11月13日
その日、芥川山城の三好長慶の下に、河内で動いていた忍達からの速報がやって来た。
それを一瞥した彼は、大きく溜め息をつき、忍を自分の命令も添えて大和と和泉に出す。
そして、独自の忍からの情報とほぼ同時に、松永久秀は速報を受け取り、すぐに各地に散らばる家臣達を呼ばせる。
「畠山と安見の和平、ですか」
一番先にやって来た、領地を持たず、城下に住んでいる土岐頼次は、主君からの情報に、奇しくも2人と同じように溜め息をつく。
共に肌にあわず、安見宗房は主君である畠山高政を追放したが、三好軍の後援を得た高政により逆転された。それ以来の仲の悪さが巷にも知られていた2人が和平した。
その大変化の理由を現実的に考えれば、まあ1つしか無いだろう。
「共通の敵に立ち向かうため、ですか」
「……また戦ですか」
せっかく、大和の神々を調べれる準備が整ったばかりだというのに。
「これは……徹底的にやらないといけませんね」
「……根切りは駄目ですよ」
やっぱりですか。
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大和と和泉の三好軍の中で考えられたのは、やたら大規模な北白川の戦いの和平後という事もあり、大なり小なり頼次のそれと変わらなかった。
しかし、次いで長慶からやって来た書状に、彼らは納得して矛をおさめる。
こちらから、畠山殿と安見が仲直りをしたのは良い事だと伝えておく。さすれば、秘密がバレている事を実感するだろう。
これによって大きな抑止力になるであろうから、すぐには戦いにはならぬ。
一存と久秀は、監視にてっし、秘密にしている事があれば伝えよ。
要約すればそんな内容であり、2人の国主も納得出来る物だった。
そして、実際に高屋城の2人は長慶からの書状に驚き、
それを高屋城と2つの寺の間の使者の激減から感じ取った頼次は、止めていた作業を再開させる。
そして、12月。
現役の摂政である二条
翌年1月10日。
北条家の使者が、遠く真鶴から船に乗りやって来る。
堺や京で小さな騒動があった後、その使者達から堺から更に西へ向かう。
その翌日、つまり1月13日。
余韻が残る京の街に、土岐頼次とその一行がやって来る。
「相良良晴、ですか」
「杖をついた猿顔の御方。あの方は、二条様や山科様、さらには姫巫女様よりも輝いていたとか」
興奮した様子で頼次に話すのは、我らが相良良晴が皇居の前で姫巫女と話した時に、近くの警備をしていた顔見知りの警備員。
京の商人の次男坊で、三好家が募集をかけた警備員のアルバイトに手をあげ、その腕っぷしから重要な所をよく頼まれる男でもある。
「お待たせしました」
そして、その次男坊は、京の中のある邸宅の前の警備を任され、そこにやって来た頼次と話していたのだ。
その邸宅の家人であり、家主の弟子でもある少女が帰ってきたので、2人は会話を止め、頼次はその邸宅の中に入る。
「永徳様。土岐様をお連れしました」
「入ってきて良いぞ!」
そして、開けられた襖から派手な部屋の主を見た頼次は。
「姉御」
氏清につねられ、自我を取り戻した。
「?」
細身で色白で、平たく言えば氏清や宗矩と同じような感じの狩野永徳は、そのコントに首を傾げた。
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日ノ本の美術界のリーダー、神童などと持て
その隣の国では、1匹の妖怪が目を覚ましていた。
「狸が来て、波が来て、そして虎に叩き起こされてか」
その妖怪は、
「そろそろ目を覚ましたかった頃じゃろ?」
その妖怪の声に応じる声も、また低い。
「それはそうだが。よく我がここに眠ってるとわかったな」
「京と堺、それに寺で聞いとればわかるわ」
「ふん。それだけでは無かろうに」
喋っている間に、妖怪は服を着終わる。
「まあ良い。我は狸を宿す奴等を滅ぼすだけよ」
そして。
そして。
そしてーー。
「まぶしいのう」
2月5日、朝。
十河一存、和泉・岸和田城にて没す。
予約投稿システム、前の方が良いですね。
短くまとめたので、明日から本編に戻ります。ですが、1日おきとなる可能性がありますのでよろしくお願いします。