櫛間・九島・久島氏とも書かれるその氏族は、平安時代を生きた源満仲から、足利家など河内源氏と別れる。
満仲の長子である頼光は、
国直の叔父・国房の子孫は、良晴が来た頃には既に斎藤道三によって美濃を追放される土岐家となった一方で、国直の子孫は地方武士として根付いていった。
「まあ、美濃の方の同族はあまり知らないけどね」
同族に、史実では佐久間信盛追放後に
さて、その山県家の分家の1つである福島家は、応仁の乱の少し前に斯波家が治める遠江に移り、
綱成の父・福島正成の時には、周辺に多くの分家や家臣を持ち、更に城の近くの湊の水軍を持つまでに至っていた。しかし、その正成は武田攻めの時に油断してしまい、散々な目にあった事から発言力が落ち、派閥対立が起きてしまう。
「
その派閥の1つ、反今川派と呼ばれる物の長老が氏輝・彦五郎の暗殺を受けて、早速、高天神城に押し掛けて呆れ顔の正成に対面していた。
「今川家中は混乱しております。尾張の
「我らが
「それは氏輝様の場合であり、氏輝様の遺言も無しに勝手に当主を擁立しようとしているババアや坊さんとは関係がない」
「……尾張の義統の
正成のあからさまな斯波家への冒涜に、長老が大きな溜め息をついた直後、評定の間と廊下を仕切っていた襖が一斉に開け放たれる。
正成の隣にいた綱成と彼女の手を握る恵探を含めた4人と小姓だけだった部屋は、ほとんどが見たことのある武将達で一気にむさ苦しくなる。
「貴方は福島家の総意に反しておられる。これより、人形になってもらいますぞ」
丁寧な言葉遣いとは真逆の視線を長老・越前守から向けられた正成は、獰猛な笑みを浮かべた。
氏輝や義元の生母・寿桂尼や、太原雪斎、ほとんどの重臣たちが義元擁立に動くなか、福島家はこれに意を唱えて、乱の実戦の幕が開く。
「さすが水軍を持つ福島家。途中の城は無視ですな」
氏輝・彦五郎兄弟が殺されて約2ヶ月後の旧暦5月25日、義元方の太原雪斎と名ばかりの交渉を行い、それが破綻した翌日に恵探を擁立する福島軍は、駿河湾を海岸沿いに舟で進んで駿府に程近い所に本陣を構える。
そして、その本陣がある久能山が一気に福島軍が駆け降りていき、駿府と今川館を巡る攻防が始まる。
その激戦の指揮を本陣を構えた今川館でとっていた雪斎の下に、1人の姫武将が迫る。
「太原雪斎殿とお見受けいたす!」
「いかにも。そなたは?」
「私は恵探様の近習の1人、福島勝成! さっき元服するまでは勝千代と名乗っていた者だ!」
「俺には丁度良い相手よ!」
「なっ!?」
勝成が声を上げたのは、正面ではなく真横から刀が来たためだった。
それをかわした勝成は、雪斎との間に割り込んできた中年の男の武将を見る。
「岡部左京進親綱、御館様をお守りするためいざ参る!」
「くっ!?」
姫武将であるが本陣まで来た勝成が凄いのか、それともそんな彼女と連戦でも互角に戦う中年の親綱が凄いのか。
互いに本気でぶつかった戦いは、勝成につけられた者が主に周りをまた囲まれ始めた事で終わりを余儀なくされた。
「さらば!」
一言、そう言ってから、少し不自然に畳まれた書状を落として撤退していく勝成。
その潔さに不思議がる親綱の横まで歩いてきた雪斎は、彼女が落としていった書状を開く。
「ふむ」
「
「大井川の者達がこっちに付き、恵探軍は方ノ上城と花倉城にこもるそうじゃ」
「…………まさか」
「あのおなご、中々の者よ」
まんまと作戦に