでも都会と比べれば空気が澄んでいる気がする。

 

 

 

 

 っと、ここだな。

 

「すいませーん」

 

『はいよー!』

 

 表に掲げられている看板の名前をもう一度確認して、俺は中でチラッと見えた恐らくじいちゃんであろう人を呼んで見る。

 

 なんでも顔を知らないんだから仕方がない。人違いならそれはそれだ。

 

「お待たせな!....ん?あんちゃんの顔...もしかしてシンちゃんか!」

 

 中から出てきたのは、一樹そっくりの豪快そうなおやっさんだった。

 

「という貴方は...義夫さん?」

 

「あぁあぁ駄目駄目。もっと砕けてぇな!他人行儀みたいでおりゃやだね」

 

 否定はしない、ということは本人なのだろう。

 

 俺が孫だとわかるとじいちゃんは豪快にガハハッと笑いながら背中を叩いてきた。

 

「いやぁ初めましてだなぁ!悪いなっ今まで顔出せなくてよ」

 

「こっちこそ。...それにしてもよく俺が孫だってわかったね」

 

 そう言うとじいちゃんは当たり前だと言ってきた。...だから背中痛いって。

 

「どっからどう見ても息子そっくりじゃねぇか。一番やんちゃだった時と瓜二つだぜ」

 

「そう言うじいちゃんこそ、親父そっくりですぐわかったよ」

 

「おぉ。ならシンちゃんも将来はこうなるんだからな?覚悟しとけ!」

 

「そりゃいい、楽しみだよ」

 

 冗談抜きに、そこまで元気に動けるのなら自分もなってみたいものである。

 

 親父の歳考えてもじいちゃんは若くて70行ってるかどうか。それでもそんなこと思わせないくらい身軽に事をこなしている。

 

 これが長年掛けて身についた動きか....

 

「っとそうだシンちゃん。長旅で疲れたろ、奥で母さんがいるから会ってくるとええ」

 

「そう?ならお言葉に甘えようかな」

 

 くいくいっと親指で指された方を見てみれば、ちょっとした細道があり、その奥に玄関が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

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「シンちゃんや!」

 

 じいちゃんの、と言うよりはこれから自分も住むことになる立派な日本家屋にお邪魔した俺は中で祖母と一緒に談笑しながらお茶を飲んでいた。

 

 すると大声で自分を呼んでいるのに気がついた俺は何事だと思って表へ向かう。

 

「ちょっと行ってくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、来たか」

 

「どうしたのさ」

 

 魚屋故に仕方がないが、下が濡れているから少し歩きにくい。

 

 滑らないように気をつけながらじいちゃんのところに行くと、当たり前だが知らない顔の女の子がこちらを興味津々といった目で見てきた。

 

「いやな、俺が若い頃はシンちゃんみたいだったんだぞ!って言ったら見たいってな」

 

 ふむ。見たいって言ったのは十中八九この女の子のようだ。

 

「わぁ目元そっくり!」

 

「初めまして、だね。このじいちゃんの孫です」

 

 よろしく、という意味も込めて俺は右手を差し出す。所謂握手だ。

 

 すると女の子は元気よく手を握り返してくれた。

 

「初めまして!高海千歌です!いつもおじちゃんにお世話になってます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、小さい頃からなのか」

 

「うん!すぐ近くに私のお家があるの」

 

 彼女の名前は高海千歌。近くの旅館の末っ子らしく、小さい頃から姉と喧嘩すると家を飛び出してじいちゃんの所に駆け込んでいたらしい。

 

 今は高1で近くの浦の星女学院という所に通っているらしい。

 

 因みに最初は敬語で話してくれていたのだが、俺自身聞いていてしっくりこなかったからいつも通りでいいと言っておいた。

 

「そういえば斎藤さんって東京に住んでたんでしょ?」

 

「あぁ、昨日までな」

 

「どうして急にこんな田舎に?」

 

 当然の質問と言えば当然か。

 

 上京するのなら納得も行くだろう。出稼ぎ、自分探し、色々ある。

 

 けれど自分は.....なんと言えばいいのだろうか。

 

「ふむ――――なんとなく、かな?」

 

