そういえばこの間学校の食堂にいったらなんと横須賀海軍カレーのコロッケがありました。なんであるのさ。
というか普通にカレーにして売ってよ。
「木曾だ。お前に最高の勝利を与えてや………何してるんだ?」
「あ、新人の人?ごめん。今夕張さんに説教してたんだ」
夕食の終わった時のこと。夕張さんに軽巡の子の建造の結果がどうだったのかを聞いた。
吹雪ちゃんと書類仕事してたからどうなったのか知らなくて。
………アニメ見てて存在を忘れてましたっていう返答は想定外だったけどね!!
何やってるのさ。しかもそのテレビ僕のじゃないか。なんで普通に工廠に置いてるの?食堂においてよ。みんなが見られないじゃないか。
「お前の怒っているベクトルずれてないか?というか絶対俺を放置していたことよりテレビのことで怒っているだろ」
「いや、木曾だっけ?君のことでも怒ってる。なんで女装してる男の子を建造しちゃったの?」
「殴っていいか?」
「え」
まさかの女の子でし………痛い痛い!!
「………その、木曾さん。夕食どうします?」
「ああん?」
………木曾さんが本当に怖いです。逃げ出したいです。
「海人さんって割とへたれですねー」
「落ち度まみれの夕張さんには言われたくない」
「………もういいよ。俺は怒ってないから。それで、夕食がどうしたんだ?」
「えーっと。もう夕食食べちゃったから実は木曾さんの分が何も残ってなくて。伊良湖さんに頼んで作ってもらってるけど………お腹空いてる?」
「建造されたばかりだから別に空いてない」
マジですか………僕が食べるか。無駄にしちゃ不味いし………
「………しょうがないな。よし、提督。散歩………いや、夜間警備に行くぞ」
「え」
「なんで驚くんだよ。食料は無駄にしちゃダメだろ?腹ごなしだ。だけど俺はここの地理がさっぱりわからないんだ。案内を頼む、提督」
「実は僕も地理はさっぱりなんだけど」
「お前さっきから色々と残念すぎないか!?」
言われたくない言われたくない!!忙しかったから地図を全く見てないだけなんだって!!
結局。地図とライトをもって木曾さんと夜間警備という名目の散歩に僕は出かけた。
「………それにしてもこの辺の道ってわりとしっかりしてるな」
「一部の道路は作り直してたらしいよ?あ、ここを左に行ってみる?」
木曾とは少しだけ打ち解けた気がする。
いつまでもぎすぎすしっぱなしっていうのは不味いからね。
「なあ、一つ聞きたいんだけどな?お前年幾つだ?」
「18歳。みんなには言ってないけど、少し前に誕生日があったんだ」
「………俺の記憶が確かなら艦娘の提督って若くても22歳くらいだったはずなんだが」
「なんでそんな記憶があるの?」
「え?」
おかしい気がする。君は艦娘として建造されたばかりのはずなのに、どうしてそんな記憶があるんだ?
軍艦だった頃の記憶だけじゃないの?
「なんで………だろうな?気がつくと知っていた感じだな」
「………艦娘って一体どうなっているんだ………」
「まあ、気にするなよ。別に知識が多くて困ることはないはずだ」
確かに。
「それで話を続けるが、どうしてお前はそんな年齢で提督になったんだ?志願したのか?」
「いや、志願なんて全くしてないよ?そもそもきっかけは………」
僕は木曾に大学の受験を間違えたこと、海軍元帥から呼び出されたこと、何かを見抜かれて提督にされたことを話した。
「お前も大概だけど学校もおかしいだろ」
「まあねえ。僕の時の生徒会長がポンコツだったし」
「ポンコツって………」
「書類仕事をやろうとしたらことごとく妨害してきた。しかも全部善意」
「おい」
「僕に友達がいないのを見かねて友達を紹介してきた。ただし全部女子」
「えええ」
「おかげで男子からの印象も悪くなったりして余計大変だった。まあいろんな女の人に慣れられたのはいいことなのかな………提督になった以上いろいろな艦娘に出会うだろうし」
「………お前、苦労してきたんだな」
「人生なんてそんなもんでしょ。もうそういった運の悪いことに出会うのは諦めた」
「………じゃあ、提督になったこともそうなのか?」
回答に少し困った。
「そうかもね。木曾や吹雪ちゃんとか艦娘には悪いけど僕には愛国心とかもなければ特に優れた何かがあるわけでもない。何で提督にさせられたのかも知らないし、みんなの事もよく知らない………戦争に対する覚悟も知識も何もない。あるのはただの根気くらいかな」
「………そうか………なあ、海人。困ったことがあったらなんでも言ってくれよ?俺でよかったら相談に乗るし、力になる」
「提督辞めたいって言っても?」
「………ああ」
そう答えた木曾は少しだけ辛そうだった。提督がこんなこと言ってちゃやっぱりダメなのかな………
「一応既に辞表は出そうとしたんだけどね」
「行動に移してるなら俺に相談する必要ないじゃないか」
「相手に『こんなもの受理されると思っているんですか?』って笑顔で突き返された」
「お前一体何をやらかしたんだ」
本当に知らないから。
「海人か?こんなところで何をしている?」
木曾と話をしていると、警備をしていた那智さんと響に出会った。
最近は警備は二人一組で行うようにしているのだ。
「ちょっと新しく建造できた人と一緒に散歩してたんだ」
「そうか………ん?お前、木曾か?」
「おお、那智さんか!懐かしいな、この鎮守府にもういたのか!」
………知り合い?
