Dream Trigger   作:handsome

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南ことり①

 

顔合わせの次の日から春休み中はお昼過ぎまでC級の3人とトリガーの説明を始めとし基礎的な事項の説明、訓練をし、夕方からは絢瀬先輩達との訓練と防衛任務という予定となった。そのため午前は秋葉原支部、午後は本部へ行くこととなる超過密スケジュールとなった。

 

C級の3人は高坂さんが弧月、南さんがシューターでアステロイド、園田さんがイーグレットを使っている。

浅見隊は浅見くんが弧月とレイガストを使うアタッカー、関口が3種類の狙撃銃を使い分けるスナイパー、俺がパーフェクトオールラウンダー(自称)だ。

そのため浅見くんと高坂さん、関口と園田さん、俺と南さんでペアを組むこととした。

 

ーー仮想空間ーー

 

ペアが決まってから早速仮想空間でトリガーを使ってみることにした。

言葉で理論を説明するのも好きだけど今回は実際にトリガーを使ってみて訓練をすることにした。

 

俺は人に教えてもらったことがほとんどない。というか3人とも師匠がいたことがなかった。そのため人にどうやって教えるのかは完全に自分たちで考えなくてはならない。しかしなにがあっても妥協だけは絶対しないようにと3人で誓った。かわいい後輩が自分たちと同じような道を辿らないよう導きたいからな。

 

「じゃあ南さん、まずはトリオンキューブを出してみて」

「うんっ!」

かわいい声で元気に返事をしてくれる

南さんはトリオン量すごいな、キューブの大きさは俺の2倍はある。俺がトリオン少ないのもあるけど。

「南さんはトリオン能力が高いみたいだね、シューターとしてはそれは強みだよ」

「そうなの?嬉しいなぁ♪」

ニコニコしている。かわいいけどずっと見とれているわけにはいかない。

「じゃあとりあえず俺めがけて撃ってきて」

「えっ?あ、はいっ!じゃあいきますよ」

少し戸惑いながらも南さんが打ってきた。俺はシールドを出す…

 

シールドをセットしてなかった。南さんの打った弾は近づいてきて…貫通した。胸に穴が開いた俺を見て南さんは目を見開いて口を大きく開けている

 

「…まあ普通に撃てばこうなるんだよね。ちゃんと当てられれば倒せる!ってことです!」

勢いで言い切ると南さんが真剣な表情に戻った

「それを見せてくれたんだね。それにしても弾が近づいてきても全く動じないなんてすごいね!私だったら逃げちゃうと思うなぁ」

本当はシールドで防ごうと思ってたから一歩も動かなかっただけなんだけどな…まあ南さんはすごいって言ってくれてるし

 

南さんがいい感じに勘違いして感心してくれたところで話を変える

「南さんはシューターの特徴、頭に入ってる?」

「シューターはガンナーと違って手元で威力・射程・弾速が細かく調節できるんだよね?」

「そう!慣れるにはやってみるのが一番だからとりあえず使ってみよう」

 

それから練習をしてみると南さんは調節がとても上手なことが分かった。1時間ほど経ったところで少しだけ休憩をはさむことにする。

「南さんは細かい作業とか得意なの?」

「うん!洋服作りとかするからお裁縫とかは得意だよ!」

納得。手の器用さと調節が直接的に関係してるってわけではないだろうけど、細かい作業に慣れてるってことは調節に少なからず関わっていると思う。

「料理とかも得意なの?」

「料理もお菓子作りもよくするよ。まあ得意ってほどじゃないけど♪」

この質問はシューターのこととは全く関係ない、個人的な質問だ。かわいくて家庭的とか完璧すぎる。

「南さんお菓子作りとか似合うね」

「そうかなぁ〜?」

少し照れたように微笑みながらそう答えた。話すことに慣れていないため何も返すことができず、静かになる。この空間にふたりっきりとかやばい、ドキドキする。これからずっとふたりっきりでいるとか…

 

沈黙が気まずくなってきたところでそれを破る。

「練習に戻ろっか。次はバイパー使ってみよう」

「バイパー?」

「うん、バイパーは弾の軌道を自分で決めて動かせる弾なんだけど、南さんなら上手に使えそうだと思って」

「なんだか難しそう…」

南さんは困った顔になってしまった

「南さんなら大丈夫だよ、器用だし。俺もちゃんと教えるし!」

「うん!ゆきくんが教えてくれるなら大丈夫だね!」

笑顔で言ってくれた。南さんの挙動はいちいちドキドキさせられ俺の心臓に悪いからあまり意識しないようにしよう。一応師弟関係なわけだからそういうこと考えちゃダメだよな。浅見くんはしてなさそうだな…関口はドキドキしてるかな…?園田さんは大人しいからそういうこともなさそうだな。でも意外な一面が見えたらドキドキしそうだなー。

