Fate/第五次生存戦争   作:赤石なちる

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第9話

 

 俺はセイバー共に学園を見張り続け帰宅時刻になり結界の発動がないので安堵しながらも……俺は今、戸惑っていた。

 間桐桜を見つけた事だ。だが様子が変だ。なんというか凄く暗い。何て言うか眼が死んでる。辛い経験をし続けているにしてもだ。

 こんな娘だっただろうか? もっとこう落ち着いて優しい雰囲気の少女だった気がする。

 なのにいまのあの娘は全然違う。……………まさか俺のせいか?

 

 そうか! 原作の士郎に桜はあったからあんな境遇でも人を取り戻した!

 俺がいないから桜は心を取り戻さないままか…………。

 

 俺が衛宮士郎らしくしないだけで一人の人間を地獄に落とし続けたのか?

 俺は……桜の事を知っておきながら……何もせずに逃げる事だけを考えていた。

 

 何もせずにとももっと何かできただろうに…………俺は…………!

 

「どうかしましたか? シロウ?」

 

「あ、いや何でもない」

 

 そうだ。だがやらなきゃいけないことがある。良心の呵責なんて今は不用だ。冷徹にならなければ…………。

 

 とにかくこの中に慎二がいるはずだ。慎二を捕まえ結界を解かせライダーを倒すのだ。

 

「セイバーあと数時間くらいで学校から人はいなくなると思う。もうすぐ入るから覚悟してくれ……」

 

「――――はい」

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 おかしい。おかしい。何がおかしいってもう学校に侵入してかれこれ三時間はたったのに何の音沙汰も無いんだ。

 

 セイバーに結界の基点を物理的に壊すこと数回――その間、何の変化も無い。

 

 邪魔しにやってくると思ったのに――挙げ句に慎二がいない。

 

 あのワカメ逃げたのか? それとも遠くで俺の様子を伺ってるのか?

 

 …………。

 

「なぁセイバー聞いて良いか?」

 

 聖剣を構え学校の壁に堂々と斬り込みを入れるセイバーに俺は話し掛ける。

 

「はい? どうかしましたか?」

 

 セイバーは俺に振り返り凛とした表情を見せる。

 

「サーヴァントの気配とか人の気配はするか? 後、何か直感は働かないか?」

 

 セイバーのスキル直感は未来予知に等しいらしいしセイバーの感覚や考えを聴いた方がいい……。

 

「いえ、何も…………申し訳ありません」

 

「そうか…………」

 

 何もなしか…………。困ったな…………。

 

「ですが…………今、一つ気付きました」

 

 !!!! 何! 流石セイバー! アーサー!

 

「な、なんだ!!」

 

「この結界は恐らく誰かに見せ付ける為の物ですね。自分の力を誰かに誇示する為の物。恐らくこれを貼ることを命じたのがマスターなら、かなり思慮の浅く劣等感の強いマスターなのでしょう」

 

「成る程。なら……多少、揺さぶれば尻尾を出しそうだな。」

 

 俺は顎に手を起きながらしたり顔で考える。

 

 おい間桐慎二かなり当たってるぞ。寸分の狂いも無いぞ。可哀想だな。同情はしないけども…………って。

 

 つうか内面が解った所でどうしようもないじゃないか…………。

 

 仕方ない。居ないなら結界の基点を壊せるだけ全てセイバーに壊して貰って結界の発動を遅らせよう。それに壊されたのに気付いてライダーが襲撃してくるかも知れない。

 

 来なかったら来なかったで問題ない。壁や床が凄まじい勢いで抉られ切り裂かれているんだ。学校は殺人事件の煽りを受けて休校になるかも知れない。

 

 そうなったらキャスターのマスターも寺に籠ってくれるから攻めやすいだろう。

 

 いや、もうむしろ安全の為に休校にした方がいいかもな。…………そうするか。

 

「なぁセイバー。ここは学校だ。なら結界が発動するのは昼間だ。昼間は俺達はここには入れない。でも一般人は沢山いる。だからこの学校が休校になるレベルで破壊しておけば学校は少なからず生徒たちは出入りできなくなるはずだ。壊そう」

 

「わかりました。マスター下がってください! 風王結界(ストライク・エア)!!」

 

「え? ちょ! おまっ!」

 

 セイバーは俺がそう言った瞬間、剣を振りかぶり風が舞い上がる。

 

 そして剣を上段で降り下ろした! その瞬間、凄まじい暴風がセイバーの前方に巻き起こり学校の廊下が吹き飛んだ。

 

 と言うかセイバーの前方の全てが粉々だ。俺達がいたのは二階の廊下の端の階段がある所だ。そっから前が下の階の壁を少し残しているのが哀愁を誘う。

 

 挙げ句に二階と三階の教室は影も形もない。もうもはや学校の原形が全く感じられない。

 

 あ、校門に屋上の貯水タンクが突き刺さってる。

 そしてグラウンドに突き刺さる瓦礫と机が独特のオブジェを造り上げている。

 

 まぁ! なんと言う事でしょう…………。学校が瓦礫の山に……ってかセイバーなに考えてるんだよ! いきなりすぎるだろ!!

 

 バカ! そんなだからダメなセイバー扱いされるんだぞ!!

 

 てかやりすぎだ! 復校に幾らかかるんだろうか? つうか結界ほとんど壊れてるぞ。手間が省けたというかなんと言うか…………。 

 

「マスター…………申し訳ありません」

 

 セイバーは困ったような驚いたような顔をしながら俺に振り返る。

 

「………………」

 

 俺は無言だ。

 

「やり過ぎました…………」

 

 だろうな…………。休校になるどころか閉鎖になるかもしれない。

 

 慎二より俺達の方が悪人なんでは無かろうか…………。

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