「ああそうか。提督はそういった知識がなかったな。私と木曾は昔同じ艦隊だったことがあるんだ」
「そうなんだ。今度調べてみようかな………」
「ところで那智さんは何をしていたんだ?」
「木曾はまだ知らないのか。ここの鎮守府の警備班の班長を私はしていてな。いまちょうど警備中だったんだ」
「そうなのか。なあ、俺もついて行っていいか?」
「いいぞ、この島のことを案内してやろう」
………仲よさそうでうらやましいなあ。
「そういえば海人さん、さっき警備してたら面白い物を見つけたんだ」
「面白い物?」
「ああ。温泉があった」
「………え?どういうこと?」
「地図に載っていないところにお風呂屋さんが建っていたんだ。内部も探索してみたけど、放置されていた期間が長いみたいだから埃まみれだけど、掃除すれば使えそうだ」
なんでそんな物が建っているんだ………
「まあいいじゃないか。海人さんは私達と違ってお風呂無しのシャワーだけで過ごしているんだろう?寝耳に水じゃないか」
「それはそうかもしれないけど普通は地図にない建物があったら怪しもうよ。探索とかしちゃまずいでしょ………というか、みんなお風呂入ってたの?」
「待て、海人。俺にはお前がどうしてお風呂に入っていないのか謎なんだが」
ああそうか。木曾はまだ知らないのか。
「普通に鎮守府が元々学校だったからお風呂がなかったんだって。夕張さんが体育館にあったシャワー室を直してくれたから僕は今までそこを使ってたんだよ。それでお風呂については存在を知らなかった」
「なるほどな。というかお前本当に無知だな」
うるさい。
「そもそもお風呂といっても壊れた入渠ドックの一つを臨時でお風呂に改装してるだけなんだけどね」
「それでも海人を入れてやれよ」
「………なるほど、木曾さんは知らないのか。海人さん達人間は入渠ドックに入ったら不味いんだよ?」
「まあ確かに覗きとかそういった観点からすれば不味いだろうけど見張りを立てればいいだろ」
そもそも僕には覗きとかする度胸はないから。
「………少し、吹雪から聞いた話をしようか。それはまだ私達艦娘の存在が知れ渡って間もない頃の話だ」
「ある前線の鎮守府が大きな被害を受けた。艦娘たちは傷つき、そこの提督もまた大きな怪我を負った」
「提督はこの大きな怪我を艦娘たちの使っている入渠ドックで治せるのではないかと考えた」
「それを実行に移したのが彼女の運の尽きだった。ドックの液体に足をつけた瞬間に感覚がおかしくなっていることに気がついたんだ」
「すぐに引き揚げようとしたが、バランスを崩して全身を液体につけてしまった。その時彼女が目にしたのは………」
「肉が溶けて骨だけ、いや、骨すらも溶けゆく自らの足だった」
「悲鳴をあげてすぐに出ようとした。しかし起き上がるために突こうとした手はもう溶けていた」
「そして顔も液体ににつかり、美しかった顔も、髪も、何もかもが、液体に溶けた」
「悲鳴をききつけてやってきた艦娘が目にしたのは赤く染まった入渠用の液体だった………」
「という話があるんだ。さらにこの話には続きがあって」
「やめろ響!!本当に怖い!」
「僕も本当に怖いんですが!これから普通にお風呂に入れなくなりそう!」
まさか怪談みたいな話だとは思わなかったんだけど!?しかも吹雪ちゃんが言ってたのなら信憑性高そうだし!
「そうか………様々な提督の近くに溶ける前の美しい姿で恨み言を吐きながらまとわりついている彼女の話をしたかった」
「お前は人の話を聞いているのかぁ!?」
というか響ちゃんって一体何!?怖い話したりチョコ一気食いしたりとか訳がわからない!
………そして。この次の瞬間………
「………わた、しの………か、ら、だ………返せ………」
僕のそばに、一人の女性がひっそりとたっていた。彼女の声を聞いた僕は………
「う、うわぁぁぁぁぁ!!」
全力で女性をぶん殴った。
「………おい、こいつ気絶してるぞ」
「阿賀野さんが近づいてたのは気づいてたけど海人さんがここまでやるとは思わなかった」
「ほ、本当に僕は怖かったんだからね!?」
殴った相手は呉の阿賀野さんだった。多分響ちゃんの話を聞いてて僕を驚かせようとしたんだろう。
「でもなんでこんなところに?」
「きっと例の軽巡洋艦の人を連れてきたけど海人さんがいなかったから探しに来たんじゃないかな」
「………あ!そっちの軽巡洋艦の人を忘れてた!急いで鎮守府に戻らないと!」
「海人、お前ってやつは………さてと、帰ろうか、那智さん」
「………」
「………おお、立ったまま気絶してるね」
なんですと。まさかの那智さん恐がりですか………どんだけ苦手なんだ。
木曾:きそ
球磨型軽巡洋艦の五番艦。
もういじるネタが多すぎて大変です。もうあえて触れません。
うちでは40番くらいに来て、今ではLv60です。
………話上軽巡洋艦が必要になったから出したんですけど、僕ってなぜか軽巡洋艦を建造しにくいんですよ。だから40番目だけど仕方なく出しました。