こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー 作:夜遊
前回と同様に今回の話を読む前に 吹寄編を読み直す事をオススメします!!
ではどうぞ!
彼の事を簡単に説明せよと言われてまず思い付く言葉は……。
クラスメイトの恩人。
この言葉に尽きる。
私は先日、ある事件に巻き込まれた。
その時、私を救ってくれたのが彼である。
そんな彼がまた怪我をして入院したと聞いたので、今日はお見舞いに来た次第だ。
うん!!
そうだ!!
これは義理!!
義理なんだ!!
助けてくれた人のお見舞いに行くのは当たり前なんだ!!
別に、彼に恋愛感情的なアレはまったくない!
うん!!
「だからこれは義理!!義理なんだ!!」
「病室の前でなに叫んでいるんだ?吹寄?」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!?」
私が病室の前で気合いを入れていると、後ろから声をかけられた。
その声は聞き覚えがあり、恐る恐る振り向くと、そこには
「うぉっ!?いきなり叫ぶなよ!!あぁビックリしたー」
件の男。
小野町仁が立っていた。
こいつが私のクラスメイトで恩人である男だ。
「……」
「あ、あのー……吹寄さん?」
「何?」
「いや、その、何?って聞かれましても……その言葉は本来僕が聞く言葉だと思うのですが……」
「あぁ!?」
「ひっ!!スイマセン!!」
あれから数分の時が流れたら。
自販機に飲み物を買いに行き、戻って来たところ、何故か吹寄が病室の前でブツブツ言いながら立っていたので声をかけたら、驚かれ、そしてなぜが不機嫌になってしまったのだ。
「その、今日は一体どのようなご用件で……」
「お見舞いに来た」
相変わらず不機嫌なまま吹寄は果物の詰め合わせを出す。
「それと……」
今度は鞄からプリントを出して来た。
「なにこれ?」
「今日ホームルームで配られたプリントよ」
「あぁ、サンキュー」
「にしても貴様、入院しているのに元気そうだな」
「念の為入院だからな、暇すぎるよ」
「勉強でもしてなさいよ」
「やだよ、めんどくさい」
「なら、また私が勉強見ましょうか?」
「勘弁してください」
先日、僕は吹寄に勉強会と言う名の地獄特訓を受けたばかりだ。
「…………」
「………?」
「…………」
「…………」
き、気まずい!!
え?
なんだ!?
なんだこれ?
さっきから何で吹寄は僕の顔をじっと見ているんだ!?
「こ、小野町仁!」
「は、はい!!」
吹寄が声をかけて来た。
「貴様に1つ聞きたいことがあるんだ」
「なんだよ、改まって」
「その……この質問は貴様にとって思い出したく無いものだと思うし、答えたく無いのなら答えなくていい」
「はぁ?」
なんだ?
いつものハキハキした雰囲気が感じられない。
一体どんな質問が来るんだ?
少しの沈黙の後、吹寄は覚悟を決めたように顔を上げ僕に聞いてきた。
「貴様は何故私を助けたのだ?」
土下座。
それが行われる場面は大きく二つある。
まずは、謝罪。
何か落ち度があり、大変申し訳ないと思った時にする時。
次に、懇願。
どうしてもやって欲しい物事があるときに、最終手段で行う時。
謝罪と懇願。
現在、私に向けられて行われているそれは後者の意味だった。
私はそんなに外道な人間ではない。
頭を下げられたら、その願いを可能な限りやらなくては、と思える程度の善意はある。
しかし
「揉ませてください!!」
何事にも限度があるのだ。
馬鹿どもの馬鹿な願いを私は文字通り一蹴する。
まずは、一番近くに居た
「あ、青髪ー!?」
友人が吹き飛ぶのを目の当たりに他の二人は恐怖に怯えたが、最後の一人は違った。
「なぜだ!?吹寄!?僕達はただお前のその胸を興味本意で触りたいだけなのに!?」
実のところ、三バカトリオよりも手に負えないクラスメイト、小野町仁だ。
私は小野町仁の頭を両手で掴んだ。
「え?あれ?吹寄さん?」
何かを感じとり小野町仁がようやく、自分がどんな状況かわかったようだ。
「小野町仁、貴様」
「ちょっ!!待って!恐い!!恐い!!目がマジなんですけどねぇ!?」
「私が何を言いたいかわかるか?」
「はい!!わかりました!!」
「言ってみろ」
「『あなたならいいわよ、テヘッ』嘘です!!ジョーク!!ジョーク!!」
「この……大馬鹿が!!」
私は頭を大きくのけ反らせ、勢いよく頭を降り下ろした!!
