こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー   作:夜遊

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やっとの思いで完成!!

今回は戦闘がメインになりました。

どうぞ!


佐天編、喉は乾いているか

長谷部差鉄は軽い足取りで歩き、後ろから数人のスキルアウトが出てきた。

 

恐らく、フロッグの残りのメンバーだろう。

 

「随分と勝手な事をしてくれたな」

 

「お前が長谷部なのか?」

 

「そうだ、フロッグリーダー長谷部差鉄、お初にお目にかかる」

 

ふざけた調子で話続ける長谷部。

 

「動くなよ」

 

現在、僕は手に火傷を負っている。

 

だが、軽い程度だ。

 

先程までの経験からこいつらは十分に相手にできる。

 

「その目、抵抗する目だな」

 

長谷部は腰に付いているバックから何かを取り出した。

 

「喉は渇いているか?」

 

それを空中に投げ、僕に寄越す。

 

「……はぁ?」

 

一瞬、何かわからなかった。

 

長谷部が投げたのは、ペットボトルだ。

 

ペットボトルは放物線を描き僕に向かって来ている。

 

何故このタイミングでそんなことをするのか理解できない。

 

「!!コミヤン!!」

 

先に危険に気が付いたのは土御門だ。

 

彼は僕を引っ張り後ろに下がる。

 

その瞬間。

 

ペットボトルは僕がいた場所に落ち、

 

爆発したのだ。

 

「なぁ!?」

 

「何だ、つまらない」

 

爆発した跡には焦げ目が付き、煙が上がっている。

 

何が起きたんだ?!

 

「ペットボトルボム……それがこいつの名前だ」

 

長谷部は再びペットボトルを投げつける。

 

よく見ると、ペットボトルの中身は黒く、キャップの部分からは火が付いた導火線らしき物が確認できた。

 

(ペットボトルに火薬を詰めて簡易的な爆弾を!?)

 

今度は土御門の手を借りずに落下地点から飛ぶように離れる。

 

瞬間。

 

「ぐふっ!?」

 

着地した瞬間。

 

顎に強烈な激痛が走った。

 

「その位置に来ることはわかっていた」

 

驚く程近くで長谷部の声が聞こえる。

 

聞こえた瞬間、理解した。

 

先程のペットボトルボムはフェイク。

 

本命は長谷部自身の拳による攻撃。

 

そこまで理解して、僕の身体は殴り飛ばされた。

 

「くそっ!!」

 

土御門が長谷部に向かい走り出す。

 

土御門は僕と違い、かなりの肉体の持ち主だ。

 

肉体戦では長谷部と互角以上の戦いができるだろう。

 

しかしそれは、土御門が長谷部に近づけたら、の話だが。

 

「グッ!?」

 

土御門が後ろに下がる。

 

「?」

 

何故だ?

 

僕は土御門通った場所に目を向けた。

 

何だあれは?

 

画鋲?

 

そこには鋭い針を持った画鋲が大量に散らばっていた。

 

まるでまきびしの様に。

 

画鋲が足に刺さり土御門は後ろに下がったのか?

 

恐らく長谷部が僕を殴る時に一緒にばら撒いたのだろう。

 

だが、何がおかしい。

 

何故画鋲は全て針が上に向いているのだ?

 

異様だ。

 

そんな疑問を、長谷部が解決した。

 

「驚く程の事ではない。ダルマを知っているな?あれと同じだ」

 

「ダルマ?」

 

目を凝らして見ると、画鋲はよく目にする、台尻が平面のものではなく、立体的な円形状になっている。

 

「まさか……中に重りが仕込まれているのか?」

 

ダルマの中は意外にも空洞だ、そして下の部分に重りを入れ、傾いても常に上に向く様になっている。

 

それと同じ原理を画鋲にも仕込んでいるのか?!

 

「ダルマバリと、名付けておこうか」

 

時点で僕は長谷部がどんな人間か理解できなくなっていた。

 

何だ!!

 

何なんだ!?

 

この男、何でこんなにも『先』を動ける!?

 

これではまるで――

 

「まるでこちらの動きを読んでいるみたいだ、と、言いたげだな」

 

「くっ!?」

 

「何て事はない。俺はお前達と違い平穏とはかけ離れた世界で生きているのだからな、ケンカの場数も違ってくる」

 

要は経験の成す業だよ。

 

何でもない事の様に話してはいるが、それは少なくても僕の対抗心をごっそりと削る事だった。

 

つまり、長谷部は喧嘩の中で常に先を考えているのか?

 

つまり、それは将棋やチェスの様な先を見る対局と同じ原理をこのスキルアウトのリーダーは喧嘩に応用しているのか?

 

つまりそれは、学園都市が言う能力とは違うタイプの能力ではないのだろうか?

 

「例えば、今、この会話の隙にお前が奇襲を仕掛けて来る事が俺にはわかっていた!!」

 

突然、長谷部が腕を上げた。

 

その腕に後ろから忍び寄っていた土御門の拳が受けられる。

 

「例えば、ガードした拳は実はフェイクで本命が左足からの蹴りだということはわかっていた!!」

 

土御門が瞬時に右足を軸に放った蹴りをもう片方の腕で受ける長谷部。

 

「くそっ!!」

 

「苦し紛れで隠し持っていた拳銃を発砲する事は可能性としてわかっていた!!」

 

拳を引き、腰から拳銃を取り出した土御門の手を掴み、銃口から自分を外す長谷部。

 

「そして、この能力は攻撃にも使える」

 

その言葉を聞くよりも先に僕は動いていた、土御門と長谷部の戦闘に加わる為ではない、長谷部から外れた射線上に僕がいたからだ。

 

長谷部は強引に土御門の指ごと引き金を引いた。

 

