憑依した先はCGS一軍の隊員でした。   作:ホアキン

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戦闘描写は思った以上に難しかったです。まだまだですね・・・。


テイワズ編
いさなとり


 ロッカールームでノーマルスーツを着て、ヘルメットを手に格納庫に向かう。

格納庫ではおやっさんやタカキ達が状況を掴めずにいる。

 

「ブリッジは、マルバがどうのって言ってるけど・・・」

「はあ!?マルバだとぉ!?」

「また戦いになるのかなあ・・・」

「は~、とにかく、使えるように準備するしかねえ。いつ戦闘が始まるかわかんねえんだからな!」

「「はい!」」

「ヤマギぃ!そっちはどうだ!?」

 

おやっさんがグレイズ改の修理に回っているヤマギに声を掛ける。

 

「なんとかします!そっちよりは状態は良いし」

「おう、頼むぞ!タカキ、ライド!こっちも急ぐぞ!!」

「はい!」

「おっす!」

 

タカキ達に指示を出し、バルバトスの出撃準備にかかろうとするおやっさんに声を掛ける。

 

「おやっさん!!」

「ああん?・・・トウガオメエその格好、気が早ええんじゃねえか?」

「戦闘に備えてあっちのグレイズの出撃準備をします。戦闘になったら僕を先に出させてください!」

「おいおい、大丈夫なのか?」

「大体の修理は出来てますから、後は細かいチェックと調整が少し残ってますけど」

「じゃなくて、お前ぶっつけ本番でMSの操縦なんて出来るのかって聞いてんだよ」

「前の戦闘では昭弘だってそうだったんです。僕だってやってみせないと、立場が無いでしょう?」

「ふん、オメエも大変だな。手は足りてんのか?」

「大丈夫です。だから出る時まではバルバトスの方をお願いします」

「ああ、こっちは任せろ!」

 

 さて、気密チェック・・・よし、起動確認、コンディション・・・あ!スラスターのガスが少ない。補充して無かった。急いでコックピットを出てガスの補充作業を行う。

 

「・・・よし、もう一度コックピットに・・・」

 

コックピットに戻りチェックを続行する。よし、オールグリーン、ブリッジに通信を入れると、フミタンの顔がモニターに表示された。

 

「あ、フミタン、さん・・・」

『呼び捨てでも構いませんが』

 

平淡な口調でそう言うフミタン。けどろくに話もしていない相手を呼び捨てするのは抵抗あるんだよな・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ブリッジではマルバから、CGSの所有物全てと引き換えで手助けの依頼を受けたタービンズの代表、名瀬・タービンからイサリビを含む資産の引き渡しを要求されるがオルガは受けた仕事があるとこれを拒否。ビスケットが取引を申し出るも、名瀬に火事場泥棒で組織を乗っ取ったガキと一蹴され、結局交渉は決裂してしまった。

 

「あんたの道理がどうだろうと、俺達にも通さなきゃいけねえ筋がある」

『それは、俺達とやり合うって意味でいいんだよな?』

「ああ、俺達がただのガキじゃねえって事を教えてやるよ。マルバ!てめえにもな」

 

こちらを威圧する名瀬にそう啖呵を切り、オルガは名瀬の隣に立つマルバにも声を掛ける。

 

『はあ?』

「死んでいった仲間のケジメ、キッチリつけさせてもらう!」

『何だとおっ!?』

『お前ら、生意気の代償は高くつくぞ』

 

名瀬のその言葉を最後に、タービンズからの通信は切れた。

 

「慎重にって言ったじゃないか!交渉の余地はあった筈だ!」

 

意地を張って名瀬に対し強気の態度に出たオルガをビスケットが責める。

 

「わかってるけどな、通すと決めた筋は曲げられねえよ」

 

そこにフミタンが声を掛けた。

 

「団長さん、格納庫から通信が入っています。正面に出します」

 

その直後、正面モニターにノーマルスーツを着たトウガの顔が映し出された。

『やっぱり戦闘になるみたいだね、おやっさん達も急いで準備しているよ。僕は今回は鹵獲したグレイズで出るよ』

「何時もの事だが手回しのいいこったな。やれんのか?」

『前回昭弘には頼んでおいて僕にはそう来るのかい?ま、やってみるさ』

「フッ、そうかよ、なら頼むぜ・・・。敵艦にケツをとられちゃあいるが、鉄華団の力を見せるにはむしろ好都合だよな?お前ら!?」

「あったりめえだろ!」

「おう!目にもの見せてやろうぜ!」

 

