時期的には春になる少し前です。
もう一話やったら時系列を少し飛ばします。
那智の日記(書かれた時期:一月下旬)
この鎮守府の提督………柱木海人からノートをもらった。
なんでも海人はほんの少し前まで学生だったそうだ。
急に提督になることになって何を持っていけばいいのかわからなかったそうだ。
だから学校で使っていた文房具はあらかたもってきたらしい。
せっかくもらったんだ。日記代わりにでも使おうと思う。
………海人には勝手に覗かないように言ってみる。
「覗くなんてとんでもないって。艦娘のプライバシーに触れるようなことをやったら僕殺されそうだし………」
………遠い昔に死んだような私達からしてみればそういった意味でのプライバシーなんてないと思うんだが。
それに提督を殺したら艦娘にもそれなりの罰はあるんだぞ?
まあ、お前は悪人ではないと思っているんだが………
海人の日記(書かれた時期:二月の初め)
想像以上にこの島は忙しい。少し暇が出来たので日記を書いてみることにした。
今日は………よし、あのシステムの話でもしようか。
この鎮守府にはやることはたくさんある。
僕は吹雪と話し合って『鎮守府の修理、拡張、島の警備………』といった感じに仕事を書きだし、いくつかの仕事を班ごとの仕事という形に纏めた。
それを記しておく。
警備班:島と島周辺の海域の警備を担当する。那智が建造された日、敵である深海棲艦らしきものを発見したということもある。この班の人数は個人的には急いで増やしたいけど、連続で建造できないしなぁ………
工厰班:鎮守府や島の設備を修理、拡張する。
艦娘は自分の艦種が『戦艦』や『空母』だろうと、修理が専門の艦、『工作艦』じゃなかったとしても多少の修理はできるそうだ。確かに第二次世界大戦の頃………艦娘たちが軍艦だったころはいわゆるメカニックとかも乗っていたからだろう。多分誰を割り当てても問題ないとは思うけど。
運営班:書類仕事や食堂勤務など、鎮守府の運営に欠かせない仕事を担当する。
人数が少ない今は別に増やさなくても良い気がする。
なお、現在は僕が運営班と工厰班の掛け持ち、那智さんと電ちゃんが警備班、夕張さんが工厰班、吹雪ちゃんと伊良湖さんが運営班となっている。
なぜ僕が掛け持ちがなのかというと、いつまでもみんなを一つの部屋で生活させるのは窮屈そうだから、鎮守府の寮として使えそうな木造校舎の修復を書類仕事が終わり次第手の空いている妖精さんと手伝っているからだ。
………修理を手伝ってくれる妖精さんに甘いものあげたら若干質が上がっているような………しかも光っているような気がする………気のせいなのか?
それとも疲れているのか?むぅ………
PS:夕方に建造したら駆逐艦の夕立という艦娘を建造した。もしかして夕繋がり?
それにしても………金髪………緑目………
「ますます日本人からかけ離れてる」
「?提督さん、何か御用っぽい?」
「………とりあえず夕食にするっぽい」
「ぽいー!」
………なにこのかわいい子。
夕立の日記(書かれた時期:前回の割と直後)
「おはよ………」
「海人さん、大丈夫なんですか?」
朝、食堂に現れた海人さんはどうもお疲れの様子。
昨日は確か、木造校舎の廊下を一日かけて修繕してて、正直夕立も手伝いたかった。
でも私は夕張さんと工廠を修理してて手伝いができなかったっぽい………
「んー、なんとか。正直に話すと肩こりが相当ひどくて。あんまり肩は動かしたくないかな………はあ、あの時もう少しピッチャーを頑張っていればよかったのかな………」
「何の話をしてるんですか………というか。海人さんが毎日ソファで寝てるのも原因の一つですよ」
「仕方ないでしょ。僕の部屋布団敷いたりベッドを置いたりできるだけのスペースないんだもん。かといってスペースのある宿直室で寝るとなると吹雪ちゃんとかみんながいるでしょ?」
「かといってもこのままだと体痛めますよ………」
「………ひらめいたっぽい」
「?」
その日の夜………
「海人さーん、起きてるっぽい?」
「んー、夕立ちゃん?こんな時間にどうしたの………うわ、何それ」
「夕立が今日一日がんばって作ったハンモックっぽい!」
夕張さん………というか妖精さんと四苦八苦してたら何回か失敗したのは内緒っぽい。
「へえー。………もしかして僕に?」
「当然っぽい。海人さんはいつも私たちのために働いてくれてるからプレゼントだよ?ハンモックなら片付けたりおいたりするスペースも布団よりはとらないっぽい!」
「………本当にありがとね、夕立ちゃん。大切にするよ」
………ところで。朝言ってたピッチャーって何のことっぽい?
