こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー   作:夜遊

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こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインが居ないんじゃー、第一話「吹寄編」始まります。


吹寄編
吹寄編、プロローグ。悪意あるラブレター


暗い室内、別に夜と言う訳ではなくただ単にこの部屋のカーテンが閉めきられ、太陽の光が遮断されていることが原因だ。

 

部屋を辛うじて照らすのはパソコンから漏れる僅かな光のみである。

 

パソコンの前に座る少年は何やらブツブツ呟きながら作業をしている。

 

その少年の横の壁には数十、数百ものとある女学生を隠し撮りした写真で埋め尽くされていた。

 

 

 

 

 

吹寄制理というクラスメイトがいる。

 

彼女を簡単に紹介しろと言われて真っ先に思い浮かぶ単語は

 

真面目

 

美人

 

通販

 

暴力的

 

そして、巨乳

 

 

 

 

 

土下座。

 

地面に頭を押し付けるこの行為は謝罪の最終形態であり同士に交渉術最強の術である。

 

そう、今僕らは戦っていた。

 

「「「「揉ませてください!」」」」

 

「いい加減にしろー!!」

 

彼女はしなやかな足を振り上げ、力を貯め降り下ろす!!

 

「ギャー!!」

 

「あ、青ピヤスー!!」

 

友人の青ピヤスが顔面から鼻血を噴出しながら尋常ないスピードで後ろにぶっ飛んで行った。

 

「なぜだ!?吹寄僕達はただ単に興味本意でその素晴らしい乳を揉みたいだけなんだ!」

 

ギラリッと吹寄の目が禍々しく輝いたのは気のせいだと思いたい……

 

十分後、鼻に赤く染まったティッシュを詰めた僕達は泣きながら授業を受けていた。

 

 

 

 

 

「あー………暇だ……」

 

放課後何となく図書館で本を読んでいた。

 

いつもの三人は補習があるらしく今は別の教室に拘束されていた。

 

「小野町仁、貴様がここにいるとは珍しいな」

 

横から声が聞こえた。

 

この方向に顔を向けると二つのメロンが

 

「あー……吹寄か……」

 

「いつにもまして元気が無いな」

 

「んー……ほらあれだ…五月病?」

 

「今日私にセクハラしてきた時は元気があったじゃない」

 

「その場のテンションだよ、つーか吹寄はどうしたの?」

 

「時間が空いたから今日の復習よ」

 

「ふーん…頑張ってね……」

 

「ずいぶん暇そうね……よし、貴様も一緒に復習手伝いなさい」

 

「えー……」

 

「ほら教科書出して!!」

 

「マジでやるの?いいよ僕は――」

 

「はやくしなさい」

 

「最悪だ……」

 

何故か急に吹寄制理講師による勉強会が始まってしまった。

 

まぁ、あれだ、吹寄制理は恐らく控え目に見ても美人の部類に入るのだろう容姿を神より授かっているので、美少女と二人で同じ空間を共有できるのは案外ラッキーなのかもしらない。

 

 

 

 

 

窓の外が夕焼けにより赤くなってきた頃、ようやく僕は吹寄制理講師主催、地獄の勉強会から解放された。

 

今僕達は誰もいなくなった廊下を歩いている。

 

「しかし、あれだな、吹寄って頭いいんだな」

 

「何を言ってるの、日頃から予習、復習をしっかりやってたらこんなの普通よ」

 

「顔は綺麗だし」

 

「おだてても何も無いわよ」

 

「真面目だし」

 

「それはありがとう」

 

「え~と……髪は綺麗だし」

 

「ネタが無くなったのね」

 

「あ!!可愛いオデコ!!」

 

「それは宣戦布告と受け取っていいわね?」

 

「待って!今のは無し!!え~と……あ!やっぱりデカイ胸!!」

 

「やっぱりって何よ!!」

 

右脇腹に強烈な痛みが走る、それが吹寄の身体中の体重を乗せた渾身の一撃だと気づくのには少し時間が掛かった。

 

「私は先に帰るから貴様も速く帰りなさい」

 

その場で悶絶している僕を置いて吹寄は一人足早に帰って行った。

 

「あー…最悪だ…」

 

なんとか立ち上がった時には彼女の姿は完全に見えなくなっていた。

 

「本当に帰ったし……ん?」

 

僕は振り向いた。

 

何故と聞かれても、何となくとしか答えられない、あえて言うなら視線を感じたような気がしたからだ。

 

振り向いた先には当然誰もいない、気のせいかと自分を納得させ僕は下駄箱に向かった。

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

下駄箱に着いたとき吹寄が待ってくれていた。

 

「なんだ待ってくれるなら先に行かなくてもよかったじゃん」

 

「……小野町」

 

あれ?なんか様子がさっきと違う?

 

外は薄暗くなり始めていてよくわからないが顔色が悪い様に見える。

 

「どうした?」

 

「……これ、私の下駄箱に入っていたんだが……」

 

吹寄が何かを差し出してきた。

 

それは実に可愛らしいピンクの便箋で下駄箱に入っていたと言うことは

 

「ラブレターじゃん、へぇやっぱり吹寄はモテんだな」

 

あれ?じゃあリアクションちがくね?普通この手の手紙を貰ったら少しぐらい喜ぶところだと思うが目の前のクラスメイトは何故こんなに青白い顔をしているんだ?

 

「……中身を見てくれ」

 

よくわからないが言われた通りに便箋の中を確認する。

 

それは間違いなくラブレターだった。

 

便箋と同じピンク色の紙にただ一言

 

『イツモミテイルヨ』

 

手紙と一緒に写真が入っている。

 

吹寄を隠し撮りしたであろう写真には彼女以外の人間の顔を赤いインクで塗り潰した真っ赤な写真だった。

 

それは間違いなくラブレターだった。しかし、決してまともではない、悪意に満ちた歪んだラブレターだったが。

 

 

 

 

 

これがこれから起きる事件の幕開け、プロローグだ。

 




いかがでしたでしょうか?

小野町仁の立ち位置は上条当麻の親友、3バカデルタフォースの仲間の立ち位置です。

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