SHOW BY ROCK!! 〜白猫と赤いギター〜   作:ノヴァ

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 今回、深紅色の心眼(ryなあのバンドが登場します。
 ファンの皆さんにはお待たせしました。


1/20 追記

 右手が治った事についての聖音の喜びを加筆しました。


第1小節・第1部〜白猫少女とちょび髭タマゴ、そして厨二病〜

▼ ▽ ▼ ▽ ▼ ▽ 

△ ▲ △ ▲ △ ▲ 

 

 

「あーっ!! もう、俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺のバカ俺の──」

 あれから約10分くらい過ぎた頃。俺は、MIDICITYの通りを後悔と自責の念を念仏のように呟きながら歩いていた。

 嗚呼、なーんでこんなギターの言うこと信じて安請け合いしちゃったのかなー俺っ!? チェリーもチェリーだけど俺も俺だっ! もう少し深く考えりゃ対策とか出来ただろこのバカっ! 

 俺がこうも自己批判している理由は、ビルのショーウィンドウに映った自分を見れば嫌でも分かる。

 

 

 そこに映っているのは、白いロリータを着た猫耳の()()

 

 

 肩にかかるショートヘアの白髪は年頃の少女の活発さをイメージさせ、パッチリと開いた碧眼は純粋無垢な乙女のよう。

 透き通るような白い肌は肌理細かく、四肢もスラリと伸びている。

 ロリータの胸元を押し上げる双丘は、触るとマシュマロのような心地よさ。

 ……ぶっちゃけ、どこを取っても「かわいい」が溢れ出てくる容姿だった。

 そして、これが今の俺の姿なのだから、最早呆れるしかない。

「うぅ……っ。なんでチェリーのやつこんな姿にしたんだよ……。こんな『身体は女、頭脳は男』な身体でどうしろと……」

 確かに、この可愛い姿なら人気が出る可能性は高い。

 でも問題はその人気を得るためにどうすれば良いか。つまりは過程だ。

 チェリーのやつが「行動は君自身に委ねる」とかいって自由にさせた……もとい以後の行動を俺に丸投げしたせいで、これからどうすればいいのかが分からない。

 いや、まずはレーベルとかの事務所に所属するのが第一なんだろうけど、この地区──SHIBU VALLEYのどこにどんなレーベルがどれだけあるのか、それが分からない。

 おまけに手持ちの金が無いから移動は当然徒歩。故に探索できる範囲は必然的に狭くなる。更に言えば音楽生命体と言えども腹は減るので、空腹が重なれば更に行動範囲は限られる。

 この世界での暮らしが始まって早々、前途多難の雨霰だ。

 せめてチェリーの奴が何かアドバイスをくれればいいのだが……こいつ、俺をこの姿にしてからうんともすんとも言いやがらない。その丸投げ精神だけは褒めてやろう。

 ま、千里の道も一歩からって言うし、今は歩き続けるしか無いか。

 ──でもそれより。

「本当に治ったんだな……!」

 右手を空にかざすと、そのまま開いたり閉じたりを繰り返してみる。その流れで今度は左手相手にジャンケン。その次はゴッ○フィンガーとかスパ○ダーマンとか妖怪○茶くれとかの手の動きを真似してみる。

 結果、右手は全ての動きをこなせた。

 瞬間、俺の中の喜びが溢れ出る。

「うぅ…………ばんざーいっ!! 右手ばんざーい! ばんざーいっ!!」

 気付けば通りの真ん中で人目も気にせず、1人万歳三唱していた。

 ──だって、嬉しいのだから。

 

 

 追い続けた夢に突き離された原因とも言えた、事故で動かせなくなった右手。

 

 血の滲むリハビリを続けても、尚動かなかった右手。

 

 悔しさと怒りで、何度切り落としてやろうかと思った……右手。

 

 

 しかし、事故に遭って以来1年間も動かなかったその右手が、今こうして目の前で、自分の意思で動かせている! 動かせなかった時の痺れなんて何処にも無い!

 これ以上の嬉しさはこれからあとの人生で殆ど無いだろうというくらい、俺は嬉しかった。

 そして、同時に希望に満ちていた。

 これから先、どんなレーベルに入って、どんなメンバーと出会って、そのメンバーと一緒にバンドを組んだ先でどんな事が待ち受けているのかと思うと、ワクワクが、ドキドキが止まらない。

 きっと端から見れば今の俺の顔は、ものすごくトロけた恍惚の表情を浮かべただらしの無いヴァカ女の顔なんだろう。でもそれで良い。それが今の俺なんだ。

 今の俺は、バンドという桃源郷を夢に見てだらし無い笑顔をするシロネコ族の1人の女の子、ミオンだ。間違っていることは何1つ言っていない。だから胸を張って未来へ進んでいける!

 その為にも、早く何処かのレーベルと契約してメンバーと出会わなくては!