 

練習していると南さんも徐々にバイパーに慣れてきたらしく、少しずつ変化を付けられるようになってきていた。初心者ではあるけどバイパーを使ってみるのは正解だった。南さんにはやっぱり才能がある。

「南さんすごいね!動かせてるじゃん!」

「自分でも驚くくらいだよ!これもゆきくんが教えるのが上手だからだねっ!」

「そうかもねっ!」

笑いながら返したけど褒め過ぎ、実際は南さんのセンスが高いからだし。

「じゃあそれで俺を狙ってみて。今度は俺も動くからね」

そう言ってスコーピオンを両手に持った

「絶対ゆきくんになんて当てられないよー…」

そう言ってから打ってくる。扱いが上手であるといってもやっぱり当たりそうもない。俺だってB級隊員の端くれだからな。あとシューターは人に当てるのが難しいポジションっていうのもある。それは分かっていることで、今はそれを感じてもらうための実戦形式だ。

 

「全然当たりそうもないよー…」

困り顔で言ってくる。ちょっと手加減して当たってあげてもよかったかな。

「まあ俺はこれでも一応B級だから。B級の壁は高いんだ!」

俺たちは身をもって感じたからな…

「でもこの短時間でこれだけできるってことはセンスが相当あるってことだと思う。C級でここまで動かせる人いないと思うよ。そろそろ時間だしこの辺で切り上げよう」

そう言うと意外な返答をされる

「もうちょっとだけダメかなー?」

「え?」

思わず聞き返してしまった

「もうちょっとで何か掴めそうって思うんだけど…ダメかな…?」

そんな上目遣いやめてくれよ…こんなの絶対誰も断れない。

「うん…いいよ!いくらでも付き合う!」

 

やったー♪とか言ってるけど自分の訓練の時間が迫ってる。どう終わらせよう…?

「南さん、本当なら1日中でもいくらでも付き合いたいんだけど、ちょっと時間が無くて…。あと10分間で当てられたら南さんの勝ち、当てられなかったら俺の勝ちっていう形でいい?」

「うーん…いいよぉ」

少し考えてから了承してくれた。これで10分で終わる。

「じゃあことりが勝ったらことりのことをことりって呼んでね♪」

えっ⁉︎

これは当たれば下の名前で呼ぶ大義名分が得られる!だけど女の子下の名前で呼ぶのは少し恥ずかしい…

「じゃあいくね♪」

考え込んでいるところを撃ち込んでくる

訓練中は相手に真摯に向き合わなければならないと思い、雑念は振り払った。基本的には避ける。危なかったらスコーピオンで逸らす。まだ初心者で軌道が単純なため当たりそうもない。

 

そうして7分も過ぎた頃

『阿部、もう先輩達との約束の時間に間に合わなくなりそうだから先に向かってるわ』

「えっ⁉︎」

浅見くんが言った言葉に反応すると南さんの弾のキレが少し変わった。意識が逸れた瞬間を狙うとかあざといな。でも顔は笑ってる、少し怖い。

『じゃあな』

関口が言い捨てた。おい!とふたりに対して言おうとすると違和感に気づく。

あれ、弾に囲まれている。初心者だと思って油断しきってた。しかも距離が詰まってきている。避けなきゃ当たる。一か八か南さんの方向に走り込みながら弾を逸らし籠から脱出する。すると南さんの手元から弾が一斉に放たれる。上下左右正面から俺に襲いかかってくる。まだ手元に弾を残してたのかよ、相当な策士だな。こう囲まれるとサメに食われてるみたいだ。逃げ場がない。でも足を止めたら終わりだ。だから自分からサメの口の中へ飛び込み、正面からの弾を全て弾ききった。目の前には驚いたことりの顔があった。俺はドヤ顔をしてしまった。

 

その後そこまで追い詰められることもなく時間が過ぎた

「ゆきくんやっぱりすごいなぁ。でもゆきくんに当てられるようにことりは頑張りますっ!」

「いや弾に囲まれた時はもう本当にダメかと思った!まだトリガー握ったばっかりなのにことりはすごいね!」

さすがにいきなり下の名前で呼び捨てはまずかったか…?驚いたような顔をしてる。

「ありがとう♪」

と笑顔で返してくれた

ことりはたぶんすぐにB級にあがってくると思う。B級でもここまで動かせる人は少ないと思う。間違いなく逸材だ。この能力を伸ばしてあげられるように俺が頑張らなくてはいけない。責任が…。

「でもゆきくん…ひろとくんとようくんが…」

あ、そうだった。急がなきゃ!

「やばい!初めての訓練なのにこのままじゃ遅刻だ!」

「それは大変どころじゃないっ!」

 

それから俺は慌てて支部を飛び出しやんやん言いながら本部へ向かった

 

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