こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー   作:夜遊

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久しぶりです。

最近忙しくてヤバイ


御坂妹編、化け物

「……ありゃ?」

 

携帯の電源が入らない。

 

初めは自然と電源オフになってしまっていたのかと思ったのだが、そうではないらしい。

 

なぜならばいくら電源ボタンを押しても、一向に電源が入らないのだ。

 

「おい、ワリィ今何時だ?」

 

どうやら携帯が壊れてしまったのだと思い、斎藤誠に時間を聞く。

 

しかし

 

「知らん、携帯が壊れている」

 

こいつも携帯が壊れている?

 

そんなことあるのか?

 

「……なんだ?時計が動いていない?」

 

斎藤誠は次に腕時計を確認しようとしたのだが、どうやらそちらも壊れているようだ。

 

僕も腕時計を確認する。

 

………?

 

こんな事あるのか?

 

僕の腕時計はデジタル時計なのだが、その電子画面まで映っていなかった。

 

2人も男子高生が居て、その2人の携帯が同時に壊れて、時計も壊れてしまう事なんてあるのか?

 

「……ちょっと待て」

 

おかしい。

 

そんなことあるのか?

 

「……おい、待て!!」

 

「なんだよ?」

 

小さな事から始まる異変。

 

そこから伝染する異変。

 

ドンドン気付く異変。

 

「何でこんなに暗いんだ!?」

 

「何を言っている?今は深夜だぞ?暗いのは当たり前――」

 

「そうじゃない!!何で街灯も!ビルの明かりも!信号機も!『電源が入っていない』んだ!!」

 

暗闇。

 

気が付けば僕らは暗闇の中にいた。

 

遠くを見るとここを中心として、どんどん夜景の明かりが消えて行ってしまう。

 

そもそも、今僕らがいる宇宙エレベータは夜になると綺麗な青色のライトアップがされて、ちょっとしたデートスポットになっていると聞いたことがある。

 

しかし、今ではその明かりは灯っていない

 

その時である。

 

爆音。

 

ここではない。

 

離れたら所を見ると、そこだけ薄明かるい赤色の光が見えた。

 

「交通事故?」

 

「見ろ!!信号機が全部止まっている!?」

 

学園都市が暗い。

 

いや、夜だから当たり前なのだが、街の明かりと言う明かりが完全に消えてしまっていた。

 

それだけならまだいい。

 

停電とかよくある話しだ。

 

だが、僕が違和感を、異質を覚えたのはそこではない。

 

携帯や時計まで『電線を通さない機械』までもが電力を無くしていることに、恐怖を覚えているのだ。

 

その時である。

 

「………っ!?」

 

斎藤誠が僕を見て驚いた顔をした。

 

いや、違う。

 

斎藤誠の視線は僕では無く、その後ろに向けられていた。

 

ガサリ……。

 

僕の背後でナニかが動いている。

 

これもおかしい事なのだが、僕は『驚く斎藤誠の顔』を見れていた。

 

辺りから明かりと言う明かりが消えているのにも関わらずだ。

 

僕の背後に光源がある。

 

学園都市に現在残されている、明かり。

 

答えは出ていた。

 

しかし、その答えを僕自身が否定している。

 

無意識に僕の指先には10発のBBが精製されていた。〈弾数10〉

 

これはこれから起こるであろう戦いの為にだ。

 

しかし、それは『勝つ』為ではない。

 

『生き残る』為の準備だった。

 

僕は振り向く!!

 

そして、目視した!

 

「Girrrrrrrrr………」

 

そこに立っていたのは

 

身体から大量の電気を放電している歩夢だった。

 

歩夢?

 

あれが果たして歩夢なのか!?

 

今の今までそこに居たのだから、そこに居るのは歩夢の筈だ。

 

だが、僕はソイツを歩夢と自身を持って言えるほどの根拠が無かった。

 

そこに居るのは歩夢と言う、僕のクローン。

 

言い換えれば、化け物のクローンだ。

 

そう、僕はこうやってもう一人の化け物と邂逅したのだった。

 

「……スゲーsugeスゲーsuge!!これGa『力』…!『化け物の力』ka!?」

 

そして、確信して言えるのは、この化け物は僕のような『手に終えない化け物』ではなく、『歩夢と言う1体の化け物』だと言う事だった!!

