生存からの聖夜
あれから夜が明けて今はもうお昼。昨日は本当に災難だったが無事に日の光を浴びれて何よりだ。昨日の昼間では特になんとも思わなかった日の光がこんなに感動的に感じる。心って不思議なもんだ。
奴はというと、リビングに居るには居るがテレビを転がって見ている。「クリスマスなんて消えてなくなれ!爆発しろ!」とか言ってる。クリスマス…?ヤツが生きてる社会の人間の文化か?
まあ俺には関係ないけど。するとヤツがおもむろに起き上がった。
「…クリスマスツリーでも飾るか。」
ぼそりと、小さな声でヤツは言った。また何かをしでかすつもりだ。少なくとも今俺らを食べる気ではないようだ、顔を見ればわかる。そしてその顔はどこか寂しそうだった。
ヤツはリビングから出て、別の部屋からでっかい木を持ってきた。天井にあと少しで届きそうな高さだった。
俺はこの木になぜか闘争心を抱いた。なんだコイツ。綺麗な葉と立派なタッパしてるからって調子に乗るなよ?俺は畑に居たんだぜ!木とかいうそこらへんや道でよく見かけるモンじゃなく、す、少なくとも農園にあるちょっと希少なアレだぜ!(意味不明)
俺が醜いことを考えていたのを見抜いたのか、隣のみかんは苦笑いしてこっちを見ていた。なんだお前。喧嘩売ってる?
思考とやりとりをしてちょっと目を離した隙に、木は変貌を遂げていた。
「(な、何だ……あれは……!?)」
木の周りには謎のちょっと艶のある、美しい色をした赤や青の球体!そしてベールのごとく木に巻き付く二色構成の……何て言ったらいいんだ?動かない蛇?
よくわからないが異様なメイクアップをした木は、俺を戦慄させた。だが、決め手は次にあった。
ヤツは箱から星を取り出したのである。そしてそれを天辺につけた。
何故だ。何故天辺に星を付けるのか。
この星が本物でないことくらいはわかるが、1つ疑問が浮かんだ。
一体どうして、これほどこの木は飾られて崇められるのか。不思議で仕方なかった。いや。深追いはやめよう、たぶんクリスマスってそういうものなんだろう。
強いていうならここまで俺やみかんと同じ植物であるこいつがここまで待遇を受けられることは気にく…
気にくわないなんてことないんだからねっ!
あーやだ。ヤツとはきっと嫌いなベクトルが違うんだろうけど、俺はクリスマスが嫌いになった。
やはり俺は醜かった。
飾り終わってヤツは一息ついた。
「あとはライトアップか…」
まだ終わりではなかったか。しかしこれほど飾ったというのにこれ以上飾りようがあるのか?
ヤツはコンセントをさしてスイッチを押した。
次の瞬間、木は華やかな光を帯びた。その光に侵食されるように、素材と思われる球体や蛇が何倍も、何十倍も美しく見えて……。
いつの間にか何もかも忘れ、俺は木に見惚れた。
飾り終えた達成感か、この木に何かを感じているのかは定かではないが、ヤツもその木を一点に見つめていた。
ふと、外をみると。雪…
は降っていなかったが、とても晴々しい青空が広がっていた。
思ったより天候が空気を読んでくれていなかったが、人数はどうあれ。クリスマスってなんだかんだいって特別な日なのかも?
今回は平和回でした。どうも夜中はテンションが上がる。
夜中にリビングで飲むお茶はうまい。なんの話だこれ。