私の目の前にはその瞳に一切の生気を感じさせない美女(全裸)が立っていた。まるで人形のようだ。
その額からは二本の黒い龍角が凛々しく生えており、なにか神々しさを放っていた。背中から生えている一対の翼は強靭な見た目を裏腹にとても芸術的な雰囲気を放っていた。
私は、この美女の種族を理解していた。
龍ーーまさにそれそのものだった。
「やあ、こんにちは」
声をかけると、彼女は機械が起動するように瞳に生気を宿す。すると状況を確認するように周りを見始めた。
「……ここはどこじゃ」
「さあ? 私が知りたいね」
特徴的な喋り方の美女は特に慌てた様子もなく冷静に自分の状況を分析しているように見えた。普通慌てるんだけどなぁ……。
「さて、ひとまず自己紹介をしましょ。私は鬼、よろしく」
「私は……龍らしい、よろしくの」
らしいって……またずいぶん曖昧な回答だなぁ
いや、それとも完璧に自信を理解している私が異常なのか?
……どのみちここにいる時点で普通ではないか。
「仕方がなかろう。今さっき頭の中に流れ込んできたばかりなのだから」
「さらっと思考を読まないでほしいわね」
自身に関する情報が流れ込んでくるところは私と同じようだ。
しかし、龍か。
私自身は原初の妖であり鬼の始祖……つまり『悪』らしいから彼女は『善』と言ったところか。
皮肉なものだ。最初に『悪』が出会ったものが『善』だとは……最初に出会った生命体である彼女とは友好関係を築いていきたいと思ったのだが。
「別に良いではないか、『悪』でも。『善』と『悪』が敵対しなければいけないなどという決まりなどどこにもないのだから」
またさらっと思考を読んでくる。読心系の能力でも持っているのだろうか、別に構わないが。
しかし彼女の言う通りだ。よく考えてみれば敵対する理由は何もない。逆に協力しあって生きることの方が大事である。
「それもそうね、龍」
「お主とはいい関係を築けそうじゃ、鬼よ」
「そういえば……私の名前、どうしましょう」
いままで一人だったから自分の名前については考えていなかった。ぶっちゃけた話名前なんてなくても困ることなんて何もなかったからだ。
誰だボッチって言った奴表出ろ
「ふむ、『蓮鬼』というのはどうじゃ?」
蓮鬼……うん、気に入った。
汚水を吸って華々しく咲き誇る蓮の花はまさに私にピッタリなものだと思う。
「気に入ってもらえてなによりじゃ。私は竜華(りんか)、仲良くしようぞ」
「私は蓮鬼、よろしく竜華」
かんそうこないからはだがかんそうしてきた。