こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー 作:夜遊
って前も似たような事を言っていたような?むしろこの作品、逆展開が多すぎじゃね?
異変に気が付いたのは寮の部屋での事だった。
「ドアのカギよーし!窓のカギよーし!ティッシュよーし!体調よーし!栄養充電よーし!もしもの時の為の避難用ケータイデータよーし!」
いくつものチェック項目をクリアし、いざ魅惑の世界へ!!
僕は紙袋に入っているそれを震える手で掴み、取り出した!!
そして、
時間が止まる感覚を覚えた。
『学園都市都市伝説!!完全網羅!!ベスト100!!』
なにこれ?
あ、あーそうかあれだ!!これはカムフラージュで、表紙だけ別の物になっているんだ。
ほら、中身を見れば、あら不思議!!
『学園都市にはどんな能力も打ち消せる能力者がいる!!』
『身近な物で武器を作れるデータが高額で取引されている!』
『幻の虚数学区は実在していた!!』
『学園都市の地下にはVIP専用の娯楽施設が存在する!!』
あら不思議!!!!
「な、何でだあぁぁぁぁぁぁ!!」
まてまて落ち着け!!
もしかしたら青髪ピアスの洒落た冗談だったんじゃないかな!?
本物は紙袋の底にあります的な!!
しかし、紙袋をいくら探しても例の物体は存在しない。
「青髪ピアスめ、騙したのか!?」
取り敢えず苦情の電話をかけようと携帯を手に取り、騙された可能性とは違う、もうひとつの可能性がある事に気が付いた。
『私達似た者同士ですね!!』
『だってほら!!』
先程会っていた佐天さんは同じ袋を持っていなかったか?
そして、僕達は慌ててファーストフード店を後にしなかったか?
もしも、
もしも、その時、
互いの袋が入れ替わっていたら?
この本は今日彼女が買った本だとしたら?
この本が僕の手にあるということは、現在、彼女が持っている袋の中身は?
彼女がエロ本を持っている事になるのではないか?
「やっべええええええええ!?」
まだ青髪ピアスが僕を騙した可能性があったが、もし彼女と袋が入れ替わっている可能性だった場合の被害に比べたら取るに足らない事だ!!
具体的には、女子中学生にエロ本を所有していると知られる可能性が出てくる!!
僕は慌てて彼女に連絡をする。
まだ彼女が袋の中身を確認していないと言う僅かな可能性を信じて!!
数回のコール音の後、彼女が電話に出た。
そして、繋がった彼女の声は震えていたのだった。
しかし、
『じ、仁ちゃん……た、助けて…』
これが事件の始まりだった。
現在、部屋で僕は状況を理解する努力をしていた。
『助けて…仁ちゃん』
明らかに助けを求める彼女の声は恐怖に震えていた。
「どうした?落ち着け」
『誰かに……追われている、私……見ちゃったから』
見た?
追われている?
「落ち着いて、今どこにいる?」
『第7学区の端の工場付近だと思います』
第7学区の端の工場。
たしか老朽化で業者が新しい工場に引っ越したから今は無人の工場か?
「そこから動くな、追われているって言ったな、誰に?」
『わかりません……多分スキルアウトだと思うけど』
「……」
スキルアウトだと?
「いいか。とにかく安全な場所に移動するんだ、今アンチスキルに連絡をするから」
『わ、わかりました』
震える彼女の声は電話越しでも緊急事態と言う事が伝わってくる。
「今から僕もそっちに行くから」
『き、来ちゃ駄目!』
「え?」
何故なんだ?
その疑問は次いで出た彼女の言葉が答えてくれた。
『あ、あの人達、人を殺していたから』
僕はその言葉を聞いた。
しかし、その意味を理解する事ができなかった。
「……人を殺した?」
『偶然、見ちゃったから、私驚いて……それで気付かれて……追われて…』
殺人
どうやら事態はかなり不味い状態のようだ。
だが、彼女を保護しなくてはならない。
彼女は今酷く慌てているようだ。
何かのドラマで似たようなシーンがあった。
もしも、僕まで慌ててしまったら、最悪の事態になりかねない。
とにかく今は彼女を落ち着かせよう。
僕はあえて今の状況には会わない題材の会話をする事にした。
「と、ところで、涙子ちゃん今紙袋持っている?」
少し上ずった声で切り出す。
『……え?は、はい』
「多分僕達の袋中身が入れ替わっているみたいなんだ」
『え?あ、ごめんなさい』
ゴソゴソ。
ん?
