「ランサーか!?」
何処か運命じみた物を感じさせるな。廃工場の中でランサーとセイバーとか…………。
まるでZeroの方みたいだ。
しかし何故、この局面でランサーか。バーサーカーじゃない分ましだが、ランサーでも充分ヤバい奴だ。
何せランサーの宝具は因果逆転の必中の魔槍ゲイ・ボルクだ。
防ぐ防がないとか強い弱いの問題じゃない。
投げたら勝利が確定の正に悪魔の槍だ。防げたとしても重症不可避の必殺技。逃げたい所だが逃げるにしたって俺を抱えて逃げてもランサーの俊敏さには叶わないだろう。
と言うか後先、考えるなら勝つしかない。確かコイツは令呪の縛りと魔力供給の少なさから、かなり弱体化していた筈だ。
セイバーは現在、無傷で原作士郎よりかは魔力供給が豊富だ。
宝具を使わせ無いよう間合いを詰めて投げボルクを防ぎ突きボルクに関しては運だろう。流石に負けそうなタイミングで宝具を使わない程バカな奴じゃないだろう。
セイバーにいきなり宝具を撃たせるか?
いや、ダメだ! 廃工場とは言え対城宝具をこんな所で撃ったら町が吹き飛ぶ。
挙げ句にランサーの場合、放てても横凪ぎに宝具を放とうが立て凪ぎで放とうが至近距離で撃とうが避けそうだ。
一番、避けたいのは食らったのに生きてる事だ。
ランサーは生存能力が異様に高い。
恐らくだが胴体の七割くらい吹き飛んでも余裕で向かってくるだろう。
逃げられないなら食らい付いて相討ちとかざらにやりそうだランサーならば。
コイツやばいな。良く良く考えれば…………心臓を貫いても生きてるだけはある。
「しかし、まぁ初対面の筈なんだがな…………初見で俺をランサーと見抜くたぁどうやら情報収集は劣らないマスターのようだな。どこで俺を発見した? 下手な真似はしてないんだがな」
!? ランサーの奴が俺に話し掛けてきた。そ、そうか。初対面で偵察の達人のランサーに気付かれずランサーを見付ける事なんて出来ないか。
挙げ句にランサーは魔術師の適正があった筈、現代の魔術師の使い魔を見抜けない筈もないか。
あれ? これ薄々考えて見ればランサーから見たら警戒に値するんじゃね?
「そ、それは「その様な事を敵に言うほど我等は安くないぞ。ランサー、戦士に言葉は不要。死合うのみだ。マスターは下がってください」……………………わかった。セイバー」
俺の言葉を被せる様に語るセイバー。格好いいな。戦士に言葉は不要とかさ。イスカンダルにメンタル攻撃受けてズタズタになった女とは思えないな。
その言葉を受けたランサーは極上の餌を見付けた猛犬の様な表情を見せ俺の足が竦み冷や汗が出は始める。
俺は産まれて初めて理解する。あれが殺気だと……………………。
気付けば俺はセイバーの背中が小さく見える程に下がっていた。
廃工場の廃棄物の鼻に着く臭いが不快に感じるがそんな事を気にする暇もなく彼等を見守る。
と言うか俺、セイバーって言っちまった! 最悪だ! 何て迂闊なんだ!
「へぇ。良いね。セイバーか。まぁな。その通りだ。無粋な真似をして悪かったなセイバー。我等は英雄であり戦士である。元よりこの戦争に問答など不要だ! 行くぞ! セイバー!」
「こい! ランサー!」
あ! くそ! 始まっちまった!
「…………は?」
その瞬間、俺が見れたのは二つの青が残像と共に連続でぶつかり合う瞬間だった。
閃光のように残像に火花が飛び散り夜の廃工場を彩る。
だが火花と音以外で自分に何が起きているかは判断できない。
土煙も凄まじい。まるで竜巻だ。アニメじゃ激しさは余り感じないがリアルだとこうなるのか……………………。
不謹慎だがドラゴンボールみたいだ。
音だけでも武器のぶつかり合いだけでも心臓の弱い奴なら即死だな。
何か自分に出来ることを考えていたが原作の衛宮士郎は頭がおかしいな。
このサーヴァントの戦いにどう割って入る予定だったのか。
アイツ、セイバーとランサーが同時にやって来ても瞬殺するであろうギルガメッシュにも問答無用で向かっていくしな。
こんな殆ど眼で追うことの出来ん連中の戦いに一体、あれば何故に向かおうと思うのか。
そう言えば衛宮士郎を嫌う奴は前世のネットで結構いると聞いてはいたがああいう身の丈の合わない考えや動きをするからなのかもな。
マトモなマスターがやることなんて戦場にあわせて令呪を使う事と魔力供給だけなのかもな。
むしろ、その他は余計なのか。そうなると切嗣も異端だしイスカンダルの真横に最後まで居たウェイバーも変だし自分も戦おうとするケイネスも迂闊だな。
こんな戦い人間にできることなんてない。しかし、そんな戦いなのに、あの葛木とか言う教師はセイバーの剣を受け止めて油断していたとは言え倒すしな。
アイツは何なんだ? おかしいだろ。
俺なんてこうやって見守るだけだ。頼む頑張ってくれセイバー!
ランサーを倒してくれ!