 ああ、早くチェリーの野郎を弾いてバンドのメンバーとセッションしたいよ……。

「おっ、流れ星」

 ふと顔を上げると、目の前の夜空を一閃の流れ星が駆けていた。

 ついてるな、俺も。異世界についてすぐに流れ星を拝めるなんて、他人(ほか)には経験できないだろう。しかもピンク色という珍しい色ときた。

 そもそも流れ星自体、星屑が地球上のどこかの大気圏に突入して燃えるっていう稀な現象を見ているのだから、今この場で見えているのは一種の幸運とも言うべきだろう。現に俺流れ星見るの初めてだし。

 だったらその貴重な経験を活かすとしますか。

「最高のバンドメンバーとこの世界で出会えますように最高のバンドメンバーとこの世界で出会えますように最高のバンドメンバーとこの世界で出会えますように──」

 ま、この世界で一番最初に叶えたい願いはこれに限る。

 幾ら自分の音楽センスがズバ抜けていると言われても、どんなにいいレーベルに所属できても、バンドのメンバーが悪かったらそこでバンド人生は終わりだ。

 最高の仲間と切磋琢磨する事こそが、最高の舞台へと駆け上がる第一歩なのだと俺は思っている。

 だからその第一歩を踏み出すための第一歩。それがこの願いだ。

「どうだっ!?」

 祈りを込めていた顔を上げると、そこには未だご健在の流れ星の姿が。

 よし、これで願いは叶う──ってあれ?

「なんかあの流れ星……消えるの遅くね?」

 流れ星って普通なら1〜2秒もしないうちに消えてしまうのに、見つけて願い事3回言ってその願い事の内容について述べてそれで顔上げた今もまだ空を駆けている。どうやら相当に巨大な星屑らしい。というかこうしている間もまだ落ちている。

 結局、その流れ星は立ち並ぶビルの合間に消え、見えなくなってしまった。どうせなら消える瞬間を見てみたかった。

 ──さて、息抜きはここまでにしてレーベル探しますか!

「あー、ちょっと良いかね? そこのお嬢さん」

「はい?」

 そう思い歩き出そうとした瞬間、突然誰かに背後から呼び止められた。

 が、振り向いてもそこには誰も居ない。周りを見回してもそれらしき人はいなかった。

 ……俺の聞き間違いだろうか? それとも単なる空耳か?

「はい、み〜さ〜げて〜ごらん〜♪」

「ん……? ってうぇぇっ!?」

 謎の声の言う通り顔を下に向けると、そこに居たのは黒い服を着たちょび髭の……タマゴ。

 手っ取り早く説明するなら、不思議の国のアリスに出てきた擬人化した卵、ハンプティダンプティを思い出して欲しい。それをサン○オっぽくデフォルメして、首から下だけの黒タイツを着せた姿を想像してくれればそれで大体あってる。

 えっ、説明が大雑把? 昔から語彙力ないんだよ、悪かったな!

 で、そんなこんなで俺が驚いていると、「やぁ」と陽気に挨拶してくるH(ハンプティ)ダンプティもどき。

「タ、タマゴが喋った!?」

「ん"ん"ん"っ!?」

 が、俺が「タマゴ」と面と向かって言い放った瞬間、いきなりその表情が険しくなる。

「タマゴがよぉーく茹だっているように見えたからぁぁっ!!(((♯`Д´))) パクッ、てかぶり付いたら……ぬぁかみがはんじゅく(中身が半熟)でぁ〜んってたえてて(ダラーンって垂れてて)( *´Д`*)、参ったなこりゃ……って言うかε-(´∀`)」

「は、はぁ…………」

「味噌おでんの中で一昼夜煮込んでぇっ!!(((♯`Д´))) こりゃ相当味が染み込んでるなぁ(`∧´)、と思ってかぶり付いたら……中は真っ白と黄身じゃんなっ♪ 『くぉのどアホめぇぇぇ!!』って事ですかぁぁぁぁぁっ!!?」

「……………………」

 もういい。もうこの人のテンションについて行くのやめよう。追い付けずに疲れていくだけだ。馬の耳に念仏で聞き流そう、そうしよう。

「ちなみに目玉焼きは片面派? 両面hだっはぁぁぁっ!?」

「……っ!!?」

「おい、早く本題に入ったらどうなんだ社長?」

 そんなハイテンションタマゴの弁舌を止めたのは、いつの間にかタマゴの後ろに立っていた男性の踵落としだった。

 見ると、その後ろにも男性が3人。4人全員、ファッション雑誌なんかに出たら一躍トップモデルに躍り出そうなほどのイケメンや美形揃い。それっぽい服装とギターケースを持っているところからすると、V(ヴィジュアル)系のバンドのようだ。

 ついでに言っておくとV系というのはロックバンドの様式の1つで、音楽ジャンルではなく、ファッションや化粧なんかでそのバンドの世界観を創る系統の事らしい。

 この人たちの場合は見る限りファッション一直線のようだ。

「そ、そうですな……ゴホンっ」

 男性の一喝でテンションが冷めたのか、咳払いするとタマゴは俺に語り始めた。

「君……バンドに興味あったりするかな?」

「え? えぇ、まぁ……そりゃ」

 全てのバンドの頂点目指すのが俺の目標なんだから、興味無かったらここには居ない。というか元の世界帰ってる。

「よし。なら、ウチの事務所に来ませんか? 決して悪いようにはしないから」

「……え、事務所?」

 え……って事はこのタマゴ、どっかのレーベルの関係者? そういやさっき「社長」って呼ばれて……。え、まさかこんなちっこい訳の分からないタマゴが!?