オルガにユージンとシノが答える。

 

「テイワズとの渡りをつける千載一遇のこのチャンス、ものにするぞ!」

「っしゃあ!」

 

そしてイサリビは戦闘体制に移行、ブリッジにいた三日月とシノ、別室にいた昭弘もオルガの指示で出撃の為動き出す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 イサリビが速度を殺さないようにしつつ180度回頭した。それじゃあ行くとしますか。

グレイズの武装は右腕にライフル、腰のバトルアックスに、左腕にシールドと、その裏にちょっとした隠し球を取り付けてある。

 

『エアロック作動、カタパルト、ハッチ開放します』

『カタパルトスタンバイ。発進どうぞ』

「了解、トウガ・サイトー、グレイズ、行きます!」

 

射出され、宇宙に飛び出すグレイズ。スラスターを抑え目に噴かして前進しながら操縦の感覚を確かめる。

 

「わかっちゃいたけど、やっぱり阿頼耶識じゃない分反応が少し遅いか・・・。相手の腕を考えると分が悪いけど、出来るだけの事はやるさ」

 

 そう考える一方、気持ちが昂るのも感じている。今僕はMSに乗っている。操縦している!

 

後ろから昭弘のグレイズ改が追い付いてくる。

 

「やあ昭弘、阿頼耶識無しのMS操縦はそっちが先輩だから、宜しく頼むよ」

「へっ、足引っ張るなよ」

「はは、言うねえ、頼もしい事・・・ん、三日月も来たね」

 

今度は三日月のバルバトス(第3形態)が追い付いてきた。

 

「お待たせ」

「はっ、待っちゃいねえよ」

「相手側は多分正面の2機以外にも1機、脚の速いタイプがいるはずだ、気をつけて」

「へえ・・・」

「何でそんな事知ってんだよ?」

 

原作知識とは言えないから、適当に誤魔化そう。

 

「僕なりに調べた。タービンズは武闘派で通っている組織で、MSは3機編成。もしかしたら予備にもう1機くらい・・・敵機確認!」

「あれか・・・」

 

 テイワズのMS、百錬が2機、モニターで確認出来る所まで迫っている。

さて、イサリビに近づけないようにしながら時間が稼げれば良いんだけど、相手は手練れだから、気を引き締めないと。

けど相手の事以上に問題なのは自分でわかる程に僕が興奮してしまっているって事で。

 

 百錬がライフルを撃ってくる。三日月と昭弘は回避、まだ不慣れな僕はシールドで防御しながら応射する。相手の腕の良さか、数の有利はあまり感じられない攻防が一時続いたが、イサリビから別のMS(百里)の攻撃を受けていると連絡が来た。

 

「トウガの言った通りだった・・・」

「三日月!!」

 

イサリビの方に一瞬気をとられた三日月の肩を昭弘が掴んで百錬の射撃から逸らす。僕もシールドを構えてカバーに入ると1発シールドに着弾した。 

 

「悪い昭弘、トウガ、前の2つは任せて良い?」

「なっ?・・・ああ、任せろ!」

「イサリビを頼むよ!」

「すぐに戻る」

 

そう言って百里への対応に向かう三日月、僕と昭弘は三日月にライフルを向けようとするピンクの百錬にライフルを撃つ。

 

「ここは俺達が任された!」

「あっちは三日月が抑えてくれる、こっちは僕達で抑える!」

 

 しかし昭弘、良い動きをするな、僕のフォローはいらないか、ならせめて一対一でやれるように、少し早い気もするけどここらで隠してる手札を切るか。

シールドの裏に付けていた弾頭を2機の百錬に、それぞれ1発ずつ発射する。弾速は然程早いでもなく、百錬はそれぞれライフルで撃ち落とそうと射撃するが、弾頭は破裂し、ワイヤーの束が散らばり何本かは百錬の機体に絡み付く。

だが大した拘束力にはならなかったようで、百錬の動きは殆ど衰えない。やはりあの程度じゃ役に立たないか。少し鬱陶しいくらいのようだ。

 

「本番までにはもっと効果があるように改良しないと・・・っと!?」

 

何発かもらってしまった。いけない、今は先の事より目の前の相手に集中しないと!

