大内家の当主が義隆の父親である義興だった頃、京極氏の家臣であったはずの出雲守護代だった尼子経久が出雲を乗っ取り、義興が将軍擁立のために在京している間に山陰に大きく勢力を広げる。
西は石見東部、東は播磨まで勢力を広げた経久だが、
そして、義隆が安芸守護になったり、尼子が制圧してきた国々の人々が離反して義隆に救援を求めてきたため、義隆は尼子家の本拠地・
「だが、この攻撃には
博多から山口に帰ってきたその日の夜、義昭主導で大内家の歴史が振り返られた後、義隆にとってトラウマの戦いなのでお開きになった所を、義昭と良晴はある人物から聞いていた。
経久相手に義隆の援軍が来るまで耐え抜き、居城での
「敗れ、離反にあったとはいえ、まだ尼子家は力をふんだんに持っておる。それ故に、離反した輩を完全に支配下に置いてから攻めようと兵部卿様は考えていたが、
兵部卿様自らが総大将となり尾張守殿、
利休主催の茶会で、義昭の無礼講宣言ということで、元就の言葉も少し荒い。
利休が入れた普通のお茶で喉を潤した後、今の大内家に繋がった戦いの顛末を話す。
「しかし、その月山富田城を攻めている最中に、大内家に鞍替えしていた輩が再び尼子に戻ってこちらを攻めてきた。
兵部卿様は石見路を経由して逃げおおせる事が出来たが左衛門佐様は…………中海で……」
「溺死したのか」
「その通りでございます」
溺愛していた
山口に着いた時に同族としていの一番に挨拶してきたあのおっさんが今のナンバー2なのか、と良晴は感心して、無言で利休が淹れた赤葡萄酒を飲んでいたザビエルが山口で感じた事と元就が話した事を掛け合わせて納得する。
その月山富田城からの撤退戦の窮地を命からがら抜け義昭が来ることから招集された内の1人である元就、義隆に再謁見して布教を許されたザビエル、茶人を山口に送る手続きを任された利休、堺の職人が山口にあった絹で縫った紅色のゴスロリの服を着る義昭、その義昭を膝の上に乗せている良晴。
異色な組み合わせの茶会はこれで終わりとなり、明日の義昭の歓迎会に備えて早めに寝る事となる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして、最後の主役級の役者が舞台入りした日の夜。
「郡司殿が着いたか」
「はっ。あいつからは将軍様の妹君が帰路についた翌日の明明後日に挙兵すると」
「文化に溺れた者を不忠者が罰する、か。どちらにとっても似合う結末よ。少輔次郎からは?」
「1国平らげてみせましょうとの事です。…………本当にあやつを信用するのですか?」
「せぬわ。あやつに待ち受けるのはーー」
例えば、雪に覆われた山城ではそんな会話があった。
「将軍の妹の歓迎会、か」
「兵部卿様は義兄上が家督継承の正当性を示すために必要な人。だからーー」
「わかってるよ。今から帰りはせんさ。家兼らが謀反したとしても、むしろ一気に潰す好機だからな」
例えば、山口の屋敷の1つではそんな会話があった。
「ほら、喧嘩はやめて」
「うるさい黙れ」
「引っ込んどれ」
「親父どの……」
「……隆元どの」
例えば、別の屋敷では何時もの我の強い姉妹喧嘩があり、何時ものように兄は強く言えなかった。
「近江守殿。姫様の様子は
「おお、丹後守殿か。…………姫様は相変わらずよ。あの変から一向に変わっておらぬ。やはり、あれで相当に心をやられとる」
「自分達の同僚だというのに姫様のせいだと抜かす輩はあらかた討ったが、やはり足りぬか」
「大友家のために姫様のお心を救える者が現れれば良いのだが…………やはりあの少年かの」
「んっ? 博多に茶人の願いのためだけに寄った少年か?」
「そうよ」
例えば、府内の屋敷の1つではそんな会話があった。
そして、大内家とその家臣が勢揃いしたその日。
1人の武将の山口からの出奔で、最後のピースは揃った。
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