銃声音と同時に発射された弾丸は僕の目の前を通過し、壁に被弾し、火花が散る。

 

もし、僕が2人の戦いに目を奪われていたままだったら今頃僕の身体には穴が11つ増えていただろう。

 

安心すると同時に長谷部の戦闘に置けるセンスに戦慄する僕がいた。

 

土御門は一度体勢を立て直す為に長谷部から離れ、僕の隣に立った。

 

「ヤバイな……!」

 

「完全に遊ばれている」

 

結果僕達は牢屋の位置から更に離されてしまった。

 

「くそっ」

 

「ほらほら、どうした?」

 

再び長谷部はペットボトルボムを投げつける。

 

「コミヤン!!一旦引くぞ!!」

 

爆発に巻き込まれない様に逃げる土御門が同じく逃げる僕に言う。

 

情けない話だが、僕らは退却を余儀なくされた。

 

 

 

 

 

「くそっ!」

 

貨物船の船内にて鬼ごっこが行われている。

 

僕と土御門が走る。

 

そのあとを長谷部が追い掛けて来ているのだ。

 

「何だよ!?アイツ!?」

 

「恐らくあれが連中の作っている兵器だろう」

 

「ペットボトルが!?」

 

「それだけじゃないぜ、さっきコミヤンが引っ掛かった罠もその1つだろう」

 

毛糸とライターオイルの罠か。

 

「どうする!?」

 

「とにかく、外に出るぞ!!狭い通路じゃこっちが不利だ!!」

 

その意見には賛成だ。

 

長谷部のペットボトルボムの爆弾範囲は精々1メートル弱と狭い。

 

しかし、現在の狭い通路では回避は難しいだろう。

 

逆に広い外に出れば回避の距離は広まり、攻撃のチャンスも出てくる。

 

だが、僕達はまだ知らなかった。

 

長谷部差鉄という人間がどれ程、戦闘の玄人であるのかを。

 

「出口だ!!コミヤン!!」

 

土御門が先を走り、出口を抜けた。

 

ピンッ。

 

 

何だ?

 

今、何か音が?

 

「コミヤン!!来るな!!」

 

土御門の焦った声が聞こえたが、それに反応するよりも速く、それは起きた。

 

僕が出口を抜ける瞬間。

 

ボン!!

 

出口爆発したのだ。

 

爆発は右側から起き、爆風が僕を襲った。

 

 

 

 

 

「……ミヤン…ミ……ン……コミヤン!!」

 

どこか遠くから呼ぶ声がする。

 

それは次第にはっきりと僕の耳に届き、意外に近くで呼ばれていた事に気が付かず。

 

「……う」

 

「気が付いたか…コミヤン」

 

「ここは?」

 

どうやらまだ船の上にいるようだ。

 

いったいどれくらい気絶していたのだろうか?

 

それを考えるよりも先に身体の右側、正確には右腕から激痛が走り、思考が遮断された。

 

右腕を見ると、僕は絶句してしまった。

 

そこには血塗れの自分の腕がある。

 

所々何かの破片が食い込み、それらから血が流れ出ているのだ。

 

「腕はどうだ?」

 

「……気絶していいですか?」

 

「コミヤンをまた引きずるのは面倒臭いから止めて欲しいにゃー」

 

どうやら、気を失ったのは長くても数分だけのようだ。

 

その間に土御門が倒れた僕を貨物で一杯の船上の物陰に引きずってくれたらしい。

 

負傷した右腕はまだ動かせる。

 

しかし、早く手当てしなければならないだろう。

 

長谷部は、と土御門と同じ様に物陰から顔を覗かせると、こちらを探している姿が見えた。

 

しかし、見つかるのはまだ先のようだ。

 

「やつめ……俺らを追いかける時に仲間に人質を移動するように指示していた」

 

「また、巻き戻しかよ」

 

「こっちの武器は俺の拳銃が1丁、あとは……無理か」

 

土御門が何かを言おうとしたが、言い止まった。

 

「何かあるのか?」

 

「あるが使えない、それにこの状況には出る幕が無いと言った方が適切だろう」

 

どちらにしてもこちらの武器は拳銃だけと言う事か。

 

逆に向こうにはペットボトルボムを初めまだまだ武器を隠し持っている可能性がある、加えて『常に一手先を見る』能力を持っているのだから、不利に違いない。

 

何とかしなくては。

 

このままでは僕達は負ける。

 

負ける、つまりは死に直結するだろう。

 

何か無いのか!?

 

何か!?

 

………いや、待てよ?

 

僕は、不意に過去に起きた事を思い出した。

 

『あれ』は使えないだろうか?

 

同時に僕の脳内に1つの可能性、ビジョンが浮かぶ。

 

逆転の策。

 

策と言うよりかは苦心の抵抗と言った方が正確だろう。

 

この圧倒的に不利な状況を覆す事ができる可能性。

 

「コミヤン?」

 

「土御門……お前は涙子ちゃん達を助けてくれ」

 

「なぁ!?それじゃ長谷部はどうする!?まさか!?」

 

「あぁ、僕がアイツを引き止める」

 

「ダメだ!!コミヤンは今怪我をしているし、何より武器は無いんだぞ!!」

 

武器は無い、確かに僕が土御門の拳銃を借りた所で扱いがわからない物では武器になると所か弱点になってしまう。

 

だけどな、土御門。

 

僕はいたずらが大好きな子供の様に笑みを浮かべてスパイであり、友であり、クラスメイトであり、現在は戦友である彼に言った。

 

「いや……武器はある」

 

 

 

 

 




今回はボコられ回でしたね。

書いていて長谷部つ強さが半端なくなりました。

ペットボトルボム、ダルマバリは適当に命名しています。

では次回、逆転編お楽しみに!

ご意見、感想、指摘等々ありましたら、お願いします!!!

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