黒き英雄達のレコンギスタ(ガンダム Gのレコンギスタ×最弱無敗の神装機竜)   作:okura1986

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第二話です。最弱無敗のアニメ版Aパートがベースになっています。


第二話「王女と王子」

 白き巨人……無人のGセルフによる学園襲撃の三日後、ベルリは度重なるアティスマータ新王国の重鎮達の尋問から解放され、学園に戻り学園長室でレリィ・アイングラム学園長と話し合いをしていた。

 

「成程……ではあの“白い機械人形”……Gセルフは、元々は君の所有物だったのね?」

「……正確には借り物というか、半ば譲ってもらった物なんですけどね」

 

 ベルリは連日休みなく尋問を受けていたせいか、心なしか疲れた顔をしていた。しかし彼はそれよりも気になっていたことがあった。

 

「なぜあのお偉いさん達は、僕の言うことを信じてくれたのでしょう? あの手の人間は大体こっちの言い分なんて聞かないと思ったんですけど……」

 

 襲撃してきた異世界の兵器、それを内部から操作し制御して見せた異世界から来たという少年。いくら彼が言葉を並べようと、それを信じるのはまず不可能に近い。しかしアティスマータ新王国の重鎮たちは至極あっさりと、彼の言葉を否定せず解放したのだ。

 

「……もしかしたら上の人達は、機械人形をドラグライトと並ぶ兵器として使いたいのかもしれない」

「ああ成程、それで僕のご機嫌取り……ということですか」

 

 レリィの仮説に、ベルリは至極納得する。そしてレリィはふうっとため息をつき、腰かけていた学園長専用の椅子に背を凭れかけさせる。

 

「ま、また何かあったらこっちから連絡するわ。で……上の人達から通達があったの。あなたのこれからに関して」

「僕のこれから……ですか?」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「と、いうわけで“とある国から来た留学生”として今日から皆さんのクラスメイトになるベルリ・ゼナム君です。皆仲良くしてね?」

「よろしくお願いします!」

 

アカデミーの中にある教室の一つ、そこでベルリは女子生徒たちの前でレリィ学園長から紹介されていた。ちなみにベルリの格好は現在、このアカデミーで支給されている白い制服姿である。

 

(監視しやすい手っ取り早い方法ってわけですか)

 

 ベルリは大人たちの思惑を薄々感じとりながら、話を進めていくレリィを横目で見た。

 

「で、ベルリ君の席は……ルクス君の隣でいいわね」

 

 そう言ってレリィはとある席に視線を移す。視線の先にはベルリと同じアカデミーの制服を身にまとったルクスの姿があった。

 

(結局、ルクスもこの学校に入ることになったんだ)

 

ベルリはルクスとアイコンタクトを取りながら、指定された自分の席に座る。ちなみにルクスはどういうわけかここでやるはずだった整備士見習いの雑用を解約され、代わりにここの学校の生徒として通うことになった。先日の決闘の後ルクスの事を見直したリーシャが特別に計らったという噂だ。

そしてレリィが軽い連絡事項を教室に伝えきったところでHR終了のチャイムが鳴り、レリィは教室から出て行った。そして待っていましたと言わんばかりに、教室の女子生徒がベルリに集まって質問攻めをしてきた。

 

「ねえねえベルリ君!! 君のいた国ってどんなところ!!?」

「異世界から来たって本当!!?」

「あの機械人形はどうやって動かしたの!!?」

「好きな女の子のタイプは!!?」

「ルクス君とは恋人同士!!!? 受けと攻めどっち!!!?」

 

 若干恐ろしい質問をする生徒がいる気がしたベルリは思わず後ずさるが、そんな彼女達を、すぐそばで様子を見ていたリーズシャルテが割って入って止めてきた。

 

「コラ貴様ら!! 質問は一個ずつにしろ!! あと訳の分からん質問をするな!!!!」

 

 すると騒いでいた女子生徒たちは大人しくなり、誰が先にベルリに質問するか会議を始める。

 

(どこの学校も、女子生徒がパワフルなのは変わらないなあ)

 

 ベルリはかつて通っていた学校のチアリーダー達を思い出す。その時……ベルリは自分に向けられる視線を感じ、その方角を見る。

 

「じー……」

 

 そこにはピンクの短いツインテールの、ほんわかした雰囲気の女子生徒がベルリを見ていた。

 