僕は違う意味で慌てた。
電話越しに聞こえるゴソゴソと言う音はまさか袋の中身を確認している?!
『あの、仁ちゃん……これ』
「いや!!違うのだ!!それはその」
『仁ちゃんって勉強熱心なんですね』
「はい?」
な、何を言っているのだろうか?
『過去問題集なんて友達から借りるなんて凄いです』
「えーと」
あ、そうか青髪ピアスのヤツ本当に表紙は別の本の物に変えていたのか!?
「せ、セーフ…」
『セーフ?』
「こっちの話」
何やともあれ、いくらか彼女の緊張は溶けたようだ。
後はアンチスキルに連絡をして彼女を保護して貰おう。
しかし、問題がまだある。
僕はどうしても彼女が持っているエロ本を取り戻したい。
彼女がアンチスキルに保護されても、所有物は一時アンチスキルに預かれてしまう危険がある。
当然、返して貰えるだろうが、それは僕ではなく、彼女にだ。
そんな事になったらどのみち彼女に僕がエロ本を持つ人間だと知られてしまうのだろう。
やっぱり、僕が自分で彼女を救い、アンチスキルに気付かれない内にエロ本を取り戻すしかない。
「とにかく、今から僕もそっちに行くからね」
『だ、駄目です』
「今君は殺人犯に追われているんだろ?だったら尚更助けに行くよ」
我ながらゲスな人間だと思う。
本来の目的は彼女の安全だとわかっているのに、それでも自分の中の優先順位はエロ本を取り戻す事になっているからだ。
彼女はその為に助ける過程の1つになっている事に。
そして、もし神様がいて、もし僕の考えを知っているのだとしたら、『これ』は僕に向けての罰だったのだろうか?
『これ』
この場合の『これ』とは彼女に起きている状況をさしているのではない。
『これ』とは次の瞬間に起きた出来事をさす言葉だ。
『あ』
『居たぞ!!』
電話越しに突然聞こえた男の声。
瞬間、電話にノイズが走る。
どうやら携帯を地面に落としたらしい。
「涙子ちゃん!!どうした!?」
『もしもし?』
返って来たのは彼女の声ではなく、男の声。
それだけで僕は部屋に居ながら状況がわかる。
わかってしまった。
彼女が捕まってしまった事に。
「誰だお前?」
『その様子だと、アンチスキルじゃないようだな?声からしてジャッチメントか?』
僕は携帯の録音ボタンを押した。
「いいか。彼女に手を出すな……」
『心配いらねぇよ、殺すつもりなら今この瞬間にやっている』
殺さない、僕はここまで信用出来ない言葉を聞いた事がなかった。
「彼女に何かしてみろ……僕はお前を許さない」
『この女はヤベェ事を見られたが、問題は無い』
声の感じらすると歳はそう離れていないようだ。
やはりスキルアウトか?
「だったらなおさら彼女を放せはいいだろ」
『そういう訳にはいかねぇんだ』
「彼女をどうするつもりだ?」
『しかるべき処置をして喋らなくした後、コイツも売り飛ばすさ』
何分こちらは金欠何でね。と笑う男。
ふざけるな!!と感情的に叫びたくなったが、この男を刺激すれば何をしでかすかわからない。
予想出来ない。
僕はただの学生だ。
スキルアウトと言う裏路地を根城にしているような人間が何をするか予想出来ないし想像も、理解も出来ない。
『この事をアンチスキルに通報してみろ、それこそこの女の命は保証出来ないぞ』
「…………」
『お前がどんな人間かは知らない。だが、お前は何も出来ない人間だと知っている』
『まぁ忘れろ』
ガチッ!!
電話が切れた。
ツー、ツー、と言う機械音を耳にしながら、僕は暫く、固まっていた。
結論から話そう。
僕自身を納得させる意味も込めて、
佐天涙子は誘拐された。
最近気が付いた事、誤字脱字が多い事。
気を付けているんですがどうしても出てしまいます……。
見つけましたら教えて下さい。
今回の事件は誘拐ですが2話位で簡単に見つけちゃいたいと思います。
次回、あのキャラが登場!