「グベラッ!!」
「じ、仁ー!!」
昼休み。
私の学校はこの時間になると昼食を購買に買いに行く生徒、コンビニで買って来る生徒、お弁当を作って来る生徒の三タイプに別れる。
私はコンビニで買って来る派だ。
私はコンビニで買って来たパンが入った袋を取り出すと声をかけられた。
「なんだか……残念な昼食だな」
「人のお昼をいきなり冷やかさないでくれる?」
小野町仁はまるで残念な物を見る目で私を見ていた。
彼は手にお弁当を持っていた。
そして何故か彼は私の前に座りお弁当を広げ始める。
「……何しているの?」
「昼休みでする事って言ったら昼飯を食べること位だろ?」
「だからって何で私の前で?」
「おーい……それが友人に取るべき態度なのかい?若干傷付くぞ」
「……ごめんな――」
「人が折角自前の弁当を自慢しようとしたのになぁ」
「……」
「おい、その悲しむような、哀れむような目はなんだ?」
この男、色々残念だ。
「貴様……」
「とにかく!!刮目せよ!!今日の弁当は『マグロの唐揚げ弁当』だ!!」
私の目線に耐えきれなくなったのか、半ば強引に弁当の蓋を広げる小野町仁。
その中には、海苔弁とおかず一品呑みと、シンプルなものだったが、そのシンプルさがおかずの美味しさを引き出していた。
いくつかの揚げ物が彼が言っていたマグロの唐揚げなのだろう。
「いっただきまーす」
「それにしても意外ね」
「何が?」
「なんと言うか……貴様が料理とか違和感が」
「ほっとけ、家の家訓なんだよ。『昼飯ぐらい自分で作りやがれ』って」
「なにその家訓」
「笑うな、まぁお陰で料理は上達したな」
と、唐揚げを頬張る。
見ていて、悔しいが美味しそうだ。
「ねぇ」
「うん?」
「あ、味見してあげましょうか?」
「別にいいけど?」
と、お弁当を差し出す小野町仁。
「い、いただきます」
私は唐揚げを一つ摘まみ口に運んだ。
「うん!美味しい!」
衣がサクサクと音を立て、中のマグロのジューシーさに、思わず感想が溢れる。
そして、事件が起きた。
「んっ!!」
唐揚げが彼が喉に詰まったのだ。
い、息が出来ない!!
「吹寄!?」
「んー!!んー!!」
私はあまりの苦しさに前屈みになる。
心配した小野町仁が駆け寄る。
「どうした!?擦った方がいいか!?」
「んー!!ん!!」
言葉が出ないので、コクコクと頷きジェスチャーする。
「よし!!わかった!!」
彼は私の背中を擦り始めた。
しかし、一向に喉の詰まりが取れない。
「ん!!んー!!」
「もっと強くした方がいいか!?」
彼は更に強く背中を擦る。
そして
プチっ。
何が弾ける音がした。
いや、感覚的にその『何が』は私にはわかる。
そして、いくらか軽くなった胸元。
「………あ」
彼も音の正体に何か、気が付いたようだ。
彼が背中を擦る手を止める。
「……」
「……」
妙な沈黙があり、彼が一言。
「……次はフロントホックをした方がいいぞ、て、テヘッ!!」
「まずは、謝れ!!」
私は一言叫ぶと、彼の腹部を思い切り殴りつけると、一目散にトイレに向かって走り出したのだった。
教室を出る際、背後で「最悪だ……」と小野町仁が倒れる音が聞こえたが気にしないようにした。
今回は吹寄制理の視点から話を書かせていただきました。
あと、弁当ネタは何となく書いてみました。
話も程々にして、前回のオリジナルキャラの募集で多くの意見をありがとうございます!!
感想やメッセージで予想を上回る数のキャラ案がきて、驚きました。
まだまだ募集していますので、これからもお願いします!!
ではまた次回!会いましょう!!