「何? 君も僕に質問?」

「……貴方はルーちゃんの友達?」

 

 するとすぐそばで様子を見ていたルクスがベルリに話しかける」

 

「ベルリ、紹介するよ。彼女は僕の幼馴染のフィルフィ・アイングラムさん」

「もールーちゃん、私の事は昔みたいにフィーちゃんって呼んで」

 

 ルクスの紹介に対し、ツインテールの女子生徒……フィルフィは不満そうに口を膨らますが、そのぽややんとした雰囲気のせいか怒っているのにむしろ見ている者を癒してしまいそうだった。

 

「そっか、じゃあルクスの友達は僕の友達ってことで、よろしくねフィーちゃん」

「うん、よろしくべーちゃん」

「ははは!? それ僕の名前!? 初めてだよそんなん風に呼ばれたの!」

「おおう……こいつに即合わせることができる奴がこの世にいるとは」

 

 フィルフィの独特な雰囲気にベルリはすぐに適応し、傍で見ていたリーズシャルテが以外そうな顔をする。ベルリ自身……彼女と近い雰囲気の娘と長い間一緒に生活していたおかげでもあるのだろう。

 すると、誰が一番最初に質問するか相談している女子生徒の中から一人の少女が現れる。

 

「ちょっといいかしら、ベルリ・ゼナム君」

「貴方は確か、クルルシファーさん?」

 

 それはルクスとリーズシャルテの決闘の日に知り合ったクルルシファーであった。

 

「ええ、同じクラスになるなんて奇遇よね。そこにいるルクス君やお姫様も含めて……で、私もあなたに聞きたいことがあるの」

「僕にですか? なんです?」

 

 クルルシファーは少しためらっている様子で言葉を濁らせる。そして……意を決して口を開いた。

 

「……ルクス君から聞いたの、あなたがやってきた場所の事。それで……」

 

 その瞬間、教室に次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。それを聞いていたクラスメイトの一人、ティルファー・リルミットが慌てだした。

 

「ちょ! みんな次移動教室だよ!! 急いで急いで!!」

「あれホントだ! 早くしないと!!」

 

 そう言って雪崩撃って教室から出ていく女子生徒たち、それを見たクルルシファーは、ベルリやルクス達を見て苦笑する。

 

「……ごめんね。話の続きはまた今度」

「は、はあ……」

 

 

 

 そしてその日は授業が滞りなく進み。放課後はルクスとベルリの歓迎会(リーズシャルテが主催)が行われ、そのまま一日が終わった……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 次の日、ベルリは自分に割り当てられた部屋の、ベッドの上で目を覚ました。

 

(ああそっか、昨日の歓迎会の後、疲れて二人ともベッドに倒れ込んでそのまま寝ちゃったんだっけ)

 

 そのままベルリは寝転がったまま毛布を探して左腕を動かした。そして……何か柔らかいものを掴んだ。

 

「ん……なんだコレ? 枕?」

 

 ベルリは眠い目をこすりながら自分が掴んだものを確認する。するとそこには、Yシャツ姿で横たわっているフィルフィ、そんな彼女を後ろから抱き枕のように抱いているルクス、そしてフィルフィのはち切れんばかりの左乳房をがっちり掴んでいる自分の左手があった。

 

「どおおおおおおお!!!?」

 

 眠気もすっ飛びベッドから転げ落ちるベルリ。

 

「どうしたのベル……でええええ!!? フィルフィィ!!?」

 

 ベルリの叫びで目を覚まし、枕のように抱きしめていたフィルフィに驚愕して同じく飛び起きるルクス。

 

「ふううん……? どうしたの二人とも?」

 

そして眠い目をこすって体を起こすどこまでもマイペースなフィルフィ。

 

「ちょっと!? なんでフィルフィがここにいるの!!?」

「あれー? だって私の部屋ここじゃなかったっけ?」

「いや!! 学園長が君の部屋変更になったって言ってなかったっけ!?」

 

 そう、元々はルクスとフィルフィが同室の予定だったのだが、ベルリがここに通うことになり男子二人一緒の部屋のほうが倫理的に正しい。ホントはルクス君とフィルフィが一緒のほうが二人の仲が深まってよかったのに……と昨日ベルリはレリィから説明を受けていた。舌打ち交じりで。

 

