こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー   作:夜遊

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前回の話はラリった主人公の心情です。

まぁ、当たり障りの無い平凡で一般的で当たり前の事を言わせて貰うと、麻薬ダメ!!ゼッタイ!!

てなわけで今回は超展開です。

先に言っておきますと謎解きとかは神様のメモ帳と言う好きな作品からアイデアを拝借しました。

ではどうぞ!


鞠亜編、運がいいと言える

 

 

あれからどれくらい時間が過ぎたのだろうか?

 

気が付くと僕はビルに背を預けていた。

 

まだ目眩はするが随分マシになったようだ。

 

なんとか雲川を説得して僕がクスリを使ったのだが、思っていた以上に酷かった。

 

気持ち悪い。

 

何故あんなものを好んで使う人間がいるのだろうか?

 

「つーか、神の使いってなんだよ?」

 

中毒者達は売人の事を神の使いと呼んでいたらしい。

 

神の使い……確か神様の使いって天使とかじゃなかったか。

 

「……天使ねぇ」

 

まず思い浮かぶのは頭の上の輪だ。

 

ないな、普通に頭の上に輪っかがあったらすぐにわかるし。

 

背中の羽?

 

いやいや、人間に羽があるわけないだろ、しかも目立つし。

 

あとはなんだ?

 

天使、天使……可愛い顔立ち?

 

あー、ダメだ、頭がまだうまく働かない。

 

可愛い女の子?を探せばいいのか?

 

違うな…なんというかもっと分かりやすい感じの目印があるはずだ。

 

目印、

 

売人だと一発でわかる物。

 

使用した者しかわからないこと。

 

聴覚や視覚が一時的に活性化する時にわかるもの。

 

「ダメだわからない」

 

こうして考えている間も頭がガンガンに痛む。

 

辺りの雑音が考えを阻害する。

 

視覚の情報が集中力を削る。

 

ダメだ、さっぱりわからない!!

 

もう人も少なくなって来ているし、今日は無理か。

 

視覚が活性化しているのはなんか気味が悪い、髪の毛が一本一本見える気がするし、服にいたっては繊維まで見える。

 

あの人なんか繊維が透けて輝いて見えるし………………え?

 

……………………輝いてる?

 

待てよ、

 

待てよ!!

 

待てよ!?

 

中毒者達は売人を神様の使いって呼んだ。

 

羽や輪っかとかの見た目じゃない、もっと簡単だ。

 

光っているのだ。

 

神話とかじゃ神々やらその使いとかは光っていてそれが威厳の役割を果たしている。

 

神々の役割の一つは救い。

 

麻薬を使うのは現実逃避の一つの手段と聞いた事がある。

 

救いを求めて神にすがる。

 

中毒者にとって売人は神と似た存在なのだ。

 

クスリの持つ効果は視力を活性化して自分たちを見つける為のものだったのか。

 

バラバラだったパズルのピースが一つになっていく。

 

僕はふらつく足取りで真っ直ぐ光輝く人へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

クスリの流行を止めることは、売人達を潰す事だ。

 

潰すとはなにも力ずくで殴りあうだけではない。

 

根城を見つけ、それをアンチスキルに通報すればよいのだ。

 

むしろクスリで体がイカれている今の僕にはそれしか出来ない。

 

よって僕は男のあとを尾行するといういたってはシンプルかつ地味な行動をしている。

 

僕はスキルアウトが多数いる地区にいる。

 

男はとあるビルの中に入って行った。

 

「……ここがやつらの拠点か」

 

取り合えずアンチスキルに連絡しよう。

 

しかしなんだ、正義の行いをすると誓ったのにいざ行動を起こすとなんだか卑怯臭いな。

 

(……まぁこんなもんか)

 

「はい、はい、そうです、よろしくお願いします」

 

アンチスキルに連絡を終えた僕はもう用無しだ、早く来いアンチスキル。

 

その時僕は一つの可能性に気が付かなかった。

 

なにもこの件を追っていたのは雲川だけではないことを。

 

 

 

 

 

ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

悲鳴。

 

男の悲鳴がビルから轟き響く。

 

「!!なんだ!?」

 

僕は何かに引き寄せられるかのようにビルの中に入る。

 

悲鳴は三階から聞こえている。

 

階段を駆け上がる。

 

なんだ!?

 

何が起きている!?

 

三階に着いた時、悲鳴は無くなっていた。

 

ドアが開いている。

 

(開けるな!!覗くな!!止めろ!!)

 

本能が警告を発する。

 

何か知ってはいけない、いや何か認めてはいけない何かがこの先の部屋にある。

 

しかし、操られているのに似た感覚が僕の体を動かす。

 

止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!止めろ!!

 

僕は、

 

半開きなドアを、

 

開き、

 

中へ、

 

入った。

 

そこには、真実が有った。

 

 

 

 

 

暗い室内にはクスリを製造するためであろう機材がボロボロの机の上にあった。

 

室内は異様な雰囲気で満ちている。

 

人だ。

 

五、六人のアンチスキルが倒れている。

 

立っている者は誰も居ない、

 

いや、

 

一人だけいる。

 

黒い男だ。

 

「おや、少年、もうここまでたどり着いたのか、早いな、運がいいと言える」

 

この男との出会いは間違いなく悲劇だろう。

 




次回、鞠亜編最終回です。
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