死の支配者と虚無の申し子   作:むじな

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第2話:対話 ~いのち

0:00:1、2、3・・・

 

ユグドラシルの終了と共に感じたものは違和感だった。

日付変更と同時に出る筈の接続が遮断されたアナウンスが出ないのだ。

 

「・・・ん?」

 

ニヒトの隣に居るモモンガが何時までも終わりの時を迎えない事に違和感を覚え疑問の声を上げる。

ニヒトもサービス終了による強制ログアウトを行われない事に不安を覚え閉じた目を開く

 

「何だ・・・?」

 

「一体どういうことだ・・・?」

 

モモンガもニヒトも全くの予想外の事態に若干の焦りを覚える。

 

ニヒトは様々な可能性を脳内で虱潰しに思考する。

サービス終了の延期、サーバーの不具合、後継作品への自動的な引継ぎ等だ。

サービス終了延期の可能性はどうだ?

ありえなくは無いが可能性は低い。

もとより決まっていた事を覆すメリットは運営側に無いだろう。

一世を風靡した作品の終了する事はニュースなどでも取り上げられた為ここでサービス延長アナウンスすれば若干の延命措置にはなるだろう。

しかし延命措置は延命措置でしかないのだ。

一時的な話題でユーザーを獲得したとして、終了までは幾許の猶予を作るだけだ。

会社としてのデメリットの方が大きいだろう。

 

不具合の可能性はどうだ?

これが一番可能性は高いだろう。

機材の不備を発見し、接続者を安全にログアウトさせる為の措置であれば十分に可能性はあるだろう。

だが、サービスの最終日に限ってそういったことが起こるだろうか?

第一に接続者に悪影響を与えかねない不具合が見つかったのであれば事前にアナウンスがあるだろう。

そんなアナウンスは無かったし自分のログインは平時通り問題なく行えた。

そう考えるとサーバーを落とす際に不具合に見舞われたという事になる。

そうなると確立は一気に下がるがやはりこれが有力候補か。

 

後継作品への引継ぎは?

可能性は無くはないが正直0に等しい確立だ。

現存するユグドラシルの膨大なデータを新規のワールドに移し変える作業をオンメンテで行うという事はまず考えられない。

接続者に対しての負荷は計り知れないし事故が起これば会社としては致命傷になるだろう。

もしも作業が可能だったとしても安全面の配慮について非難を浴び炎上案件になるのは目に見えている。

 

様々な可能性が浮いては消えていく。

不思議だったのは様々な思考が同時並列処理されていた事だ。

ニヒト自体思案に耽る事自体は珍しくなかったが、それぞれを一つずつ処理していくぐらいだった。

 

自身の中に起きた変質に驚きつつも更に思慮を深めていく。

 

ふと視界の隅にコンソール表示を試みるモモンガの姿が見える。

 

「どうです?モモンガさん」

 

「ダメですね・・・コンソールの表示はおろかGMコールすら繋がりません・・・」

 

その言葉を聞いて更に考え込むニヒト。

ログアウトどころかGMコールすら出来ないとなると法に抵触する行為や犯罪なども考えられる。

 

何故?どうして今なのか?

 

様々な疑問を処理する為に考え込むニヒトであったが先ほどのモモンガとの会話で何か違和感を感じた。

コンソールが開かない、GMコールが出来ないといった情報ではなく・・・もっと視覚的な・・・

 

 

 

「どうかなさいましたか?モモンガ様?ニヒト様?」

 

 

玉座の間に綺麗な女性の声が響く

声の主を見つけた時目を疑った。

 

NPCであるアルベドが声の主だった。

 

 

「何か問題がございましたか?モモンガ様?ニヒト様?」

 

 

「い、いや・・・なんでもない・・・なんでもないのだ」

 

モモンガが驚きながらも平静を装い対応する。

ニヒトは何故NPCであるアルベドが喋っているのかを考えながら観察を行っていた。

そして先程の違和感に思い当たる。

 

モモンガの顔が動いているのだ。

 

