設定のすり合わせとかで忙しいのと他の作品にかまけてました。
すみません、爆撃されてきます。
波の音が、聞こえた。提督になってから何度も聞いた心地よい音に気がつくと、いつの間にか僕は船の上にいた。
「ここはどこだ……うわっ!?」
それも、ただの船じゃない。
あたりを見回して気が付いた、巨大な砲台。空にそびえる艦橋。そして自分のいる場所は、木製の甲板。
あまり船詳しくない僕でもわかる。この船は、戦艦だ。そうじゃなかったとしても、きっと那智さんみたいな重巡洋艦とかだ。
それも、かなり昔のものだ。今の軍艦に木製の甲板なんて使われてないはずだ。
「だとしても、なんで僕はこんなところにいるんだ?」
辺りには、誰もいない。海の向こうに島が見えることも、ない。
あるのは僕の乗っている戦艦一隻のみ。まわりに一隻も船はなく、海鳥もいないのだ。
せいぜい、空の上で輝く太陽があるくらいだ。
「私の乗り心地はどうかしら?」
「えっ?」
そんなとき。声が聞こえた。声の主は、砲台の上に腰かけていた。さっきまでは誰もいなかったのに、突然現れた。
「こんにちは。それともこんばんは?どういうべきなのかしら。まあいいわ。はじめまして、かしらね?提督さん?」
それは、女性だった。どこかで会ったことがあるような気がする、きれいな茶色の髪の、大人の女性。
誰なのかはわからない。あんな人に会ったことはない。
「ふふっ。誰なのか聞きたそうね。でも、答える必要はあるのかしら?だって、あなた。」
「私と会うのは二度目なのよ?」
「……変な夢見た」
目が覚める。呉鎮守府の病院の入院室に、僕はいた。
なんだったんだろう、あの夢は。僕が軍艦に乗っている夢。それで、謎の女性に会った。
よくわからないけど、なんだか不思議な夢だった。
医者に相談するべきかな。今日が最後の検診だったはずだし、ちょうどいい。
「足の方はもう大丈夫ですね。今日の午後には鎮守府に帰ってもらって大丈夫ですよ。それにしても不思議な夢、ですか?」
「そうなんです。どうも気になったんですよ」
検診時、担当の医者に事情を話すと、足の様子を診てくれた後、話を聞いてくれることになった。
「それで、内容は軍艦に乗っていて、知らない女性と話していた、そしてその女性は会うのは二度目と言った。これでいいんですね?」
「はい。ただの夢ならいいんですが、なんというか、気になったので」
「私も夢とかは専門じゃないんですよね。肉体面の医者ですから。精神系の担当医も今日は休みですし」
「え、そういう夢とかを担当してる医者がここにいるんですか?ここって怪我とか病気だけが対象なんだと思ってたんですが……」
「はは、軍人はどうしても精神的な病を抱えるものですよ。職業柄人の死に触れることは当然あるし、恨みやつらみ、ひがみなんかも多数。例えば、艦娘もそうです。彼女たちはかの大戦で沈んだ船の生まれ変わりのようなものでしょう?」
医者の問いを肯定する。それくらいは僕でもわかる。
「だからなんですかね。彼女たちは軍艦であったころの記憶を夢で見ることがあるらしいんですよ。その頃の記憶は喜ばしいものもあれば、つらく、悲しいものもあります。前者はともかく、後者の夢を見た艦娘は精神的に不安定になることがありました」
「なるほど……それも仕方ないことなんですかね」
一度、気になって吹雪ちゃんの軍艦時代について調べたことがある。
世界を驚かせた特型駆逐艦としての輝かしい戦果も当然あったが、沈んだ時の記録は壮絶だった。
敵艦に近づきすぎて攻撃されて沈み、生存者は本当に少なかった。本人にとっては、とてもつらい記憶なのだろう。
「そういった人のために精神医がいるんです。まあ、今日はたまたま休んでいますがね。さて、話を戻しましょう。軍艦に乗っている夢を見る提督は結構いますね。艦娘と接しているというのが一因なのか、その数は少なくないです。ただ、だからなんだ、という話なんです。夢を見るからって何かが起きるわけじゃないですし。どうしても、というのなら……農業鎮守府の武蔵さんを頼ってみるのはどうでしょうか?」
「……え?」
今なんかおかしな単語を聞いた。農業、鎮守府?
