リューさぁぁん!俺だーっ!結婚してくれぇぇ━━っ!   作:リューさんほんと可愛い

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難産も難産、大難産よぉ〜〜〜〜〜〜ッ。

どうも。今回は前回の更新から頭の中では構想はしてあったんですが、言語化に手間取りました。脳内の情景を自動で書く機会ない?ない?そっか…


戦争開始

モンスターの大群を遠目から眺めたとき、あまりの数の多さに思わず声が出た。は?とか理不尽に対して思わずキレちゃう系の。

 

戦闘において最も重要視されるものは数だ。優れた個がいることも充分なことだが、こと数においては優先度は倍近いのではないだろうか。

 

だってどんなに強くたって分裂は出来ないしね。オッタルあたりなら左右半分になってても戦ってそうな気はするけれども。アメーバか何か? 猪とは言ってもあれか?

 

つまり何が言いたいかというと、冒険者側の人数はあちら側よりも圧倒的に少ないということだ。しかも向こうは一応深層のモンスターだったと聞いているし、上級冒険者くらいしか歯が立たないのではないだろうか。

 

「うーん、これかなりキツイのでは?」

 

「やるしかないだろう」

 

やったねオラリオ。君たちの運命は僕たちロキ・ファミリアが握っている。これだけ心強いこともないだろう。

 

というか、うちのファミリア大丈夫だろうか。少し前のミノタウロスの件だってギルドにクソ怒られてた気がするんだが。ミノタウロスだからなんとかなったみたいなとこはあるけど、これはちょっと流石に……。限度って知ってるか? ダンジョンに聞いても意味がないが。

 

防衛という不利な状況下、さらに人数不足。

 

ぶっちゃけ戦争なら早々に降伏勧告出した方が賢いですね。

 

日本人なので桶狭間が思い出される。信長ってやっぱりすげえや。

 

恐怖はない。多くの死線を乗り越えてきた自負がある。誇りもある。怒りも。全てが力の源になって、頭もスッキリ冴えてきた。

 

俺が頑張らないといけないんだ。焦っている暇なんてない。仕事量に対して求められるのは効率だ。どれだけ短時間で一体を狩るか、そこに焦点が当てられる。

 

俺の能力は格上殺し(ジャイアントキリング)向けだ。触れただけでどんな相手も消し飛ばしてみせる。一対一では無類の強さを誇るが、多対一に関しては完全にとまでは言わないがほとんど無力。

 

ステータスは高水準だと思うし、単純に優れた個として前線を張るのも良かったんだが、団長から後衛にいてくれって言われた。純粋に後ろの方は手薄なんだよな。前線はアイズとかガレス父ちゃんとかいるけど、後衛は名の知れた冒険者はほぼいない。ぶっちゃけ前線が崩れた時点で終わりだと思うんですけど、団長は俺よりずっと頭いいからね。恐らく何か考えがあるんだろう。

 

……さて、そろそろか。

 

前線たちが臨戦態勢に入った。俺は俺の役目を果たそう。

 

「魔法部隊、構え」

 

指揮です。

 

…………指揮です。

 

殲滅火力である魔法部隊は、この戦争で最も重要な役割を担っている。遠距離からの広範囲、高威力の攻撃なんて軍相手のダメージレースにはもってこいだ。

 

どうして俺が指揮なのか。それが問題だ。むしろ問題率で言うなら驚異の99%を誇るまである。

 

「放て」

 

号令と同時に、魔法部隊たちが一斉に魔力を解放する。打ち上げられた光弾たちは弾道線を描いて飛んでいき、着弾地点で炸裂する。

 

全体と比べれば雀の涙程度だが、それでも効果はある。総数が減れば敵の懐にも空間が開く。そこを利用すれば前線はより戦いやすくなるだろう。囲まれる形になるけど、前線に選ばれるくらいのメンバーならあまり問題ないはずだ。

 

分かるかね諸君。戦争とはこうやって詰めていくのだよ。策を綿密に用意し、当たり前のように展開し、当たり前に勝つ。数の暴力に際しては一気に戦況が好転するものではない。アニメや漫画のような逆転劇なんて存在しないのだから。

 

