これ元々阿賀野の話のはずが響の話に変更。
ネタばらしすると響が重要ポジションというかヒロインだったのですがイベントが少なく急にデレるキャラになっていたのでこれは不味いと判断。
急遽今回の話を変更し響話にしていましたがうまく行かず。
響はヒロインではなくなりました。
新キャラの龍田での話もダメだったので青葉を早期投入した結果です。
ぬあぁぁ………
………ダメだ。完全に迷った。
「………はあ。どうしよう………」
事の発端はつい先日。僕らは温泉の探索中に一丁の拳銃を見つけた。
銃弾は一発だけ入っており、持ち主は不明。温泉内を皆が調べてくれたけど、持ち主につながる物とかは出てこなかった。
これを放置するのはまずいということで、僕と吹雪、そして護衛に響と龍田を連れて僕らは本土にある最も近い鎮守府、『呉鎮守府』に向かった。
吹雪と響が銃についての事情を説明している間、僕は着任したての頃の事故の影響が出ていないか、また艦娘を建造したことで体調がおかしくなっていないかということの検査で呉鎮守府内の病院で検査を受けていた。
検査は無事に終わったのだが………迷子になってしまった。
「おやおや?お困りのようですね、提督さん?」
途方にくれていると、一人の少女に声をかけられた。
「え………衣笠さん?」
「違いますよ?私は青葉型重巡洋艦の一番艦です。衣笠は私からしてみれば妹にあたりますねー」
衣笠さんかと思ったらよく似ている別人の人だった。僕はまだこの人は建造していないから別の鎮守府の艦娘なのだろう。
「そうなんですか。実はちょっと迷子になっちゃいまして………」
「ああ、この呉鎮守府に来るのは初めてなんじゃないですか?ここって結構広いですから迷子になるのは仕方ないですよ。道案内しましょうか?」
「ありがとうございます。とりあえず………『第17待機室』までお願いします。そこにみんながいるはずですから。それで………あなたの名前は?」
「おっと、私としたことが自己紹介を忘れていましたね。私は横須賀鎮守府の青葉といいます。これからよろしくお願いしますね、柱木提督」
なるほど、青葉さんか………
「あれ?どうして僕の名前を知っているんですか?まだ名乗っていないはずなのに………」
「あ、すみません。書類上ではあなたのことを知っていたのでつい」
「僕ってただの新人提督ですよね?それなのにどうして」
「新しい提督についての書類制作を前に手伝わされていたんですよ。その中に柱木提督のデータがあったんですよ………写真を提督に売りつけようと執務室に入ったらあんなことになるとは思いもしませんでした」
「ちょっと待って。写真を売りつけるとか何をしてるんですか!?」
「おやおやぁ?なんの写真だか私はまだ言っていませんよ?もしかして予想ついちゃったんですか?」
「不穏な雰囲気してるし前にそういうのとっちめたことがあるからね!!」
絶対艦娘の盗撮写真でしょ!?
「その通りです。あ、後で送りましょうか?有料ですけどお安くしておきますよ?」
「いらないから!というか君を警察とかに突き出したいんだけど!?」
「ふっふっふ。それが果たしてあなたにできますかねぇ。私の練度は普通の艦娘とは比べものになりませんよ?一般人に押さえられると思わないことですね!」
「ごめん練度って何」
「あたっ!?」
あ、こけた。漫才?
「な、なんでそんなことも知らないんですか………」
「仕方ないでしょ誰も説明してくれないんだから」
「説明してくれないなら勉強しましょうよ!?それに私横須賀の提督の秘書艦に脅されて提督として必要と思われる知識を急ピッチでまとめて本にして柱木提督に送った記憶があるんですが!?」
「何それ知らない」
というか脅されてるって。盗撮してることばれてるんじゃないか。
「はっ!まさか、某鈍感主人公みたいに古い電話帳と間違えて捨てたんじゃないでしょうね!?」
「だからそんなことしてないって。本当に存在を知らないんだって」
「………とりあえずは信じますよ。ですけど本当は柱木提督が処分していたと発覚したらこの青葉、柱木提督にあることないこと言いふらしますからね!」
物騒な。噂の拡散とか一番被害が大きくて取り返しがつかないんですが。
「………というか柱木提督。さっき気づいたんですけど迷子になったのなら自分の艦娘を携帯電話で呼べばいいんじゃないですか?」
「あ」
「柱木提督は無知かつある意味で鈍感………っと」
どうしてそういうことをメモするのか。
「調べてもらったところあの銃は自衛隊に採用されていた9mm拳銃ということがわかったよ」
部屋に戻った僕はみんなから拳銃について報告を受けていた。
「自衛隊、と言うことは古い物ってことだよね?」
「はい。自衛隊は艦娘を運用するようになってから名前を日本海軍や日本陸軍に変えていますから。おそらくあれは自衛隊の存在した頃、10年前の物ではないかと言うことでした。現在では9mm拳銃はほとんど使用されていませんから。ただどうしてそれがあったのかはまだわっていませんが………」
「というか自衛隊の持ち物ならどこの部隊の誰がもっていたかとかわからなかったの?データとかあるとは思うんだけど」
「………10年前ということはおそらく艦娘の存在しなかった頃よ?多大な被害を全国各地で受けていたりするのにデータが残っていると思う?」
「あ………」
結局謎ってことか………
「いやいや諦めるのは早いですよ柱木提督」
「青葉さんまだ居たの!?」
「今は仕事がなく暇ですので。自衛隊の持ち物ならばおそらく海弧島への自衛隊の船の入港記録があるかも知れませんよ?そこからしらべられるかと。ところでその拳銃本当に海上自衛隊のものなんですかね?」
「………どういうこと?」
「正確には元海上自衛隊かもしれませんよ?別の誰かがあなたを殺すために持ち込んだとか」
「そんな馬鹿なことありえないでしょうが」
「いえいえ?柱木提督は海軍での重要人物になっているんですよ?」
「はぁ!?なんで!?」
「それに実際に提督が殺害されたこともありますよ?拳銃を使った艦娘の手によって、ね」
「え………?」
本当にどういうことなんだ?僕の才能?提督の殺害?
