SHOW BY ROCK!! 〜白猫と赤いギター〜   作:ノヴァ

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 これ投稿する前にメカメイプル改凹ってきましたが、改めて詩杏ちゃんのガチっぷりに驚かされました。詩杏ちゃん、貴女どんだけソウル値積んでるんですかorz


第0小節〜プロローグ・Verシアン〜

 

 

 ──遡ること数分前。

 

 

「はぁ……やっぱりお風呂は良いな〜」

 1週間も終わりを告げる日曜日の夜。私、聖川詩杏は部屋で風呂上がりの牛乳を飲みながら、風呂上がりの余韻に浸っていた。

 ああもう、どうしてお風呂ってこんなに気持ち良いんだろ……? あったかい湯船に浸かるだけで天国にいる気分になれるし、1日の汚れを綺麗さっぱりくれるし、まさに命の洗濯とも言うべき行為だよ、うん。

 しかも今日の風呂は友達が薦めてくれた入浴剤入りだったから、更に良い気分になれたな……。「ローズマリーとラズベリーの香り」なんて初めてだよ。明日お礼言わなくちゃ。

 ……そういえば明日からフェスに向けての特訓だったっけ。

 明日の予定を思い出して壁のコルクボードに貼られた1枚の紙に眼を向けると、そこにはバンドのみんなとの写真と、一緒に書かれた私たちの目標。

 

 

 ──目指せ! 「全日本ロックバンドフェス優勝!」

 

 

 日本全国各地から集まった中高生バンドが武道館でライブを行い、トーナメント形式で勝ち上がり頂点を目指すこの大会。優勝すれば、大会スポンサーの何れかのレーベルとの契約が約束されている。

 審査員の方々も大手レーベルの社長が大半だし、観客に紛れてレーベルの方々が見にきているらしいから、注目されればヘッドハンティングされてデビュー出来るらしい。

 つまり、勝ち残ればメジャーデビューも夢じゃないってこと。

 けど、ロックバンドの登竜門と呼ばれているだけのことはあってその戦いは激しく、かなりの腕がなければ勝ち残れないらしい。現に先輩方は去年、2回戦で敗退。

 だから、先輩達が卒業してしまう今年こそ。

 先輩方が、叶えられなかった夢を掴み取るためにも。

 後輩である私が全力で腕を磨いて、全力で先輩方をサポートしていかないといけないんだ!

 もちろん、私だけが頑張ったところで全国の壁を越えるのは無理。出来っこない。新参メンバー1人の力なんて、たかが知れてるから……。

 ──でも、メンバー全員で頑張れば必ず壁を越えられるはず! 

 みんなで限界まで特訓して、みんなで限界までバンドを楽しめば、不可能なんてない。必ず頂点へ辿り着ける!

「……よし! そんな訳で、明日からの特訓に備えて気を引き締めますか!」

 頬を叩いて気合を入れると、仰向けになってスマホのリズムゲームを起動させる。気合入れるにはやっぱりコレが一番なんだよね。テンション上がるし。

 

 『今こそ伝えたいよ この思い いつもよりまっすぐ 受け止めて欲しいから──』

 

 おっ、よしよし。当たり前だけど出だしは順調っ。この調子でボスにも順調にダメージ与えて……。

 

 《ゴォォォォォォォォッ!!》

 

 よしっ、倒した! あとは順調に死体蹴り……もといボーナスタイムでスコアを稼ぎますか! あとサウンドルも。

 今日は日曜日だからサウンドル稼ぎの日なんだよな〜。たくさん稼いで次回のイベントに備えなくては。

 

 『言葉は いつでもどこかしら なんか足りなくて もどかしい──』

 

 ──ピロピロピロピロピロピロゴーウィゴーウィゴーウィ!!

