ものの、ものののの……ものの……
空は至ってのどかな春空。視線に映るは、何処までも続くように錯覚してしまう程の平原。そののどかさの向こうでも、険しい岩肌を見せた山々が連なっており、自然の厳しさと言うものを象徴しているかのようだ。
学院より出発して三時間程度。舗装されていないデコボコの田舎道を走る軽馬車があった。
馬二頭に引かれ、丸い車輪を回し、上下にガタゴトと揺られながら緩やかに道を行く。少し悪路な為、過剰なスピードは出せないが。
御者席には「場所を知っている」として秘書のロングビルが座り、馬車の御者を自ら申し出てくれた。
そしてその後ろの乗車席には、キュルケとタバサ、ルイズと定助が座っている。
そこそこの長距離移動なので、タバサ以外は疲れた顔を見せてはいたのだが。
「……ふぁぁ……」
キュルケが伸びをしながら、大きな生あくびをした。ルイズはそれに、目くじらをたてる。
「レディが大あくびだなんて、下品よ。キュルケ」
「はぁ、これだから堅苦しい人は苦手なのよ……いいじゃない、型破りで」
「型破りってねぇ……ホント、自分では貴族だって言っているけど、自覚あるの?」
「だから、いいじゃないって……朝早くに起きちゃったし、魔法は温存したいし……あー、『ゼロのルイズ』に魔法の温存とか言っても無駄かしら?」
またルイズを挑発するキュルケ。
言動に勿論、カッとなった激情家のルイズは身を乗り出しキュルケの方へ殴り込もうかとしたので、定助が腕で制止させて宥める。
「まぁまぁ、ご主人……そう言うのも貴族として駄目なんじゃあないかな?」
「……フンッ、座り直しただけよ」
そう言ってはいるが、キュルケを睨み付ける彼女の目は迫真だった。
ルイズの気を鎮める為にも、定助はキュルケにも注意を入れる。
「キュルケちゃんも煽らない。今、オレ達はチームなんだから、不和は無しにしよう」
「はぁい、ダーリン!」
「…………」
また『ダーリン』と言って、定助の指摘の傍から挑発を始めた。心配になってチラリと横目で、ルイズを見る。
案の定、更に不機嫌な表情をしているが、良い具合に拗ねてくれたようだ。下唇を噛み、ムスッとした態度で座っている。
「そう言えばキュルケちゃん、その剣……持って来たんだ」
そんなキュルケの手元にあるのは、豪華な大剣……彼女が定助にプレゼントする為に買った、この出来事のある意味での、『火種』の剣である。
流し目で色っぽく定助を見つめながら、その豪華な剣を押し付けるように渡す。
「だってダーリンったら、すぐ無茶しちゃうんだし。信用出来る剣にした方がいいわ」
「あれは本当に悪かったよ……だけど今見たら、うわぁ……ちょっとオレにはお高いと言うか、分不相応と言うか……」
受け取った剣を両手で、赤ん坊をあやすようにゆっくり腕で上下させている。
すると背負っていたデルフリンガーがこれとばかしガチャガチャ暴れ出したので、鞘から取り出し喋らせた。
『相棒! 良いか? 原来、剣には両立が利かねぇんだ! 現実は非情って奴だ!』
「と言うと?」
『彩飾されたもんは、攻撃性がカット! 逆なら彩飾がカット! 強い剣ってなら、俺みてぇなもんを差すんだぜ!』
「はぁ、分かるような分からんような」
そして最後に、定助の持つ豪華な剣について、産まれながらの悪を看破するチンピラが如く物申す。
『こいつぁ駄目だッ! 原価以下のナマクラ臭がプンプンしやがるッ! へい、紅い嬢ちゃん! 男見る目はありそうだが、剣を見る目は誤ったな!』
デルフリンガーの言葉に対し、キュルケは悔しげの微塵も見せずに鼻で笑った。
「両立、あるじゃない。あなたのような錆だらけの剣なら、誰がどう見たってナマクラよ? 彩飾も無いし、錆だらけの両立!」
『何だと!? 言いやがったな!? これでも昔はブイブイいわして来たんだぞ! だから処分されずに生き残ってんだ!』