二撃目。

 

精神回復薬の予備はまだ十分にある。このペースで撃ち続けても数時間は持つだろう。

 

「通して! 通してください!!」

 

「あれま。どしたのレフィーヤちゃん。体調大丈夫?」

 

後衛の奥のさらに奥、安全地帯から

 

「キ、キルさん!! 私、もうやれます。みなさんが頑張っているのに私だけこんな所にいるなんて……」

 

……なるほどね。生真面目な娘だよ、本当に。気持ちはよくわかる。仲間や憧れの人が遠くで命を掛けて戦ってるのに自分は見ているだけなんて認めたくないよな。役立たずの印を押されるのってかなり辛いし、自責にも駆られるし。見ているこっちもちょっと辛い。

 

だけど、うん。

 

「ダメだ」

 

「……そんな。どうして、私もうレベル3ですし、本業の方には及ばないけど近接戦闘もそれなりに」

 

「魔力に詰まりがあるって聞いた。姉さんから聞かされてるとは思うけど、魔法が使えないのは精神的な問題だ。そんな問題を抱えたまま戦闘に放り出すわけにはいかない」

 

トラウマ、迷い、焦り。様々な場面を見てきた。モンスターに追い詰められ、魔法を繰り出せずに死んでいく冒険者。守ることができなかった、あの喪失感と絶望感。同じ後悔は、したくない。

 

「君を前線に出して、それでどうなる? 言ってしまえば今の君はお荷物だ。君が死んで、仲間が動揺する。それが壊滅を誘発することもある」

 

「〜〜〜〜ッでも、だからって」

 

ああ、気持ちはわかるとも。それこそ痛いほどに。

 

「第一、君が死んだらそれは俺の責任だ。そんな罪悪感はいらない」

 

「……わかり、ました。忙しいのにごめんなさい」

 

「ありがとう。大丈夫、絶対に地上になんか行かせやしない。誰も殺させない。安心して俺たちに任せてくれ」

 

ここでレフィーヤちゃんの顔から反抗の意思が消えた。わかってくれただろうか。上に立つのってかなりキツイ。こんなんずっと続けるとか団長も大変よな。キル、働きます。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

目覚めてからは頭の中が混乱でいっぱいだった。ロキ・ファミリアの面々がそこにいて、治療をして頂いたと聞いた。僕だけじゃなく、ヴェルフとリリも。

 

————よかった。みんなで、生き残れた。

 

それに、神様とリューさん。あとは知らない方だったけれど、僕たちを助けにきてくれたらしい。

 

「魔法部隊、構え」

 

聞き覚えのある声だった。かなり遠くからのようで微かに届くのみだったけれど、間違いようがない。キルさんの声だ。

 

「撃て」

 

直後、轟音が響いた。それはもう、大地が揺れているんじゃないかってくらいの。

 

何事かと見れば、蠢く緑の地平に魔法が炸裂していたのが見えた。自分のものとは違う、圧倒的な火力を持つそれが辺りを焼け野原に変えていた。

 

まさか、あの不気味な紋様すべてがモンスターだとでも言うのか。そんな、でも18階層にはモンスターは湧かない筈じゃ。

 

「ベル様逃げましょう! 深層のモンスターに攻撃を受けています!」

 

「深層って、だってここは安全圏じゃ」

 

「理由は分からねえが下級冒険者には退避指示が出てる。行くぞ」

 

「でもゴライアスは———」

 

「地上に援軍を要請する際に凶狼(ヴァナルガンド)が倒していきました。」

 

心配事はもうない、と。ロキ・ファミリアの何人かが18階層までにいた冒険者たちを地上まで護送しているらしい。

 

リリに手を引かれるまま、17階層へ続く道へと進んでいく。というかこれ、指と指が絡まって、俗に言う恋人繋ぎって奴じゃ———

 

「リリ助、意外と肝が太いというか、抜け目ないというか……」

 

サポーター君、それはボクに対する挑戦かい……?」

 

「なんのことですかヘスティア様。今はそんなことを気にしている場合ではありません。さあ行きましょうベル様! さあ! さあ!!!」

 