地名だよね、農業って?いや、あり得なさそうだけど。どちらにせよ、なんだその名前は。
「舞鶴鎮守府のあだ名ですね、それ。全く、あの人は……」
「舞鶴鎮守府?それってどこにあるんですか?」
「海人さんは新聞すら読まないんですか。よく今まで生きてこられましたね」
昼食の時間に来てくれた加賀さんに聞いたら、あきれられて罵倒された。
本当に無知でごめんなさい。
「舞鶴鎮守府は日本の五大鎮守府の一つです。所在地は京都。現在も多くの提督が所属し、日本海の警護を中心に担当しています。私たちが軍艦であった頃には舞鶴海軍工廠という、駆逐艦建造においては国内で一、二を争う工廠が設置されていました」
「駆逐艦建造が有名なのか……もしかして、吹雪ちゃんもそこで作られたのかな?」
「そうですよ。駆逐艦のネームシップ、つまり一番艦は大抵あそこが建造しています。また、艦娘の建造もあそこが中心になってやっていた時期もありました。今は技術が大分進んだので各地で建造を行えますが。ですが、その時の名残で鎮守府としての規模もかなり大きく、大規模作戦の際に舞鶴無しでの作戦攻略は考えられません」
「ふむふむ。じゃあ、なんでそこが農業鎮守府なんて呼ばれているの?」
「その理由を話す前に、海人さんに質問があります。戦艦武蔵はご存じ?」
「何それ?僕戦艦は大和くらいしか知らないなぁ」
あ、そういえば今日の夢で見た戦艦。あれどんな名前なんだろう。
「……はぁ。こんなことになるのであればゲームをしていたころから教えておくべきでした。」
ため息つかれつつ頭を抱えられた。本当に勉強不足でごめん。
まだ鎮守府運営の勉強ばっかりしてるから軍艦についてはあまり調べたことがないんです。
自分の建造した艦娘については暇を見つけては調べてるけど。
「その大和の姉妹艦として武蔵という戦艦があります。これくらいは知っていてもらわないと困ります。時間さえあればあなたに知識を叩き込むのですが、生憎とあなたは今日で鎮守府に帰りますしね?」
「うっ……じ、自主学習しっかりしておきます」
加賀さんの冷たい視線が痛い……
「よろしい。そして、舞鶴鎮守府には初めて艦娘として建造された武蔵がいます」
「初めて建造された?」
「ええ。世界で初めて誕生した、艦娘としての武蔵。彼女が舞鶴にいます。7年前に建造され、今でも現役ですよ。それで、ここからが舞鶴鎮守府が農業鎮守府と呼ばれるようになった由縁です。そもそもの話ですが、戦艦というものは艦娘になっても燃費が悪いです。大和型となると、それが顕著となります」
「そうなんだ。具体的にはどれくらい?」
「そうですね。燃料弾薬で換算すると吹雪さんの16倍以上です」
「ふぁっ!?な、何その量!?」
えげつない量過ぎる!そんなの、少なくとも今のうちの鎮守府じゃとてもじゃないけど運用するのは無理だ!