「うーん? そうだっけ……まあ小さいころはルーちゃんと一緒に寝てたし、別にいよね」

「よくない!! よくないから!!」

「ていうかちゃんと服着てください!! いろいろはみ出して色々見えてます!!」

「ルクッちー、ベルっちー、おはよー。フィルフィ―見なかったーってふにゃああああああ!!?」

 

 そして絶妙なタイミングで二人を起こしにやってきたティルファーにその光景をバッチリ見られる。

 

「あ、ティーちゃんおはよ」

「わあああああティルファーさんこれは違うんです!!!」

「二人とも仲いいからってティルファーをサンドイッチで一晩中フィーバー!!? これホールブラザーっていうんだっけ!!?」

「なんて勘違いをしてるんですか!!!? 妄想が飛躍しすぎなんですよ!!!」

「んぎゃー! やめてー!! 近寄らないでー!! いくら物足りないからって私混ぜてダブルサンドプレイとかハイレベルすぎるー!!!!」

 

 こうして4人のやり取りは寮にいる生徒達ほぼ全員に知れ渡ることになり、ルクスが浴場に落下した時以上の騒ぎになったそうな。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「サイテーですね二人とも」

 

 波乱の早朝から約二時間後、ルクスとベルリは案内役のアイリと合流して、彼らの依頼を受けた仕事場のとある場所に向かっていた。なお、今朝の騒ぎを知ったアイリはルクスとベルリをゴキブリを見るような冷たい目で見ていた。

 

「いや違うんだよアイリ」

「これには不幸な出来事が重なってだね」

「はあ……もういいですよ。ベルリさん、兄さんはこういう巻き込まれ体質なのでしっかり監視してくださらないと。ただでさえ私たちは王都の人間たちから危険視されているというのに」

 

 そう言いながらベルリとルクスの一歩前を歩くアイリ。それを聞いてベルリはルクス達に質問する。

 

「そっか……ルクスが雑用をしているのは、新王国に課せられた借金を返すためなんだっけ? じゃあアイリも?」

「はい、私は遺跡(ルイン)で発掘された古文書の解読やドラグライトの指南書の更新を任されています……だからベルリさんのGセルフには大変興味があります」

「ははは、なんなら今度乗せてあげようか? いい気晴らしになるよ」

 

 するとアイリは意地悪くふふっと笑いながらベルリのほうを向いた。

 

「ベルリさん、話を逸らそうとしていますね?」

「あはは、バレた?」

「バレバレですよ、んもう……抜け目ない人ですね」

 

 するとベルリは隣にいたルクスの肩をポンポン叩いた。

 

「しっかりした妹さんだ。大切にしなきゃね」

「……うん、この世でたった一人の兄妹だから」

 

 ルクスのどこか悲しそうな含みのある言葉に、ベルリもまた遠くを眺めながら口を開いた。

 

「兄妹か、僕にも姉さんが一人いるからね……大切にしたいって気持ちはわかるよ」

「そうなの? どんな人なの?」

「気が強い人さ、まあその人が僕の姉だってことを知ったのは最近で、それまで色んなことがあったんだけどね……」

 

 そうこうしているうちに、一行は郊外にある工房……ルクス達の新たなる勤め先に到着する。

 

「それじゃ私はこれで……ベルリさん、今度お姉さんの話、聞かせてくださいね」

「あれ? アイリは帰っちゃうの?」

「ええ、少し調べ物がありますので」

 

 そう言ってアイリは一礼の後、ルクスとベルリの元を去っていった。

 

「ホント、しっかり者の妹さんだね、姉さんを思い出すよ」

「へー、僕も会ってみたいよ」

「アイリと会わせたらお姫様同士気が合うかもね」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 ルクスとベルリが工房に入ると、中は器具や家具が散乱しており、全体的に埃っぽい空気が充満していた。

 

「随分と小汚いなぁ」

「今日の仕事場はここのはずなんだけど……呼んでも誰も出てこなかったし」

 

 そして二人は奥のほうへ歩みを進めていく。するとソファーに座って眠るマント姿のリーズシャルテを発見した。

 

「リーシャ様!? どうしてここに!!?」

「ん、んんん……? なんだ? 徹夜明けなんだからもう少し寝させてほしい」

「は、はぁ……ところで工房の所長はどこにいるんですか? 挨拶を済ませたいのですが」

「あん? お前の目の前にいるだろう」

 