 そうこうする内に、イサリビはスモークの目眩ましからの急接近でのすれ違い戦法でタービンズの母艦ハンマーヘッドの内部にオルガ率いる陸戦隊を送り込む事に成功したようだ。

 

「昭弘、オルガ達が敵艦に乗り込んだ、もう少しだ!」

 

しかし艦から引き離された事に気付いた百錬が艦を追う。

 

「行かせるかあ!」

「相手はそっちじゃないでしょ!」

昭弘はピンクの、僕は青の百錬を追い、接近戦を挑むが、こちらの攻撃は防がれ、反撃に蹴り飛ばされてしまう。

「くうっ!!」

「くっそ!俺は・・・俺はアイツに任されたんだ・・・ここは退けねえ!退くわけには、いかねえんだよお~!!」

 

昭弘はピンクの百錬に肉薄、格闘戦を仕掛ける。僕は僕で青い方の百錬にシールドを叩きつけ、それで出来た隙を突いて百錬にしがみつ・・・こうとしたら、抱き付くような格好になってしまった。

 

「なっ!?コイツ・・・!!」

 

機体同士が密着している為、相手パイロットの戸惑いと、怒気がこもったような声が聴こえた。

 

「わ、悪いけど、もう少し僕に付き合ってもらいますよ!」

 

軽口を叩きながら、相手に抱き付いた状態のままスラスターを全開に噴かして、昭弘から距離を取ろうとする。

 

「もう少し大人しくしていて欲しいんですけどね!」

「く・・・ナメるんじゃ無いよ!」

 

相手もスラスターを噴かして振りほどこうとしてくる。

 

「ふおあっ!ちょっ、暴れないで!!」

「何甘えた事を・・・!アタシは敵だよ!」

「く・・・だあっ!」

 

 振りほどかれた上に蹴飛ばされてしまった。更に銃撃、咄嗟にシールドでコックピット回りを守る。

 どうする?ライフルはさっき手放してしまった。バトルアックスは、あっちのブレードと打ち合ったら負けるし、シールドで防戦に回って時間を稼ぐか?いや駄目だ、攻撃の手を緩めれば昭弘の方かイサリビの追撃に回ってしまうだろう。かといってこっちは不慣れだから真っ向勝負じゃ抑えられない・・・。

 

「このままじゃ駄目だ・・・こうなったら!」

 

 シールドをコックピットの前に構えたまま、百錬に突撃する。相手はブレードを抜いて振り下ろす。それをシールドで受け流すとそのまま右肘を打ちつける。

 だが今度はこっちが機体の腹に膝蹴りを喰らった。衝撃がコックピットにも伝わるが、まだ動ける。

 

「ぐうっ・・・まだまだあっ!!」

 

百錬に再びしがみつき、スラスターを噴かして昭弘と交戦中のもう1機の百錬に向かって行く。推力だけならグレイズの方が!

 

「くっ・・・!姐さん!」

「アジー!?・・・ウチの娘に何してるのさ!!」

「ぐああっ!!」

 

そのまま青い百錬をピンクの方にぶつけようとしたが、かわされた上に背部に蹴りを喰らってしまった。背部ブースターユニットが損傷、推進力低下・・・ヤバイ!?

 

「させっかよぉ!」

 

僕に攻撃しようとした百錬に昭弘が体当たりする。助かったけど、いよいよ手詰まりだと思った時、オルガから通信が入った。

 

『トウガ!昭弘!話はついた!もういいから、イサリビに戻ってくれ!』

 

百錬の方を見るとどうやらあちら側も母艦から同様の指示が来ているのだろう。こちらを警戒しつつも攻撃はしてこないでいる。

 

「はあ・・・はあ・・・終わったのか・・・?」

「た・・・多分ね・・・だからこっちから撃っちゃ駄目だよ昭弘・・・はあ~~、なんとかなったかあ・・・」

 

こっちは結構傷だらけだけど。せっかく用意したワイヤーも編み込んで無かったからか、あっちにはショボい嫌がらせみたいなものにしかならなかったし、もっと時間と手間をかけて用意しておかないと駄目だって良くわかった。反省する事の多い戦闘だったな・・・。そう自省しながら、こちらから離れて行く百錬を見送るのだった。

 

 

 




あああ・・・ラフタ、アジー、シノ・・・他にも大勢・・・。後書きに書く事がまとまりません。てかマッキー何でそのタイミングで出てきた!?おかげでクーデリアは助かってるけど!
あとアインが明らかにヤバイ。

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