「ん、ピッチャーはね………」
海人の日記(書かれた時期:二月中旬)
那智さんに提案されて艦娘の訓練を行うことになった。
いくら仕事が忙しいとはいえ、いつまでも艤装に触れずにいると体がなまってしまうと言われた。
確かに僕もちょっとした戦争ゲームをやっているけどしばらくやらなかったら結構腕が落ちていた。
命をかけて戦う艦娘にとってはそれは致命的だろう。
今後は最低一日二人は毎日訓練をすることにした。
ちなみに出撃とかはしなくていいの?って吹雪ちゃんに聞いてみたらそういった仕事が来るのはもう少し後になるらしい。
いわゆる準備期間か………よし、明日もやれることを頑張ろう!!
………なぜか那智さんに怒られた。何があったのかを聞いたら………
「夕立が魚雷を投げて着弾させる時以外海中に落とさずに目標に命中させるんだが。原因がおまえからピッチャーについて聞いてすこし憧れたから、と」
「魚雷が何か分からないんですが」
「なん………だと………」
また戦慄させてしまった。本当にごめん。
「そもそも夕立が魚雷を投げるのはわりと日常茶飯事でしたよ?」
「………私がおかしいのか?」
さらにそこに吹雪ちゃんの情報が追加。那智さんはしばらく悩むことが多くなった。
………ところで吹雪ちゃんなんでそんなこと知ってるの?
「横須賀で訓練していたときに夕立さんと戦ったことがありまして………あのときは本当に死ぬかと思いました」
………お疲れ様。
………あれ?ということは夕立って二人いるの?それを聞いたら「提督の数だけ艦娘はいるんです」と言われた。
………例えば提督が300人いたら吹雪ちゃんが300人もいるってこと?
うわぁ………艦娘ってわりと謎なんだなぁ………
PS:ちなみに今日は二月十四日。
………よかった。無事チョコレートを貰わずに済んで………
あ、久しぶりに携帯を覗いたら友達からメールが届いてる………『チョコレート送りました』………
………去年よりも届いた件数が増えている、だと………
というかどうやって送ったんだろう!?ここ鎮守府だよね?軍事施設だよね?そんなところに簡単にチョコレートだなんて普通は送れないんじゃ………
………もういいや、寝よ。
おまけ『吹雪の戦った夕立とそこの提督の会話』
「提督ー!演習勝ったっぽい! ほめてほめてー!」
「おうお帰り、頑張ったな。MVPだったそうだし旗艦としての役目もばっちりだ!」
「わぁーい!」
「戦術は見事なもんだし個人の戦闘能力も申し分ない。その場その場の瞬間的指揮は特に上手いしお前はすごい子だ」
「べたぼめっぽい! うれしいっぽい!!」
「だがしかし! やり過ぎじゃーー!! おま、相手の鎮守府主力艦隊完膚なきまでに叩きのめされてブルーになっちまってんじゃねぇか!」
「?」
「なんで首かしげてんだ…」
「演習でもなんでも戦場は戦場っぽい。敵に情けも容赦もましてや手加減なんて必要ないっぽい」
「ああ、あの純粋な子がなんでこう…。着任した当初は激戦区だったからかなぁ…」
大淀「『吹雪の戦った夕立とそこの提督の会話』はとある別の作者が執筆したものです。この場を借りてお礼を申し上げます………あれ、私の出番ここだけですか!?」
キャラ紹介
那智:なち
妙高型重巡洋艦の二番艦。ちなみに妙高型は那智の方が妙高よりも早く完成しているため那智型とよばれることもあるとか。
頼れる感じの男勝りな正確で意外と酒飲み。本作では教師のような立ち位置に。
ちなみに作者の鎮守府で初めて建造で入手し、初めての重巡洋艦でもあった………
のだが。
操作ミスで初代は近代化改修に使ってしまい、二代目はすでにいるものの現在は錬成されることもなくのんびり過ごしている。