12月15日
丹波・桑田郡
主人公
さて、ここで畿内とその周りの状況を確認しておかなければならないので、畳んでおいた絵図を広げる。
「復習ですか?」
「うん。矛先を間違えないようにね」
まず、私達が今いる近江国。
共に佐々木家の末裔である六角家と京極家が名目上はそれぞれ南北を治めている事になってるけど、京極さんは浅井さんに下剋上され御輿ぐらいにしかなっていないらしい。
その浅井さんも、北の朝倉家と南の六角家に挟まれた末に両属に近い格好になり、次期当主が内定している後の浅井長政を六角家に人質として出している。
「だから六角は、後ろを気にせずに京に行けると」
「だね。今の朝倉家当主の義景さんは、六角家からのマル秘の養子だっていう噂もあるし」
「丸火?」
御輿を担いでブイブイ言っている六角家は、南東の伊勢の方にも出ているらしく、サーキット場のある鈴鹿より北はその勢力圏だとか。
その伊勢の国主が、藤原家の末裔の当主で南北朝時代に暴れまわった
「
「はい。名張郡と言われる所です」
「とすれば……
「その通りです」
伊賀の南部と同時に北畠家が大きな影響力を及ぼしている宇陀と、紀伊山地の奥深くを除いた大和一帯が、破戒僧が多い宗教国家みたいな所になっている。
その影響を受けてると言えるのが、紀伊北部の2つの殺
で、摂津・河内・畠山に囲まれ、堺があるのが和泉国。ここも細川家の領土だったけど、脳筋達についていったので労する事なく御館様が手に入れる事が出来た。
「後、この近江の周りで話していないのは、丹波と若狭だね。宗矩は答えれる?」
「うむ! 波多野家や細川家の残党がいるのが丹波で、内乱続きの武田家が統べているのが若狭だろう?」
「正解」
「えへへ」
……ご主人様の間の子供も、こんな子が良いわね。
「さて、今回は周りが固い脳筋……足利家ではなく、固めるために逆に脆くなっている朽木家を狙います。
正面から戦を挑むと丹波の奴等が動くかもしれないので、こそこそと動いて、朽木谷の空気を悪くしていく感じです」
『はい』
「まずは朽木家ですが、現在の当主は……宗矩、わかる?」
「朽木元綱という若い男じゃ! 父親が
柳生の里は奈良の都の東にあって伊賀に近いし……使えるかもしれないわね。
「その朽木家と敵対しているのは、宗矩が話した高島家とそれを支援している朝倉家」
「朝倉家、ですか?」
「はい。浅井は六角に重きを置いて従属しているので、高島家が将軍と仲良しな彼らと手を繋ぐ事は無いでしょう。しかし、浅井に潰される事なく生き延びているという事は……」
「なるほど。その考えも……」
本国より外にクッションを置いておいてもしもの時に手駒に使う。朝倉家から見た近江のそれが高島家になり、援助をどこからか得たい朝倉家もそれに応じた、という具合だろう。
「更に、近江の高島家と同じような役割の家が若狭にもあります。それも、結構大きな家が」
「若狭武田家、ですね」
「正解。細川晴元という諦めの悪い男を介して繋がっている両者にとっても、利害関係は高島家と同じような物。ただし敵対しているのは……」
「三好家、ですな。となると……三好家に敵対する朽木家は敵、その朽木家に敵対する高島家とそれを支援する朝倉家は味方、若狭武田家は細川晴元を抱えているので敵という辺りですか」
「はい。今回、こつこつと崩していくのは、朽木家が谷におれる理由である交易の始発点がある若狭武田家にします。ここが不安定になれば朽木家は後ろを気にしなければならないですし、これを契機にして朝倉家を結べれば利益は莫大な物になるでしょう」
そして、お
そんな訳で、私達はこんな京の山奥にいるわけだ。
「まずは、前線基地を作るために、ここの領主の取り込みだね」
『はっ』