「おぅい!!! ベル君、そんなチビっこよりもボクの方が安全に地上まで送れるさ! 見ててくれ!」

 

そう言って反対側の手をリリと同じように繋いで引っ張っていく神様。ヴェルフに助けての視線を送ってみたが、我関せず、ちらりとこちらを見てにこやかにサムズアップを寄越してきた。

 

誰か。誰かぼくをこの羞恥の地獄から助けてくれる人はいないのか。そうやって周囲を見渡して、気付いた。

 

後ろ姿は遠い。だけどしっかりと見えた。モンスターの大群、その前に身を置きながらも剣を振るう彼女の姿が。

 

守られている。

 

また。

 

彼女に。

 

己の夢はなんだ。英雄だ。英雄とは、好いた女性に戦わせ、自分はいそいそと逃げるものだったか。深層のモンスターだからといって、敵わない相手には尻尾を巻いて逃げ出すものだったか。

 

どちらも否だ。

 

限界を超え、壁を破り偉業を成し遂げ、その先にある羨望と名誉を手に入れたのが英雄だ。

 

「ごめん。リリ、それに神様。僕は——」

 

よくよく考えれば、ロキ・ファミリアが地上に援軍を要請するという事から気付くべきだった。最高戦力の一つと謳われるロキ・ファミリアがああも防戦一方なのは、つまり戦力が足りないということだ、

 

なら、本当に小さな力かもしれないが自分にだってやれることはあるはず。

 

「—––—行かなきゃ。」

 

駆け出した。まずは情報だ。そこから始めなければ力で劣っている僕に勝ち筋はない。

 

そうと決まれば目指すところは一つだった。迷いはない。恐怖はあるけれど、ゴライアスに立ち向かったときのような震えは消えていた。

 

「キルさん!」

 

目的地に着くなり声をかけた。普段のしまりのない顔からは想像できないような厳しい目付きだ。あれが第一級としての顔、なのだろうか。正直なところ少し、怖い。

 

「白兎くんじゃん。何してんだこんなとこで。退避命令は聞こえなかったのか?」

 

「僕、少しでも力になりたくて、それで……」

 

「あのな、白兎くん。お前に一つ言うことがある。耳かっぽじってよく聞けよ」

 

ゴクリと喉が鳴った。命令を聞かなかったことに対して怒られるのだろうか。次の声におびえて、目をぎゅっとつむった。

 

「この流れさっきやった!!!!!!」

 

 




ダンまち二期も始まってめでたいですね。画質にまず驚きましたよね。アポロンはまあアポロンって感じで良いのではないでしょうか。あとヘルメス様、一期初見の時も思ったんですが顔変わりすぎでは?原作とアニメの間で縮毛でもかけました?

戦争遊戯で見ることのできるチートガン積みヒートロトムリューさん無双が今からとても楽しみです。森を焼くエルフがいるってマジ?ドコドコ?やったぜ。

次回も遠い未来のお話になると思いますが二話くらいでこの小説が始まって一番書きたいところが書けるのではないかと思っています。それでは。



2020/10/10追記

本作を書き起こしたのは中学生の頃で、当時は迸る熱いパトス(直訳)のまま筆を走らせていました。ありがたいことに一年ほど更新のない状況でも感想を頂くような現状では、未だにこの稚拙な文に目を通していただいている方に対してとてもではありませんが合わせる顔がないな、と。続きを書くにしてもこの作品の粗い部分が目に止まるようになり、自分で自分の生み出した文に不満を持つようになっていきました。
私自身、キルというキャラクターを気に入っていますし、このまま更新が止まるのも忍びないな、と言ったところです。
考えた末、この作品を下地に新しく設定を再構成し、リメイクをしていこうかな、という結論に至りました。

長々書いても多分誰も読まないので簡潔に説明すると、
「こんなのリューさんじゃねえんだよ!!!!!!!!!!!!!中坊があまり調子に乗るなよクソが!!!!!!!俺が解釈したリューさんを見せたらあ!!!!」
ということです。

リメイクは今年中に出せたらいいななんて思っていたり。今トイレでせっせこ設定出してます。もう少しだけ待ってくれよな!

出ました。
https://syosetu.org/?mode=ss_detail&nid=238425

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