「士郎ー!! 久しぶり! 切嗣さんのお墓参りだなんて私、嬉しいな!!」
藤ねぇの暢気な笑顔が眩しい。
そう転生者こと衛宮士郎は現在、衛宮切嗣の墓参りとめいうち学校を休み冬木市に帰還した。
現在、朝だ。藤ねぇの家の前で通勤する藤ねぇに挨拶中である。
「うん。じいさんに逢いたくなっならついね……まずは家の方に行くね」
さーさて挨拶もそこそこに行くか。ここは戦場なのだ。油断はない。
俺は元気な藤ねぇに見送られ道を歩く。
さてどうなることやら。
ーーーー
「帰ってきたな……始まりに」
全ての始まりの場所、衛宮邸の前だ。
俺は緊張の面持ちで衛宮邸の門を開けようと手を置いた所で身体が硬直する。
何故なら俺の視界の隅に白い死神、俺に死を運ぶフラグが移ったからだ。俺はゆっくりと首を死神に向ける。
「おかえりなさい、お兄ちゃん。人の気配がないからいないのかって思ったけどいたんだね」
「え?」
なんでいるんですか? イリヤさん。
そんな俺の心情を無視してイリヤは笑顔で俺の後ろを歩いていき俺と重なった瞬間――
「速くサーヴァント呼ばないと死んじゃうよお兄ちゃん――じゃあね」
俺はそんな彼女の忠告に凄まじい絶望を覚えたのだった。その絶望感は去り行くイリヤを確認しても尚揺るがぬものだ。
「はっ!!」
ヤバい。ヤバい。ヤバい。死神に俺の存在を認知された。
衛宮邸に入ろうとした時点彼女はここにいた。
ってことは俺が衛宮士郎だと気付いた筈だ。
恐らくイリヤは冬木での切嗣の事を調べており衛宮士郎の事を少しは知っている筈だ。
何せ戸籍には一応、衛宮士郎がかかれている。そして今、顔を知られた。ていうか戸籍に住所かかれてるしあのアパートに隠れていても逃げられない。
関わる事は何もせずとも確定だったらしい。
サーヴァントを自害させるのも不可だ。
そして遠坂凛とも間桐桜とも面識がない俺は遠坂凛と同盟ができず原作より恐らく弱いセイバーでヘラクレスとバトルしなくてはならくなってしまったのだ。
挙げ句にイリヤに令呪あげる作戦も通じないだろう。何せイリヤは切嗣に恨みがある。会話は恐らくできないだろう。何せ俺は切嗣と仲良く暮らしていたからだ。
マジで俺は悪くないんだがな。もう終わりだ。死のカウントダウンは近いな。
どうやら俺はどうあっても死亡フラグからは逃げられず戦う運命にあるらしい。
衛宮士郎は中身が変わってもろくでもない運命の元に産まれているらしい。
聖杯の呪いか? それとも俺の体の中にあるアヴァロンの加護か?
いらねーよ。
俺は不幸だ。
そんな俺は門の前で崩れ落ち呟いた。
「さようなら……今世」