 

 

 

 

 

小野町仁の考察には些か間違いがあった。

 

彼らの目の前に居るのは確かに歩夢だ。

 

しかし、それは外見的であり、中身、具体的に、抽象的に言えば『心・精神』は全くの別物に変化していたのだ。

 

ソレは空っぽだった。

 

そこに何かを組み入れようとして手っ取り早く一番近い『歩夢と言うクローンの精神』を真似したに過ぎないのだ。

 

よって今の、他に言える言葉が無いので『歩夢』は先程までそこに居た歩夢ではなく新たに誕生したアユムだ。

 

そしてアユムは考える。

 

自分の存在理由を。

 

そして答えを出した。

 

全てを壊そうと。

 

まずは目の前にいる自分に良く似た何を持つ人間を、壊そうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼します!!」

 

ドアが開かれた。

 

入ってきた男はよく知っている。

 

俺の部下だ。

 

確か名前は……忘れた。

 

だが、仕事をこなす割に緊急事態には物凄くキョドる男だ。

 

そしてキョドった男は上司である俺を無視して話捲し立てた。

 

「が、学園都市との連絡がと、途絶えました!!か、確認したところが、学園都市の電力が全てす、ストップしているようです!!ぱ、バソコンから携帯電話までで、電波を関した電気器具がす、全て!」

 

さて………。

 

「……フム」

 

俺は、一人の人間としてまずは目の前にいる人間を落ち着かせなければならないようだ。

 

「……珈琲」

 

「は、はい!!こ、珈琲!!……は?へ?」

 

「珈琲を飲まないか?」

 

「え!!は、はい!!い、いただきます!!」

 

俺は椅子から立ち上がり、男に珈琲を淹れる。

 

そうしながら話を切り出した。

 

「学園都市の『中』と『外』では2、30年の科学の開きがある、しかし、それは決して『プラス』ではない、なぜかわかるかね?」

 

「え……と」

 

「答えは簡単だよ、『科学の進歩』は『問題の進歩』と平行して進んでいるのだ」

 

「は、はぁ」

 

「言い方を変えよう、科学の進歩は決して『正義』ではない、極論で言えば『悪』に部類しているのだよ。科学の発端は『戦争』から始まった。そしてそれは今でも変わらない」

 

「あ、あのぅ?」

 

「わかっている、今の問題は学園都市の広範囲の停電だったね?確かに『ありえない』だがあの街ならば『ありえる』事ではないか?だって『科学の最先端の街』なんだから『科学の最先端の災害』が起きてもなんら不思議ではない」

 

「わ、我々の対策は?」

 

「何もしなくていい。勝手に解決するだろう、今までもそうだったように」

 

俺は珈琲を男の前に置き、自分用に淹れた珈琲を飲む。

 

そして、話を変えた。

 

「ところで……『彼女』は見付かったかね?」

 

「い、いただきます……は?あ!!はい!!そ、それがまだ見つかっていません」

 

「そうか、残念だ……早く会いたい」

 

「あ、あの……し、失礼ですが……『彼女』の捜索には何か重要な意味が?」

 

「…………」

 

さて困った。

 

俺がこの『職』に就いて密かにある『指示』を部下に命じた。

 

それは『ある少女の捜索』。

 

『彼女』の捜索の『理由』を話しても、この男には信じないだろ。

 

だったら、『嘘』を言うしかない。

 

『嘘』とは『悪』であって、『正義の味方』である俺は『嘘』を付きたくないのだが。

 

これは特例だ。

 

『正義の嘘』だ。

 

「確かに『重要』ではない、しかし、極一般的に、『俺個人的』には『重要』な事なんだ」

 

「そ、それは」

 

「…………『俺の娘』だ」

 

「!?!?!?!そ、それは!!あ、貴方はだ、だってど、独身で!ま、まさか!?」

 

「そうだよ俺の『隠し子』だ、わかっている。『俺の立場上』それが世間に出てしまうと大変な『問題』になる事は……軽蔑してくれてもいい、批判してくれてもいい、だが『父親が娘に会いたい』願いだけは汚さないでくれ」

 

勿論…『嘘』だ。

 

「わ、わかりました!!ぜ、全力で探させていただきます!!」

 

急に男がやる気になった。

 

なぜだ?

 

あぁ……そう言えばこの男には家族が居たな。

 

どうやら今の『嘘』で下らない『親心』を刺激したらい。

 

よかった。

 

『嘘』が『正しい方向』に向かった。

 

やはり、今の『嘘』は『正しかった』。『正義』だった。

 

男は出口に向かい、俺に一礼する。

 

「で、では失礼します!!吉村正『総理大臣』!!」

 

俺は吉村正。

 

くそったれな学園都市のお陰で成り立ってしまっている愚かな国の総理大臣だ。

 




携帯を見る前に時計を見ろよってツッコミは止めてくださいね。

最後に出てきた人間は……まぁわかるでしょ?

次回!小野町仁に襲い掛かるアユム、そして斎藤誠は?

その前に、少しこの小説全体を編集しようと思います。何をやるかと言うと全話を前編と後編に区切りたいと思います。

ではまた次回で!
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