「へぇ、武勇伝か?」
定助が釣り針にかかるように、興味津々で話へ食い付いた。すると、得意げにデルフリンガーは『おうよ!』と猛り、一際大きく揺れる。
「聞かしてくれよ〜デルフリンガー。の歴代持ち主で、一番強かったのは?」
『いいぜ相棒、聞かしてやる! あれはー…………』
「…………」
『…………』
言ってやる、と言った瞬間に、殻から魂が無くなったかと思う程にピタリと停止してしまった。
話に静かに聞いていたキュルケと定助だが、数秒経っても何も言わないデルフリンガーを怪訝に思い始めて来て、堪らず定助が話しかける。
「……ん? デルフリンガー?」
『……やっちまった』
「え?」
『忘れた!』
拍子抜けから頭をガクンと下げる二人。対して、アホらしく愉快に揺れる、デルフリンガーである。
「おいおい、忘れたって……それ程、猛者達だけに使われたって事か?」
『そう言う訳じゃねぇけどよぉ。長く生きてりゃ、記憶がこんがらがっちまってな! どの時代に何だったか、色々あり過ぎて』
「オレの事を『使い手』って言っていたけど」
『いや、「使い手」ってのは直感的に分かんだが、なんのってのが忘れた。例えるなら、使用方法は分かるけど使う意図が分からない、古代のオーパーツってか?』
「例えが的確なような、そうじゃないような……」
その横、定助同様にデルフリンガーの話に興味を抱いていたキュルケが、結果上の呆気からか馬車の背凭れに寄り掛かって、溜め息を吐いた。
「錆びているのは、見た目だけじゃないのね……若い喋り方でボケ老人じゃない」
『何だと!? んじゃあ、この際言ってやるがテメェは」
またいらない事を言ってしまうな、と判断した定助は、そこでデルフリンガーを鞘に押し込み強制退場させる。
必死の抵抗かとも思われる位、鞘の中で激しくガタガタと揺れたのだが、例に倣って暫く経てば大人しくなるだろうに。
「煩い剣ね、いっそ捨てちゃったら?」
「それは出来ない。ご主人が買ってくれた物だし、これ面白いし」
「まぁ、何だかんだで昨夜のゲームに勝ったのはあたしだから、使って貰うけど!」
「…………」
拒否権はないのか、との問いは問う前に、彼女の表情から答えが読み取れたので飲み込む事にした。彼は察しが良い。
背後で不貞腐れているルイズは、強めの力で定助の背中をチョップする。
「あいて!……ご主人?」
「……ふんっ!」
「あー……」
これは完全に怒らせたようだ。
腕を組み、そっぽを向いて膨れる彼女はさしずめ、育児放棄気味の父親を前にした娘のような感じと言えば分かるだろう。つまり、どうしようもならない壁が構築されている、と言う訳である。
少し定助は肩を落として、畏縮するような風になったが、キュルケはお構いなし。
「ほら、ちょっと素振りして見せて! 大きな剣だけど、ダーリンの体格なら大丈夫でしょ?」
そう言って色っぽくウィンクする。いつまでも平常運転なキュルケにたじろぐ定助だが、ルイズが何も言わないのならと、少しムッとした反抗心が芽生え、キュルケの言う通りにしてみようかと考えた。
「分かった。ずっと座りっぱなしだから、鈍っちゃうからね」
揺れる馬車の上で、優れたバランス感覚を発揮してそうっと立ち上がり、デルフリンガーを背負ったまま、キュルケの剣を両手で構えてみせた。勿論、危険なので鞘には収めたままだが。
「どう?」
「お似合いよ、ダーリン! あたしの目に狂いはなかったわ!」
「あぁー、でもどうかな?」
「似合うかなぁ」と言いたげなニュアンスの定助に対し、キュルケの賛美よりも先にルイズが憎々しさタラタラに苦言を零す。
「漏れなく食われているわよ、あんた。芝居で、主役が脇役に食われているような感じ。私のあげたインテリジェンスソードの方が似合っているわ」
黙ったままは納得いかないのか、とうとう口を開いたようだ。