 リーズシャルテは眠い目をこすりながら自分を指さす。それを見てベルリがあることに気付いた。

 

「え、まさかリーズシャルテ様が所長なんですか?」

「そうだ、悪いか?」

 

 リーズシャルテは得意げにえへんと胸を張り、すぐそばに置いてあったソードデバイスをルクスに渡す。

 

「これ……僕のワイバーン!? 整備士に修理を頼んでいたのに!?」

「ああ、私が直しておいた。ホントなら色々改良を加えたかったのだが、それよりも興味を惹かれるものがあったのでな」

 

 そう言ってリーズシャルテはつかつかと歩きだし工房の外に出て、ルクスとベルリはそれについていく。そして工房の中庭に着いた一行はそこでとんでもないものを目撃する。

 

「これは……Gセルフ!!」

「ああ! 王都の依頼でこれを色々と調査していた!!」

「で、何ですこの右手のドリル?」

 

 ベルリは中庭に中腰状態のGセルフの、右手に装着されているドリルを指さした。

 

「ああこれか!! お前のこのGセルフを見たら私の技術者魂が燃え上がってしまってな!! とりあえずドリル付けてみた!! カッコいいだろ!!?」

「戻してくださいよ!! これじゃ何も持てないでしょうが!!!」

 

 ベルリの抗議に、リーズシャルテは口を尖らせ不満そうにする。

 

「えー、他にも分身できるぐらい高速で移動できるオーバーなスキルとか、投げつけるタイプの巨大ミサイルとか、なんかオーラ出てくる剣とか、頭に謎のエネルギーを出す太陽とか月のオブジェを付けようと持ったのだが……」

「よかったねベルリ、僕らもうちょっと遅かったらGセルフが大変なことになっていたよ」

「はぁ……そもそも本体を改造しなくても、バックパックを換装すれば巣絹武装を変えられますよ」

 

 ベルリの説明を聞いたリーズシャルテは、目を輝かせて彼にずいっと近付く。

 

「何!? 何やら興味深いことを聞いたのだが!!」

「Gセルフのバックパック……あの赤い翼は取り外すことができるんです。それで状況に応じてそれ相応のバックパックに換装できるんですよ。まあ他のバックパックはこの世界にはありませんけどね」

「バックパック……!!!! 成程その手があったか!!? その技術を応用すればそれぞれの特性に縛られることなく武器を付け替えることができる!! 外付けの動力を加えることにより暴走事故を減らすことだって……!!」

 

 何やら自分の世界に入って興奮しながら独り言をつぶやくリーズシャルテ、それを見たルクスとベルリは互いに目を合わせて苦笑する。

 

「どうする? あれ……」

「しばらくほっとこうか」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 それから数分後、ベルリはルクスとリーズシャルテと別れて一人街の繁華街を歩いていた。

 

(ルクスを騎士団にスカウトしたいから、親睦を深めるためにちょっと二人で食事に行ってくるって……あれどう見てもデートのお誘いだよなあ)

 

 リーズシャルテの必死の弁解と、本気で気付いていないルクスの様子を思い出し、ベルリは思わず苦笑する。

 

「さて、体よく放り出された訳だけど、これからどうしようか……」

「あ、べーちゃんだ」

 

 ふと、ベルリは背後から話しかけられ振り向く。そこにはフィルフィとクルルシファーが立っていた。

 

「ああ二人とも、どうしてここに?」

「私は日用品を買いに……」

「散歩、べーちゃんも一緒にどう?」

 

 フィルフィの提案に、ベルリはとあることを思い出す。

 

「そういえばクルルシファーさん、僕に聞きたいことがあるって言ってましたよね? 良かったらどこかでお茶でもどうです? フィーちゃんも一緒に」

「あらあら、じゃあお言葉に甘えようかしら」

「わーい、私おいしいケーキのお店知っているよ」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 数分後、繁華街の一角にある喫茶店の窓側の席に座ったベルリ、クルルシファー、フィルフィは、注文したコーヒーやケーキを口にしながら、ベルリのいたリギルド・センチュリーの話をしていた。

 

「ふうん、星の世界へ行く技術を持った世界……まるで小説の世界ね」

「まあ、僕から見れば一見普通の剣からパワードスーツみたいなのを出すほうがファンタジーですけどね」

「チーズケーキおいしい」

 

