奈都「今年もなんとか無事に終わるんだね」
紗貴「本当に、大杉さんがいらない仕事まで引き受けてくるから、最後の最後まで忙しいったらなかったわね」
孝雄「それが集団でする仕事だろう」
紗貴「大杉さんはそうよね、公務員だもんね」
孝雄「君たちも公務員になってるんだけどな、忘れてないか?」
紗貴「忘れるわけないでしょ、ただ、部署はいくつもあるし、アミスタ病患者は日に日に増えているわけでしょ。増えているということは、ここで治療を受けて、研究してもらいながら、半ば強制的にBUDの一員として国から勤めを命じられる、被害者が増えているわけで、そうすると」
百合子「そのへんでやめておけ。せっかくの鍋がまずくなるだろう。室長はあちらのグラスをとってきていただけるか?」
孝雄「上司をこき使うなよ・・・・・・。これか?」
百合子「そうだな。奈都はオレンジだよな」
奈都「そうだよ! 大杉さん、ありがとうございます」
孝雄「本当に、君だけはそのままでいてくれ・・・・・・」
紗貴「私たちだって、そうしたいのは山々なのに、近頃来る任務の数々のせいで、奈都が世間を知ってしまってすれてしまわないか、心配」
百合子「喧嘩をしてしまって、お互い会いたくないと思った矢先にアミスタ病を発症して、アミスタワールドから出たくないとかいう男がいたな」
孝雄「君たちが二時間正座させて説教して返したんだっけ。奈都くんを私に押し付けて」
百合子「受け持ちの身内を守るのは、上司の務めであろう」
孝雄「そういうときだけ私を上司扱いしてくるの、考え処なんじゃないだろうか」
紗貴「その辺、本年中におさめて、来年に持ち越さないでくださいね」
孝雄「言いたいことは山ほどあるけれど、それも一理あるかもな。だいたい、また来年になったらなったでまた悩むこともあるんだろうからな。蓄積するより、その都度反省して、次に行かないといかんな」
紗貴「何をぶつぶつ言ってるんだか。百合子、今日は何鍋だっけ」
百合子「もつ鍋だ。ホルモンが食べたくなったからな」
奈都「私、もつ鍋初めてだよ」
紗貴「奈都の初めて、いただきました」
奈都「? 私の初めて?」
百合子「めでたいことだ。赤飯かケーキでも買ってくるか」
孝雄「待て待て、この会の食費は私持ちなのだから、もう少し謙虚に」
百合子「成長期の子どもたちに、おいしいご飯をたんまりと」
紗貴「そこを削るなんて・・・・・・。一応公務員とはいえ、戦闘職種で、アミスタの症状が出たら、普通の風邪よりも体力使うのわかっててそんなことを言うなんて」
孝雄「リーダーも割と薄給だからな。お財布事情は察してくれると思うんだがな」
奈都「ご家族に仕送りとかしてるんですか?」
孝雄「そうだよ。アミスタを発症してここにいるということは妻が知っているから、特別に送金も許されているよ。娘たちは私がアミスタ病にかかりここにいることは知らないんだから、感染させたくないからね。妻だけ」
奈都「ここにはそういう、大切な人たちを置いてきた人がいっぱいいるんだよね」
孝雄「その人たちが寂しくないように、BUS内の教会や寺社でパーティーもやっているし、各部署の飲み会もやってるみたいだけど、境遇が似た人同士が集まったところで、大切な人たちとの離別には代えがたいだろうな」
紗貴「でも、とりあえず今この場では、大杉さんは私たちのお父さんみたいなものでしょ」
孝雄「は・・・・・・」
百合子「初めの頃にも確か私たちにそう言ってくれていたな。同じ年頃の子どもがいるから、君たちはここにおける私の子どもみたいなものかな、とかなんとか」
孝雄「そうだったな・・・・・・」
奈都「心細いときは、大杉さんと話していると家にいるみたいな気分になるし、紗貴と百合子はお姉ちゃんみたいな存在だし」
百合子「大体同い年なんだがな、互いの性格が絡み合った結果、確かに姉妹のような気になってしまうな」
紗貴「私と百合子、どっちのほうがお姉ちゃんだと思ってくれてるのかしらね」
孝雄「難しいな」
奈都「同じくらいかなー」
百合子「納得がいかないな」
紗貴「同感。百合子よりも抜け目なし、そつなし、私のほうがよっぽど」
百合子「他人との距離が軽々しいのはいただけないだろう。思慮深さは人間関係に必要な能力だろう」
紗貴「私はその思慮深さに人当たりの良さっていうカバーをかけてるのよ。ぶっきらぼうにすればいいってものではないでしょう」
奈都「ふたりともストップ! それだけ仲が良ければもう双子みたいなものじゃない」
孝雄「その通りだな。うちの双子の喧嘩とまるっきり同じじゃないか」
紗貴「・・・・・・二人に救われたわね、百合子」
百合子「次の任務の時、簡単にはサポートしてやらないでおこうとか思ってしまった自分が恥ずかしいな」
紗貴「なんて卑怯な! 聞いた、奈都? 怖いわね~」
奈都「来年も、こんな風に賑やかで、楽しくて、優しい気持ちになれる日々を過ごせるといいなぁ」
百合子「もつ鍋の取り分けも終わったことだし、食べるとするか」
紗貴「いつの間に」
百合子「ふんっ」
紗貴「私だって、飲み物の用意、済ませてるんだから」
奈都「仲良しで、協力し合える仲間がいるって、いいですね」
孝雄「喧嘩しなければ、面倒が減ってなおいいんだがな」
百合子「では」
全員「いただきます」
奈都「もつって、いつ飲み込んだらいいの!?!?」
紗貴「ごっくんしてごらん」
百合子「噛んでも噛んでも飲み込めないようなら、仕方がないから出してしまってもいいぞ」
孝雄「こればかりは、慣れだからなあ」
奈都「ううう・・・・・・」
ろくに本編書いていないけれど、せっかくの年末なので勢いに任せて、番外編として書きました。
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本年もお世話になりました
また来年もよろしくお願いいたします