「いいですか柱木提督。艦娘達にとって提督というのは仕えるべき上司でもあれば信頼できる戦友でもあり………支配者でもあるんです」
「支配者?」
「はい。艦娘は提督の命令には逆らえませんから」
「なっ!?」
そんな事全く聞いていないし本とかでも読んだことがないんだけど!?
「ご存じないようなので説明してあげましょうか?あなたがどうして提督にされたのかについても………まあ、あなたと私の間だけの話にしてもらえるならですが」
「………わかった。吹雪ちゃん」
「了解しました。ちょうどいいのでみんなでご飯食べに行ってきますね」
そういうと三人はこの待機室を出て行った。
「………はぁー。甘いですねー柱木提督」
「何が………っ!?」
振り向くと、そこには銃口があった。青葉さんが僕に向けて銃を向けていた。
そして、青葉さんは僕の頭に照準をあわせて引き金を引き………
かちり、と金属音が鳴った。
「まあ、これには弾は入っていないんですけどね」
「お、驚かさないでくださいよ!?」
「何を言ってるんですか柱木提督。出会ったばかりの艦娘と二人きりになろうとするなんて相当危険なんですよ?それを教えてあげただけです」
「………どうして危険なのさ」
「簡単な話ですよ。艦娘は人間じゃないからです」
………吹雪ちゃんといいみんな同じ事を言うな………僕はそうは思いたくないけど。
「そもそもの話ですけど。柱木提督は艦娘について何を知っているんですか?」
「………かつての軍艦の記憶と力を宿した女の人ってことしか知らないよ」
「間違ってはいないですね。私達が人っていうことを除けばですが」
「じゃあ何なの?兵器とでもいうの?」
「ええ、そうですね。兵器としてのただの生命体ですよ」
僕は青葉さんにいらだっていた。自分のことを兵器だと言うことを容認できるほど僕は冷酷な人間じゃない。
下手をすれば殴っていたかも知れない。
「艦娘というのは身体能力は艤装なしでは一般人より少し高い程度なんです。ですが戦闘を繰り返すことで軍艦としての力を覚醒させていき、成長していく。私の練度は比べものにならないと言いましたよね?ここまで達するともはや人間とは比べものにならない化け物のような力を発揮できます」
「………そんな化け物を生み出す提督も化け物なのかな」
「いえいえ。提督は化け物でもあり人間ですよ。先程説明しましたが、艦娘は提督の命令には逆らえません。それは『指揮』と呼ばれる提督に必要な能力があります。これは艦娘への命令の強制力のことでもあるんです。その能力が一定以上の強さだと艦娘は命令に逆らえません。命令に逆らおうとしても意識が真っ白になってしまいます。ですから………提督にこの体を弄ばれようと、死ねといわれようと。艦娘には逆らうことができないんです。逆に従うと普段以上の力を発揮できますけどね」
「そんな能力いらないだろう!?そんな能力がある限り、艦娘は人間の言いなりじゃないか!?」
「何を言ってるんですか?艦娘は人間以上の力を持つんですよ?首輪をつけなくてどうするんですか?何かの拍子にあなたが艦娘の怒りを買って殺されそうになってもいいんですか?」
「それは………」
………答えは既に決まっているな、うん。
「別に問題ないね」
「ほう。理由をお聞きしても?」
「僕の命なんて人類を守るために戦う艦娘とくらべたら安いと思う。それに………いや、なんでもない」
「訳あり、と。私の直感だと過去になにかあったんじゃないですか?こんな人間の奴隷のような生き物に哀れんでいるんですしね」
その言葉が僕の中の何かを切った。
「ふざけるなっ!!もういい加減にしてくれないか!!」
「何がですか?当たり前の事実を言っているだけじゃないですか」
「その当たり前の事実が間違っているんだよ、少なくとも僕にとってはね。艦娘が化け物?兵器?奴隷?ふざけるな。僕からしてみれば艦娘はただの人間と変わらない!青葉の言うような例えが本当ならこんなどんな提督よりも役立たずな僕のことを思いやったりなんかしないさ。次に言ってみろ………僕のことがどうなっても構わない。本気で怒るぞ」
「………あはははは!」
「何がおかしいっ!」
「まさか………ここまで艦娘のことを思っているとは思いませんでしたよ、本当に馬鹿ですねあなた!」
「っっ!出て行け、青葉!!二度とあなたの顔なんて見たくない!!」
「はいはいわかりましたよ、柱木提督………そうやって艦娘に抱く気持ちがいつかあなたを殺すかも知れませんけどね」
青葉は意味深な言葉を残して立ち去った。
………はあ。なんだか疲れた………
ここまで怒るなんて自分でも予想しなかった。
………みんなには悪いけど少し眠ろう。頭を落ち着かせたい………
そういえば………結局僕はどうして提督になったのだろうか。
調べられないかな………いや、知らなくても別にいいだろう。僕は提督にはきっと向いていないんだし………