「やだやだ、ヴァリエールったらセンス無しね。ギーシュに勝って、無謀だったけどフーケに挑んだ彼は最早、戦士なのよ? グレードアップさせた方が良いじゃないかしら?」
「お生憎様、ツェルプストー。インテリジェンスソードに言われていたじゃない、『剣を見る目ないな』って。結局、そんな程度って事じゃないの?」
「何ですって?」
「ストップストップ! 喧嘩しない!」
また口論になりかけた二人を制止させ、話題を自分でもから遠ざけるのが良いと考えて辺りを見渡した。
タバサは黙って本を読んでいるが、案の定こっちに興味無さげだ。それに話題の矛先にするには、定助とタバサは距離があり過ぎる。
なら御者であるロングビルならどうかと、パッと彼女を見た。馬の操作をしているので背中を見る事になるが、学院から持って来たままの疑問もある為、話題先を彼女へと強制的に引っ付けたのだった。
「……えぇと、ミス・ロングビルさん。ずっと馬車を操縦してくれてますけど、お疲れじゃないですか?」
いきなり話しかけられて驚いたようで、チラリと背後の定助を一瞥する。
それでも誠実な秘書のロングビル、丁寧に受け答えてくれた。
「大丈夫ですよ。以前、夜通しで操縦した事がありますから、慣れています」
言うが彼女もまた、メイジであろうに。そう思った所で、ルイズが質問をしてくれた。
「手綱なんて、付き人にやらせれば良かったじゃあないですか」
貴族の観点から見れば、確かにロングビルがする必要はないと思われるが。
慣れているとは言え、肉体労働は平民に任せれば良いのに。この疑問を平民である定助が思い付いた時は、少し可笑しいなと思い苦笑いしてしまう。
その問いに対し彼女は、背中を向けているので表情は読めないものの、少し言い難そうな声色で律儀に語ってくれた。
「……良いのです。私は、貴族の名を無くした者ですから……」
ロングビルの言葉を聞いて、定助とルイズは「しまった」と言わんばかりの顔をして、居心地悪そうになる。
定助は街に行った時の、ルイズの説明を思い出していた。『勘当されたり、破産して落ちぶれたりする貴族がいる』と言った内容の、世知辛い貴族事情だ。
思っても見なかったヘビィな内容に、思わずかける言葉を失ってしまった二人を差し置いて、今度はロングビルに興味を持ったキュルケが突っ掛かった。
「でもオールド・オスマンの……まず、トリステイン魔法学院の秘書をなさられているじゃないですか。これは立派な事では?」
「オスマン氏は、平民・貴族に拘りを持っていない方ですので……本当に感謝してもし切れない程ですわ」
横顔だけだが、彼女に笑みが浮かんでいる。
良かったと思い、定助はキュルケに心で感謝したが、彼女はまだ続けた。
「宜しければ、事情をお聞かせ出来ないでしょうか?」
「ちょっとちょっとちょっとキュルケちゃん!?」
そこまでは触れてはならないタブーゾーンだろうと、定助は大急ぎで彼女を発言を掻き消そうとする。
これには真面目なルイズも黙っていなかったようで、またも定助の代わりに説教をしてくれた。
「あんたって、デリカシーがないの?」
「気になったから聞いたんじゃない。何か悪い?」
「悪いに決まってんでしょ! 昔の事を根掘り葉掘り聞くなんて、失礼よ!」
「別に良い…………あ、『根掘り葉掘り』……ふふふふ!」
キュルケが『根掘り葉掘り』のワードに関して、思い出したように笑った。何が何だか分からないが、気に食わなかったルイズは疑問を投げ付ける。
「なによ? 私、変な事言った?」
「ふふっ……いいや? ちょっとこの間の事思い出しちゃって」
「この間の事?」
「宝物庫で、『イーヴァルディの勇者』で怒っていた先生、いたじゃない! あの眼鏡の!」
それを聞いてルイズは、頭の中で映像を逆回しにして顔を思い出した。
