………なんかすごい久しぶりな気がする。こう………夢を見ていたような気がする。
なんだろう?美人な女の人たちと宴会をやるような感じの………
で、後で殺されかけるって感じの………
………気のせい、というか本当に夢だよね?
あれ?………ここは、どこ?
少し痛む体をなんとか起こし、辺りを見る。
………荷物が入っているであろう段ボールがいくつかある。そして布団が四つ並んでいる。床は畳だった。
………なんだろう?
ここの天井や壁の質感、壁についている時計。それにドア。
どこかで………見たような………気がする?
………それと。さっきから見ないふりをしていたんだけどさ。
「………むにゃあ。もう食べられないのです………」
「………ニャー?」
………なんで電ちゃんもこの部屋にいるのだろう?しかも何故か猫もいるし………
………電ちゃんは寝てるな。なんだろう、体勢が土下座してるみたい………
その前にお座りした猫………
ピコンときた。あれ?何か違う気がする。teinときた?うーん。しっくりこない。
とりあえず………
「サーバーにエラーが発生した為ブラウザの再読み込みをお願いします」
「海人さん、朝から何を言ってるんですか?………あれ、どうして猫がいるんです?」
ガラガラっとこれまた聞き覚えがあるような音を立ててドアが開いた。そこにいたのは呆れ顔の吹雪ちゃん。
ただ………昨日?………あれ、昨日の記憶がいまいちない?
車に乗って伊良湖さんと話をしていたのは覚えているんだけど………
とにかく。
多分昨日は無かった怪我をしているようだ。ところどころ包帯を巻いていたり、腕にはギプスがつけられている。
「あ、えーっと………おはよう、吹雪ちゃん………」
その怪我はどうしたの、と。聞こうとしたけど言葉にならなかった。
見ているだけで痛々しくて聞く気になれなかった。
「はい、おはようございます海人さん………それで、なんで猫がいるんですか?」
「いや、僕にもさっぱりで………追い出した方がいい?」
「うーん………ひとまず置いておきましょう。起きてすぐのところ申し訳ないですけど早速ですが仕事に入りますね?」
吹雪ちゃんは手に抱えた資料を僕に見せてくる。正直まだ眠いんだけどなぁ………
ざっと見る。『着任報告書』『物資一覧表』『被害報告書』等々………なんのことだか。
「ところで、昨日の事故で海人さんは外傷はなかったのでとりあえず眠らせておいたんですけど………痛むところはないですか?」
「いやちょっと待って。事故って何?昨日途中から何があったのかさっぱり覚えていないんだ。昨日何があったのか教えてくれない?」
「そうですか………わかりました。でもここで話をするよりも執務室に行って話しませんか?」
「執務室………?そうだ。吹雪ちゃん、ここって何処なの?」
「あっ、そうでした。海人さんはまだ見てないんですよね?………ここは、『海孤島鎮守府』。海人さんと私達、艦娘にとっての基地でもあり、家でもあるところです」
「ここが………鎮守府?」
軍事施設っぽいのをイメージしてたんだけど………
なぜかデジャブ………というよりも懐かしさを感じる。なぜだろう。前世もこんなところで働いていたとか?
「それじゃ、行きましょうか」
吹雪ちゃんが廊下に出たから僕も靴を履いてついていく。その時窓から見えたのは。
古びてボロボロになった木造の建物と。
その建物と僕のいる建物を繋ぐ建設途中感のある建物。
そして恐らく長い間手入れがなかったことで荒れ果てた花壇などのある寂しい中庭だった。
………本当にここが、鎮守府………?