 いやいや、ないないない。いくらなんでもそんなことある訳──

「あ、申し遅れましたが……僕はB R R(BANDED ROCKING RECORDS)代表の、『有栖川(ありすがわ)メイプル』と申しますぞ」

 ──あったぁぁぁぁぁぁっ!!

 そう言われて受け取った名刺には、確かに「代表」の文字が。代表って言うのは、要するに社長と同義。

 つまりはこのタマゴ、マジで社長だった訳である。

「じゃあ、後ろの4人は貴方の事務所の所属バンドですか?」

「えぇ、勿論ですぞ! さっ、君達。自己紹介どうぞ(≧ω・)」

「ぃぃよっしゃぁぁぁっ!! 聴けぇっ、そこの家畜っ!!」

「か……家畜……?」

 いきなり初対面の相手に「家畜」の烙印を押し付けた目の前の4人は、カチンときた俺を差し置いて何故か近くのワゴン車の中に次々と乗り込んでいった。家畜ってなんだ家畜って。俺は白猫だっての。せめて愛玩にしろ。

 ──と、1人目が降りてきた。4人の中で一番背が低く、肩に針か棘の装飾をを何本かつけた黒髪の青年だ。

 

「それは刹那揺れる紅蓮の火を纏い生まれた、奇跡──『クロウ』降臨っ!!」

 

 ──次に2人目。今度は逆に4人の中で一番背の高い、薄い茶髪の青年。下手したら身長が2メートル近くあるようにも見える。

 

「闇に揺られ闇に消える禁じられし黒衣の、波動──ブラックモンスター、『アイオーン』」

 

 ──3人目。刀のようなベースを携えた、スラリとした体型の金髪の青年。4人の中でキツネ、と種族がすぐに分かる。

 

「拙者の得物は荒ぶる森羅万象を司る真髄、龍虎無双神威流──故に龍剣伝『ヤイバ』ここに参上ッ!」

 

 ──最後の4人目。恐らくバンドのリーダー的存在であろう、細マッチョの青年。彼だけ何も持っていないのを見ると、ポジションはドラムだろうか。

 

「大人の男には、秘密ってスパイスがある。それが真のリアルさ──俺は『ロム』」

 

 ──そして、集まった4人が、高らかに歌い上げる。

 

「「歌えさぁ、家畜共っ。深紅に染まる、瞳が定めを変える──シンガンクリムゾンズ! シンガン、クリムゾンズッ!!」」

 

 

 ……うん、この人たちアレだ。

 イタい厨二病方向のV系バンドだ。間違いない。しかもマトモそうな奴が1人しかいないという心配すぎるメンバー構成。

 バンドとしての個性は強烈だが、いろいろ問題ありまくりな気が……。

「実はさっき終わったライブから彼らを事務所に送り届ける途中でしてな。いや、男だけのむさ苦しい空間はキツイな〜なんて思っていたら、通りを歩いていた君に僕の才能を視る目が止まったという訳ですぞ!」

 あ、なるほど。つまり俺ヘッドハンティングされたと。

 でも俺そんなに目立つような事してたっけ? ただ行く当てもなく通り歩いてただけなんだけど。

「おい、むさ苦しいってなんだむさ苦しいって! 俺らはオヤジかっての! それにライブ終わったばかりなんだから汗かいてるのは当たり前だろ!?」

「この闇の太陽神の真髄が、地獄の毒沼の如き芳香とは……些か気に食わんな」

「確かに。龍虎無双神威流の教えを遵守しているこの私がレジェンド・オブ・臭いなどと、そのような事があるものか。故に」

「確かに、クロウの言う通りライブ後で汗かきまくってんだ。多少は我慢しろよ社長」

 おい、所属バンドの面々から叩かれまくりじゃねぇか社長。信用下がるぞ。

「まぁ、ここでは何ですから事務所の方で詳しく話を致しましょう。ささ、助手席にどうぞ」

「あ、ではお言葉に甘えまして……」

「おい話聞いてんのか社長ぉっ!!」

 

 

 




 今回、社長の台詞をゲームや小説等の会話に合わせて顔文字入れてみましたが、如何でしたでしょうか?
 読者の皆様からのご指摘などがありましたら、随時修正します。

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