確か、『イーヴァルディの勇者の、「イーヴァルディ」は人名だから、その後に「勇者」は文法的におかしい』と言う内容でキレていた。廊下で待機していた彼女達だが、圧倒的な大声だったので良く聞こえ、印象にも深かった事を思い出している。
定助はその場にいなかったのでパッとしないが、『眼鏡で怒っていた先生』と聞いて、キュルケの言う同人物を思い浮かべる事が出来た。
「あの先生ったら、図書館のど真ん中でこう言ったらしいの。『根掘り葉掘りの根掘りは分かる、土に埋まっとるからな。だけど葉掘りって何だ!? 葉を掘ったら裏側へ破れちゃうだろ』〜って! 読んでいた書物にその表現があったから、思わず怒ったって訳! 後は司書さんに連れて行かれて、今じゃ出禁! 言っちゃ何だけど、言葉に怒るなんてどうかしているわよ、あの先生!」
彼女の話に「なにそれ?」と、半笑い気味に聞くルイズ。
一瞬だけ、年頃の少女の顔を見せた所。
「葉掘りって、落ちて積もった葉っぱを掘るって意味でしょ?」
「あれ? そうなの? まぁ、取り敢えず、そんな事で声を荒げて怒ったの! あたしも近くで読み物していたから、驚いちゃって!」
話題の眼鏡の先生に対し、ロングビルも思い出した事があるようで、話をしてくれた。
「その先生については、こちらも頭を悩ませていましてね」
「へぇ? それはどのような?」
「以前、貸し出した馬車を殴り壊していましてね? その前は『破壊の円盤』を解析しに来たアカデミーの方々の言動に激怒。その前は試験問題の内容に激怒して……」
あの眼鏡先生の悪行の数々に、ルイズは引き気味に尋ねた。
「だ、大丈夫なんですか? 特に『アカデミー』相手は危ないでしょ?」
「突っ掛かろうとした所を、実行前に二人がかりで宥めたとの事ですわ。それ以外でも幾つか備品破壊をしており、弁償請求を溜め込んでいました。ちょっと困ったお方ですね」
「ちょっと所じゃないでしょ……良く、辞めさせられないですね」
「言いましても、独創的な魔法研究を扱う方でして、その節では有名な方なんですよ? それにオスマン氏は、そう言った方々を決して邪険しませんわ」
「責任のとやかくは負って貰いますけどね」と、困ったような微笑みを携えながら最後に付け加える。
思い返してみれば個性の強い先生がチラホラいるなと、定助は再確認出来た。コルベールしたり、あの長髪の先生したり……それよりも生徒に目が付いて仕方ないのだが。
ともあれ教師の個性が強い所は、学院長の懐の深さもあるやもしれない。
「で、話は戻りますが、理由は?」
「止めなさいっての! この恥知らず!」
キュルケに対してルイズの鋭いツッコミ、定助は何故か関心していた。
何だ、いざこざとか隔たりがあるとは思うが、仲良いじゃあないか、と。ある意味で日本人的な観点ではあるのだが。
しかし和やかな時間は、もう終わりだろう。
ロングビルが馬車を止め、鋭い眼差しで前方を見やったからである。
「到着しました……ここの森にフーケが潜んでいると思われる、廃屋があります」
一気に場に、緊張が走った。
馬車は森の前に止めてあり、そこから真っ直ぐに続く道は獣道とも言える程、荒れたものだ。あまりに森が深い事と、フーケに発見される事を考慮し、ロングビルの提案で徒歩による移動を開始する。
「ジョースケ、降りるわよ」
「あぁ……やっとかぁ……」
馬車から降りて森の入り口に入ってみれば、光も葉に遮られている程の鬱蒼とした森である事が分かるだろう。木漏れ日が新緑の光で道を灯している所は、まるで何者かの誘いのように、怪しげで不気味な雰囲気を漂わせていた。
「暗いなぁ……これじゃ、根に太陽光が届かないからいけないよ」
「その分析、今はいらないから……まぁ、不気味なのは確かだけど」
全員が欠ける事なく、いるのを確認してから、ロングビルから話をかけた。
「では、私が先導致します……背後は、お任せします」