「それほど戦艦にはコストがかかるということですよ。海人さんもいずれ建造したときは運用に気を付けてくださいね。戦艦の運用しすぎで資材難に陥っては目も当てられないですよ」
「き、気を付けます」
「よろしい。そんなわけで、その舞鶴の武蔵さんは建造されてからあまり出撃させてもらえなかったんです。当時は瀬戸内海と日本海の安全は確保し、徐々にですが、太平洋の安全も取り戻していました」
「なるほど……そういえば、その頃に瀬戸内海のクルーズに乗ったことがあったよ。小学校の遠足だったはずだ」
そんなことができたのって艦娘とか、軍の人たちが頑張ってくれたからだ。
確か、当時も船に乗った後に先生にそういう人たちに感謝するように、って言われた記憶がある。
「ああ、そんな話もありましたね。懐かしいです。クルーズの護衛に駆り出されたことが一度だけありました」
「へえー、加賀さんも護衛にいたんだ。もしかして、その時に会ってたりするかな?」
「いえ。護衛といっても遠方からです。私は空母ですので、近くにいてもあまり力を発揮できませんから。なので遠目ならともかく、直接会ったことはないでしょう」
「そっか。少し残念だね」
あの頃から知り合ってたとしたら、ちょっと面白そうだったのに。
「おや?空母って何?とかそういう質問が来るかと思っていたのですが、来ませんね」
「あのさぁ。さすがにゲームというか、LEOにも空母があったんだから、それくらいわかるよ。坂本さんが持ってる空母の艦長を勤めてるのあなたですよね?」
坂本さんそれでガチ泣きしてたのを覚えてるんだけど。
嫁に艦長の役を取られた……って言ってボイスチャットの先で泣き声と酒を飲む音が生々しかった。
僕も思わずコーラを持ってきて付き合ったなぁ。
「それもそうでした。海人さんも成長したものです」
「この程度でそう言われても……そういえば、坂本さんのボイスチャットにたまーに女の人の声が混じってたことがあったんだけど。よく考えればあの声って加賀さん?」
「あ、そうですね。私と坂本さんのパソコンは別の部屋にありますが、仕事関係、夫婦関係で何度か訪ねていますから」
「やっぱりかー……って違う!!武蔵さん!農業武蔵さんの話!」
懐かしい話もいいけど、今はそっち!
「そうでしたね。確か、あまり出撃させてもらえなかった、というところでしたね。そんな武蔵さんですが、当然暇になるわけです。そこで始めたのが、農業でした」
「……なんで?」
普通は訓練とかじゃないの?
「本人いわく、かつての記憶に農業をしていたものがあったらしく。それを試してみたかったとのことで、始めたら本人がすさまじくはまってしまい。今では鎮守府の2割が農業関係の施設です」
「何その漫画みたいな話!?」
「事実なのですからしょうがないでしょう。それゆえ、舞鶴鎮守府は農業鎮守府と呼ばれています」
その武蔵さんとやら、何やってるんだか……
「ちなみに肝心の武蔵さんは給料を貯めて山を一つ農業用に買っています」
「本当に何やってるのかな!?意味がわからないんですがその人……」
「安心してください。私も意味がわかっていません。一度なぜそんなことをしているのかと尋ねたら、「お前もやってみればわかる」と言って作業服に着替えさせられて一日農業させられました」
「うわぁ……」
「当然ながらそんなことをしても私には何もわかりませんでした」
……本当になんなんだ、その武蔵さんって。傍目にみればおかしい人じゃないのか、それって。
「そんな彼女ですが、結構面倒見もよく、昔から戦い、様々な提督と出会ってきたので艦娘や提督に関しての知識は豊富です。海人さんと同じ経験をしている提督と何度も会っていると思われます。なので医者は彼女に会ってみてはどうかと言ったのでしょう」
「なるほどなぁ……うん、いつか時間があったら会ってみるよ」
「……いえ、ここは一つ手伝うことにしましょう」
はい?
ほうける僕を尻目に電話を取り出す加賀さん。
「私です。すみません、舞鶴鎮守府所属提督の演習日程について一つ相談があります」
……何する気なんだろう。とりあえず面倒ごとになりそうな気がしてきた。
ところで、今更ですが、コンプティークの目覚ましとかアラームの付録入手しましたか?
瑞鶴や瑞鳳等と書かれていたので、せいぜい5人いればいいかなーと思ってたらなんと脅威の12人でびっくりしました。
しかも、一人2種類あるので合計24種類。
ただし最後の人よ。遅刻が寂しいってなんだ。日本語が崩壊してるぞ。