「なんとなく?」

 

「元はじいちゃんが寂しいって言い始めて俺がここに来ることになったんだよ」

 

「あ~だから最近テンション高いんだおじちゃん」

 

「今までとは違うのか?」

 

「うん。なんというか......うーん、わかんないっ」

 

「なんだそりゃ....」

 

「う~いざ言葉にしようと思うとなんとも....でも確かに変わったよ!」

 

「...そうか」

 

「えへへ...ごめんなさい、ちゃんと言えなくて」

 

「いや、いいさ。そういうこともある」

 

 折角じいちゃんの過去を知れるかと思ったが、そんなことはなかった。なんとも不完全燃焼だが俺自身も言葉に出来ない感覚というのは知っている。

 

 でもそこで俺は無意識に千歌の頭をポンポンと撫でてしまった。

 

 別に下心があったわけではない。ほんと自然に....あの頃と重ねてしまった。

 

 彼女が高校生というのも相まってか、俺が高校生の時の......あいつらと過ごしていた時の癖が出てしまった。

 

「あっ.....」

 

「っ 悪い!.....癖なんだ」

 

 初対面の子に何をしているんだ、と自己嫌悪する中。千歌は予想外にも怒ったり、困惑するといった様子はなかった。

 

「お~ なんかお兄ちゃんができたみたい!」

 

「....え?」

 

「いやぁ~上がお姉ちゃんしかいなかったから凄い新鮮だなぁ」

 

 俺はホッと胸をなでおろす。会ったばかりで微妙な空気になるなど目も当てられない。

 

 けれど失態は失態だ。大人としても、謝らなければならない。

 

「本当にすまない。...妹の様な感覚がしてつい」

 

「だったらお愛顧。私もそう思ったから」

 

「...ありがとう」

 

 二へへと笑う彼女の顔。見ているこちらまで思わず口角が上がってしまうような、それくらい綺麗で可愛らしい笑顔だった。

 

 

 

 

「あ、そうだ!斎藤さんってまだここのこと知らないんですよね」

 

「あぁ...そうだが」

 

 恥ずかしくも、調べると言っても何を調べたらいいのかわからずノーリサーチだ。ハッキリ言って何が名産で何が有名とか全く知らない。

 

 そこで千歌が嬉しい申し出をしてくれた。

 

「だったら案内しますよ!内浦の魅力!」

 

 

 

 

 

 

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 絶対にいい場所だって唸らせてあげる!と意気込んで最初に案内されたのは、千歌の実家だった。

 

「ここが....」

 

「私の実家です!ここの露天風呂が魅力なんですよ~海も見えて、夕方になると夕日が見えるし、空気が綺麗な時は富士山だって見えるの」

 

「ほぅ...」

 

 やはり日本人だからか、温泉と聞くとどうしても気になってしまう。しかも東京では休日の朝ぐらいじゃないととてもじゃないが見えなかった富士山がもっと近くで綺麗に見えるんだ。...いつかは入ってみたい。

 

「...お、その顔は入りたいって顔?」

 

「...顔に出てるか?」

 

「ううん、なんとなくそんな気がしたの」

 

「バレちゃ仕方ないか。...でも、今は案内が先だからな。まだまだ...あるんだろ?」

 

「勿論。なんといってもそこらかしこにできてるあれ!」

 

 そう意気揚々と指差した先は丘にある広大なみかん畑だった。

 

「そうそう。来た時から気になってたんだがありゃみかんなのか?」

 

「正解~ 夏みかんだよ」

 

「あれが夏みかんか...」

 

 自分の中のみかんと言えばオレンジ色という先入観があるが、名前だけしか知らなかった夏みかんは黄色いんだな。

 

「先週とかはもっとあったんだけど...丁度収穫の時期なんだよね~ だから実はなってるけど疎らなの」

 

「そういうことか...」

 

 いつか食べてみたいな、なんて思いながら畑を見ていると、ぴょこんと千歌のアホ毛が目に入った。

 

 千歌が俺の目の前に立ったからだ。

 

「斎藤さんはみかん好き?」

 

「俺か?...普通かな?」

 

「え~ だったら好きになろ!ね!」

 