 ベルリの話をどこか熱心に聞くクルルシファーと、マイペースにケーキを食べるフィルフィ。

 

「でもクルルシファーさんは何故僕の世界の事を? 他の人に話しても信じてもらえないのが殆どなのに」

 

 ベルリの質問に、クルルシファーは少し寂し気な目で俯いた。

 

「……もしかしたら自分の事が少しわかると思ってね」

「? それってどういう……」

 

 その時、ドーナッツを食べていたフィルフィが窓の外を見てあるものを見つける。

 

「あ、ルーちゃんと姫様」

「「え?」」

 

 ドーナッツを咥えたフィルフィが指さす先には、仲良さそうに街中を歩くルクスとリーズシャルテの姿があった。

 

「おっ、二人ともデート継続中みたい」

「用事も済ませて暇だし、ちょっと二人の様子を観察してみましょうか」

「ふぇっふふぉー(レッツゴー)」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 そうしてベルリら三人は、街中を歩くルクスとリーズシャルテの後ろをこっそりと付いていき、見晴らしのいい展望台のような場所にやってきた。

 

「ルクスと姫様は……何か話しているみたいだね」

「もぐもぐ、ドーナッツ美味しい」

「フィルフィさんちょっと静かに」

 

 ベルリ達は木陰に隠れてルクス達の様子をうかがう。リーズシャルテは寂しげな顔でルクスに問いかけていた。

 

 

 

「私の問いに答えてくれ、ルクス・アーカディア。王女とはなんだ?」

 

 

 

 リーズシャルテはそのまま旧帝国を倒したクーデターの際、首謀者であった自分の父の事、旧帝国に捕らわれた際父は自分を救ってくれず、死ぬことができなかった自分は旧帝国の兵に下腹部に中世の烙印を押されたこと、クーデターが終わり父と跡継ぎになる筈だった妹が死に、子供のいなかった叔母が自分を養子にして王女の座に就かせたことを語った。

 

「あの時決闘を申し込んだのも、私の烙印を見たお前をそのままにしておくことは出来なかったからだ。まあ……いっそ皆にバレてしまったほうが良いのかもな。呪われた烙印を持つ私は、皆に王女と呼ばれる資格などないからな」

「そんな事……」

 

 自嘲気味に笑うリーズシャルテと、どう答えていいかわからないルクス。そんな彼らのやり取りを見ていたベルリ達も、少しばつが悪そうにしていた。

 

「成程、姫様があんな態度だったのはそんな理由があったのね。王女っぽくないとは思っていたけど……ベルリ君? どうしたの?」

「……いえ、これ以上ここにいるのはダメですよね。帰りましょう」

「うん、そうしよう。もうドーナッツないし」

 

 ベルリの脳裏には、かつて苦楽を共にした姉や仲間たちの顔が浮かんでいた。

 

(どの世界のお姫様も大変だな……)

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 その日の夜、自室でくつろいでいたベルリは、テーブルを挟んで座っていたルクスに話しかけられる。

 

「昼間……クルルシファーさんとフィーちゃんと一緒に覗いていたでしょ?」

「あ、バレてた?」

 

 ため息交じりのルクスの指摘に、ベルリは悪戯っぽく笑う。

 

「でも、姫様があんな悩みを抱えていたなんて知らなかった。」

「うん……でも彼女の気持ちはちょっとわかるよ。僕は……王子らしいことなんて何もできなかった。すべての人を救いたいと思っても誰も救うことができなかったしね」

 

 ルクスは机に置いてある自分の二本のソードデバイスを一瞥する。それを見たベルリも後頭部に手を回し、腰かけていたソファーに寝転がった。

 

「そうだね……全部守ろうとしてもうまくいかないさ。でも、それでも前に進もうとした人たちを僕は知っている。あとは一緒に歩く人がいるか……だね」

「……」

 

 

そして二人はそのまま眠りにつく。片方はかつての仲間たちの夢を、もう片方は幼き日にすべてを救おうとしながらも、兄に裏切られすべてを失った日の夢を見ながら……。

 

 彼らをその夢から起こしたのは、明け方に慣らされた幻神獣(アビス)の襲来を告げる鐘の音だった……。

 




 はい、今回はここまで、次回はアニメ版第二話の後半部分をやります。Gレコ以外からのガンダムキャラが登場するかも?
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