「……はい」
ロングビルが先導を提案し、皆もそれに賛成する。何より廃屋の場所は、この中では彼女のみ知る所で、だからこその案内役なのだ。
「参りましょう」
彼女の背後をルイズ、タバサ、キュルケ、そして定助の順番で根の露出する森の悪路を、転ばぬように注意しながら静かに歩いて行く。
「…………」
もしかしたらフーケは既に、皆を感知しているのかもしれない。そんな警戒心による緊張から、ルイズは無意識に拳を強く握っていた。「必ず捕まえてやる」、そう固く決心し、ロングビルのすぐ後ろと言う踏み込んだ位置にいる。
森は暗い、されどこの勇気が道に灯火を与えているかのような感覚がした。
「暗くて怖いわ……」
「キュルケちゃん、何か近くない?」
「だって、心細いんですもの!」
「……何で腕を組んでいるの?」
「人肌恋しい気分なの」
「……キュルケちゃん、当たっちゃってるから」
そんな中で聞こえて来た、定助とキュルケの会話。ピグリと左瞼が痙攣し、バッと振り返った。
定助の腕に絡み付き、自身の豊満な胸を押し当てるようにしてイチャつこうとしているキュルケの図が、ルイズの視界を離さない。
「さっきからなんなのあんた!? 緊張感っての物がないの!?」
さっきまでのフーケがとやかくの思いは弾けて飛んで、怒りを露わにキュルケを怒鳴りつけた。
しかし「ジョースケから離れろ」とは言わない所は、昨夜のゲームの条件を遵守しているのだろうか。それとも対フーケを控えた緊張感から、それを持っていないキュルケへの鬱陶しげの方が勝ったからだろうか。
ルイズに叱られど、キュルケは変わらない、フラリフラリとした態度のままだが。
「緊張感? どうして持つ必要あるのよ?」
「どうしてって、あのフーケなのよ!?」
「えぇ、そうでしょうね。でもガチガチに緊張していたら、出来る事も出来なくなるわよ? 少し適当になっていた方が良いんじゃないかしら?」
「…………」
少しだけ関心したような表情になったルイズだが、キュルケは上げて落とすのが好きな女性のようだ。
「まぁでも、緊張ってのはある種の恐怖に対する自己防衛よねぇ。もしかして、ビビって……?」
その言葉にルイズは強く反発し、猛烈に抗議した。
「そ、そ、そ、そんな訳ないじゃないッ!? フ、フーケなんて、私の魔法で一発よッ!」
「吃っちゃってぇ? 図星でしょ、ヴァリエール?」
「ビビってないッ!!」
蹂躙される様を楽しげに見ているキュルケと、ドス黒い悪である神父に挑むような鋭利な目付きで睨み付けるルイズ。丁度、挟み討ちの形になってしまっている定助は、キュルケの『柔らかさ』を右腕に感じながら、疲れたように黙っていた。この二人を止めるのは無理なんだろうと、諦念してしまったのか。
同じく挟まれているタバサと言えば、トラブルとか敵とかの生活は真っ平ごめんと言いたげに、表情も言葉も黙らせて歩いている。
そんな時、ロングビルの緊迫した声が、四人に向けられた。
「静かにして下さい!……見えて来ました、あれです」
「……ッ!」
彼女の言葉に反応し、ルイズは再度キュルケから前方へと視線を向けた。
ロングビルが指差し示す場所を、定助を凝視する。
深緑の森の中では、そこはとても目立って見える赤茶色であった。ヒビの見えるレンガ造りの家は、木々が開けており、暗い森の中で太陽光を独占しているようにも見えた。それらが印象を形成して放っていたのか、丁度、海に突然現れた大型船が如く強いインパクトを与えている。
「……あれがそうか……なかなか立派だ」
元は木こり達の拠点だったのか。
廃れた見た目の廃屋が、不気味ながらもそこに佇んでいる。そう、こここそが、フーケが潜んでいると見られている問題の場所であったよだ。
言いますけど、ルイズも結構、ヤンデレの気がありますよね。うへへへ
失礼しました