「なんでそんなに必死なんだよ」

 

「うっ...だってぇ仲間欲しいもん」

 

「...そうか、みかん好きなのか」

 

「うん!三度のご飯よりみかんだよ」

 

「それは食べ過ぎだ...腹下すぞ」

 

 みかんを食うと腹が緩くなるというのは有名だ。確かビタミンCと食物繊維が問題なんだとか。

 

 食べるのは問題ないが、ほどほどにということだな。

 

「大丈夫!今までそんなこと無かったから!」

 

「本当かよ...」

 

 なんとも怪しくあるが、詮索も野暮だ。

 

 

 

 こうして話せばよくわかるが、なんとも元気がある子だ。それでいて人懐っこいし、お調子者な所もある。一緒にいても飽きることはないような感じがするな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからどのくらいの時間が経ったか。

 

 千歌に連れられて俺は水族館や寺。近くの港などに案内してもらい、自身が思っている以上に観光名所があって驚いた。海に面しているだけあって、干物なんかの直売所もあったりした。

 

「んー後は....向こうだね」

 

「ん?」

 

 指差した方を向くと沈みかけている陽がオレンジ色になってきて、雲と雲の切れ間から見える光がまた綺麗だ。

 

「綺麗な夕日だな」

 

「っとそれもそうなんだけど、あっち!」

 

「え?」

 

 てっきり俺は夕日を指差したものだと思っていたが、どうやら違うらしい。見なおしてみると、確かに夕日ではなく少し離れた島を指していた。

 

「島か」

 

「淡島って言うんだ~ あそこにはね、私の幼馴染が住んでるの」

 

「有人島なのか?」

 

「うん。ロープウェイとか、船で行けるんだー」

 

「いつか行ってみたいもんだ」

 

「それじゃ今度一緒に行こ!」

 

「え?でも悪いだろ。そっちだって学校やら何やらがあるだろうに」

 

 本音を言えばとてもありがたい。年下の、しかも高校生に案内させるというのは抵抗があるが......でも今日この子と一緒に歩きまわって思ったことがある。

 

 

 

 

 ...とても楽しかった。なんのフィルターもなく、自分を見てくれる子がいてくれて。

 

 今まで俺は追われていた。警察とかではないけれど、人に追われていた。

 

 取材する者、近づいて親しくなろうとする者、ナニカに嵌めようと企む者....色々いた。

 

 けれど後悔はしていない。そうなる原因を作ったμ'sのマネージャー生活は決して忘れてはならない程に楽しかったから。

 

 だから俺はそれに誇りを持って生きてきた。

 

 

 ...でもやっぱり心の何処かでは休みが欲しかったんだろう。一日を過ごしてそれがよくわかった。

 

 ここの人達はアッチとは違ってスクールアイドルに関心があまりない。

 

 それは年齢の問題もあるかもしれない。今までは大学とかで比較的同年代と接することが多かったからな。

 

「.....斎藤さん?」

 

「えっ あ、なんだ?」

 

「もー 急に黙りこんじゃってどうしたの?つまらなかった?」

 

 おっと、俺の悪い癖だ。少し自分の世界に入り込みすぎたな。

 

「...いいや。少し昔のことを思い出してね」

 

「むぅ まだお爺ちゃんみたいなこと言う歳じゃないでしょ!」

 

「ははっ これでもまだ23だ。確かに...まだ爺さんって歳じゃないな」

 

「えぇ!?斎藤さんってまだ23なんですか?ってことは....大学終わったばっかり?」

 

「あぁ。新入社員で入社してすぐにこっちに来たからな」

 

「えっじゃぁ...お仕事とかどうするの?」

 

「仕事かぁ....取り敢えずじいちゃんの魚屋で色々覚えながら、学校探しかな」

 

「学校...?でも大学は出たんでしょ?」

 

「あぁ、教師だよ。俺、これでも免許持ってるから採用試験に受かればいつでも先生になれるのさ」

 

「えっ....じゃぁ頭いいの?」

 

「まぁな」

 

「...えっとぉ、その...」

 

「...どうした?」

 

 急に歯切れが悪くなり、挙動不審となり始めた千歌に俺は困惑する。なにか変なことを言っただろうか。

 

「その...お願いします!」

 

「...は?」

 

 急に頭を下げられた。

 

「実は...学校の宿題でわからないところがあって...」

 

「あぁ宿題か....ん?」

 

 ここで俺はあることに引っかかった。

 

 今日は休日。つまりは日曜日なのだ。そして学校は例にもれなく月曜から。恐らくここで千歌が言っているのは週末に出された課題だろうから....

