なんて物を取り出すんだこいつは…!!えげつなさすぎるだろう!?ミキサーて…えぇ?何?中に入れて蓋を閉めて、コンセントさしてswitch on!したら身が一瞬でスクラァーップなあれだろ? 待て待て待て。それは冗談じゃないぞ。無論包丁もごめんだけど。
俺は激しく動揺した。隣のみかんに至ってはもう恐怖や衝撃を通り越して逆に無表情だった。お前もお前で怖いわ。冷静になれ俺。冷静!冷静!…………だめだ。完全にパニックでとても頭が回らない。正直に言おう。恐いよお。。。
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みかんside
ミキサーが出てきて、いよいよ僕はパニックの頂点に達したけど、さっきから皮を剥かれそうになったりキッチンへ連れ出されて包丁を見て、恐怖と悲しみと絶望に包まれすぎたからかな。逆にすごく落ち着いてしまった。
皮を剥き、何等分かに切り分けてしまう「包丁」と、あっという間に身全体を消滅させる「ミキサー」……。両方とも恐ろしいけど、いずれにせよ僕とりんご君って昇天するのは確実だよね。なんかますます落ち着いてきた。
一瞬で終わる、という点ではミキサーが一番恐いようで楽なのかなぁ。うーん…なるようになるか。それにしても、りんご君ってあんな取り乱した表情もするんだなぁ…。 いつも冷静で大胆不敵ってイメージだったけど、りんご君といえど恐くなるときはあるんだね。
んっ、手が伸びてきて掴まれた。りんご君ももう片方の手で掴まれていた。そしてミキサーの中に入れられてしまった。りんご君と同時に昇天するって事か。どちらか片方が生き残って後味が悪くなるよりずっといい。
ミキサーの底の床は冷たくて、気持ちが良かった。もう一度りんご君の方を見ると、もうりんご君は落ち着いた表情をしていた。さすがりんご君だ、だけどなんでだろう。直感でしかないから確信はないけど、りんご君はただ落ち着いて悟っただけじゃなくて、まだ諦めてないようにも見えた。
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りんごside
ついにミキサーの中にみかんと共に放り込まれた。極限のパニック状態からわずかに落ち着いたが、まだ十分パニック状態だ。なぜかみかんは俺に称賛のまなざしを向けていた。もし「取り乱してもすぐ冷静になったんだね」とか思ってるなら違うぞ?俺はいつでも冷静に見えるような顔をしてるだけ。こういう顔なんですぅ!取り乱してるような顔色をしてたなら、それは俺が極限のパニック状態であったことを意味するのだ。
謎の解説乙。
さて…、どうしたもんか。確かにミキサーには放り込まれたがすぐに詰みってわけじゃない。ヤツは一つ忘れている。
『俺達の皮を剥いていない』。
皮を剥かれたら俺とみかんは絶命であるが、そこにヤツが気付き、なおかつ皮を剥いてからミキサーをかけたがる真面目さがあれば、ひとまずミキサーから出られるって寸法さ。
あるいは、皮を剥いていないことに気付き、それで皮をわざわざ剥くのが面倒臭くなって今日食べるのをやめてくれればbestだ。もう完全に運任せであるが、少なくとも俺とみかんが生き残るにはこれしかない。
天に祈る。アーメン。
ヤツはあっさりミキサーの蓋を閉めた。現実は非情である。気付きさえしない。優柔不断なのかダイレクトなのかよくわからない野郎だ。
あぁ…さよなら。さっきまで恐くて震えていたがこのあっけなさの前に萎えた。みかんよ。お前と出逢えて良かった。なんとなくだけどな。欲を言うならもう少し長生きしたかった。
いつか食われるか腐廃する運命《さだめ》だとしても。
ヤツの手がスイッチに伸びていく。伸びていく手がいやにゆっくりに見えた。
…今度の今度こそ終わった。
その時だった。
ガシャン
奥から何か、音。音がした。
後半車の中で書いたから軽く酔いました\(^o^)/ん~南無三。