こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー 作:夜遊
まぁ、では本編どうぞ。
「……ゲームだと?」
僕と齋藤誠は互いに吹寄(を操る何者か)を見ていた。
「ルールは簡単☆『私を助けなさい』」
吹寄(を操る何者か)が言っている事がわからない。
私を助けなさい?
なんだそれは?
この状況で間違いなく優位に立っているのは彼女自身のはずだ。
それなのに、助けなさい?
「……?」
「もちろん、この身体の事を言っているんだけどね☆」
あぁそう言う事。
「……」
「ルール2☆『制限時間は24時間』。それを過ぎると……私は自殺しまーす☆」
「なに!?」
「だって、この身体は今私の支配下に置かれているんだよ?このまま舌を噛みきったり~窓から飛び降りたりできるしね☆」
吹寄(を操る何者か)は冗談ぽく舌を出し歯を噛ませる。
「てめぇ」
「ここからおもしろくなるんだよ?ルール3☆『私を助ける事が出来るのは一人だけ』☆」
「一人だけ?」
「そうそう☆例えばそこにいる飛び入りゲストさんと協力して助けにきたらこの身体を自殺させまーす☆」
「……」
「まぁ頑張って……グェ!?」
突然、吹寄(を操る何者か)が何かの力で壁に叩きつけられた。
僕はなにもしていない。
つまり
「『W.A.L.3』……だったらここで貴様を拘束すれば問題ないな」
犯人は齋藤誠だ。
「ぐ、……あ……あぁ!!」
吹寄(を操る何者か)は苦しそうに声をあげる。
よく見ると吹寄の身体は壁と『何か』に挟まれているようだ。
「空気をガラスのような平面形にして彼女の身体を拘束した」
「い、痛い!!この身体を潰すつもり!?」
「おい!!」
「何を驚いている?こうしなければ制理は死ぬんだぞ?自殺させる?ふざけるな、だったら俺の手で殺すまでだよ」
正直にゾッとした。
この男はあの時と変わっていない。
いや、それ以上に、根本的な部分がおかしくなっている。
人として大切な何かが欠けているのだ。
「ふざけるな!!」
僕はBBを精製し齋藤誠に向け、構える。〈残弾10〉
しかし、発砲するより先に出来事が起きた。
「はいはい~ドーン!!」
「グフッ!?」
何者かの声が聞こえた。
齋藤誠が壁に叩きつけられた。
それが出来事。
しかし
僕が驚いたのは第三者の介入ではない。
齋藤誠が殴り飛ばされた事ではない。
驚いたのはその声に聞き覚えがあったからだ。
その声は毎日聞いている。
その声は誰のものではない。
そもそも、誰と他人行儀な表現をすることが間違っている。
その声は
僕、小野町仁の声によく似ていたのだ。
そして、更に驚く事に突然現れた襲撃者は
髪色がオレンジ色な事を除けば、
僕に完全に似ていた。
「よーよー、『オリジナル』」
僕はこの日、『罪』を目にした。
僕は目の前に現れた『僕』をただ呆然としている自分が不思議でしょうがなかった。
疑問が次々に頭に現れては消え、消えては現れ、その繰り返しで思考が自分でも理解できていないからだ。
それでも僕は言葉を出していた。
答えを期待している半面、答えを聞きたく無い自分もいた。
目の前に僕とよく似た『僕』がいる。
その理由を知ってしまうと、僕は、小野町仁の人生は崩壊してしまう気がするからだ。
しかし、それでも僕は言葉を出していた。
「お、お前は……誰…だ……?」
その言葉に『僕』は少し呆然として、
「おいおい『オリジナル』さんよ~確かに確かに気持ちはすごーくわかるよ、うん!!わかるわかる。でもさ、空気読もうぜ空気」
『僕』は呆れながら肩を下ろし、僕によく似た声で溜め息をつく。
それが、その行為全てが僕の中に言い様の無い不快感を植え付けていくのだ。
「今、あんたの目の前には自分によく似た自分がいる。それが不思議で理解出来ないのは知っているよ……でもさ」
『僕』は手を前に突き出し、言葉を続けた。
「俺が敵って事ぐらいわかっているだろ?」
瞬間、『僕』のかざした手が輝いたと思った時には僕の身体に衝撃が走り、全身の筋肉が痙攣を起こした!!
(な、なんだ!?)
見えなかった。
明らかなのは目の前の『僕』に攻撃された事。
『僕』の手から何かが放射された事。
しかし、それが何かがわからなかった。
認識した時にはすでに攻撃を受け身体が床に倒れていたのだ。
「にゃ…にを……した?」
僕は自分の言葉に疑問を持つ。
予め言っておくが僕に猫属性はない。
舌が痺れて上手く言葉が出ないのだ。
……痺れて?
「おやおや~?気付いた?気付いた?」
『僕』は僕の顔を覗き込みながら話す。
その全身から青白い火花が散っている。
(電気系の能力者……?)
「『オリジナル』は血液を弾丸にして発砲する戦闘法だったな?けど、それは『受け継がれなかった』からさ、変わりにもう一方の能力を使うしかなかったわけだよね」
「?」
何を言っているんだコイツ。
受け継がれなかった?
何を。
「まぁ、ここでは殺さないよ、『オリジナル』は腐っても俺の『オリジナル』なんだ。死に場所はもっとカッコいい場所がいいだろ」
『僕』はそう言うと、僕の肩に手を置いた。
「少し痛いけど、安心しろ、スタンガン程度の威力に押さえておくから」
「て、テメェ……は一体にゃん……にゃんだ?」
瞬間、僕の身体に文字通りの電流が走り、僕の意識は完全に沈黙したのだった。
薄れる意識の中で僕は『僕』の声を聞いた。
「俺は『歩夢』。オメェの偽物だよ」
新キャラ『歩夢』の登場です。
こいつはこいつでかなり癖のあるキャラになると思います。
ではまた明日!