「ええっ!? せっかく良いところだったのに、なんでこんなタイミングで……」

 曲がサビに入りかかったその時、突然スマホの着信音が鳴り響く。まったく、誰だろう? 本当に最悪のタイミング……。

 いや、別にゲームの進行自体に差し支えないんだけど、再開した時の入りのリズムが弱冠狂うから嫌なんだよね……。おかげで幾らマスコン逃したことか。

 あ、それより早く出ないと。知らない番号だけど……別にいいか。ヤバくなったら切ればいいし。

「はい、もしも──」

 

 

『シアン、聞こえ……か!? 聞こ……るなら返事……ろっ!!』

 

 

「──しって誰ですか?」

 私の言葉を遮ってスマホのマイクから聞こえたのは、慌ただしい口調で私を呼ぶどこか暑苦しい声。相手側の電波が悪いみたいで、少しノイズ混じりで聞き取り辛い。おまけに声のトーンがヘリウムガス吸ったみたいに高くなってるから、男性なのか女性なのかさえ分からない。

『誰って……前……俺……よ! お……俺!』

 え、これって新手のオレオレ詐欺? すいません、私に息子はいないので。というかまだ私高校生だし、いたらエライことになるって。

『だから俺だ……て、言って……だろ! グレ……………………ル・キ…………だっ!!』

「え、なんて言いました? もっかいお願いしま──」

『ああ、……う!! とに……く、こ……ちに呼ぶ……ら、画面覗け! はな……は……いてから……!』

 ──ブツン。

「あ、あれっ? もしもし、もしもーし?」

 ……切れちゃった。まったく、なんだったんだろ。かろうじて聞こえたけど、画面を覗けって一体……?

 それに話し方からして、なんか急いでて時間がないって感じだった。まるで自分の要件を相手に伝える為だけにかけてきたような。

 ……あまりに突然で分からない事が多すぎるけど、取り敢えず言われた通り画面を覗き込む。

 けど、画面はリズムゲームの再開待ちのウィンドウが出た待機状態のまま。特に変化はない。

 ──と思っていたら。

 《ジジジッ!!》

「え……あ、あれっ?」

 突然画面にノイズが走りフリーズしたかと思うと、画面が黒一色に染まった。

 あれ、これって半年前にも同じことあったような……。確かあの時はストロベリーハートをゲームで受け取った後に──っ!!

 ま、まさかこれって!?

 私は、これから自分の身に何が起こるのか一瞬で悟った。

 

 

 また行くんだ、サウンドワールドに。みんなのところに。そして、プラズマジカのところに。

 

 

 その思いが頭を走ったとほぼ同時に眩い光がスマホの画面から溢れ出し、私の身体を包み込み、スマホの中に引き込んでいく。

「うっ……わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 引き込まれた先、電脳のトンネルを抜けたそこに広がっていたのは、ネオンや液晶パネルが輝く街。

 間違いない、MIDICITYだ。私──帰ってきたんだ……。

 ……でも、そんなことより。

 

 

「なんで私また落ちてるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

 

 現在、猛烈な風を身体中に受けながら私は空を落ちていた。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 ちょっと待って待って待って待ってっ!! この世界って行くときに毎回空落ちないといけない決まりでもあるの!? いい加減全裸で紐なしバンジーは勘弁してよっ! 私、こういうスリル満点のアトラクション嫌いなんだからーっ!!

 しかし、私が色々と喚き散らしても落下が止まる訳はなく。こうしている間にも、地上はどんどん私に近づいてくる。

 前に来た時はベリーさん──グレイトフルキングさんが助けてくれたけど、下手したら今回はそういう助けがないのかもしれない。

 それはつまり……。

 

 1人で地上数百メートルからパラシュート無しで落下して、無事地上に無傷で着地して生還しろ……ってこと?

 

「そんなの無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 ……ふと下を見たら、どこかのビルの屋上が目の前に迫っていた。

 ああ、もう私、駄目だ。死んじゃう。

 もうこの時点で、すでに私は人生を諦めかけていた。

 あと数秒もしたら、自分はビルの屋上と悲劇的なキスをしてその人生に幕を降ろしちゃうんだろう。まだ死にたくないけど、これが運命というものなら仕方ない。潔く受け入れよう。サヨナラ、ワタシ。

 

 

 そして、体感時間にして6.9秒後。

 私は全てを諦めた笑顔で、ビルの屋上に激突した────。

 






 次回は聖音サイドの話を投稿します。
 あの後聖音は一体どうなったのか? 身体は無事だったのか? ミューモンとしての身体はどんな姿なのか!?
 そしてその足で、どこへ向かうのか!?
 次回、乞うご期待っ!!


PS
 感想、コメント、ご指摘、何れもすごくプルプルしながらお待ちしています。
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