憑依した先はCGS一軍の隊員でした。   作:ホアキン

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とりあえずプロローグです。オリ主の設定は後日投稿予定です。


プロローグ

 「厄祭戦」と呼ばれた全地球規模の大戦争が終結してから約300年。

テラフォーミングでほぼ地球と同じ自然環境と都市が構築された火星は地球の4つの経済圏に分割統治されている。

 そしてここ、クリュセ自治区は4つの経済圏の一つであるアーブラウの支配下にあり、開拓時代の不平等な協定と地球圏優先の政策のために搾取され続けているらしい。(らしい、というのは僕はその開拓時代からの歴史を、電子化された本で読んだ知識でしか知らないからだ)

 そしてそのクリュセの中では貧富の格差が生じ、少数の富める者は肥え太り、多数の貧しき者は痩せ細って野垂れ死ぬのが珍しくない。

 かくいう僕もその多数の貧しき者の中で、なんとか生きる糧を得ている一人であり・・・「おいコラ何ボケッとしてやがる!?さっさとガキ共の相手してこいや!!」っと、お仕事お仕事っと・・・。

 

「すいませんハエダさん、今行きます!」

 

 そう返して自分にあてがわれた青と黄に塗られたMW(モビルワーカー)に駆け寄る・・・っテぇ!尻蹴飛ばしやがった!あんのハエ野郎!(ハエダだからハエ野郎、ろくに仕事もせず他人の働きで給料取ってる奴にはお似合いじゃないだろうか)

 

「ガキ共のMW戦闘訓練はテメエの仕事だろが!何のために専用機くれてやったと思ってんだ!」

 

 そんなの実戦で僕を囮にするためでしょうが、目立つ色に塗らせてさ。

 ハエダもササイも、MWの腕は大した事ない癖に。もう参番組の子達のほうが実力は上だってのに威張り散らしてもう・・・。

心中でぼやきながらMWを起動、訓練エリアに移動する。

既にピンクに塗られたMW1機とサンドカラーのMW3機が待機している。最初はシノの隊か。

 

「え~、それではこれより模擬戦を開始する」

 

 さて、今日もお仕事頑張りますか。参番組の子達には強くなってもらわないとね。彼ら自身のためにも、僕のためにも。

 そして二時間後、参番組のうち三つの隊との模擬戦はシノの隊に一勝、三日月の隊に一敗、昭弘の隊に一引き分けに終わり、一度負けたからとハエダに殴られた。ちくしょう。

 でも我慢、あと3年もすればハエダもササイもいなくなるんだ、それまで我慢するさ。

 それに、ハエダ達よりは仕事してるからか、社長は自分の懐が痛まない範囲なら割りと融通利かせてくれるし、今のうちに参番組の子供達からの心象が良くなるように行動しよう。

・・・1軍の隊員ってだけでマイナスだけど。ユージンとか嫌悪むき出しの眼で見てくるし。あと3年の間にマイナスからプラスに、最低でもプラマイゼロにはしときたいなあ・・・。

 小説なんかで見るような記憶を持ち越しての転生とか、本当にあるとは思わなかった。いや転生とは違うのか?憑依?まあ、この際どちらでも良い。最初は混乱したし1軍の奴らからの扱いとか殺し合いしなきゃ生きていけない状況も辛いけど『前』の記憶はこの世界では大いに利用出来る。上手く立ち回って鉄華団に自分の居場所を作ってやる!

 

現在P.D.320。CGSがギャラルホルンの襲撃を受け、それをきっかけに鉄華団に名を変えるまで、あと3年。




改行が少なく読みにくいというご指摘をいただきましたので、少し修正してみました。

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