こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー 作:夜遊
今回は、いつも通り主人公が負けます(笑)
僕、小野町仁は化け物である。
この事ははじめから話していることだ。
こうなった経緯は色々あったが、確実なことは、この化け物の力は僕だけのモノだった。
驚異的とは言えないが、回復力を持ち、日常生活には必要以上の怪力を保有し、詰まる所、
無敵だった。
僕は佐天涙子救出の際、少しだけこの化け物を受け入れた事によりBBを手に入れたが、まだまだ完全な化け物では無いと安心していた。
何も僕は化け物になりたいわけでは無い。
化け物であることに後悔している方だ。
しかし、この時、僕のクローン、化け物のクローンである歩夢と対峙した時、初めて、心から…………
半端な化け物の自分に後悔していた。
完全な化け物である歩夢に半端な化け物である僕が勝てる筈が無いと心から本能的に思い、この時初めて、僕は力を、化け物を欲していた。
確かに、
歩夢を倒さなければ、吹寄はおろか学園都市が危険になってしまう。
だが、
そんなことはどうでもいい。
やはり、
僕は正義の味方側の悪役だ。
本心で思っているのは、恐れているのは、人とか街とか、そんな他人の事では無く、それらが無くなった事による自分の世界が壊れる恐れが怖かった。
僕は臆病者だ。
臆病で卑怯で最悪な、悪だ。
他人の為に力を奮う正義ではない、
自分の為だけに、手段として、それらを都合のいい言い訳にして力を奮う正義の味方側の悪役だ。
だから、
僕は、
目の前にいる化け物を倒す。
「Gishaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
僕は吠える!!
同時に瓦礫を崩壊させながら歩夢も吠える!!
二人の、いや、二体の化け物は互いを睨み付けながら威嚇してタイミングを見る!!
そこに居るのは、最早人では無いだろう、人の形をした化け物達の激突が始まった!!
「GAA!!!」
始めに動いたのは僕だ!!
僕は飛び上がる!
今のアイツには近付くだけで万物を崩壊させる力がある!
そんな相手に殴り合いは、接近戦は通じない!!
そこで僕は先程とは違う照明ライトの一つを引き千切り、渾身の力で放り投げた!!
轟音を響かせながら近付く塊を見ながらアイツは笑う!!
「MうDa!muだ!!」
僕は更に一つ、もう一つ更に追撃で照明ライトを投げ付ける!!
しかし!!
アイツはそんなものをお構いなしに全てを崩壊させて行く!!
「Jarashaaaaaaaaaaaa!!!!」
次に僕は天井を足場に踏ん張り、床に向け飛び出した!
接近戦は駄目!!
遠距離からの砲撃も駄目!!
ならば!!
僕の拳は床をぶち抜き、そのフロアの全ての床を崩壊した!
当然、床の上に居たアイツは重力に逆らう事は出来ないので落下していく!!
アイツが出来るのはあくまで崩壊呑み!!
ならば上から落ちて潰れちまえ!!
その時である!!
同じく落下中の僕に近付く気配があった!!
誰だ!!!?
決まっている!!
アイツだ!!
どうして!!
その時僕は目撃した!!
落下していく床の瓦礫やら一緒に落下しているベンチやらを踏み台にしてアイツは僕に向かい猛突進しているのを!!
「Oれが!鈍い動きwoすると!!思っtEいたのか!?」
アイツは拳を握り締め下から振り上げた!!
この戦いにおいて、僕が守らなくてはならない境界線、生命線である距離。
それはあっさりと簡単に越えられてしまった!!
激痛!!
まだ拳は僕を捕らえていない。
ではなぜこんなにも激痛が来るのか!?
決まっている!!
アイツに近付いた事により僕の身体が崩壊し始めたからに決まっているじゃないか!!
そしてついには、アイツの拳が僕の胸に激突し、僕の身体が悲鳴をあげた!!
「Ghaaaaaaaaaaaaa??!!」
僕は激痛を越えた激痛に叫びを上げながら上に上に殴り飛ばされる!!
途中で天井に当たったがそれを無視する勢いで僕は閉ざされる!!
三回ほど天井をぶち破りようやく僕の身体は勢いが無くなり、止まった。
しかし、今度は自然の法則に従い落下が始まる!!
「Jareryaaaaa!!」
アユムはこの短い時間の中で、考えた。
知識は歩夢が獲得していた情報をそのまま引用している。
(思考1。目の前に戦っている自分に良く似た男、小野町仁。思考2。小野町仁は『化け物』の能力を有している。思考3。自分はその『小野町仁』と『化け物』のクローンである。思考4。自分は学園都市全域の電力を全て吸収している。。思考5。自分に近付く全ての万物は放電した電気により分解される。以上の考察から導きだした結論。小野町仁は自分には勝てない。)
僕は今、化け物になっている。
いや、いつもそうなのだが、なんと言うか、今現在の身体の状態を的確に言うならばそうなるだろう。
この状態の時、僕は考える事よりも先に行動を起こしている。
本能的と言えばいいのか。
とにかく、この状態中の僕は『思考』と『行動』が別々になって、いるのだ。
まるで、身体を別の何かに支配されている感覚に近い。
さながら、今の僕の身体は獣の様に化け物だ。
なぜ、今そんなことを説明しているのか。
獣が、動物が高い所から落下していて、ソイツの落下先に何か別の生き物が居るとしたらソイツはどうするか?
決まっている。
ソイツは本能的に、無意識に、攻撃をするはずだ。
無意識で繰り出した攻撃が果たして決まるものか?
いや、決まらない。
それを意識してやるならまだしも、そんな心の籠っていない攻撃が的確に決まる筈がない。
下手をしたらその攻撃が隙になって、カウンターをされてしまうかもしれない。
そして、僕と言う化け物もそうだった。
僕の意識を無視して、僕の化け物は左手を歩夢に向け振り上げた!!
そして、当たり前に、決まっている様に、
酷いしっぺ返しを食らってしまった。
「……………」
歩夢は何も言わない、しかし、ヤツはまるで紙か何かを払うように手を振っり、僕の身体の左手を払っただけだった。
ただそれだけで、
僕の左腕が肘からブツリと切断されたのだ。
「!?Ghaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaあaaaaaaaaaaaaあaaaaaaあaaaaああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
激しい痛みと、激流の様に流れ出ていく血液の音の中に僕の叫び声がひどく混じりあってその場を埋め尽くした。
驚異的とは言えないが、回復力を持ち、日常生 活には必要以上の怪力を保有し、詰まる所、
無敵だった化け物。
だった。
そう、無敵なのは過去の話。
だった。
そう、だったんだ。
ようやく、この章の終わりが見えて来ました。
もう少しで終わりますのでその時までお付き合い願います。
あと、どうでもいい話ですが、この話とは別に新たに新作を執筆中だったりしています!!
タイトルは『この未成熟な物語は毒にも薬にもならないことを作者は知っている』(未定)です。
簡単なあらすじを話しますと以前投票した作品の数々に加えふと考えた事などを載せた短編集的な何かです。
まだ先になるかと思いますが投稿した際にはよろしくお願いいたします。
さて、次回は命乞いです、主人公(笑)の無様な命乞いをお待ちください!!