廃墟のようにしか見えないんだけど………
………不安だ。不安しかない。
執務室は僕が寝ていた部屋からさほど離れていないところにあった。
執務室にはよくある事務机と椅子が数セット。
本棚や資料が入っているであろろ段ボールもいくつかあった。
適当な椅子をとって吹雪ちゃんと向かいあう。
「さて。まず昨日の事を朝からお話しますね?昨日、海人さんは私と夕張さんと電ちゃんの三人と堺港で合流しました。覚えていますか?」
頷いて肯定する。それまで僕は関東の方で自分の家の荷物を送ったり、家を引き払う準備をしながら船の運用方法を学んでいた。
「その後物資を積んで輸送船『水上丸』に乗って堺港を出港しました。ちなみにどうしてわざわざ近い呉鎮守府ではなく堺港から出港したのかは覚えていますか?」
「知らないけど。というか鎮守府って他にもあったの?」
頭を抱えられた。
「………説明していると長くなるので他の鎮守府については別の機会に話しますね?遠いところだったのは海人さんの操船技術の確認でもあったんです」
「そうだったんだ。確かその後僕らは島に到着して伊良湖さんと合流してトラックで鎮守府に向かっていて………」
そこまで言うと僕は昨日のことを思い出した。横転する車。僕はその中で伊良湖さんの下敷きになった………
気がする………そうだ。もっと思い出してきたぞ………
「………車を運転していて、大きな建物に近づいてきた。そのときにそっちから爆発があった」
「そうです。実はあれは鎮守府の施設の一つ、工廠が爆発を起こしたんです。そして工廠からがれきが飛んできたことを私は叫んで伝えました。とっさに夕張さんは電ちゃんを連れて車を飛び降りたんですが私は間に合わなくて車が横転した時に荷物の下敷きになっちゃいまして………怪我しちゃいました」
「………そうだったのか………伊良湖さんは大丈夫だったの?」
「伊良湖さんは海人さんが下敷きになってくれたので大丈夫でした。むしろ海人さんの体の方が不安です。ここが本土だったら検査をしておきたいんですけど………そんな機材も人材もここにはありませんし、本土に行く機会もいつあるかわかりません。何か不調があればすぐに伝えてくださいね?」
「了解です。ところで吹雪ちゃんの怪我はどうなの?」
「私ですか?とりあえず私の被害は『艦娘中傷、艤装中破』といったところです。出撃は現状では無理ですね………」
「艤装も壊れたの?」
「トラックに艤装も積んでいたんですが潰されどころが悪かったみたいです。幸い夕張さんの艤装と電ちゃんの艤装は小破で済みましたが………ひとまずこの資料を見てもらえます?私昨日の被害をまとめておいたんです」
手渡された資料を読む。
………うわあ、積んでいたものがほとんどゴミになったかがらくたになったっぽい?
しかもあのトラックも大破って………本当に僕らよく生きてたな。
工廠も結構壊れたみたい………修理代請求されたりしないよね?
「………はあ。これからどうすればいいんだろうね………」
「あ、それならご安心を。………書類がいっぱいたまっていますからしばらく海人さんはそっちにかかりっきりです」
そうなのか………
書類仕事は得意なんだけど苦手なんだよなぁ。
学生時代生徒会役員だったんだけど書類仕事をしているとトラブルが高確率で発生してるんだよね。
なぜだ。
「………まあいいか。とりあえず朝食までまだ時間はあるのかな?あるのなら書類を片付けるから手伝ってくれるかい?」
「朝食はあと10分くらいで伊良湖さんが持ってきてくれます。それまで一緒に頑張りましょう、司令官」
「………ブッキー?」
「………あっ。す、すいません、つい癖で………」
司令官と呼ばないでくれと言ったのに………効果が薄いのかなぁ。
………ちなみに。この5分後に目を覚まして部屋にやってきた電ちゃんが猫をまるで吊るしているかのようにして持ってきたのをみてなぜか凄まじい恐怖を感じてしまった。
なぜ?………あ、猫を近づけないで!
「………それで?更新が3ヵ月も遅れた理由って何なんですか?」
「1、番外編のつもりでイベント編を書いていたが現実のイベントでとてつもないことをやらかした艦娘が出たので急遽本編に組み込むことに変更したため時間を喰った。2、階段から転落して頭を打ち、そのため病院通い等で時間をくい、さらに記憶と差異が出ていないか設定していた。3、艦これアーケード楽しいなりぃ」
「それなら仕方がないですね………とでも。言うと思いました?」
「………ですよねー」
しばらくお待ちください
「お待たせしました。軽巡大淀のミニコーナー、始めましょう!今回のゲストは夕張さんにお越しいただきました!………あれっ?」
『ドックが機能低下しているのに加えてさらに破壊されたのでその修理に手が離せません』
「………えーっと………また次回っていうことでいいんでしょうかね?………このコーナー大丈夫なのかな………とりあえず次回予告でもしておきますか!」
鎮守府に着任した海人。
しかしそこは軍事施設とはとてもかけ離れた場所だった。
設備を充実させるためには人手、つまり艦娘が必要だが、海人は建造を嫌がる………
次回『鎮守府の現状について僕は知った。』
「貴様が司令官だな?よろしく頼む」