いや、動いているといってもモモンガは表情筋の無い骸骨である為、顎の部分だけだが・・・

それでも十分に異常な事だった。

ユグドラシルはおろか最新のDMMO-RPGですら表情の実装はされていないのだ。

それにもかかわらずNPCは自我を持っているように動き、アバターが表情を表現出来ている。

あまりの非常識的な光景に精神が揺さぶられるよな感覚にニヒトは陥った。

しかしそれも一瞬で元に戻る。

何が起きたのかを並列処理する思考の中に加えモモンガとアルベドのやり取りに視線を戻す。

 

「・・・・・・・・・GMコールが利かないようだ」

 

「・・・お許しを。無知な私ではモモンガ様の問いであられる、GMコールというものに関してお答えすることが出来ません。ご期待にお応えできない私に、この失態を払拭する機会をいただけるのであれば、これに勝る喜びはございません。何とぞなんなりとご命令を」

 

長い謝罪の言葉をスラスラと述べるアルベドに若干の感動を覚えながらニヒトは更に現状の異常性を認識していた

 

NPCと会話しているのだ。

 

通常、NPCは喋らない。

雄叫びや、歓声のデータを組み込む事は出来たとしても会話を行う事は不可能なのだ。

 

(モモンガさんも異常性に気がついてるみたいだな・・・)

 

時折考えながらアルベドと会話を行うモモンガを眺めながら更に思慮に耽っていたニヒトの脳内に電子音のようなコールが響く

本能的にコールに対しての対応を理解している事に驚きながらもコールに応える。

 

『ニヒトさん?』

 

『はい、どうしました?モモンガさん。これって《伝言》ですか?』

 

『えぇ、さっきから全く声が聞こえなかったので不安になりまして』

 

『あぁ・・・すいません考え込んでたもので。ところでモモンガさんは現状をどう思います?』

 

『正直異常ですね・・・アルベドが意思を持って会話を行えている事が未だに信じられません』

 

『ですね。モモンガさんの顔も動いてましたよ。気付いてました?』

 

『はい、感覚でわかります。次はセバスやメイドに指示を出してみようと思うんですがどうでしょう?』

 

『問題ないと思います。もしセバスが意思を持って攻撃してくるような事があれば危ないですが守ってみせますよ』

 

『頼もしいですね。ではお願いします。』

 

『はい』

 

モモンガさんがセバスとプレアデスを呼び寄せ指示を出す。

内容はセバスとプレアデスの内一人を連れてのナザリック地表部への偵察、

残りのプレアデスによる第九階層の警備だった。

指示を受けたセバスとプレアデスはモモンガとニヒトに対し一礼して与えられた指示に従い玉座の間を後にする。

 

「ではモモンガ様。私はいかがいたしましょうか?」

 

セバスたちが退出したのを確認してアルベドが声をかけてくる。

 

「・・・そうだな、これより各階層守護者に連絡を取れ。今から一時間後、第六階層のアンフィテアトルムに来るよう伝えよ。アウラ、マーレには私から伝えよう」

 

「畏まりました。復唱いたします。第六階層守護者二名を除き、各階層守護者に今より一時間後に第六階層アンフィテアトルムに来るように伝えます」

 

「よし、行け」

 

 

指示を受けたアルベドが玉座の間から退出したのを確認し今度はニヒトが声をかけてくる。

 

「お疲れ様ですモモンガさん、大変ですね」

 

「あぁニヒトさん・・・大変だと思うなら助け舟ぐらい出してくださいよ・・・」

 

若干疲れた声のモモンガが明るく受け答えをする。

 

「すみません。でもモモンガさんが対応してくれてたおかげで考えをある程度まとめる事ができました」

 

「本当ですか?ニヒトさんの考えを聞かせてもらっても?」

 

「それは移動しながら話しましょう。守護者が集まるまで時間もありませんし」

 

「そうですね。まずはゴーレムの設定を書き換えに行こうと思います」

 

「了解しました。では行きましょう」

 

 

そうしてモモンガとニヒトは玉座の間を後にする。

この異常事態に立ち向かう為に・・・

 




どうも第2話です。
原作の転移後のモモンガとアルベドとの会話にニヒトの思考を加える感じで書いたんですけど、どうでしょう?

現状書き溜めをせずに執筆完了の後即投稿しているので投稿はスーパー不定期です。
後書きや前書きって何書けばいいんでしょうね?

それにしても話のテンポが遅い・・・
何時になればニグンを祝福してあげれるんですかね・・・

8/9 誤字修正
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