 

「まさか明日までなんて...」

 

「その...まさか!」

 

「なっ 何やってんだ!?俺なんか案内する時間無かったんじゃないか!」

 

「お、思い出したの今だから...」

 

 そう言う千歌の顔はドンドンと青ざめていく。...アホの子だろうか。

 

「...ついでに聞くが、今日魚屋に来た理由は?」

 

「え?それは.....それはぁ!?忘れてたぁっ!?」

 

 どうしよう!?と千歌は頭を抱え始めるが、まずは問題を手早く解決することだ。

 

「どうどう....いいか?取り敢えず何をしに来たんだ?」

 

「...お母さんに自分達の夕飯のお刺身を買ってきてって言われて」

 

「...アウトだな」

 

「あぁ....怒られる...」

 

 どうしたものか、項垂れる千歌にどう言葉をかけたらいいか困ってしまう。

 

 なんせ俺を案内しなければ時間があったし、買うものも忘れなくて済んだのだから。

 

 っと、その時、千歌の方から何やらメロディーが聞こえた。

 

「...携帯か?出ないのか?」

 

 しかし、千歌はポケットから取り出した携帯を見て絶望したように俺を見てきた。

 

 恐らく...母親からなのだろう。

 

「いいから出ろって。謝るなら俺も一緒に行く」

 

「う、うん....」

 

 恐る恐ると怯えながら通話ボタンを押した千歌。

 

 距離もあって会話は聞こえないが、段々と千歌の顔色は良くなってきている。違う相手だったのか、はたまた許されたのか。そう考えていると通話が終わった。

 

「どうだったんだ?」

 

「お刺身はおじちゃんが届けてくれたって......またやっちゃったよぉ」

 

「またってお前なぁ...今までも何回かやってるのか?」

 

「えへへ...実は前にもちょいちょい...てへっ」

 

「なーにがてへだ。...ま、今回は俺が悪いから責任は取ろう」

 

「え?」

 

「宿題、あるんだろ?」

 

「そうだったぁ...やだなぁ...」

 

「高1なら教えられる。ただ、お前の親御さんが許可するかだな」

 

「えー大丈夫大丈夫!」

 

「んなわけあるか。お前もそうだが初対面も良いところだぞ?」

 

「んー...じゃぁ家庭教師ってことで!」

 

「...わかったよ。取り敢えずもう行こう。えっと...高海?」

 

 なんだかんだで初めてこの子の事を苗字で呼んだ気がする。今まで二人っきりというのもあったから苗字や名前を呼ばなくても意思疎通は出来たのだ。

 

 けれどいざ呼ぶとなると...やはり相手は異性だ。あいつらで慣れているとはいえ、ここ数年でまた対人恐怖症とまではいかないが、人を避けてきた俺にはハードルが高い。

 

 すると千歌はむっとした顔をすると訂正をせがんできた。

 

「んー やっぱり名前で呼んで!千歌でもチカっちでもいいから!」

 

「はぁ?なんでだよ」

 

「そう呼ばれ慣れてるからだよ。今まで斎藤さんぐらいの男の人にそう呼ばれたことはないけど...まいっか!」

 

「いいのか....」

 

「悪い人じゃないってのはわかってるし、これからの親しみも込めて、ね?」

 

「....はぁ、わかったわかった。千歌でいいんだろ?」

 

「うん!...それじゃ、斎藤先生!よろしくお願いします...」

 

「本当に調子いいなお前...」

 

 

 

 

 




 閲覧有り難うございます。

 如何でしたでしょうか、私の中の千歌ちゃんはこんな感じです。

 違和感や、可笑しいところが御座いましたらお気軽にお申し出下さい。


 感想、ご指摘お待ちしております。
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